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特集記事

介護保険法の改正後の動向について 第4回 「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する検討会」資料から読む

はじめに

  平成24年度の制度改正により、「地域包括ケアシステムの構築」とともに「自立支援型ケアマネジメントの推進」が推し進められることになりました。
 特に、「自立支援型ケアマネジメントの推進」というとき、24年度からケアマネジメントの考え方・実施方法が変わるのか・変わらないのか等について、現場の関心が高まりました。そのような中、ケアマネジメントの検討のため、平成24年3月25日に第1回目の表記検討会が開催されました。その中で検討事項が示され、これまで5回に渡る検討会を経て、第6回の検討会(平成24年10月10日開催)において「本検討会の議論を踏まえた主な課題と対応の方向性(案)」が示されました。
 今回はこの案について、示された会議資料から考えます。検討会には出席していないため、その場の雰囲気はわかりませんので、公表された資料のみを参考に考えていきます。その結果、独善的になるかとも思いますが、これも一つの見方とご容赦願います。

  1 24年度改正と社会保障と税一体改革の関連

 今回の介護保険制度改正の背景として、社会保障と税一体改革があります。第6回検討会の資料にも含まれていますが、介護保険との関連では、改革の骨子は、「入院・入所の抑制(福ナビ特集第1回 表3を参照)」にあり、それへの対応を含む改正となっています。
 その抑制への対応として、ノーマライゼーションの理念の実現と同時に、在宅での生活継続・限界点を高める必要があります。在宅で生活する要介護高齢者のイメージとして、重度の要介護者や医療を必要とする要介護者がいます。その人たちが在宅で暮らすためには、看護と連携したサービスが必要です。一人暮らし高齢者、老老介護等の家族で介護が困難な者に対しては、施設に代わる場として、サービス付き高齢者向け住宅も国土交通省とのコラボで用意されました。
 また、軽度者のIADL(外出時に身だしなみを整えるなど日常生活を営む上で必要な動作)を改善することで、要介護度の軽減を図ることができる事例もあり、機能改善に係る加算の新設・見直しが行われました。これらは、在宅での生活継続を図るための手法で、それを担うマネジメントを「自立支援型マネジメント」と呼んだと思われます。また、個人の力では限界があるため、「ソーシャルインクルージョン(社会的な支え合い)」の理念を用い、その実現のため「地域包括ケア」という概念が示されたと考えるとわかりやすいと思います。
 ただ、そのことが悪いかというと必ずしもそうはいえません。施設よりも在宅で暮らせた方が一般的には好まれるのではないでしょうか。ノーマライゼーションの理念の形成はそれを表しています。問題は、在宅で暮らせる仕組みが十分整備できるかと言うことですが、できないと介護地獄の再来になりかねません。
 今回の改正では、「自立支援型ケアマネジメントの推進」が強く主張されると共に、ケアマネジメントの様式変更についても関心を集めました。ケアマネジャーにとっては重大な関心事です。介護報酬の改正で、訪問介護や訪問リハビリ、通所介護や介護予防サービス等のサービスでは、自立支援型訪問介護や通所介護の機能訓練加算の創設・見直しが行われ、自立支援型の考え方が反映されています。当然これらサービスをコーディネートするケアマネジメントについて、「自立支援型ケアマネジメント」が具体的に示されるものと思われました。
 しかし、株式会社日本総合研究所(以下「日本総研」)が公表した「ケアプラン詳細分析結果報告書」では、居宅サービス計画書の様式変更例が示されたものの、様式変更には至りませんでした。個別のサービスで機能訓練等の改善の方策等が示される中で、本体のケアマネジメントの変更が行われないのは、現場軽視の誹りを免れないことと思います。基準に抵触する事業者に費用の返還を求める等の厳しいペナルティを科す行政が、事業者が混乱しないよう仕組みを整備するのは当然の義務だからです。