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第6回 「東京の地域包括ケア」と「今後への期待」

東京の地域ケアを推進する会議委員長 堀田 力氏 インタビュー

4.都民をはじめとするみなさんへのメッセージ 

最後になりますが、東京の地域ケアを推進する会議の委員長として、私どもとうきょう福祉ナビゲーションの読者、都民のみなさん、介護保険事業者、あるいは自治体の方、この人たちに対して、委員長としてのメッセージを、ぜひこうやって欲しいとか、こう考えて欲しいということがございましたら、ぜひお願いしたいと思います。
堀田

都民の方には、やはり、もっともっと貪欲に幸せになろうと思って欲しいですね。そのために生きているわけですから。
どんな状態になっても、自分のしたいことをして行きたいと思って欲しい。実際に、亡くなる寸前まで編み物を教えていたおばあちゃんや、歌とか俳句とかを最後まで教えた方もたくさんおられますしね。それぞれ自分のしたいことがある。これは何でも良いです。そこは貪欲であって欲しい。
そういうふうに自分が幸せに最後まで暮らすには、どんなところに住んだら良いのか、どういうケアを受けるのか、そのことはしっかり考えて欲しいです。定年退職の時とか、それぐらいには考えておいて欲しいですね。それによって、暮らし方が違いますしね。

今度、高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律等)が変わって、従来の高専賃(高齢者専用賃貸住宅)とか高優賃(高齢者向け優良賃貸住宅)に替わって外部サービス付きの高齢者向け住宅が出てきますけれど、これは、ご夫婦で安心して暮らせる住宅ですから、もっと造れと言っていい。もっと貪欲に、自分らしい生活を作り出して欲しいと思います。わがままでも良いぐらいです。

自治体は、利用者、住民のことをもっと考えなければいけないと思います。
首長が住民のことを考えていないと、てきめんに不幸になりますから。今度の被災地を見たら、住民のことを考えている度合に比例して、ガレキも片付いているし、復興も進んでいるし、地域住民の不安も少なくなっています。
今度の大震災は、住民のことをいかに考えるかということが、住民の幸不幸に直結するということを証明しておりますね。
直接住民の声を聴いて、住民の望むことを実現する、そういう介護を考えて欲しいですね。

事業者には、利用者のための事業だという、そこをしっかりと基本に踏まえて欲しい。
介護とか医療とか教育とか、人を扱う事業というのは相手のための事業です。相手に幸せになってもらうように、あるいは、不幸せな状態を脱してもらうようにやる仕事です。
人を不幸で無くすることが第一の目的で、自分の事業が成り立ち、暮らせるだけの報酬を得られれば、それでよしとする。それがこれらの仕事の特質なのですね。それが判っていない医者とか弁護士とか、介護事業者もいます。それは完全に間違いです。

人を幸せにすることが最大の目標、目的である。人を幸せにするということは、自分の喜びですから、仕事自体から喜びが得られる。それが人を対象としない仕事との違いです。
人を対象としない仕事は辛い。残業もあるし、叱りまくられるし、物をつくっても売れるか売れないか分からないし。仕事自体からの直接の喜びは得にくい。つまり辛いから儲かるわけです。
非営利事業であれとは言いません。営利事業であっても構わないけれども、その点は、しっかり腹に据えてやってくださいというのが、私のメッセージです。