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第6回 「東京の地域包括ケア」と「今後への期待」

東京の地域ケアを推進する会議委員長 堀田 力氏 インタビュー
今回の特集では、5回にわたり「東京の地域ケアを推進する会議報告書」を取り上げ、東京における地域包括ケアの取り組みをご紹介してきました。 最終回となる第6回では、この報告書に込められた思いや都民をはじめとするみなさんへのメッセージなどについて、「東京の地域ケアを推進する会議」の委員長を務められた堀田力さんにお話しをお伺いしました。

回答者プロフィール

堀田 力(ほったつとむ)氏
堀田力氏公益財団法人さわやか福祉財団理事長。弁護士。高齢社会NGO連携協議会代表、民間法制・税制調査会座長、社会保障審議会委員、中央教育審議会委員ほか。 平成20年4月から平成23年3月まで、東京の地域ケアを推進する会議委員長を務める。 著書に「挑戦!」(東京新聞出版)、『「人間力」の育て方』(集英社新書)など。
公益財団法人さわやか福祉財団HP: http://www.sawayakazaidan.or.jp/

インタビュアー

長谷憲明(ながたによしはる)氏
財団法人東京都福祉保健財団事業者支援部参与。

 

1.サブタイトル「みんなでつくり出す365日24時間の安心」に込めた意味とは

長谷
本日はどうぞよろしくお願いします。 堀田先生は「東京の地域ケアを推進する会議」の委員長として、今年3月に東京都が出しました「東京の地域包括ケア〜みんなでつくり出す365日24時間の安心〜」をおまとめになられました。
最初に、「東京の地域包括ケア」のサブタイトルに「みんなでつくり出す365日24時間の安心」とありますが、このサブタイトルとした意味、この辺を教えていただきたいと思います。
堀田
「みんなでつくり出す」の「みんな」ですが、これは、ケアが必要になった方だけではなくて、全ての人のことです。ケアは一人の人が生きるということではなくて、社会全体に関わることである、そういう認識を持って欲しい。

働いている人も含めて、みんなで365日24時間の安心をつくり出さないといけない。
今までの考え方では、ケアする人がしっかりやれば良い、施設の経営者とか在宅の事業者とか、そのような人たちの問題だというふうに認識されておりました。もちろんそういう方々の役割は大きいけれども、それだけでは決して足りず、全員でつくり出さなければいけないということを言っております。

では、みんなでどうつくり出すのだろうか。全員でつくり出す際の一番重要な人物は、実は利用者本人です。
ケアする人がケアをすれば良いだけではなくて、ケアされる人が、まず頑張って少しでもケアが無い状態で暮らせるように努力する必要がある。この「自助努力」が全ての基本ですので、「みんな」の中に含まれる一番大事な人は「ケアされる人」であるということです。

介護保険制度は、最高の理念に「尊厳」を掲げ、そのため、最高の理念を実現させるための一つの目標に自立支援ということを挙げております。ここでの自立というのは身体的な自立です。まず本人が自立するように頑張ってください、あなたが頑張るからみんなも支援するのですよということです。では、その支援する人はケアをする専門家なのか。もちろんそれも大事かもしれませんが、家族、近所の方々、特にボランティアたち、全ての人がお互い様の精神で支援する、そういうふうにしてみんなでつくり出さないと、尊厳を重んじるケアは実現出来ません。

ですから、この「みんなでつくり出す」なかには、まず本人の「自助」、社会全体で助け合う「共助」、そして「自助」と「共助」がミックスされた公的な制度である介護保険等々の仕組みでケアサービスを提供する専門家、この三者「自助」「共助」「公助」がそれぞれ生かされ、そして本当のケアが実現するのです。「みんなでつくり出す」というのは、そういう意味ですね。

堀田力氏 「365日24時間の安心」ということの一つには、その人がその人らしい生活を安んじてやっていただきますということが大事なのです。 ケアする人がケアしている時だけということではなく、ケアをしている時もしていない時も、常に安心し尊厳あるその人らしい暮らしをしていただくことが必要なのです。 しかし、いつ転倒するか、いつ状態が変わるかも分からない。その時にはしっかり必要なケアは提供しますからその点は安心してください。施設におられる方はもちろんのこと、在宅におられる方にも、みんなにそういう安心を提供しますと。
「全体でケアをする」、そういうことをここでは謳っているわけですね。非常に欲張りなサブタイトルです。

長谷
今の実際のケアとしては、何かやってあげるという雰囲気が強いかと思うのですが、ある意味「考え方の転換」ですね。そこがうまく転換できるかどうかが一つの勝負になるのでしょうか。
堀田

おっしゃるとおりですね。
それは福祉の大きな進歩です。介護の分野で言えば2000年より前までは措置制度の福祉でした。その対象者はやってもらわなければいけない弱者であるということで、憲法25条「生存権の保障」が、その根拠として言われておりました。
2000年に介護保険が導入されることによって、憲法25条を内包しつつ、憲法13条の「個人の尊重」、全ての人の権利・尊厳を守るというふうに変わりました。