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介護保険の動向と実際例 第1回 介護保険制度の利用までの道のり

介護サービスを利用した安定期

 加齢とともに、母の暮らしも変化してきた。90歳を過ぎて、もう自宅の周辺の掃除はできなくなり、外出もしなくなり、戸建ての家の庭と屋内が生活の場になった。認知症も進んでいるようで、家を離れると混乱する。家の中にいる分には、習慣的な動作、起床・洗顔・着替え・調理・食事等が、一部訪問介護や訪問看護の援助を受けるが自分でできていた。また、週末に息子や孫と会うことを楽しみにしていた。
 加齢とともに状態も段々と悪くなり要介護3となっていた。これは、身体的機能の衰えよりも、認知症の進行によるものであった。

図3 加齢とともに緩やかに悪化
要介護1から3へ
要介護3で安定・屋内一部介助、ほぼ自立・認知/見当識徐々に進行(サービス内容)①訪問介護 毎日(調理・掃除)②訪問看護 週1回(入浴ほか)③訪問診療 月1~2回
脱水状態になり緊急入院
約1か月の治療病院でのリハビリ
(治療終了後の課題)退院の検討(選択肢)1自宅2施設ア 介護保険施設・特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護療養型医療施設イ その他の施設・グループホーム
※見当識=現在の年月や時刻、自分がどこにいるかなど、基本的な状況を把握すること。
住宅改修(早期に実施)
 転倒防止のため、階段に滑り止め、手すりを、トイレと風呂場に手すりを設置した。手すりは、本人の動作を確認して、設置した。

*住宅改修費は上限20万円
(多くの市町村は別に追加の補助を行っている)。

  • 「住宅改修」(東京の福祉オールガイド内)は⇒こちら
  • 「とうきょう認知症ナビ」(東京都福祉保健局)は⇒こちら

緊急入院

(1)緊急入院の連絡

 訪問介護事業所から、母の状態が良くなく、近くの病院に緊急入院したとの連絡が入った。
 入院時の状態は「脱水状態」とのこと。次男が病院を訪れ、母の状態の確認と医師に面談して意見を聞いた。91歳という高齢でもあり、とりあえず1ヶ月の入院加療とのことであった。
 ケアマネ事業所に、入院見込み期間を伝え、その間のサービスの停止を依頼した。

(2)病院でのリハビリの依頼(病院のMSWへ)

 要介護3ではあるが、これまで屋内では自分で歩行・トイレも行っていたので、その旨の話をして、状態が落ち着いたら自宅に戻る前提でのリハビリをお願いした。これは病院はベッドでの生活が中心となるので、ADL(日常生活動作)の低下に注意をする必要があるためである。
※MSW=Medical Social Worker:医療ケースワーカー、患者や家族の相談相手

(3)自宅への一時帰宅→早く病院へ戻ろう

 お盆の時期を利用して一時帰宅を計画、もしこのまま自宅に居たいと言ったら、そのまま退院もあるかと思いつつ、自宅に連れて帰り、仏壇に線香をあげてもらった。
 しばらくしたら「病院に戻ろう」という。「このまま家に居てもいいよ」と伝えたが、自宅よりも病院がいいという。暖かい3食の食事等がどうも気に入ったようである。ただ、病院は治療空間なので、ベッド中心の生活にならざるを得ない。介護療養型医療施設も併設されているが、それほど病気が重いわけではないため、他の介護保険施設等を探す必要が生じた。
 とりあえず、在宅への退院を断念して、施設を探すことにした。MSWに聞いても、いまひとつ待機状況等が分からなかったので、専門機関に聞くことにした。

再び、地域包括支援センターに、今度は電話でなく訪ねた。
(1)特別養護老人ホームの待機状況 →(回答)要介護3では難しい
(2)老人保健施設の待機状況について→やはり待機が多い  
(3)近くのグループホームについて →近くに3カ所あり、(1)や(2)と比べ入りやすい

  • 「介護や医療ケアが必要な方の施設」(東京の福祉オールガイド内)は⇒こちら
  • 「自宅での生活が困難な方の施設」(東京の福祉オールガイド内)は⇒こちら
  • 「認知症のある方に適したすまい」(東京の福祉オールガイド内)は⇒こちら

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