現在位置 : 福ナビホーム > 特集記事 > 「とうきょうの地域包括ケアを考える」 > 第3回 品川区における24時間対応の定期巡回・随時対応サービスモデル事業

「とうきょうの地域包括ケアを考える」第3回:品川区における24時間対応の定期巡回・随時対応サービスモデル事業

1.これまでの取り組み

 品川区では、平成7年から24時間巡回型訪問介護サービス事業に取り組み、夜間帯においても訪問介護員の派遣事業を開始し、在宅生活の継続と介護者の負担軽減を図ってきた。平成11年には区内全域で事業展開し、介護保険制度施行後においても、介護保険サービスとともに夜間帯をカバーしてきた。

 しかし、ケアマネジメントの充実やおむつの高機能化などに伴い、排せつ介助・おむつ交換などの需要が低下するとともに、サービス提供事業所においては、人材確保が難しい状況などから、その利用は衰退傾向であった。

 他方、近年では、ひとり暮らし高齢者や高齢者世帯の増加により、見守りのしくみや安心感の確保などが重要な課題となってきている。

 平成18年には24時間365日の切れ目のないサービスの提供が強く求められる中、地域密着型サービス・夜間対応型訪問介護の創設により、これまでの夜間対応の取り組みをふまえ、同年8月には夜間対応型サービス事業所の指定を行いサービスの提供を開始した。

2.23年度モデル事業概要

○平成24年度以降においては、介護福祉医療の連携を強化した「地域包括ケアシステム」の構築が求められている。
↓
○システムの構築に向け、24時間対応の定期巡回・随時対応サービスの効果的な活用方策を追求し、在宅での限界点を引き上げるために何が必要かを検証する。

1.事業の概要・イメージ

  • 実施期間
  • 平成23年8月1日~平成24年3月31日
  • 事業内容(サービスモデルの実施と事業内容等の検討)
  • 定期巡回訪問サービス事業
    1回あたり20分未満の、身体介護を中心とする短時間訪問介護サービスを、原則として1日3回程度、実施期間中毎日提供
  • 随時の対応サービス事業(緊急コール端末へ対応した随時の訪問)
  • ケアマネジメントのあり方の検討
  • 事業内容の検証等に関する事業
    訪問介護事業所、居宅介護支援事業所・ケアマネジャー、有識者による検討
  • 訪問介護サービスとは
  • 対象者
  • このサービスが適すると想定される要介護認定者9~15人
    (期間内延べ90人程度)
  • サービス提供事業所
  • 株式会社ジャパンケアサービス ハッピー品川・夜間対応型訪問介護を中心とする区内訪問介護事業所(グループ事業所及びNPO法人等)
    ※ハッピー品川と区内訪問介護事業者が時間帯によって役割を分担し巡回サービスを提供する。
  • 利用者負担
  • 月額2万円(1ヶ月1人あたりの事業費20万円の1割)
《事業の特色》
22年度モデル事業をふまえ、
○訪問ニーズのある時間帯が集中することへの対応
○サービス提供にかかる移動時間を短縮
などが課題となっている
↓
○夜間対応型訪問介護を活用しつつ、区内訪問介護事業所等との協働
↓
訪問介護事業所の連携と活用のしくみを構築(可能性の検証)
《事業イメージ》
事業イメージ図
《委託と再委託の役割分担イメージ》
委託と再委託の役割分担イメージ図
○概ね20時~翌8時は、区からの委託先である夜間対応型訪問介護事業所運営事業者が担当
○概ね8時~20時は、地域の訪問介護事業所が担当(再委託)
 

2.今後の検討課題

  • 24年度の導入にあわせたしくみの構築
  • 既存の訪問介護サービスとの併用をなくし、短時間定期訪問と随時訪問の組み合わせで日常生活を支えるしくみ(ケアマネジメントのあり方)を検討
  • 22年度モデル事業をふまえた地域の訪問介護事業所との連携によるしくみ
  • 地域の訪問介護事業所の就業時間を拡張することにより、夜間対応型訪問介護の提供時間帯との隙間をなくす試み
  • 関係する複数事業所間での情報共有や効率的・適正な連携のあり方
  • 複数事業所の円滑な連携のため、内容・時間帯の分担や報酬の分配等、役割分担の明確化
  • 的確にサービス利用につなげるため、対象となる者及びマネジメント・プラン作成のあり方の確立
  • 一日数回の短時間定期訪問の中で提供可能なサービス
  • 介護者(家族)の負担軽減
  • 医療系サービスとの連携
  • 訪問看護事業所等との連携のあり方(連携のしくみ、費用等)の検討