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第5回 「介護者へのケアやサポートのしくみづくり」
NPO法人 介護者サポートネットワークセンター アラジン 理事長 牧野 史子

筆者紹介

牧野 史子(まきのふみこ)氏
牧野 史子
特定非営利活動法人 介護者サポートネットワークセンター アラジン 理事長。1995年に兵庫県西宮市にて「西宮地域たすけあいネットワーク」設立。仮設高齢者の支援を6年半展開する。2001年に「アラジン」を東京にて設立。“介護者の権利擁護”のための支援活動に取り組む。

特定非営利活動法人 若年認知症サポートセンター理事、ケアラー連盟共同代表。
特定非営利活動法人 市民福祉団体全国協議会常務理事。

法人紹介

NPO法人 介護者サポートネットワークセンター アラジン

 平成13年10月、朝日新聞に「ケアする人のケア」というタイトルの活動紹介記事がきっかけになり、東京での活動を志願する仲間を募り、同年11月末、正式に組織として立ち上げた。
 介護をする人への直接的なケアやサポートをする仕組みづくり、孤立しがちな介護者を社会へつなぐ仕組みづくりをミッションとして活動をしている。
法人HP:http://arajin-care.net/

はじめに

アラジンの立ちあげのきっかけ

 アラジンのルーツは、1995年の阪神淡路大震災にあります。当時西宮市内に住んでいたのですが、被災後半年の夏に、仮設住宅での孤独死の問題が起ったことから、「心のケア」としての活動を立ち上げ、いかに高齢者が孤立せずに社会参加ができるかのさまざまな取り組みをしました。1999年ごろに「介護する家族」の孤立状況と向き合うようになり、2001年東京に戻り、「介護者の孤立」の問題に焦点をあて、介護者支援の市民団体「アラジン」を立ち上げました。

介護者が孤立する社会背景

 介護保険制度は、介護する家族が倒れてしまわないように、サービスを導入し家族への休息の機会を提供することが、ひとつの創設の目的になっています。
 しかし、なぜそれでも近年介護にまつわる事件などが頻発しているのでしょうか。ひとつには家族や世帯の様相が変わっていること(家族数も減り多様な家族も増えつつある)、二つ目には地域や社会が変わっていること(地域のつながりが減っている・雇用も不安定)、三つ目には高齢者の寿命が延び、当然介護期間も長くなっていること、などが考えられます。
 すなわち昔のように妻や嫁が大家族で介護をした時代から、現在は高齢者が高齢者を介護する老老介護をはじめ、夫が妻を介護する、シングルの娘や息子が親を介護する、あるいは兄弟・姉妹同士の介護、従兄が伯父・叔母を介護するなど多様な介護者と要介護者の組み合わせが出現しています。
 また、介護を引き受け、離職せざるを得なかった人も増え続けています。そうした状況下で介護者が社会参加の機会を喪失し、経済的にも余裕がなくなり、不安と孤独の中で苦悩しながら長期間の介護をするケースが増えています。介護による「うつ」など、心身に影響をきたしている人も少なくありません。特に働いてきた人にとっては地域情報も少なく、地域の中で引きこもらざるを得ない状況になる傾向にあります。
 介護保険制度の枠組みだけでは、在宅介護や介護者の精神面や生活面の支援はカバーしきれない問題があります。

*都内のA区の調査を下に示します。
H22 居宅サービス利用者調査(N=496)
  • 【性別】男性31.9% 女性68.1%
  • 【属性】配偶者31.9% 娘31.7% 息子19.6% 嫁・婿9.5% 兄弟姉妹2.2%
  • 【年齢】40〜64歳 54.9% 65〜74歳 18.8% 75〜84歳 19.2%
  • 【介護期間】5年〜10年23.2% 3年〜5年20.2% 10年以上 17.2%
介護をしていて感じること
  1. 精神的なストレスがたまり、悲観的な気持ちになる(46.2%)
  2. 日中家を空けるのに不安を感じる(45.3%)
  3. 身体的につらい(腰痛や肩こりなど) (39.8%)
  4. 自分の自由になる時間が持てない (37.9%)
  5. 先の見通し、予定が立てられない(36.1%)
  6. イライラして高齢者についあたってしまう(30.0%)
  7. 経済的に負担を感じる(26.3%)
  8. 睡眠時間は不規則になり、健康状態がおもわしくない(24.3%)
  9. 介護を放棄したくなることがある(18.4%)

このような結果からも
【介護者は、精神的なストレスを抱え、心身ともに疲弊しながら否定的な感情を抱きやすい】傾向が明らかになっています。