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ベッドの選び方・使い方

3.ベッドの選び方と設置の際のポイント

ベッドの導入時期

ベッドの導入時期については、例えば家具・椅子・テーブルなどを使ってつかまり立ちや、つたい歩きができなくなった頃に導入することが考えられます。
ただ、高齢の方にはベッドは馴染みが薄いため、どうしてもベッド=(イコール)病人という感覚をもってしまうことが多いようです。そのため、例えば、電動昇降式の座椅子を布団の脇において立ち上がりの補助に使用するなど、できるだけベッドの導入を先に延ばすことも考えられます。

 

ベッドの長さと幅

ベッドの長さは、身長に応じて選ぶようにします。小柄な人は小さなベッドを使うようにしましょう。ベッドについては、大は小を兼ねるということはありません。身体に合わないベッドだと、背上げ機能などを使ったときに、身体を曲げるポイントがずれてしまうため、正しいかたちで起こすことができずに身体に負担がかかってしまいます。
べッドの幅は、自分で寝返りができる場合には広い方がいいでしょう。また、全介助の場合には、狭い方が介護者の手が届きやすく、介護がしやすくなります。

 

ベッドの配置

部屋の中でのベッドの配置については、ベッドの片側を壁につけていることが多いと思われますが、そうすると介護者の手が届きにくい場合もあり、特にベッドの幅が広い場合には介護がしにくい状況になります。介護のしやすさという点では、理想は部屋の中心にベッドがあることですが、日本の住宅事情からすると困難と思われます。可能であればベッドの周囲に介護者が入れるくらいのスペースを設けられるとよいでしょう。

 

ベッドの周辺機器

ベッドには、様々な周辺機器を取り付けて使用します。

1.標準ベッド棚

人や布団の落下防止用のものです。ベッド本体にしっかりと固定されていないため、つかまって起きあがったりするものではありません。

 

2.移動用バー

起きあがったり、車いすなどに移乗する際に使います。状況に応じて、掴まる部分を回転させて使うこともできます。

 

3.マットレス

身体にかかる圧力の軽減の能力や通気性とともに、寝返りや起きあがりなどの動作のしやすさを考慮します。マットレスの硬さは、柔らかいものより、やや硬めの方が動作がしやすいと言われますが、重要なのは本人が現在使用している布団などの硬さを考慮することです。現状からあまり硬くしすぎると、身体が順応できずに寝ていられないほどの負担がかかってしまうことがあります。

 

4.手元スイッチ

ベッドの上下動や背上げなどの操作をおこないます。表示のわかりやすさや操作のしやすさが重要です。誤操作によってテーブルなどに身体を挟んだり、無理な体勢になってしまうこともありますので、操作の際には注意が必要です。

 

5.テーブル

大きく分けて板型、門(アーチ)型、コの字型、端座位型の4種になります。
ベッド用テーブル各種
*板型
ベッド柵の上に乗せて使いますが、高さ調節もできず、使用後には取り外す必要があります。テーブル面が少し高めになりがちです。

*門(アーチ)型
ベッドをまたぐようにして使います。大きいためかさばるとともに、高さ調整も容易ではありません。また、脚側の方からしか移動できません。

*コの字型
ベッドの背もたれを起こして座るギャッチアップ座位でも、端座位でも使えます。ギャッチアップ座位の時には天板の長さが短く、端座位のときにはその形状から肘の置き場所がないため、身体の安定性が十分ではありません。

*端座位型
天板の形状が肘を置けるようにカットしてあるため、食事の際など座位保持がしやすくなります。ただし、ギャッチアップ座位ではつかえません。
ベッド用テーブル各種
天板と脚部の形状によって、使用できる姿勢が異なる。
 
絵:『高齢者・障害者の生活をささえる福祉機器Ⅰ 起居・移乗・技術支援』 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団発行 より