特集:福祉における「経営」を考える


知的障害者の一般就労の場づくりも

知的障害者が地域で暮らしていくには、経済的な自立も必要になります。授産施設で障害者に支払われる工賃は月にせいぜい1万円程度ですが、なかには障害が軽く、一般就労が可能な人も少なくありません。
民間企業による雇用が進まないなか、けやきの杜では平成14年、一般就労の場として大手クリーニングチェーンのフランチャイズ店を開きました。カウンターでの受け渡し作業の工程を分析し、これなら知的障害者でも必要十分な対応が提供できると判断して始めました。
以前からクリーニング取次店の出店を模索し、周辺地域のマーケティング調査を地道に行っていたことが、フランチャイズ本部の目に留まりました。今では同チェーンの立川エリア内で取次高ランキングの上位に顔を出しています。クリーニングのほか、宅配便やDPE、ペット用品販売などの取次も行っています。
同じ建物内では、豆腐販売の店も始めました。これも大手チェーンのフランチャイズ店として開店したもので、けやきの杜の職員が常勤するほか、障害者が陳列や接客、レジ打ちなど一連の業務を行います。
「授産施設は本来、一般就労への足がかりの役割を担うものですが、これまで“出口づくり”を真剣に考えてきませんでした。知的障害があると何もできないように思われますが、そうじゃない。できるための土壌をつくり、情報提供をしてあげれば、彼らはどんどんできるようになるのです」と大竹施設長。働く場をつくる以外に、障害の重い人も含め、職業安定所への登録も薦めています。