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介護保険の動向と実際例 第5回 平成27年度介護保険制度改正の動向(その2)

2.介護保険制度改正の動向

1 制度改正準備としての平成26年度老健局の予算について

[主要施策] 部局長会議資料(平成26年1月21日)から

1. 介護保険制度による介護サービスの確保(一部新規)
  •  生活支援サービスの基盤整備(新規)5億円
     生活サービスの充実に向けて、ボランティア等の生活支援の担い手の養成・発掘等の地域資源の開発やそのネットワーク化を行う「生活支援サービスコーディネーター」の配置
    (平成26年度は1580保険者のうち1/5程度の約310保険者の実施を想定)
2. 認知症を有する人の暮らしを守るための施策の推進(一部新規)
  •  認知症に係る地域支援事業の充実(一部新規)17億円
    1. 早期支援のための「認知症初期集中チーム」を新設(新規100カ所)
    2. 認知症地域支援専門員の配置(275カ所→470カ所へ)
    3. 家族教室や認知症カフェ等による認知症の人とその家族への支援等(225カ所→470カ所)

    13は平成26年度から地域支援事業の任意事業として国庫補助補を予定

3. 地域での介護基盤の整備
4. 介護・医療関連情報の「見える化」の推進(新規)
  •  「見える化」推進事業(新規)4億円
     地域包括ケアシステムの構築に向けて、全国・都道府県・市町村・日常生活圏域別の特徴や課題、取組等を客観的かつ容易に把握できるよう、介護・医療関連情報の共有(「見える化」)のためのシステムの構築等の推進
5. 低所得高齢者等の住まい・生活支援の推進(新規)
  •  低所得高齢者等の住まい・生活支援事業(新規)1.2億円
     社会福祉法人等が実施する、家賃の低い空家等を活用した住まいの確保の支援や、見守り・日常的な生活相談等の取組みを支援
6. 訪問看護の供給体制の拡充(新規)52百万円
  •  都道府県が介護保険事業支援計画に掲載するとともに、訪問看護師の定着支援や訪問看護ステーションの規模拡大に向けた初期支援等を実施するための費用補助
7. 高齢者のリハビリテーションの機能強化(新規)
  •  高齢者のリハビリテーションの機能強化モデル事業(新規)47百万円
     急性期・回復期から生活期リハビリテーションへの円滑な移行と、「心身機能」「活動」「参加」のそれぞれの要素にバランス良く働きかける観点から、二次医療圏単位の医療介護連携と、体操などを行う住民運営の通いの場を充実させるような地域づくりを推進するために、一部の都道府県・市町村に対して実践を通じて技術的支援を行う
8. 生涯現役社会の実現に向けた環境整備 31億円
  •  高齢者生きがい活動促進事業 10百万円
     一定の収入を得ながら自らの生きがいや健康づくりにも繋がり、介護予防や生活支援のモデルとなる有償ボランティア活動などの立ちあげを行う。
  •  高齢者地域福祉推進事業(老人クラブへの助成)27億円
9.福祉用具・介護ロボットの実用化の支援 83百万円
10.福祉用具の安全な利用・導入の推進(一部新規)
  •  福祉用具臨床的評価事業(一部新規)35百万円
11. 介護保険制度改正に伴うシステム改修 40億円

 平成27年度介護保険制度改正に伴い、介護給付審査支払事務を引き続き円滑に行えるよう、保険者等のシステムのプログラム修正を実施する。

12. その他の主要事項
  •  介護支援専門員資質向上事業 85百万円
  •  介護サービス情報公表制度支援事業 1億円
  •  地域ケア会議活用推進等事業 1.6億円
  •  老人保健健康推進等事業 15億円
     高齢者の健康づくり、介護予防、生きがい活動など、各種高齢者保健福祉サービスの充実について積極的に支援していくために必要な先駆的、試行的な調査研究に対する助成

  新規予算等の傾向

 今回の予算は、「地域包括ケアシステム構築」「認知症対策」「リハビリ」及び地域包括ケアシステムの実現に向けた自治体支援が目立つ傾向が見られます。特に、地域包括ケアシステムの構築は、今後の社会保障制度構築の根幹に関わる内容のため重視されています。これは制度設計が、財政的視点等から「自助」を原則として、地域や隣人の「互助」による助け合いを地域包括ケアシステムに組み込むことを前提としたしくみとなっているためで、住民の参加は極めて重要であることによります。これは超高齢社会を迎える日本の社会保障制度としてのひとつの選択でもあります。

図2 地域包括ケアシステム 地域包括ケアシステム
*第46回社会保障審議会介護保険部会資料3「地域包括ケアシステムの構築に向けて」から
※画像をクリックすると拡大します

 それゆえに、新規事業として生活支援サービスコーディネーターの配置があり、また有償家事援助サービス等の励行施策が示されています。介護保険制度の創設により、多くの有償家事援助サービス、ボランティア等は法人格を取得し、介護保険事業者となりました。今、その先祖返りの必要性が出てきています。
 また、介護予防の重要性から、リハビリ等の重視も見られます。 地域包括ケアシステム構築の大きなポイントは、住民ボランティアや有償家事援助等住民の制度への参加、医療介護の円滑な連携を調整する地域包括支援センターの機能強化、そしてケアマネジャーのスキルアップであり、その実現が当面の課題でしょうか。時間はあまりにもありません。



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