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知っておこう福祉用具の給付制度 後半

4 福祉用具の購入(販売)

 福祉用具購入は、要介護、要支援の認定を受けた方が、特定福祉用具販売事業者から福祉用具を購入した場合で、申請によりその福祉用具が「特定福祉用具」であり被保険者の日常生活の自立を助けるために必要である場合に、居宅介護(介護予防)福祉用具購入費として支給限度額の範囲内(年度内10万円までの9割、所得によって8割)において、その費用の一部が給付されます。利用者が費用の全額をサービス提供事業者にいったん支払い、その後、申請を行い保険者である市区町村から、その費用の9割、所得によって8割分の現金の償還(払い戻し)を受けることができます。
 特定福祉用具の購入による対象品目は、5種目になります。


  1. 腰掛便座
    和式便器の上に置いて腰掛け式に変換するもの。洋式便器の上に置いて高さを補うもの。電動式またはスプリング式で便座から立ち上がる際に補助できる機能を有しているもの。便座・バケツなどからなり移動可能な便器(居室で利用可能なもの)。
  2. 入浴補助用具
    座位の保持、浴槽への出入りなどの入浴に際しての補助を目的とする用具であって、
    1.入浴用いす 2.浴槽用手すり 3.浴槽内いす 4.入浴台に該当するものです。
    また、浴槽の縁に掛けて利用する台であって、浴槽への出入りをする
    1.浴槽内すのこ 2.浴室内すのこも含まれています。
  3. 特殊尿器
    尿が自動的に吸引されるもので居宅要介護者など、またはその介護を行う者が容易に使用できるもの。
  4. 簡易浴槽
    空気式または折りたたみ式などで容易に移動できるものであって、取水または排水のための工事を伴わないもの。
  5. 移動用リフトの吊具の部分
    身体に適合するもので、移動用リフトに連結可能なもの。

 過去に購入した福祉用具で福祉用具購入費を支給されているものと同一種目の場合は対象外となりますが、以下の理由により、同一種目であっても利用できる場合があります。

  1. 用途・機能が著しく異なる場合。
  2. 破損した場合。
  3. 利用者の介護の程度が著しく高くなり、買い換えが必要になった場合。

 また、福祉用具は貸与が基本であり、特定福祉用具の購入費を支給することは例外的な考えであると言えます。その理由として以下のことがあげられます。

  1. 他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感を伴うものであるため。
  2. 直接肌に触れるものであるため(入浴・排泄用具など)
  3. 使用により、もとの形態・品質が変化し、再度利用ができないものであるため(移動用のリフトの吊り具)

 制度を利用するには、利用者が介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談・申し込みを行い、福祉用具が必要な旨の記載を行い居宅サービス計画の立案を行います。それを元にして特定福祉用具販売事業者から福祉用具を購入します。平成18年度からは、特定福祉用具販売事業者には、福祉用具専門相談員をおくことになっています。
 介護支援専門員が福祉用具専門相談員と協働して、「福祉用具個別サービス計画書」を作成することになっています。
 支給申請は、特定福祉用具が必要な理由を記載した支給申請書に、領収書や福祉用具の概要を記載したパンフレットなどを添えて市町村に提出します。
 現行の介護保険における「福祉用具の範囲」はそれまでの寝たきりの高齢者を対象とした高齢者日常生活用具事業の給付品目から、緊急通報や電磁調理器などの独居高齢者の対応品目を除き、認知症老人徘徊感知器などを加えたものです。
 これらを見れば、必ずしも自立支援という介護保険の理念から検討されているとは言い難いと思われます。現在、福祉用具の貸与・購入においては、国(厚生労働省)が対象品目を選定していますが、本来、対象品選定は、利用者の状況がわかる保険者である市町村が選定能力を高めて、対象種目を決定していくシステムが必要と思われます。