
2.認知症デイサービスセンター活用事業がなぜ試行されたのか?
東京都は認知症高齢者を対象にしたグループホームや小規模多機能居宅介護などのサービスの整備が他の道府県に比べて低いのが現状です。
これに対応するために「東京の地域ケアを推進する会議」(平成20年度~平成22年度)の中で論議されたのが、新規の施設整備が難しい東京都ならではのモデル事業でした。
比較的設置数の多い認知症デイサービスの利用されていない時間帯を利用して、通いなれたデイサービスでの宿泊を可能にすることにより在宅生活の継続の一助になるのではないかと効果を期待したものでした。
その背景には認知症状のある人は、環境の変化に著しく弱く、ショートステイ利用中に混乱されたりするため、ショートステイの利用を断られたりする例もあります。
またショートステイ利用後に認知機能や体力の低下がみられ、在宅介護がショート利用前より負担に感じる家族の声も聞かれます。
こういった現状は、年輪デイホームの家族会でも多く聞かれる声でした。
このモデル事業の目的は次のとおりです。
- 認知症高齢者と家族の在宅生活の継続にどの程度効果があるのか
- サービス提供にあたる職員の変化はどうか
- 介護支援専門員の評価はどうか
このような目標を検証するために、それぞれにアンケート調査を実施し、中間検証、最終検証を行っています。この結果の詳細は報告書「東京の地域包括ケア~みんなでつくり出す365日24時間の安心~」をご参照下さい。
東京都内で2か所の事業所がこのモデル事業に参加しました。1か所は北区の「あかり家」で、もう1か所は当法人が運営する「年輪デイホーム」です。
モデル事業の実施主体は、認知症介護指導者研修修了者がいて、24時間サービスを提供する事業(グループホーム、介護保険施設など)を運営している法人という条件でした。
こうして平成21年10月より認知症デイサービス活用事業が始まりました。