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第5回 「介護者へのケアやサポートのしくみづくり」

1.地域での介護者の孤立を防ぐ取り組み

 こうした介護者にとって、安心して話しができ、孤立感を解消しながら、介護負担を軽減できるのが、同じ介護仲間が集う「家族会」や「介護者の会」といえます。
家族会(または「介護者の会」)では、介護を担う家族が、おおよそ月に1回程のペースで集合し、日頃の在宅介護の状況を話したり、家族としての思いや悩みを共有したり、病気などの知識や介護の知恵、あるいは地域の様々な情報を交換しあいます。介護者にとっての精神的な安定や学びの場であり、介護に向かうエネルギーを得ることができる支えあいの場となります。介護者は、さまざまな参加者の介護のあり様を聞くうちに、自分の思いこみや介護の仕方に執着せず、物事を客観的にみられるようになり、心に落ち着きと余裕ができます。
あるいは仲間との時間ができ、安心感と同時に介護者自身の社会的な居場所を見出すようになります。
 これまでの既存の「家族会」の存在は、自助グループとして保健所内での「家族介護者のつどい」の延長で、保健師さんの主導で行われている集まりか、あるいは自主グループとして開催されているものでした。地域によっては社会福祉協議会などが、会の立ち上げや運営をバックアップしているところなどもあります。
 しかし、こうした「家族会」や「介護者の会」はどの地域でもあるわけではなく、また存在していたとしても「どこに存在しているのか?」という情報が、必要な介護者に届きにくい、といった現状がありました。
 特に家族の介護ストレスが高い認知症高齢者がますます地域で増えることが予想されている今、家族介護者が気持ちを吐露したり、相談できたりするこうした地域の場をつくることはとても重要です。
 こうした場は、単に自助グループとしての機能のみならず、地域に発信し、重要な「市民の互助教育の場としての地域資源」になっていく可能性を持っています。また、行政が地域で介護者を支援する体制を推進する上でも欠かせない取り組みといえるでしょう。特に市民にとっての信頼性・公共性を担保するという意味でも行政が初動に取り組むことは望ましく、さらに行政が主導することで、公的な情報網を活用でき、介護者が安心して参加できるという点でも、参加効果も高くなり、より充実した取り組みになります。