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  4. (1)4.改修計画の立案

在宅生活と住宅改修 (1)介護保険制度における住宅改修

4 改修計画の立案

 改修計画を立案する際に注意することは、まず基本的な住宅性能を満たすかということです。日照、採光、換気、通風し、室温など健康な生活を維持するためにも、これら住宅づくりの基本的な環境要件には配慮が必要です。自力歩行が困難になり、生活行動領域が制限されればされるほど、生活空間としての住宅性能が重要になります。これらの要素に加え、生活行為、移動、行動の障害となる物理的バリアを除去する計画を立案します。
 次に、利用者および家族のプライバシー、住宅の安全性、家具や設備の使いやすさを含む機能性、適切な改修費用の算出、福祉用具の利用、家族関係を損なわない改修を考えます。住宅改修後においても利用者の生活に合わせて容易な維持管理計画など、利用者の立場に立った検討でなければなりません。
 図2は、以上の考え方を整理したものです。これらの要件の1つでも検討項目からはずれていると、住宅改修後の生活に何らかの支障を来たすことが考えられます。工事の規模や改修費にかかわらず、立案時にしっかりと検討しておくことが重要です。


図2 改修計画の立案で留意すること

出典:「住宅改修アドバイザーマニュアル」東京都

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5 介護保険と住宅改修

 住宅改修については、2000(平成12)年度から介護保険による住宅改修が実施され、多くの方が関心を持つこととなりました。各自治体では、介護保険による住宅改修事業の給付対象にならないが、要介護認定で自立と判定された方々に対する市町村総合事業の予防給付として、介護保険の給付と同等もしくはそれ以上の給付が行われています。東京都では、高齢者自立支援住宅改修給付事業として、介護保険給付以外の浴槽の取替えなどの設備についても給付の対象にしています。
 介護保険の住宅改修の種類は、(1)手すりの取付け(2)段差の解消(3)滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更(4)引き戸等への扉の取替え(5)洋式便器等への便器の取替え(6)その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修、となっています。
 住宅改修にあたっては、利用者の心身の状況等を配慮した適切な住宅改修が行われるよう、住宅改修に関する専門的知識や経験を有する者(住宅改修アドバイザー)が改修前に利用者の立場に立って相談や助言を行うことが大切です。
 介護保険制度が導入され、バリアフリーのための住宅改修のニーズは非常に多く、住宅改修に関する介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割は大きくなってきています。介護支援専門員は、住宅改修アドバイザー等との連携を行い、住環境の意義を理解し、住生活環境のアセスメントを行う必要があります。
 住宅改修以外の生活支援サービスには、訪問介護、通所訓練、短期入所、福祉用具など様々なものがあります。住宅改修にあたっては、絶えずこれらのサービスと調整を図り、あるいは連携して、利用者のニーズに応えることが重要です。