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「介護保険法の改正」について 第5回 介護保険制度改正と利用者及び事業者への影響について

段落サービス量について

サービス量について、介護保険創設当時には、これからは社会保険制度になることでもあり、必要なサービスが段々と整備されるようになるといわれていました。事実、金額で見ると介護保険給付費は増加しています。

単純にどのくらい増加したか比較すると、下表のとおり、金額ベースでは平成12年と比べて21年は2.19倍に伸びています。この伸びを踏まえて、「保険料が高くなるので大変だ」、「給付が行きすぎているのでは」、ゆえに「抑制すべきだ」等が一部でいわれています。しかし、認定者数の伸びと比較すると、実はこちらも2.15倍に伸びています。

伸び率を比較すると、給付費の伸びが認定者数の伸びを上回ったのは、13年から21年の9年間で、3年間しかありません。5年間は認定者数の伸び率を下回っています。介護保険制度になると、措置とは違って保険料が導入され、必要なサービスが提供されるのでサービスが充実し、利用者は必要なサービスが利用できるといわれましたが、数字的には、必ずしも伸びていません。議論されるとき、認定者数の伸びと、給付費の伸びが別々に切り離されて取り上げられているので、「大変だ」といわれがちですが、あるいは大変なのは利用者かもしれません。それが特別養護老人ホーム待機者42万人であるとか、あるいは介護人材不足、それは一般産業と比較しての給与水準が6~7割程度の低賃金職場として現れているのではないでしょうか。
表 介護保険給付費と認定者数の伸び  給付費=兆円、認定者数=万人
  12.4末 13.4末 14.4末 15.4末 16.4末 17.4末 18.4末 19.4末 20.4末 21.4末
給付費 3.2 4.1 4.7 5.1 5.6 5.8 5.9 6.2 6.4 7.0
伸び率A 1.00 1.28 1.47 1.59 1.75 1.81 1.84 1.94 2.00 2.19
認定者数 218 258 303 349 387 411 435 441 455 469
伸び率B 1.00 1.18 1.39 1.60 1.78 1.89 2.00 2.02 2.09 2.15
A/B 1.00 1.08 1.06 1.00 0.99 0.96 0.92 0.96 0.96 1.02
*12.4末等 年は全て西暦ではなく平成
社会の安心感を醸成し、セーフティーネットとしての「社会保障制度」を目指すのだとすれば、ただ「財政」や「費用」だけに脚光を当てるのではなく、利用者や利用者を支える従事者の問題にも正面から向き合う必要があると思われます。

以上のように、新たなサービス供給体制下でのサービスの利用については、C若しくはDの領域であれば、比較的実線の中に入りやすいと思われます。AとBの領域では困難さが増すと思われます。