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特集記事

知っておこう福祉用具の給付制度

創価大学 文学部人間学科 教授 和田光一 氏

 地域福祉、在宅福祉の流れの中で、高齢者や障害者が住み慣れた地域や家庭で安心して暮らせるだけでなく、できるだけ自立し積極的に社会参加していくことが重要であると言われています。そのために、介護保険改定では、在宅を中心とした地域包括支援システムの充実が示されています。在宅の受け皿となる生活環境充実の一環として、各種の福祉用具の重要性が認識されるようになってきました。福祉用具については、「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」(1993年)この法律において福祉用具とは、「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人又は心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具をいう」と定義されています。この法律を契機に注目されるようになり、介護保険にも福祉用具の貸与や購入が導入されいっそう拍車がかかるようになりました。
 福祉用具の導入に際して、経済的負担が原因で対象者が入手をためらうことが今までに見受けられました。これに対して給付制度の利用は福祉用具の導入の強い誘因となりうることになりました。
 しかし、わが国の福祉用具や住宅改修の公的給付制度はあまりにも複雑で、そのすべてを利用者や中間ユーザーである理学療法士・作業療法士などのリハビリテーション・スタッフや社会福祉専門職が熟知しているとは言い難いのが現状です。 利用者本人または家族が市町村の窓口に直接行き、相談をすることが基本ですが、実際は、制度に詳しい地域包括支援センターの社会福祉士(ソーシャルワーカー)や介護支援専門員、介護ショップの福祉用具専門相談員や取扱業者および施工業者に制度の利用や手続きの相談や制度利用の可否を尋ねて対応する場合が多いようです。
 福祉用具についての高齢者、障害者の法制度の位置づけや制度の内容や活用について解説を行うことにします。
前回の特集記事(平成26年度掲載「平成27年度介護保険法改正に向けて」)は⇒こちら

執筆者紹介

和田 光一(わだ こういち)氏
1977年東京都に入都。障害者(高齢障害も含む)施設でケースワーカーとして相談業務を担当した後、東京都補装具研究所では福祉機器の開発研究の一員として機器の普及・適合や制度について担当する。また、東京都福祉機器総合センターの立ち上げと同時に、主任相談員として福祉機器関係の制度と住宅改修制度についてシステム化を図る。東京都福祉機器総合センターで実施された福祉用具専門相談員・介護支援専門員福祉用具研修の講師や一般財団法人労災サポートセンターの講師も務める。
そのほか、介護保険制度の福祉用具・住宅改修等の内容検討にあたり、厚生労働省(評価検討ほか)、東京都(在宅継続支援ほか)等に学識経験者として参画する。東京都福祉保健財団では、福祉用具選定委員会の委員長も務めている。府中市の老人保健福祉計画、介護保険事業計画では委員会会長を務めている。

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