現在位置 : 福ナビホーム > 特集記事 > 成年後見制度の活用にむけて

● 目次 ●

  • 第2回
    成年後見制度の活用に向けた東京都の取組について(東京都福祉保健局)

※この特集記事は平成18年に掲載されたものです。


2-1.東京都が実施する環境整備

あんしん創造事業においては、都も区市町村における取組をバックアップするための環境整備を行うこととしています。
第一は、制度の普及、PRです。成年後見制度については、多くの方が、「成年後見って何?」と思われるように、あまり知られていないのが現実です。一人でも多くの方に成年後見制度を理解していただくため、17年10月には、都民向け公開講座として「成年後見を考える」を社団法人成年後見センター・リーガルサポート東京支部と共催で実施しました。
また、後見制度の活用促進のためには、後見制度を必要とする人の身近にいて日々の生活を支える福祉関係者が果たす役割は大きいと考えています。こうした観点から、平成18年2月には「福祉事業所における成年後見制度の普及、活用を考えるシンポジウム」を開催しました。
第二は、区市町村や成年後見制度推進機関の担当職員等を対象とした研修の実施と日常的な相談体制の整備です。この取り組みについては、地域福祉権利擁護事業等を通じて成年後見制度の推進にも実績のある東京都社会福祉協議会に委託し、各分野の専門家をアドバイザーとして確保することによって実施しています。 
第三は、関係機関連絡会議と推進機関連絡会の開催です。後見制度の活用促進は、都や区市町村の取り組みだけで進むものではなく、家庭裁判所、弁護士会、司法書士会、社会福祉士会等の関係機関の強固な協力・連携体制が欠かせません。東京都では、そうした観点から、成年後見制度の関係機関が一堂に会し、本事業や成年後見制度の運用等に関する課題を協議する「成年後見制度関係機関連絡会議」や、推進機関相互の情報交換や課題についての協議を行うため「成年後見制度推進機関連絡会」を開催しています。
第四は、新たに後見人等になる人材の養成です。安定した生活の維持や権利擁護のために、後見人による支援が必要であるにもかかわらず、負担能力がない、信頼できる親族がいないなどの理由により、適切な後見人を得ることができない人は少なくありません。最高裁判所の統計(図1参照)を見ると、後見人の担い手として、親族が80%、弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門家が18%を占め、それ以外の選択肢がほとんど見当たらないという現状がわかります。この状況を打開するためには、親族や専門家以外に後見人等の担い手の裾野を拡げることが必要です。そのため、都では、後見業務に意欲をもつ都民等を対象に新たな後見人等(社会貢献型後見人)を養成し、区市町村や成年後見制度推進機関等における後見人等の紹介や支援の取り組みにつなげることとしました。(事業の仕組みについては、図2参照)

図1(グラフ)成年後見実績一覧図
【図1(グラフ):成年後見実績一覧図】
図2、社会貢献型後見人養成フローチャート
【図2:社会貢献型後見人養成フローチャート】
前のページへ
次のページへ