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介護保険の動向と実際例 第5回 平成27年度介護保険制度改正の動向(その2)

3.おわりに

 今回は、制度改正についてはこれまでも説明をしてきましたので、予算、制度を支えるしくみ及び第6期介護保険事業計画について、1月の部局長会議の資料をベースに述べてきました。
 新規を含めた個々のサービスの抑制と拡張が予算要求で示されていますが、何よりも大きな課題は「地域包括ケアシステム」の構築であると思われます。その構築には多くの困難が予想されます。それゆえ、新規要求として、地域包括ケアシステム構築の鍵を握る市民参加のコーディネート役として「生活支援サービスコーディネーター」の配置や、認知症高齢者等を地域で可能な限り支えるしくみづくりとしての「認知症地域支援専門員」の配置等が予算化されています。その他の施策を含め、これらを有効に、実体化できる取組みが保険者に求められています。平成26年度に部分実施される新規事業は、平成27年度には、より一般化され、平成26年度に策定される平成27年度から平成29年度までの3カ年間の第6期介護保険事業計画に反映されることになります。それをにらみ平成26年度の取組みを保険者が行うことが求められています。
 そのほか、今回の改正より、利用者、事業者、ケアマネジャー、保険者等に大きな影響が出てくると思われます。それぞれの影響及び対応を、それぞれの立場で考え、制度改正の意義や意味について改めて考えると同時に、必要な準備作業を始めなければなりません。今回は、利用者、事業者も大きな影響を受けますが、市町村の取組み姿勢が、市町村格差となって現れることが予測されます。


(なお、制度改正のより詳細は、平成26年2月25日に開催された「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」で示されています。また、その資料は厚生労働省ワム・ネットのホームページで公表されていますので、そちらをご参照ください。)

(参考)
  1. 「全国厚生労働関係部局長会議(厚生分科会)資料」(平成26年1月21日)厚生労働省
  2. 「全国介護保険担当部(局)長会議資料」(平成25年11月21日)厚生労働省
  3. 「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料」(平成26年2月25日)厚生労働省
  4. 「第46回社会保障審議会・介護保険部会資料」(平成25年8月28日)厚生労働省
  5. 「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」 厚生労働省 他

(参考)
地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案の概要

Ⅰ 趣旨
 持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため、医療法、介護保険法等の関係法律について所要の整備等を行う。
Ⅱ 概要
1 新たな基金の創設と医療・介護の連携強化(地域介護施設整備促進法等関係
  1.  都道府県の事業計画に記載した医療・介護の事業(病床の機能分化・連携、在宅医療・介護の推進等)のため、消費税増収分を活用した新たな基金を都道府県に設置
  2.  医療と介護の連携を強化するため、厚生労働大臣が基本的な方針を策定
2 地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保(医療法関係
  1.  医療機関が都道府県知事に病床の医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)等を報告し、都道府県は、それをもとに地域医療構想(ビジョン)(地域の医療提供体制の将来のあるべき姿)を医療計画において策定
  2.  医療確保支援を行う地域医療支援センターの機能を法律に位置付け
3 地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化(介護保険関係
  1.  在宅医療・介護連携の推進などの地域支援事業の充実とあわせ、全国一律の予防給付(訪問介護、通所介護)を地域支援事業に移行し、多様化
    ※ 地域支援事業:介護保険財源で市町村が取り組む事業
  2.  特別養護老人ホームについて、在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える機能に重点化
  3.  低所得者の保険料軽減を拡充
  4.  一定以上の所得のある利用者の自己負担を2割に引き上げ(ただし、月額上限あり)
  5.  低所得の施設利用者の食費・居住費を補填する「補足給付」の要件に資産などを追加
4 その他
  1.  診療の補助のうちの特定行為を明確化し、それを手順書により行う看護師の研修制度を新設
  2.  医療事故に係る調査の仕組みを位置づけ
  3.  医療法人社団と医療法人財団の合併、持分なし医療法人への移行促進策を措置
  4.  介護人材確保対策の検討(介護福祉士の資格取得方法の見直しの施行時期を平成27年度から平成28年度に延期)
5 施行期日(予定)

公布日、ただし、医療法関係は平成26年10月、介護保険法関係は平成27年4月以降等、順次施行



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