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介護保険の動向と実際例 第1回 介護保険制度の利用までの道のり

2 高齢者等の状況

2-(1)とりまく状況

 日本は、2007年以降人口減少社会になっていますが、その中でも65歳から74歳までの前期高齢者の比率と、75歳以上の後期高齢者の絶対数がまもなく入れ替わる更なる「超高齢社会」に入ります。 そこでの課題は、高齢者については後期高齢者の増加による、要介護高齢者や認知症の高齢者の増加です、加齢に従って要介護の発生率は上昇しますし、認知症についても同様です。

年齢(4区分)別人口の推移と将来推計 年齢(4区分)別人口の推移と将来推計の説明画像 総務省統計局『国勢調査報告』および国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口』(平成25年3月推計) *=国勢調査結果に基づく補正人口。

年齢階層別要介護認定率 年齢階層別要介護認定率の説明画像 ※ 26.4.24 老健局振興課作成資料を改 社会保障人口問題研究所(平成24.11審査分)

 認知症の発症率についても加齢と共に上昇します。また、将来の認知症高齢者数の予測と現在の認知症高齢者の暮らしている場所はそれぞれ以下のとおりです。

 

認知症高齢者の現状(平成22年)認知症高齢者の現状(平成22年)の説明画像 平成26年6月11日 厚生労働省 第102回社会保障審議会介護給付費分科会 資料1より)

 また、生活の場としては、下表のとおり、半数は在宅で暮らしています。

認知症高齢者の居場所別内訳 認知症高齢者の居場所別内訳の説明画像 平成24年8月24日 厚生労働省 報道発表資料「認知症高齢者数について」より)

 以上のように、人口減少下で少子化・高齢化が一層進む中で、要介護者が増加し、認知症高齢者も増加します。
 これらの高齢者の人達が、人生を終えるまでの期間、QOL(Quality of Life:生活の質)を維持し、あるいは「生きてきたことを後悔して亡くなる」ことがないよう、医療・介護・地域等の受け皿を整える必要があります。


2-(2)自助、互助、共助、公助

 今回の制度改正にあたり、従来は「自助、共助、公助」であったものに互助が加わり「自助、互助、共助、公助」の考え方が提示されました。

作成 長谷

  従前 今回
自助 自分のことは自分で対処 同左
互助   近隣住民の支え合い・助け合い 理念としてのソーシャルインクルージョン →例 自治会等の生活支援サービス
共助 個人で対処できない事柄について、共に助け合う仕組みとしての社会保険制度 → 例 介護保険制度 同左
公助 共助でも困難な課題については、税による対応 →例 税による対応、措置制度等 同左

  •  「比較的軽度の人については、地域支援事業として市(区)町村が地域の実情に応じた多様な実施方法で対応して欲しい。それによりコストを下げると共に、地域の絆を回復し、新たなまちづくりのきっかけになれば良い」、という考え方によるものと思われます。
  •  地域の絆の喪失の問題や、絆の重要性は、阪神・淡路大震災や東日本大震災の復興で重ねて指摘されています。その絆の回復は、地域における介護の分野においても、一定の有効性は認められるはずです。一人暮らし高齢者が増え、やがて亡くなっていきます。今後、病院や施設での「死」に加えて、在宅での「死」が増えることは確実となっています
  •  また、そこに至らないまでも、孤独・居場所等日常の暮らしに関わる部分、あるいは高齢者宅のゴミ出しや、ちょっとした交流等は一層必要になります。それらが自然に行なわれる地域が必要ですが、その地域がないとすれば作り出すことが重要となってきます。
  •  また、自助の問題も大きな問題です。個人の生き方に関わる問題でもあり、それは外部からいうべき問題では無いことが前提となりますが、介護等の分野では「どう死にたいのか(どう生きたいのか)」を明確にしておくことは、ますます重要になってきます。
  •  例えば、リハビリでは本人の意欲はとても重要ですし、暮らし全般でも本人の意欲はとても重要です。その意欲をどう引き出すかは、ケアマネジャーやサービス事業者の問題ですが、高齢者自身の問題としては、どう生きていきたいのか、医療・介護サービスとどう向き合っていくのか等を考える必要があります。人の生き方については、他人があまり口を出すべき問題ではないと思いますから、微妙な問題なので、なればこそ余計に自助ということについて考えることが必要と思います。

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