特集:福祉における「経営」を考える


地域ぐるみの子育て支援を見据えて

保育所に今後求められる経営課題の1つとして、高橋園長はマーケティングを挙げています。
「わかりやすく言えば、地域に存在価値を認められる保育所になるということです。保育所には近所の方々が通っているにもかかわらず、近所への配慮が後回しにされがちです。例えば子どもの送り迎えで、朝は道路がラッシュアワー状態になることがあります。これに対策を講じたり、ご近所の方々に理解を求めるといったことも1つではないでしょうか」
至誠第二保育園には遊戯室がありますが、これを地域の自治会の総会に提供し、関心を寄せてくれる人には保育所行事に参加を呼びかけるなど、地域との繋がりを重視しています。高橋園長は「お母さん方に選ばれる保育所になるのはもちろんですが、地域の人々からも、この保育所があって良かったと思ってもらえる存在にしていきたい」と抱負を語ります。
また、お母さんだけでなく、お父さんも子育てに参加できる仕組みづくりとして、保護者が主体となって運営するサッカーチームも発足させました。子どもと一緒にグラウンドで走り回ることで、お父さんも子どもに積極的に関わることができているといいます。
子育てをお母さんや保育所内だけで完結させず、お父さんや地域の人々も巻き込んでいく……そこには、子育てをみんなで支援していきたいという高橋園長の願いが込められています。 全国保育協議会の実践集にも紹介された地元日野市内の民間保育所が協力しあって開催する「日野市保育まつり」の実施など、広く一般市民に民間保育所の役割を知ってもらい、地域ぐるみで子育て支援ができる環境整備にも余念がありません。