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第5回 「介護者へのケアやサポートのしくみづくり」
NPO法人 介護者サポートネットワークセンター アラジン 理事長 牧野 史子

2.アラジンでの取り組み内容のポイント

 アラジンでは、「介護者の会」の立ち上げ及び活動の支援をし、要介護者本人と家族同士の地域でのネットワークの形成と社会参加を推進することにより、家族が地域で孤立しないよう支援する地域体制をつくることに力点を置いています。

そのポイントとしては

孤立しがちな介護者のために、
  1. 介護者のコミュニティ=「介護者の会」を地域でたくさん作るということ
  2. 行政と協働するということ
  3. 「介護者の会」を支援する市民サポーターを育てること

おもにこの3点を重視し、取り組みをすすめてきました。

介護者を支援する「介護者の会」のシステムづくり

 2005年度から杉並区や港区などで、地域包括支援センター等と協働して「介護者の会」を立ち上げるのと並行し、その場の運営サポートをする「介護者サポーター」の養成講座を実施しています。この養成講座の修了者には、「介護者の会」の立ち上げに加わってもらいます。
杉並区では、この4年間で既存の会を含め15の会が誕生しました。区民全体にむけた広報のために「杉並介護者の会お助けマップ」(図1)が区の機関紙や関係機関で紹介・配布されました。
 また、同時に研修を受けた介護者サポーターが、会の運営を全面的に支援し、「介護者応援団」という市民団体を結成しました。この市民団体は2009年にはNPO法人となって、杉並区地域大学の中のコミュニティ講座として「介護家族を応援するボランティア養成講座」を受託し、以後、毎年区民によるサポーターを養成しています。
 他の区でも同様の取り組みが始まっています。2008年には港区でも市民グループ「支會(ささえのかい)」が誕生し、2009年には、練馬区で、2010年からは目黒区でも地域包括支援センター5か所すべてに介護者の会を立ち上げる計画を実行しています。
さらに練馬区では既存の会も含め15団体のネットワークづくりも進められ、平成23年には、ネットワーク組織による「介護者のための電話相談」も開設されました。この取り組みも行政の協働による後押しによって始まりました。
図1 杉並介護者の会お助けマップ(クリックすると拡大します)
すぎなみ介護者の会おたすけマップ

さらなるネットワーク:「介護者の会」や「家族会」のネットワークを拡げる

 首都圏を中心に、小さな「介護者の会」や「家族会」が口コミで徐々に集まりはじめ、ゆるやかなつながり方で情報交換を続けています。どの会もリーダーの熱い想いとボランタリーな活動に支えられています。介護者にとっては「駆け込み寺」であるにもかかわらず、自助グループという理由で安定した資金援助をどこからも受けていないところが多いのが現状です。
 そうしたグループを支援するため、2003年から「介護者の会ネットワーク会議」を開催しています。ここで知り合ったことがきっかけとなり、介護者の会のリーダー達の日常的な行き来といった助けあいの動きや他の自治体の取り組みに刺激を受けて自分の地域に働きかけるなどの運動が少しずつ芽生えてきています。
文化祭の様子 2004年からは、「介護者の会の存在をもっと社会にアピールしたい」という想いから「介護なんでも文化祭」を毎年開催しています(平成23年度は第7回)。これは、市民や介護当事者の目線で必要とされる情報を満載した手作りイベントで、介護者の会、福祉NPO、行政関係者、企業などが出展し、セミナーなども実施しています。コンセプトは「今介護で悩んでいる人だけでなく、これから介護に向かう若い世代にも有益な情報を発信し、羅針盤となる」で、立場を超えた交流ができるプラットホームの役割を担っています。特に「認知症のひろば」では、家族会などを中心に「セミナー」や「劇」などにより、認知症の知識や啓発が勧められるなど、情報提供やネットワークづくりの場にもなっています。
 近年は「介護の日」(11月11日)が制定されたことを受け、自治体主催の介護イベントも増えましたが、そのようなイベントにも「介護なんでも文化祭」を手本とした、「介護者の会の情報提供コーナー」や介護者OB達など(会のメンバーによる)介護相談コーナーなどを設置するところも出てきました。自治体によっては「介護者支援」政策を模索するところも出始め、そうした流れの中で少しずつ「介護者の会」の意義や有効性は、やっと注目され始めるようになりました。
図2 首都圏の介護者の会マップ(クリックするとPDFファイルが開きます)
すぎなみ介護者の会おたすけマップ

あらたな取り組みとしての「コミュニティカフェ」

 介護者にとって、地域で介護者同士が集まる「介護者の会」がたくさんあることが大事ですが、なかなかそうした介護者の会に行けない方々もたくさんいます。そこで介護をしていても地域で気軽に要介護者とともに出かけられる、いわば「地域のちょこっと立ち寄れる場所」が、これからは求められています。平成23年度からは阿佐ヶ谷にて、介護家族にやさしい「コミュニティカフェ」を月2回オープンしています。
そこは、普通の喫茶店の場であり、デイサービスに行きたがらない親や配偶者とともに「お茶を飲みに出かけようよ。」と、ほっと一息つける場所です。部屋の中には事情をよくわかっている地域のボランティアさんがいて、お茶出しなどのサービスをしながら、さりげなく声をかけたりと、気づかってくれます。地域の方々とそこで知り合うチャンスもあり、開かれた場です。地域によっては、民生委員さんなどがこうしたサロンを開いているところもあります。
 これからは、ますます地域で孤立していく若いシングル介護者(30代〜40代)が増えていくことでしょう。 これまでの公の機関で開催されている研修や家族会などの場にはなかなか参加しづらい、こうした層にむけても地域でさまざまな創意工夫をこらした介護者を対象とした事業やサービスが生みだされていくことを望んでいます。   

その他の活動
 〜なかなか外出できない介護者のために〜

  1. 介護者のための「心のオアシス」(相談電話) 毎週木曜:10:30〜15:00
  2. 介護者のための「ケアフレンド」派遣(訪問相談) 随時
他にもこんな事業をやっています!
  • 「介護者の会」リーダーのための研修会&情報交換会 (毎月第3木曜)
  • 「介護者の会」立ち上げ及び「介護者サポーター養成」 練馬・目黒区
  • 地域ほっと安心カフェ事業(新宿区都営団地)
  • ゆうゆう館運営事業(杉並区委託2館)
※23年度現在の情報です