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第4回 「認知症デイサービスセンター活用モデル事業(認知症デイサービス施設を利用した短期宿泊)」

4.モデル事業実施の結果は?

モデル:夜間 平成21年10月よりスタートしたモデル事業は、待っていましたとばかりに夜間延長、宿泊、休日サービスの利用希望がきました。
 

延長サービスの利用の場合

 娘家族と同居の80歳の女性は、家族の用事や仕事の関係で夜間延長サービスを定期的に利用されながら、在宅生活を継続されグループホームの入居も視野に入っていたようですが、モデル事業のサービスを上手に利用し入居は延期となりました。

宿泊、延長、休日サービスの利用の場合

 若年性アルツハイマーの女性の介護者(夫)は就労されていて、早朝と夜間延長、休日サービスを組み合わせて仕事と介護を両立されました。

連泊サービス利用の場合

 馴染みの年輪デイホームに泊まることを前々から希望されていた方です。介護者である息子の妻は実家に行くことができませんでしたが、月1回の宿泊を経験することにより、5ヶ月目に連泊サービスを利用して実家に行くことができるようになりました。

他のサービスを断られた方の場合

 ショートステイ利用中に杖を振り回したということで、施設側から利用を断られていた方です。老老介護の妻はお風呂に一日でもゆっくり入りぐっすり寝たいと月1回の宿泊サービスを利用されました。本人の混乱もなく定期的に利用できるようになりました。

緊急時の利用

 地方の親戚に不幸があり、家族全員で出かけるために緊急で2泊されました。


 以上の事例に共通しているのは、見慣れた環境で馴染みの職員による対応のため、特に混乱されることもなく過ごされていたということです。
 モデル事業を実施した結果、認知症状のある人と家族の在宅生活の継続を支援する一助になることがわかりました。
 また介護支援専門員の評価も同様で、在宅生活の継続に役立つとしています。モデル事業を担当した職員については、認知症の理解や利用者、家族との信頼関係が深まったという結果になりました。

 既存の介護保険サービスの中には、在宅生活の継続の鍵を握る介護者の介護負担の軽減を図るサービスとしてショートステイがあります。そして在宅生活の継続を一体的に支援する小規模多機能居宅介護があります。ですが、認知症状のある方の中にはこれらのサービスが合わない方も多いのです。そして何より施設の数が足りません。

 認知症状のある人や家族は、待ったなしです。既存のデイサービスの拠点(ハード)と、認知症の人へのサポート技術(ソフト)を活用したモデル事業の仕組みを実践し、広げていくことが求められていることを実感しました。