6.機器導入に際した課題と改善活動
機器導入にあたっては、導入過程における課題に対して小さな改善活動と改善に対する成功事例や新たな課題を振り返る取り組みを行いました。
(1)導入当初は、利用者に合った適切なセンサーの設定を行う事が出来ず、軽微な体動のみでセンサーが発報してしまい、センサーの反応回数や夜間のアラート回数が増加する状況が見られました。これに対し、元々導入していた眠りスキャンやカメラと連携した見守りを行うことで、訪室すべきアラートと訪室が不要なアラートが整理され、結果として夜間の不要な訪室回数を減少させることができました。
(2)職員の負担面では、夜間の訪室回数が減ったことで身体的負担が軽減でき、また起居動作が起きた時点での発報が可能となったことで、従来のコールマットと比べより早く訪室ができることで夜間の転倒防止につながり精神的負担も減り、心に余裕を持ったケアが出来るようになったとの意見がありました。
一方で、運用を進める中、課題も明らかになりました。ベッドセンサーには離床・端坐位・起き上がりの設定がありますが、個々の利用者に適した設定の明確な判断基準が施設として準備がなく、特に新入所者など行動が読めない方への設定が曖昧でした。そのため利用者のADLに合わないセンサー設定となり、不必要なアラートが多く見られました。例えば、日常的に動作が自立されている方に対しても、起き上がりの設定にしてしまい、不要な発報が頻発し、現場の対応負担が増加するという場合がありました。
そこで、個々の利用者のADLや動作特性に応じて「離床」、「端坐位」、「起き上がり」の設定のどれを選択すべきかを整理した「設定フローチャート」を作成しました。作成したフローチャートは全職員で共有するために、申し送りノートを活用した情報の確認、さらにプロジェクトメンバーが各フロアで直接説明を行うことで、センサー設定に対する考え方や判断基準の統一を図りました。その結果、利用者に適した設定が行いやすくなり、不要なアラートの減少と、本当に必要な場面での検知精度向上につなげることができました。
(3)ベッドの高さやアラート設定など、利用者ごとに異なる個別項目の管理も課題となりました。施設入所ベッド総数の100台規模で導入した結果、センサー使用ベッドの設定がそれぞれ異なる状態が増え、職員がそれぞれの設定内容を把握することが現実的に難しく、入退所、ベッド移動などがあるとセンサー設定がされないなどの事象が起こりました。
そこで、ベッドの高さやアラート設定などの重要項目を記入できるシートを作成し、ベッド周囲の同一の場所へ掲示する事で、ベッドサイドで誰もが即座に確認できるようにしました。この掲示により、誰が見てもセンサー使用状況をベッドサイドで確認でき、ADL変化や環境変化時にも確かな設定が可能となりました。以上の取り組みは、単に機器を導入するだけでなく、現場で安全に使い続けるための仕組みづくりとして重要であったと考えています。
一方で、センサー反応回数の増加が職員のストレスにつながったこと、機器単体では反応しきれない動作があったこと、フローチャートを用いてもベッド設定の判断に職員間でばらつきが生じたことなど、新たな課題も明らかになりました。

