はじめに
第5期介護保険事業においては、医療と介護の連携が大きなテーマになっている。その理由は、高齢者が増加する中で、「入所・入院定員」枠を縮小し、かつ入院入所期間の圧縮を図る方向が打ち出されたことによる。その主たる理由が、「財政難」なのか、「ノーマライゼーション」等の理念、あるいは生き方の問題であるのか、それぞれが錯綜している。
しかし、その結果、これまで入院・入所したであろう高齢者たちが、在宅での生活を継続することに、あるいは継続を強いられることになる。
このような変化のなかで、医療が必要な高齢者や重度の高齢者が在宅で暮らせるための仕組みとして「地域包括ケア」が構想されている。「地域包括ケアシステム」とは、高齢者の在宅での生活継続の限界を高める仕組みで、例えば軽中度の場合、可能であればリハビリ等と組み合わせにより、IADL(外出時に身だしなみを整えるなど日常生活を営む上で必要な動作)やADL(日常生活動作)の改善等を図っていく。また、医療が必要な人や重度の人の入退院の促進や在宅で支えていくための、医療・介護の連携を図る必要が生じる。さらに、終末期の人たちについては、選択肢として「どのように在宅での死をむかえるか」も課題となってくる。
1 医療・介護連携の新たな視点での必要性
医療と介護の連携は、これまでも不要ということではなく、居宅のケアプランの作成や医療系のサービスをケアプランに位置づける場合は、サービス担当者会議での医師の意見や医療系サービスの利用の是非について、担当の医師の意見を踏まえ行ってきた。また、入退院時には、情報交換を行うこととされてきた。
しかし、それでは不十分との認識で、今回の改正では改めて医療・介護の連携が求められた(下の囲み)。それは地域包括ケアの推進には不可欠な要素なのである。
【地域包括ケアの5つの視点による取り組み】
次の5つの視点での取組みが包括的(利用者のニーズに応じた(1)~(5)の適切な組み合わせによるサービス提供)、継続的(入院、退院、在宅復帰を通じた切れ目ないサービス提供)に行われることが必須 (1)医療との連携強化
(2)介護サービスの充実強化
(3)予防の推進
(4)見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護等(5)高齢期になっても住み続けることのできる高齢者住まいの整備(国交省との連携) |
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