知人の三歳のお嬢さんは人参が苦手。
お母さんが工夫を凝らして料理しても「にんじんイヤ」と食べようとしません。
ところがある日、畑で人参を抜く体験をするというチャンスがありました。
長靴を履いて泥んこになりながら一生懸命何本も抜きました。
みんなから「○○ちゃんがんばったね!」と声をかけられてちょっと得意げな顔。
お家に帰ってお母さんが「○○ちゃん、これから人参洗ってお料理するんだけどお手伝いしてくれる?」の問いかけに「いいよ。おてつだいする」
と、お母さんと一緒にごしごし洗っているうちに、赤いつやつやとした人参がかおを出しとても感激したそうです。
早速お母さんが煮たところ「○○チャンが掘った人参だよ。おいしいから食べて」とお父さんやお姉ちゃんにすすめたとのこと。
何の変哲もない茹でた人参を、自分も「おいしい、おいしい」とぺろりと食べたとのお母さんからの報告です。
その後も人参を出すと必ず「○○チャンが掘った人参?」と聞き、「そうよ」と答えると満足そうに、すすんで食べるようになったとのことです。
思いがけなく苦手な食材の克服ができましたとお母さんがとても喜んでいました。
その人参は確かにお店に並んでいる人参より、新鮮で甘みがありおいしかったのでしょう。
それにもまして、自分の手で人参を掘り、泥がいっぱいついたものがきれいに変身していく様子を体験したことにより、苦手な人参を好きになるという結果につながったのかなと思います。
福祉保健局 少子社会対策部 保育支援課 小林房子
※ 当コラムは保育園勤務経験者などの方々に、子育てのヒントとなる小話などをいただいて掲載しています。