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「とうきょうの地域包括ケアを考える」第2回:おおた高齢者見守りネットワーク「みまーも」

3 高齢者が安心して暮らせる地域とは?高齢者にとっての本当の安心とは?

私たちは、高齢者が安心して暮らせる地域をこう考えています。

  • 健康維持・医療の安心 
  • 福祉の安心
  • 地域とのつながり
  • 自分なりの生きがい

 この4つのどれが欠けても本当の意味での安心を得ることはできません。

 「住み慣れた地域で暮らし続けたい」という気持ちは、皆が感じている共通の想いでしょう。

 今、私たちが働いている大都市東京は、地域の特性や特色がどんどん薄らぎ、どの街も、どの地域も高齢者が、安心して暮らすことができる街にはなっていません。

 ある年齢までは、個人主義で隣近所との関わりもなく暮らすことは可能です。それは、会社や学校、子ども等を通じて、どこかで誰かとつながっていて、かつ、自分自身の都合に合わせて必要な人間関係を選び構築しているからです。マンションはオートロックでカメラ付きインターフォンが当たり前。個人のプライバシーを尊重し、煩わしい付き合いをしなくても、快適に過ごすことができます。

 しかし、これから高齢者となる世代、中でも男性は、仕事中心の生活で地域との関係づくりに不慣れです。その人たちがいざ退職し、子どもたちも独立していく。年を重ねるにつれ、身体的に衰え思うように動けなくなり、近くに友人もおらず外に出る機会がどんどん減っていく。今まで仕事での役割を生き甲斐にしてきた人が、人との関わりがなくなるという疎外感は、孤立していく要素として十分です。

 高齢化が進み、高齢者のひとり暮らし、夫婦のみ世帯が増加する中、「暮らしやすさとは何か」を考えることが重要です。人間は一人では生きていけません。孤立していくことほど辛いことはありません。自分に役割がある、必要としてくれる人がいる、気にかけてくれる人がそばにいる。それは家族とは限らない。友人であり、隣人であり、専門職であり、この地域にいる人、そばにいる人でいいのです。暮らしやすさとは、住んでよかったと思える地域とは、自分を知っている人たち、気にかけてくれる人たちがいる場なのでしょう。

4 手をさしのべるのは、手をさしのべることのできるのは誰なのか

 東京都の高齢者人口は10年後、330万人を超え全国でも群を抜いています。平成19年12月、東京都は「東京都地域ケア体制整備構想」を発表し、10年後の東京の目指すべき姿と、それに向けた政策展開の方向性を示しました。

 これをもとに、各地で「高齢者見守り・支え合い」に対する取り組みが、行政を主体として始まっています。この間、東京都内および周辺の自治体の取り組みの状況について伺う中で、大きく2つの形があり、どちらもそれぞれ問題を抱え難航している現状が見えてきました。

 まず一つ目は、行政主体によるトップダウン方式で地域包括支援センターの周知を図り、地域からの通報を呼びかけている自治体です。しかしこの方法では、地域包括支援センターと地域住民、そして専門職のネットワークがないため、地域包括支援センターの負担が増大するのみで、その結果、十分なフォローができない。また、地域包括支援センターが連携やネットワークの構築までは手が回らない、という問題が発生しています。

 そしてもう一つは、「見守る人」を地域で募り、「見守られたい人」への定期訪問を行っている自治体です。こちらの方法では、「見守る人」であるボランティアは集まっても、「見守られたい人」がいない。自分が見守られたいと手を挙げる人は、すでに自分でサービスを探し、利用しています。見守りが本当に必要な人は、自分では手が挙げられずにいる人なのです。

 この人たちに早期に気づいて、専門職につなげていくネットワークこそ、今求められているのです。それを可能にするのは、一人でも多くの地域の人たち(高齢者自身を含め)が地域全体で高齢者を見守ることの重要性を、理解してくれることではないでしょうか。

 

5 手をさしのべることができるのは、「地域」でしかできない。

 コミュニティづくりは、個々の生活に犠牲を強いる取り組みでは、継続ができず、定着もしません。

 地域社会から孤立し、孤独になりがちな人が気を許すつながりには、お仕着せでない、さりげなさが重要です。安否確認を「業」として行うことを否定はしませんが、何かの「ついで」に変わりはないか確認するといったさりげない、日常性を活かした人との関わりが、気楽にできる関係づくりも必要ではないかと感じています。

 地域のネットワークづくりは、高齢者を見守るためという狭義にとらわれない知恵と工夫があっていいのです。ただし、伝え合う、手をさしのべるためには、相手に手が届く距離にいなければなりません。手が届く距離にいる人しか、手をさしのべることはできません。そして、手をさしのべることは 「地域」 でしかできないのです。