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知っておこう福祉用具の給付制度2 後半(日常生活用具の給付制度)

3 治療用装具

 治療用装具は、各種の医療保険や労働災害補償制度に基づく医療・治療の段階での作成が可能です。
 下肢装具や義足などは、障害者総合支援法の「補装具の交付」の品目にも掲げられていますが、各種年金法に基づく場合、症状、障害の固定が前提になりますので治療の段階では利用することができません。したがって、回復期の機能訓練で使用される下肢装具などは、症状・障害が固定していない治療段階においては、医療の一環で医師の処方によって治療材料として作製することになります。しかし、この場合は作製代金の全額を作製業者にいったん支払ってから保険給付分の償還手続きをとる仕組みになっており、症状・障害の固定を前提とする「補装具の給付」と比べて利用者(患者)の経済負担は大きくなります。このため一般的には、下肢装具などは「補装具の給付」で入手するのが多いようです。
 補装具の作製には、時間を要するため治療の経過と見通しと利用者の負担を勘案して早い段階で「治療用装具」を作成するか「補装具の給付」として作製すべきか利用者ごとに総合的に判断する必要があります。この場合、利用者の経済状況の把握、制度や手続きに精通している更生相談所に相談するのがよいと思われます。
 治療上必要となる装具や義肢等が「治療用装具」であり、医療保険制度で給付されます。補装具と同じ形状の義肢、装具ですが、その使用目的によって給付制度の違いがでてきます。
次のようなものが「治療用装具」となります。

  • 骨折や術後の治療に必要となる固定や免荷装具
  • 病巣安静のための固定装具、痛みのある時のみに必要となる体幹装具
  • 切断術後に必要となる練習用仮義足
  • 脳血管障害や脊髄損傷等の歩行訓練に必要となる下肢装具
  • 眼球摘出後に眼窩の保護のために必要となる義眼

医療保険を通して、治療用具を制作する場合には、「療養費」という制度がとられています。各種医療保険で訓練用仮義肢・治療用装具の費用の支給を受けたい方は以下の通りです。

  1. 病院で診察を受けます。
  2. 医師より義肢装具製作所に処方が出されます。本人に対しては、証明のための診断書が出されます。
  3. 義足・装具を製作します。合わせ、適合チェックを経て、義足・装具の納品に至ります。
  4. 本人が義肢・装具の費用を立替払いして義肢装具製作所に支払います。義肢装具製作所より領収書・内訳書をもらいます。
  5. 保険者(市町村、健康保険組合、共済組合等)に払い戻し請求を行います。(医師の診断書と領収書・内訳書が必要です。)
  6. 後日、保険者から払い戻し(自己負担分を除く)があります。

各種医療保険制度による訓練用仮義肢・治療用装具の療養費の給付
資料 (国立障害者リハビリテーションセンター研究所 義肢装具技術研究部
「各種医療保険制度による訓練用仮義肢・治療用装具の療養費の給付」一部図を加工して作成。)
http://www.rehab.go.jp/ri/hosougu/tetsuduki.html

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