2.高齢者の難聴
1.高齢期の難聴
加齢による聴力の低下は、誰にでも起こりうる自然の現象です。しかし、聴力が低下する時期は人により異なり、程度も様々です。 加齢による難聴は「老人性難聴」、最近では「加齢性難聴」と呼ばれ、多くの方は高音域から聞こえにくくなります。 高齢期の難聴は、本人が自覚していないことが多く、本人よりも周りが先に気づく場合が多いようです。

2.生活場面で起こるトラブルと心理面への影響
聞こえが悪くなってくると、家庭や職場等の場面で、色々なトラブルが発生することがあります。
例えば、
- 聞き返しが増えて嫌がられる
- 聞き誤りが多くなり、人間関係が悪化する
- 見当違いの応答が増えて、病気を疑われる
- 話を最後まで聞かないと勘違いされる
- いらつきが増え、怒りっぽくなったとして周囲に避けられる
など
このため、本人の心理面に、次のような影響が出る場合があります。
- 周りから疎んじられているという「疎外感」
- 会話の不足、不満足による「孤独感」
- 自分は居ない方が良いという「被害感」
など
その結果、外出を嫌がって家に閉じこもりがちとなり、家族とも話したがらない、といった傾向が現れたりします。こうしたことに対しては、周囲の配慮が必要です。
3.話し方の配慮
周りが配慮する話し方の基本

図転載:「よりよいコミュニケーションのために」(東京都心身障害者福祉センター発行)
高齢者に話しかけるときには、こんなことに配慮してみましょう。
- 静かな場所を選ぶ
- 騒音を少なくする
- お互いの顔を見ながら話す
- 口形や表情が見やすいように明るいところで話す
具体的な話し方については、次のことに注意してみましょう。
- 普通の大きさの声で、ゆっくり、はっきり話す
- 話す内容は、簡潔で短い文にする
- 話すときは、常にメモ用紙を携帯する
その他、こんなことも。
- 驚かせないように、話をする前に声かけや合図をする
- 何の話か、事前に話題を知らせる
そして最後に、家族、周囲の方々に。
- 歳を重ねて、身体機能の衰えとともに"聞こえ"も低下していく不安はいかばかりでしょうか。難聴の正しい知識と理解をもとに、その方に寄り添ってゆっくりとコミュニケーションを楽しみ、お付き合いを深められることで、どんなにか心強くなられることでしょうか。