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介護保険の動向と実際例 第2回 地域包括ケアシステムの構築に向けて

1.はじめに

 社会保障・税一体改革及び社会保障制度改革国民会議の報告書(平成25年8月6日)(以下「国民会議」という。)に示された内容を踏まえつつ、平成27(2015)年度の施行に向けて、介護保険制度改革が進められています。ここで一度、制度創設以降の制度改革の経緯を振り返ってみます。平成12(2000)年に「社会保障構造改革の第一歩」(社会保障構造改革中間のまとめ、1996年11月)として介護保険制度が施行され、措置制度から社会保険による契約制度へと転換しました。その際、利用者によるサービスの選択、利用料の応能負担から応益負担への転換、多様な事業者の参入の促進等が図られ、併せて、老人医療の一部を「介護療養型医療施設」として介護保険制度に取り込み、医療と老人福祉を「総合化」して、新たな制度として発足しました。その後、介護保険は様々な改正が行われ、今日に至っています。(参考を参照)
 平成12年の制度創設以降の大きな改正は平成18(2006)年度の改革でした。この改正では、まず介護保険の外の補助事業(税100%)として実施されていた「介護予防・地域支え合い事業」が介護保険の中に取り込まれ、その事業費には一部介護保険料も充てられることになりました。また、要介護1を要介護1と要支援2に分けて、要支援の対象者数を増やすと共に、要支援の介護報酬を引き下げました。さらに、地域密着型サービスを創設し、その事業者の指定を区市町村長とし、地域密着型サービスの総量管理を介護保険事業計画とリンクさせることにより、地域密着型サービスについて、多様な事業者の自由な参画に一定の制約を課しました。そして、新たな地域の調整機関としての地域包括支援センターの創設です。このように平成18年度の改正は極めて大きな改革といえます。
 直近の平成24年度の改正では、介護保険施設の定義から「介護療養型医療施設」が削除され(旧介護保険法第8条26項)同サービスは平成30年3月末をもって廃止されることになりました。また、「自立の支援」の観点から、自立支援型ケアマネジメントや地域包括ケアシステムが提起され、訪問介護や通所介護について、「機能改善」志向が打ち出されました。しかし、十分な展開ができないまま今日に至っているというのが現状ではないでしょうか。
 今回の制度改正は、平成18年度の改正を上回る大きな制度改革と言えます。現在、平成27(2015)年度の制度改正(法律改正は平成26年度)に向け、国民会議報告書を踏まえ、社会保障審議会介護保険部会及び介護給付費分科会で改正の肉付けの検討(調整)が行われています。
 平成27年度の改革は、医療・介護一体改革に向けた制度改革の第一歩として、「医療から介護へ」、「施設から在宅へ」の方向を踏まえた改革のようです。また、社会保障の考え方としての「自助・互助・共助・公助」を基本とする旨の整理、それらを踏まえ、平成37(2025)年を目標年度とした「地域包括ケアシステム」の完成に向けた第一歩という位置づけでもあると思われます。自分でできることは自分で行うことを原則に、公的サービスに頼る前に、地域の互助の推進、その上で共助、それでも対応できない場合には公助という考え方により、要支援サービスの本体給付からの除外や利用者負担の変更等が行われる見込みです。
 なお、これらは平成26年の国会での法律改正を踏まえ、政省令や通知等の改正を経て実施される予定ですので、決定されているわけではありません。

(参考)介護保険制度改正の展開 (参考)介護保険制度改正の展開の説明画像 (注1):24時間訪問介護看護=「24時間型対応の定期巡回・随時対応訪問介護看護サービス」/ 複合型=「複合型サービス」
(注2):特養=「特別養護老人ホーム」

 では、具体的な制度改正の方向について、公開されている資料等を参考に整理すると概ね以下のとおりになります。



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