
※この特集記事は平成18年に掲載されたものです。
なお、記事の内容は掲載当時の情報に基づいているため、成年後見制度に関する最新情報は「東京家庭裁判所」のホームページなどによりご確認ください。
東京都における認知症高齢者、知的障害者および精神障害者の総計は、20万人以上とされていますが、成年後見制度の都内の申立件数は、年間約2,000件(この5年間では、約8,700件)にとどまっています。身よりのない方等が制度を利用するための区市町村長による申立件数についても、着実に伸びてはいますが、平成16年の申立は119件という状況であり、さらに積極的な取り組みが望まれます。 また、成年後見制度の認知状況については、平成16年4月東京都老人総合研究所アンケート調査によると、「聞いたことがない」が72.4%にのぼり、「内容まで知っていた」の10.5%を大幅に上回っています。
制度の活用状況からもわかるように、成年後見制度はまだ十分に浸透していない状況であると言えます。成年後見制度の課題としては、以下のものがあげられます。
- 成年後見制度自体がまだ十分に知られていない。また、知っていても本人や家族がその必要性について認識していない。
- 家族でやらなければならないという意識があり、制度を利用することの後ろめたさを感じている。
- 身近な相談場所がわからない。
- 後見人になってくれる人がみつからない。
- 申立に関する手続きが煩雑で期間も長かったりすることや、申立の費用、後見人への報酬等経済的な負担も大きい。
また、後見人の側の視点からは、地域における福祉サービスの利用援助や財産管理などについて、実際にどのようにしたらよいのか分からないなど、後見人に対する支援体制の充実も不可欠です。また、社会福祉関係者や弁護士、司法書士をはじめとした地域における様々な機関・関係者が、今後さらに連携を深めていくことが必要でしょう。 東京都では、こうした課題の改善に向けて、平成17年度から「成年後見活用あんしん生活創造事業」を実施し、制度の利用促進を図っていくための取り組みを強化しています。(「成年後見活用あんしん生活創造事業」については、次回の特集で紹介いたします。)
- お住まいの地域での相談は、区市町村の担当部署や権利擁護センターなどで対応しています。

- 東京では現在、成年後見制度の利用に関する相談等により具体的な対応を行う機関として、成年後見制度推進機関を原則として区市町村単位に整備をすすめています。成年後見制度推進機関では、親族等の後見人に対する相談や実務研修、地域関係者のネットワークづくり、法人後見の受任などを実施します。
- 民間の専門相談機関においても、成年後見制度に関する相談や後見人等の候補者の紹介、受任などを行っています。

- 東京では、下記において、後見関係事件の手続きに関する相談や事件受付をおこなっています。