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福祉用具の利用と地域包括支援センター 福祉用具と地域包括支援センター

1.福祉用具と地域包括支援センター

 地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で、安心してその人らしい生活を継続することができるように、高齢者の生活を支える役割を果たす総合機関として、各区市町村が設置しています。地域包括支援センターは、原則区市町村に1ヵ所以上設置することになっていますが、定数に決まりはなく、市町村によっては10ヵ所以上配置している所もあります。(複数の市町村が広域連合を組織し共同で設置する場合もあります。)
 なお、地域包括支援センターが担当する地域を『日常生活圏域』と言います。概ね30分程度で駆けつけられる範囲で、中学校区に一つの割合です。各センターには、専門職員として社会福祉士・保健師・主任介護支援専門員(主任ケアマネージャー)が配置され、主に地域内に住む高齢者の「総合相談」「介護予防」「サービスの連携・調整」などの業務を行ないます。地域包括支援センターには必須事業として、地域支援事業のひとつである包括的支援事業と介護予防・日常生活支援事業(総合事業)があります。その他に、区市町村が包括センターに委託することが可能な任意事業として地域支援事業に規定されている事業と厚生労働省が定める事業があります。地域支援事業は、「被保険者が要介護状態等となることを予防するとともに、要介護状態等となった場合においても、可能な限り、地域において自立した日常生活を営むことができるよう支援する」ためのものだと定義されています。


 包括的支援事業は、以下の4つの事業で構成されています。

  1.  介護予防ケアマネジメント事業  
    介護予防ケアマネジメント事業は、二次予防事業の対象者(主として要介護状態等となるおそれの高い状態にあると認められる65 歳以上の者)が要介護状態等になることを予防するため、その心身の状況等に応じて、対象者自らの選択に基づき、介護予防事業その他の適切な事業が包括的かつ効率的に実施されるよう必要な援助を行うものです。
  2.  総合相談・支援事業
    総合相談・支援事業は、地域の高齢者が、住み慣れた地域で安心してその人らしい生活を継続していくことができるようにするため、どのような支援が必要かを把握し、地域における適切なサービス、関係機関および制度の利用につなげる等の支援を行うものです。
  3.  権利擁護事業
    権利侵害を受けている、または受ける可能性が高いと考えられる高齢者が、地域で安心して尊厳のある生活を行うことができるよう、権利侵害の予防や対応を専門的に行うものです。
  4.  包括的・継続的ケアマネジメント支援事業
    地域の高齢者が住み慣れた地域で暮らすことができるよう、個々の高齢者の状況や変化に応じた包括的・継続的なケアマネジメントを介護支援専門員が実践することができるように地域の基盤を整えるとともに個々の介護支援専門員へのサポートを行います。
     介護予防ケアマネジメントや包括的・継続的ケアマネジメントの事業には、福祉用具の貸与・購入(販売)の支援が含まれています。主任介護支援専門員が各事業所等の介護支援専門員に対して、相談・支援を行うシステムです。福祉用具の支援として、医療機関、福祉用具レンタル事業所などとの連携・協働のシステムがとられます。
     サービス事業者の福祉用具専門相談員と介護支援専門員との連携を保ちながら「サービス計画」を作成していくことになります。その中心的役割を果たすのが地域包括支援センターの主任介護支援専門員です。

地域包括支援センターの業務
出典)厚生労働省ホームページ
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/)

包括的・継続的ケアマネジメント支援業務のイメージ包括的・継続的ケアマネジメント支援業務のイメージ出典:「地域包括支援センター運営マニュアル2訂」(平成30年6月)一般財団法人長寿社会開発センター P.218

 また、同様に「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」(福祉用具法)には、国及び地方公共団体の措置や責務が示されています。


  • (国及び地方公共団体の責務)
    第四条
    国は、この法律の目的を達成するために必要な福祉用具の研究開発及び普及の促進を図るための財政上及び金融上の措置その他の措置を講ずるように努めなければならない。
    地方公共団体は、福祉用具の普及の促進を図るために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
    国及び地方公共団体は、広報活動等を通じて、福祉用具に対する国民の関心と理解を深めるように努めなければならない。
  • (市町村の講ずる措置)
    第八条
    市町村は、福祉用具の利用者がその心身の状況及びその置かれている環境に応じて、福祉用具を適切に利用できるよう、福祉用具に関する情報の提供、相談その他必要な措置を講ずるように努めなければならない。
  • (都道府県の講ずる措置)
    第九条
    都道府県は、福祉用具に関する情報の提供及び相談のうち専門的な知識及び技術を必要とするものを行うとともに、前条に規定する措置の実施に関し助言その他の援助を行うように努めなければならない。
  • (事業者等の責務)
  • 第五条
    福祉用具の製造の事業を行う者は、常に、老人及び心身障害者の心身の特性並びにこれらの者の置かれている環境を踏まえ、その製造する福祉用具の品質の向上及び利用者等からの苦情の適切な処理に努めなければならない。
    福祉用具の販売又は賃貸の事業を行う者は、常に、老人及び心身障害者の心身の特性並びにこれらの者の置かれている環境を踏まえ、その管理に係る福祉用具を衛生的に取り扱うとともに、福祉用具の利用者の相談に応じて、当該利用者がその心身の状況及びその置かれている環境に応じた福祉用具を適切に利用できるように努めなければならない。
    老人福祉施設、身体障害者更生施設その他の厚生省令で定める施設の開設者は、常に、老人及び心身障害者の心身の特性並びに当該施設の入所者等の心身の状況を踏まえ、必要な福祉用具の導入に努めなければならない。

 国においては、福祉用具の研究開発や普及促進を行うこと。都道府県においては、専門的な知識の情報の提供と講習・研修を行うとなっています。区市町村については、福祉用具が適切に使用できるように相談支援と展示相談も行うこととされています。
 区市町村については、福祉用具が適切に使用できるように相談支援と展示相談も行うこととされています。一部の区市町村では、独自に福祉用具展示場を設け、選定、適合支援を行っているところがあります。
 区市町村の中心的相談窓口としての地域包括支援センターが福祉用具の適合支援の役割を果たすことが必要となってきています。