現在位置 : 福ナビホーム >ミニコラム > 電車の中での出来事

電車の中での出来事

 電車に乗っていた時のこと、私の座った優先席の真向かいに、親子連れが乗ってきた。 電車の座席は、親子づれと年配のおじさんと私のみであった。
 3歳になったばかりの女児であろう 座ると真っ先にお菓子を食べだした。母親もすぐに、持っていた携帯電話の画面を触っていた。
 すると、突然、私の隣に座っていた年配のおじさんが、「そんなのやるんじゃないよ」と大声で、注意した。子どもはその声に、びっくりしたように、そのおじさんの顔を見ていたが、お菓子は食べ続けていた。
 母親は、知らん顔をして携帯の画面を見ていた。すると、おじさんはすかさず「聞こえないのか、そんなものわな、子どもの体にもよくないんだよ。母親ならその位わかるだろう。」と、はき捨てるように言った。   
 さすがに母親は嫌だったのか座席を立って、入口近くに行き外を見ていた。子どもは母親を目で追っていたが、立ち上がる様子もなくお菓子を食べ続けていたが、次の駅で降りていった。
 あの女児は、幼いのにどうしてあんなに冷静でいられたのだろうか?そしてあの状況の中でなぜお菓子を食べ続けられていたのだろうか?不安になって母親に寄り添うでもなく、又、母親が立った時にでも急いで一緒に動くのでもなく座っていた。  

 今は、日常生活に携帯電話のしめる割合は多くなっているように思うが、この親子も例外ではなかったのかもしれない。しかし、せめて幼い子どもが親と一緒ならば、子どもの心を置き去りにせずに、子どもと顔を合わせて他愛ない話をしたり、お出かけの楽しみに期待を持たせたり、親と一緒にいる事の嬉しさや満足感で時間を過ごすことが出来たならば、親子の触れ合いや思い出ががもっと深まるかもしれないと思った。
 なんとも後味の悪い出来事であった。

福祉保健局 少子社会対策部 保育支援課 前澤尚子

※ 当コラムは保育園勤務経験者などの方々に、子育てのヒントとなる小話などをいただいて掲載しています。