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平成27年度介護保険法改正に向けて 第3回 平成27年度介護報酬改定の方向について

2 介護報酬改定の方向

2-(1)平成27年度介護保険制度改正のポイント

  •  介護報酬の改定は、今回の介護保険制度の改正を具体化するものとして行われます。
  1.  地域包括ケアシステムの構築
    • 重度の要介護者、医療を必要とする要介護者等を、在宅で支える仕組みとしての「地域包括ケアシステム」の構築が最大の課題です。特に、在宅で暮らす中重度者への対応の仕組みをどのように作るかが課題となります。
    • その一方で、要支援等の軽度者について、訪問介護と通所介護について予防給付の対象から外し、新たに創設する介護予防・日常生活総合支援事業地域支援事業/創設年度は保険者判断で、経過措置がある。)にシフトさせ、そのケアの担い手としては、専門職ではない地域の住民や一般雇用者を想定して、費用の切り下げを図っています。
  2.  地域包括ケアシステムの仕組み作りのために、在宅医療・介護連携支援センターの創設、認知症初期集中支援チームの創設、地域ケア会議の開催の努力義務化等に加えて、認知症地域支援専門員の配置や、介護保険以外の地域の社会資源の発掘・開発等を行う、一種のコミュニティソーシャルワーカーともいえる生活支援コーディネーターの配置等を新たに位置づけるとともに、介護予防・リハビリの観点から、地域リハビリテーション支援事業を創設します。

    図 地域包括ケアシステムについて 地域包括ケアシステムについて (厚生労働省資料を一部加工
    (元資料 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/))

  3.  退院・退所の促進
    • 平成26年度の医療費改定で退院促進が図られ、また老人保健施設等からの退所促進が行われていますが、今後加算等による一層の推進が図られる見込みです。
  4.  特別養護老人ホーム入所対象者を原則として要介護3以上に
    • 施設の効率的利用、中重度者への対応強化のために、特別養護老人ホームの対象者を要介護3以上と限定。なお、要介護1、2の者については、在宅サービスでの対応と居宅系入所施設である認知症グループホームや特定施設、小規模多機能生活介護等による対応が期待されています。
  5.  訪問介護及び通所介護を利用している要支援1及び2の者(認定者総数の27%程度)について、予防給付の対象外として「新しい地域支援事業の対象」とします。そのサービスの担い手は、必ずしも介護専門職だけでなく、一般雇用者や地域の住民等が担う方向です。こうすることで、事業費の圧縮が図れます。
  6.  その他、一定額以上の所得者に対する利用料負担2割の導入、施設入所者への補足給付に資産要件の導入や世帯分離の見直し等及び介護保険料の負担割合の幅の拡大等が行われます。

2-(2)介護報酬改定のポイント

  •  今回の介護報酬の改定は、上記のような制度改正を具体的に担保するものとして行われます。
  •  総論としては、「増加が見込まれる高齢者の地域における暮らしを支えるためには、介護サービスの充実とともに、団塊の世代が全て75歳以上となり、医療ニーズを併せ持つ要介護者の増加が見込まれる2025年に向けて、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される「地域包括ケアシステム」を構築していくことが喫緊の課題」との認識を示し、具体策として「在宅医療・介護連携の推進、認知症施策の推進、生活支援サービスの充実などを市町村が行う地域支援事業に位置づけるとともに、(略)介護予防訪問介護と介護予防通所介護を、市町村が行う地域支援事業(介護予防・日常生活支援総合事業)に移行する」とし、介護保険制度設計についての市町村の関与を強化しました。 (注 このしくみは、市町村の取り組み姿勢の差が生じるしくみとなっています。)
  •  その上で、平成27年度の介護報酬改定の基本的考え方を次の三点に集約しました。
  1.  中重度の要介護者や認知症高齢者への対応のさらなる強化
    • 在宅医療・介護連携の推進、認知症初期集中支援チーム、認知症地域支援推進員の設置等(注 これらの事業は地域支援事業において行われる。)
    • 在宅において高齢者が自立した生活を送るためには、生活機能の維持・向上を図るとともに、生活機能の低下を防ぐことが重要であり、リハビリテーションについては「心身機能」へのアプローチのみならず、「活動」や「参加」と言った要素を強化し、社会とのつながりが維持された在宅生活を継続できるよう支援(注 リハビリテーション重視の考え方は、27年度以降のサービス提供の大きな方向で、加算等で評価される。)
  2.  介護人材対策の推進
    •  質の高い介護人材を確保するとともに、効果的・効率的に配置するという観点
    •  要介護者へのサービスは専門職による提供であり、専門性の高い人材をいかに確保していくかが課題(※要支援者へのサービスについて、訪問介護と通所介護は一般雇用者や地域住民等を含むサービス提供に切り替わる予定)
  3.  サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の構築
    •  限りある資源を有効に活用するためには、より効果的で効率的なサービスを提供することが求められる。
    •  サービスの運営実態も踏まえつつ、必要な適正化にも取り組む必要がある(※平成26年度介護事業経営実態調査結果の概要を参照、減額の根拠の一つ)とされている。

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