1. 福ナビホーム
  2. 特集記事
  3. 介護ロボット導入が施設運営に及ぼす効果等について
  4. おわりに

介護施設のICT化とロボットの活用で介護はどう変わるか

第2回(後半)介護ロボット導入において施設運営で考慮すべき点について

5.おわりに

 厚生労働省が平成27年度に補正予算で行った「介護ロボット等導入支援特別事業」は、公募当初の補助上限額300万円で補助率が10/10という、つまりは施設の持ち出しなしで話題の高額な介護ロボットが手に入るというものでした。当時を振り返りますと、介護施設がと言うより介護機器の販売メーカーの方が積極的であった印象ですが、バブル期の景気を彷彿させるような補助内容に耳を疑いながらも申請に心を躍らせたことを思い出します。公募期間が短かったものの応募が殺到し、補助上限額が92.7万円に改訂されての実施となりましたが、全国の介護施設に介護ロボットが普及される大きなきっかけとなりました。その後、介護ロボットの導入にかかる普及促進のアプローチは、補助金の交付に限らず、各都道府県レベルにおいて地域の実状に応じて進められるようになり、今日では介護ロボットを導入している施設が珍しくなくなりました。一方で、導入したものの活用が進まない施設も現れてきました。導入と活用は別物だということの理解や活用に必要な組織的なノウハウが十分に浸透していなかったことが考えられます。導入や維持にかかる費用の問題はさておき、このことが導入に二の足を踏む要因になっているとも考えられ、介護ロボットの導入を巡っては今なお混迷している状況にあると言っても過言ではありません。この様な時世に、令和2年度から計4回にわたり介護ロボット等の導入・活用にかかる要点を執筆させていただく機会を頂戴しましたこと、また最後まで拙文にお付き合いくださいました読者の皆様に心より感謝を申し上げます。拙稿ながら介護ロボット等の普及促進に少しでもお役に立つことができますことを祈念して、これで筆を擱きたいと思います。