特集:福祉における「経営」を考える


「オアシス」が軌道に乗った後、平成13(2001)年にはグループホーム「むさし」を開設しました。ここでは、重度の知的障害者を中心に受け入れることにしました。重度の障害があっても地域で暮らせることを証明するために、あえて重度の受け入れから始めました。

「むさし」の開設には、もう1つ狙いがありました。それは、職員を育成するためです。通常、グループホームの世話人は第三者に委託することもありますが、「むさし」では通所施設で働く職員を世話人にあてました。大竹施設長はその意図を次のように説明します。

「通所施設には、心身の状態が安定した障害者だけが送り出されてきますから、てんかんなどの発作への対応方法を職員が習得できる機会は少ない。地域での暮らしを支えていくには、状態のいいときも悪いときも支えていける力をつけなければなりません。そこで、生活全般の介護が必要な世話人の仕事を、職員に順々に経験させたのです」