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  4. (2)1.介護保険制度の住宅改修

在宅生活と住宅改修 (2)高齢者・障害者の住宅改修

高齢になっても、たとえ障害を持っても住み慣れた自宅でできる限り長く暮らしたいと思うのはごく自然のことです。そのための基盤整備が住宅改修であり、住宅改修は生活支援サービスといえます。こうした、ニーズを満たすためには生活全般を考えて、住宅改修を実施する必要があります。介護保険制度や障害者日常生活用具給付事業においても日常生活を安定的に送るため住宅改修費が支給されています。その内容について具体的に説明します。

1 介護保険制度の住宅改修

 介護保険制度による住宅改修については、介護保険法第45条で「居宅介護住宅改修費の支給」と規定されています。要介護認定・要支援認定を受けた方が、対象となる介護保険住宅改修をされた場合に、9割または8割の費用を支給します。住宅改修工事着工前に、改修内容が保険給付対象となるか等の審査が必要となります。着工する前に、必ず事前申請を行うことになります。事前申請(市区町村)せずに住宅改修 を行われた場合、住宅改修費は支給されませんのでご注意下さい。

(1)対象者

○ 要支援・要介護と認定され、在宅で生活されている方。
※要介護 認定申請中に、事前申請し、住宅改修を行うことはできますが、住宅改修費は、 認定結果が出た後に支給されます。
※病院や施設に入院(入所)中の場合、 退院(退所)が決まっていれば、入院(入所) 中に、保険者(区市町村)に確認し事前申請します。確認次第、住宅改修を行うことはできますが、住宅改修費は、退院(退所)後に支給されます。なお、入院、入所中で一時帰宅のために住宅改修を行った場合も支給対象外となります。

(2)対象となる住宅

○要支援・要介護と認定された方が居住している住宅。 ただし、被保険者証に記載されている住所の住宅のみが対象となります。
※住宅の新築や増改築(新たに居室を設ける等)は、住宅改修費の支給対象となりません。

(3)支給限度基準額

20万円
○要支援、要介護区分にかかわらず定額
ひとり1回限り、20万円までの支給限度基準額ですが、要介護状態区分が重くなったとき(3段階上昇時、または転居した場合)は再度20万円までの支給限度基準額が設定されます。
○償還払いによる住宅改修費
償還払いとは、住宅改修した方が、工事にかかった費用の全額支払いをし、後日、申請により、9割か所得によっては8割が本人に給付される制度です。

(4)対象となる住宅改修

  1. 手すりの取付け
    廊下、トイレ、浴室、玄関、玄関から道路までの通路等への手すりの取付け、玄関等に転倒防止もしくは移動動作の円滑化に資することを目的として設置するもの。
    ※工事を伴わないスロープ、固定されていない家具への手すりの取付けなどは対象外となります。
    ※法施行当初は、屋外における段差解消、床材の変更及び手すりの取付けなどの工事については、玄関ポーチの工事を除き、住宅改修費の支給対象としていませんでしたが、告示改正により、平成12年12月以降、玄関から道路までの(建物と一体ではない)屋外での工事も住宅改修の支給が可能となりました。
  2. 段差の解消
    居室、廊下、便所、浴室、玄関等の各室間の床の段差及び玄関から道路までの通路等の段差を解消するための改修で、スロープを設置する工事、敷居の撤去、浴室の床のかさ上げ など。
    ※昇降機、リフト、段差解消機を設置する工事などは除かれます。
  3. 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
    居室における畳から板製床材、フローリング等への変更 浴室やトイレにおける滑りにくい床材への変更 など。
  4. 引き戸等への扉の取替え
    開き戸を引き戸、折戸、アコーディオンカーテン等に取替え 扉の撤去、ドアノブの変更、戸車の設置 など。
    ※自動ドアに変更した場合は、動力部分を除いて支給対象となります。
  5. 洋式便器等への便器の取替え
    和式便器を洋式便器に取替え(洗浄機能、暖房機能等の付いた洋式便器も可)
    ※洋式便器から洗浄機能付洋式便器への変更などは対象外となります。
  6. その他12345の工事に付帯して必要となる工事
    手すりの取付けのための壁の下地補強
    浴室の床の段差解消に伴う給排水設備工事
    床材の変更に伴う下地補強や根太の補強
    扉の取替えに伴う壁または柱の補強
    便器の取替えに伴う給排水設備工事 便器の取替えに伴う床材の変更

(5)その他

  1. 住宅改修費の支給対象外の工事も併せて行われる場合
    対象部分について、面積、長さ、数量等を特定して抽出し、それぞれに単価を乗じて金額を算定します。
  2. 一つの住宅に複数の被保険者(利用者)がいる場合
    住宅改修の支給限度額の管理は、被保険者ごとに行われるため、被保険者ごとに住改修の支給申請を行うことができます。各被保険者ごとに対象となる工事を設定し、それが重複しないようにします。つまり、手すりを複数箇所設定した場合は、被保険者ごとに箇所を分けて申請できます。同一の箇所について40万要した場合に20万ずつ申請することはできません。
  3. 利用者自ら住宅改修を行った場合
    利用者が自ら住宅改修のために材料を購入し、本人または家族等により住宅改修が行われた場合は、材料費の購入費を住宅改修費の支給対象となります。なお、この場合であっても事前申請が必要です。
  4. 利用者が死亡した場合
    住宅改修が完了する前に利用者が死亡した場合は、死亡時に完成している部分までが支給対象となります。なお、入院中に工事が完成し退院しないまま死亡した場合は支給出来ないことになっています。

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2 申請手続きの流れ

手続き申請については、以下の通りです。


  1.  相談・検討
    住宅改修を行う前に、担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談します。なお、要支援の方は、担当の地域包括支援センターに相談し、改修内容の検討後、(介護支援専門員)ケアマネジャーや施工業者に提出書類の作成を依頼します。
  2.  介護保険担当課へ事前申請
    住宅改修の着工前に、次の書類を区市町村の介護保険課に提出します。
    ○住宅改修費事前確認及び支給申請書
    ○住宅改修が必要な理由書(ケアマネジャー等が作成します。)
    ○見積書(被保険者本人あてのもの。コピー可。)
    ○改修箇所の工事前の写真(日付入りのもの。)
    ○住宅の平面図
    ○住宅改修の承諾書(住宅の所有者が被保険者本人以外の場合必要です)
    ※ 住宅改修を必要とする理由書については、介護支援専門員(ケアマネージャー)や住宅改修についての相談に専門的な知識と経験のある者が作成するもので、住宅改修が必要と認められる理由が記載されているものに限られます。東京都においては、相談者として、住宅改修アドバイザーや福祉住環境コーディネーター2級以上の方が対象になっている区市町村があります。
  3.  事前申請確認書兼完成届出書の交付・住宅改修工事
    不備がなければ、「事前申請確認書兼完成届出書」を交付、交付後、住宅改修に着工します。なお、区市町村によって確認書の書式が違います。改修内容等の変更の場合は、区市町村に連絡することになります。
  4.  介護保険担当課へ事後申請
    住宅改修の完成後、次の書類を介護保険課に提出します。
    ○事前申請確認書兼完成届出書
    ○領収書(被保険者本人あてのもの。基本原本の提出が必要です)
    ○請求明細書(被保険者本人あてのもの。コピー可)
    ○改修箇所の工事後の写真(日付入りのもの)
1 住宅改修についてケアマネジャー等に相談
2 申請書類又は書類の一部提出・確認
・利用者は、住宅改修の支給申請書類の一部を保険者へ提出
・保険者は提出された書類等により、保険給付として適当な改修かどうか確認する。
(利用者の提出書類)
○支給申請書
○住宅改修が必要な理由書
工事費見積もり書
住宅改修後の完成予定の状態がわかるもの(写真又は簡単な図を用いたもの)
3 施工→完成
4 住宅改修費の支給申請・決定
・利用者は、工事終了後領収書等の費用発生の事実がわかる書類等を保険者へ提出
「正式な支給申請」が行われる。
・保険者は、事前に提出された書類との確認、工事が行われたかどうかの確認を行い、当該住宅改修費の支給を必要と認めた場合、住宅改修費を支給する。
(利用者の提出書類)
○住宅改修に要した費用に係る領収書
○工事費内訳書
○住宅改修の完成後の状態を確認できる書類(便所、浴室、廊下等の箇所ごとの改修前及び改修後それぞれの写真とし、原則として撮影日がわかるもの)
○住宅の所有者の承諾書(住宅改修を行った住宅の所有者が当該利用者でない場合)

※ ただし、やむを得ない事情がある場合については、4の段階において2の段階で提出すべき申請書類等を提出することができる。

出典:厚生労働省 住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策の推進について
>居宅介護住宅改修・介護予防住宅改修に係る介護保険の給付 PDF資料
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/toukatsu/suishin/