私たちが靴を選ぶとき、「履く人の足によく合ったものを選ぶように」といわれます。 そこで今回は、歩き方や履く目的に合わせた靴の種類とサイズの選び方、靴の正しい合わせ方とチェックポイント、正しく靴を選ばないとどのようなことがおこるのかについて解説します。
歩き方や履く目的に合わせて
しっかり歩く時
一般に日本では、靴は外出をするために履きます。しかも行き先や歩いている時間、足の状態、路面、季節、雨や雪など天候によって、素材を含めて靴のデザインを選びます。 長時間しっかり歩くためには、足全体をしっかりサポートしながら関節・皮膚・爪までも守ってくれる靴を選ぶようにします。 具体的には、かかとにしっかりした芯が入っており、さらに靴全体がねじれにくいこと(
図1,2)、足のアーチを正しく補正するための補正パッドで外反母趾など趾の変形やタコを予防してくれること(
図3)、かかとの骨や膝関節を守るために中敷きや靴底にクッション性を配慮したものなど、その人の足の特徴を考えた上で靴を選びます。なお、この時に甲をしっかり固定できるものが理想です。
ちょっとその辺りを
履物の脱ぎ履きが頻繁に行われる日本の生活では、玄関や庭先のつっかけはなんとも便利なものです。ところが歩き方が不安定な人にとっては危険なものになります。そのようなときは、手を使わず簡単にはけるスリップオンの靴(ひもなしで気軽に履ける靴)をお勧めします(
図4)。かかとがあることで安心です。ただし、足が入れづらいために大きめのものにすると、歩くたびにかかとが浮いて危険です。面倒でも適切なサイズの靴を履く習慣をつけましょう。
おしゃれな場で
結婚式などで履く靴は、美しさが第一の目的です。女性であればドレスに色やデザインを合わせて靴を選びたいものです。ただし、長時間履くことは避け、足を守るために、会場から出たら履き替えるための靴を忘れずに持っていくように心がけましょう。
大切なルームシューズ
家にいることが多い人にとって、ルームシューズは大切な履物です。室内こそ危険だらけです。ところが家の中だから何でもかまわないと思う人もまだまだ多いようです。脱ぎ履きしやすく足にフィットし、足に合った中敷きが入るルームシューズもあります(
図5)。 いつまでも足を大切にするため、たとえ室内でも履物には気を遣いましょう。
サイズを選ぶ
どんなに良い靴であっても、足にあったサイズでなければその効果は得られません。靴のサイズは、まずはJISで定められている足長と足幅(または足囲)が基本です。足長は、日本の靴の場合はかかとからつま先(一番長い趾に合わせる)までの実長に、1から1.5cm程度のつま先のゆとり分(捨て寸)を足した寸法がめやすです。足幅は狭すぎると足を痛めますが、広すぎると靴の中で足が横揺れして安定しません。必ず両足に履いてしばらく歩いて確認します。靴選びは、足がむくみがちな夕方にしましょう。
靴の合わせ方
![図6 正しい靴の合わせ方](img/shoes18.jpg)
靴の履き方の基本は、足のかかとを靴のかかとにピッタリ合わせ、甲をしっかり固定することです(
図6)。このとき、靴が足に合っているかどうかのチェックをします。ヒールが高かったり甲ベルトがないと、歩いている間に足が前方にずれ易くなります。ハイヒールでは、ストッキングをはくと、ますます前方へずれてきて、将来足にトラブルが起こる原因をつくってしまいます。
気に入ったデザインのものであっても、歩きにくいものはおしゃれな歩き方にはなりません。足を守ってくれる靴は身体全体まで守ってくれるため、元気で美しい歩き方につながります。