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子どもに与えるご褒美は“褒め言葉”

 ある日の昼、ファミリーレストランで親子の会話を耳にしました。
 母親と女の子(5〜6歳位)と男の子(3歳位)の3名でした。 女の子が食べようとした時に、母親が「ねぇ、お母さんに一口頂戴」と声をかけると、「いや、私のだもん」と言ってあげなかった。すると、すかさず「じゃあ、ポイントあげないよ、いいの?」と言うと、「やだぁ、じゃあ、ちょっとだけ」と言っていました。
 すると母親は、「ポイントが欲しくてくれるならいらないわよ」と断りました。
 少し間があって、「ねえ、お母さん。私、何ポイント貯まってるの?」と聞いていました。
 母親は、それには答えませんでした。

 日常的に、買い物をしたりするとポイントを付けてくれるが、「家庭の中でもポイント制を導入しているんだ」と、少し驚きました。
 この親子の家庭内のポイント項目は何だろうと疑問を抱くと共に、子どもが「私、何ポイント貯まってるの?」と聞いたことで、ポイントはどのように管理されているのだろうかと、ふと思いました。 親子
 私であれば、ポイント制にするとしたら、家族や子どもが見える場所(例えば、家族が集まるリビング等)に置くか貼るようにして、約束が守られたら、「すごいね」「よく頑張ったね」「じゃあ、1ポイントね」等の『褒め言葉』をかけながら、子どもが取り組んでいく過程を大事にしてポイントを加算していくと思いました。
 親が一方的に管理せずに、ポイントが増えていくことの『楽しみ』と『期待』を子どもに持たせながら習慣付くようになれば、より望ましいことであると思いました。

 子どもは、約束を守ったら褒められる、頑張ったらポイントも貯まっていく、貯まったら好きなものが買える、とワクワクしながら楽しみにして期待感を抱くのでしょう。
 しかし、親がやり方を間違えて、「物がもらえるからこれをやる」という方向になってしまうと、子どもの成長発達においては、望ましい関わりとは思えません。

子どもへのご褒美 日頃から、子どもを励まし、親に認められ、親に褒めてもらうことが子どもにとっては何よりも嬉しいことであり、欲しいものを買ってもらうことは更に嬉しいことでしょうが、安易に物を買って与えることによって次々に欲しいものが増えていき、物を大事にしない傾向になりやすいので、親は慎重に考えて関わっていくことが大事だと思います。

 子どもが頑張ったご褒美は、物を買い与えることではなく、気持ちのご褒美で精神的な欲求を満たすという親子の関わりを大切にしたいと思います。

福祉保健局 少子社会対策部 保育支援課 前澤尚子

※ 当コラムは保育園勤務経験者などの方々に、子育てのヒントとなる小話などをいただいて掲載しています。