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福祉用具の利用と地域包括支援センター 福祉用具と地域包括ケアシステム

(1)地域包括ケアシステムの概要

 核家族化等の進行で高齢者世帯や独居生活など、生活環境の変化がストレスになる高齢者の中には、たとえ介護が必要になっても、可能な限り住み慣れた地域や自宅で日常生活を送ることを望む高齢者が多くなってきています。また、地域内で介護が必要な高齢者を効率良くサポートするためには、家族のメンバーや地域の医療機関、介護の人材が連携し合い、状況に応じて助け合う必要があります。
 その実現のためには、介護職や医療関係者などの多職種が連携していく必要があり、地域包括支援センターや介護支援専門員がそのための仲介役として重要な役割を果たします。なお、ここでいう「地域」とは、自宅から30分圏内を指します。
 そこで、地域における「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」の5つのサービスを一体的に提供できるケア体制を構築しようというのが、地域包括ケアシステムです。つまり、地域包括ケアシステムとは地域の実情や特性に合った体制を整えていくものです。

  • 医療・看護
  • 介護・リハビリテーション
  • 予防・保健
  • 生活支援・福祉サービス
  • 住まいと住まい方

 「住まいと住まい方」「介護予防・生活支援・福祉サービス」については、地域で生活する上で、安心して生活するには住まいが不可欠です。高齢者がひとり暮らしになり、地域にあるサービス付き高齢者住宅等に移り住む方法があります。
 2011(平成23)年に施行された「高齢者の住居の安定確保に関する法律」(高齢者住まい法)により、サービス付き高齢者向け住宅がスタートしています。
 この法律は、高齢者が安心して居住できる設備等やケアの専門家が少なくとも日中常駐し、安否確認、生活相談、緊急時対応サービスなどを提供します。
 また、加齢による心身の変化等によって、庭掃除や電球交換等のように、生活に必要なことを行うのが難しくなってきます。以前は家族が対応していましたが、ひとり暮らしや夫婦のみの高齢者が増えていることを考えると、地域で生活を続けて行くには、ちょっとした手助けや見守りなどが必要になります。安定した日常生活を送るための「生活支援」は、介護福祉士などの専門職が関わることもありますが、地域住民やNPO等の地域の多様な活動によって提供されています。そして、その活動への参加を通して、介護予防の機能も発揮されます。
 個々の課題に合わせて、「医療・看護」「介護・リハビリテーション」「保健・福祉」が専門職によって提供されます。このようなサービスは、ケアマネジメントに基づいて、必要に応じて生活支援等とともに一体的に提供されて初めて、高齢者等のその人らしい生活の継続を実現できるといえます。
 このように、地域包括ケアシステムは、高齢者や家族はもとより、「住まいと住まい方」「介護予防・生活支援・福祉サービス」「医療・看護」「介護・リハビリテーション」「保健・福祉」の関係者などの地域の様々な人々によって支援システムが構成されます。具体的には、行政(区市町村)、地域包括支援センター、高齢者福祉施設、介護保険事業所、病院、NPO法人、町内会等の多様な関係機関・多様な人々の主体的参画及び協働があって初めて構築できます。
 地域包括ケアは、高齢者等が住み慣れた地域で安心して尊厳のあるその人らしい生活が継続することができるように、介護保険制度によるサービスのみならず、その他のフォーマルやインフォーマルの多様な社会資源を本人が活用できるようにするため包括的・継続的に支援することが目的です。
 このため、多様な提供主体による保健・医療・福祉にわたる各サービスが総合的、一体的、効果的、効率的に提供されるサービス体制を構築していく必要があることから、介護サービス事業者(福祉用具貸与事業者なども含む)は、こうしたチームケアの一員としての責任も負うことになります。
 そのためには、介護保険の保険者である区市町村は、地域の実情に応じた地域包括ケアシステムの構築に向けた方針を示し、地域の人々が協働できるように、システム化していくことが重要です。

地域包括ケアシステムの捉え方イメージ 出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/