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  4. (1)1.高齢者にとって住まいとは

在宅生活と住宅改修 (1)介護保険制度における住宅改修

1 高齢者にとって住まいとは

 高齢者の暮らしにおける住まいの役割については、高齢者の意識調査などで、(1)自分が生活している場所に住み続けたい、(2)同じ場所に住み続け、近所づきあいを大切にしたい、(3)寝たきりになっても自宅で生活をしたい、などがあげられています。それらの調査では、住宅を基本とした地域社会との交流を中心とした生活といえます。それまでの住宅に住み続けることが希望であり、生活そのものであるといえます。
 欧米の福祉社会の住まいは、在宅福祉の基盤であると言われています。我が国においても超高齢社会となり住まいの重要性が増大しています。
 介護保険の基本理念である要介護状態への予防や住まいにおける自立した日常生活の重視の実現は、住環境の整備が大きくかかわってきます。
 我が国の住宅の特徴をあげれば、(1)段差が多い、(2)部屋面積が小さい、(3)和式の生活様式があげられ、特に、畳の部屋を中心とした座式の生活のため、立ち上がりの動作の負担が大きいなど、高齢者がそれまで住んできた住宅で老いることを困難にし、病院や施設入所を優先としてきました。こうした住環境で、高齢者や障害を持つ方々が生活していくことは容易ではなく、住宅改修の困難さが在宅生活を諦めさせる要因と指摘する報告もあります。
 住宅改修は、ある程度費用がかかります。最小の投資で最大の効果を期待することが求められています。住宅改修において、専門家の意見を取り入れることや不要な改修を回避するなど、わずかな費用をかけるだけで、自立できる生活動作が多くなり、介護者の負担軽減の効果も期待できます。
 もちろん、利用者や家族を満足させる住宅改修は決して容易ではありません。住宅改修を行うことにより、利用者の生活支援に関するさまざまな専門家(介護支援専門員、改修事業者、理学療法士、作業療法士など)が関与し、隠れた要望を引き出すなど、利用者の多面的なニーズが明らかとなり、効果的な住宅改修ができます。また、そのプロセスそのものが利用者の生活意欲の改善につながると考えられます。

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2 住宅改修の目標

 住宅改修の第一の目的は、日常生活動作(ADL)が自分で行えるようになることであり、利用者本人の自立意欲の向上です。第二に家族や介護者の精神的、物的負担を軽減することにあります。また住宅改修を通じて利用者の生活領域(生活圏)を拡大することも重要なテーマです。これらの目標に向かうことにより住宅改修が利用者の暮らしに役立つものと考えられます。利用者によっては福祉用具の活用や、住宅改修を行わないで、暮らし方や家具の配置を変えるだけで生活改善が進む場合もあります。
 また、元気な高齢者の場合でも予防的改修を行うことにより生活動作の自立が継続していくと考えられます。このような改修の場合は、将来の介護費用の軽減に効果が大きいといえます。
 この他、当然ですが、住宅の基本性能である耐久性、効率性、柔軟性についても十分考慮します。もちろん、利用者や家族を満足させる住宅改修は決して容易ではありませんが、住宅改修という行為を行うことによって、利用者の生活支援に関するさまざまな専門家が関与し、利用者の多面的なニーズが解明されます。そのプロセスそのものが利用者の生活意欲の改善につながると考えられます。