評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
1)すべての子どもの権利を守り、安全で安心・快適な生活環境をつくる。
2)子どもの心を育むとともに意志を尊重し自立を支援する。
3)出会ったこどもを見守り続ける。
4)子どもと家族の結びつきを大切にする。
職員に求めている人材像や役割
児童の社会的な自立を支援をするため、児童の見本となるような人材であること。
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
専門性が高い業務であることを理解し、権利意識を持っていること。
アフターケアも含め、児童を見守り続けるため長く定着して働き続けること。
全体の評価講評
特によいと思う点
今年度、施設長と施設長補佐が交代し、新たな組織づくりに着手している。チームケアの充実に加え、職員が安心して働ける組織とするために、外部講師を招いた園内研修の機会を増やすとともに、ワークを取り入れ、職員同士が話し合う機会を増やしている。また、施設長、施設長補佐2人体制で職員面談を行う等、密室性を排除したことで職員が安心して意見を言える環境を整えた。また、課題があれば管理職が積極的に現場に入って職員にSVを行っており、職員コメントからも風通しの良い組織づくりに向けた取り組みの成果が表れていることが分かる。
「生い立ちの整理」は以前より進めているが、3年ほど前から幼児を対象としたアルバムづくりに着手している。家族の写真をはじめ、乳児院の職員、里親等、これまで養育に関わってきた大人との生活の歩みを写真に残し、それを使った相関図を示す他、子どもへのメッセージ等も書き込まれており、自分ががさまざまな大人から大切に育てられてきた経緯がわかる内容となっている。アルバムはいつでも手にとることができる場所にあり、職員と子どもの振り返りの媒体としても活用している。現在、施設全体でアルバム作成を進める準備をしている。
本園の3つのホームと5ヵ所のグループホームに分散した生活の中、小学高学年を中心にドッチボールやサッカーの活動によりユニットを越えた交流の機会を設けている。日常生活とは異なる環境下、練習や試合を通して互いに助け合い、励まし合う等の経験が本人の自信につながり、子ども自ら活動の継続を希望している。また、畑作業ではじゃがいもを掘り、ポテトチップスにして食す等の試みが子どもたちの興味・関心を高め、自ら作業に携わる子どももいるなど、このような一つ一つの取組が子どもたちの主体性を引き出すことに繋がっている。
さらなる改善が望まれる点
体系的なマニュアルが用意されていないことが継続的な課題となっている。現在施設長が、理念を浸透させることも意図してマニュアル作成を進め、次年度初めに職員に提示する予定としており、新人職員を含めて全体で施設の方向性を共有する機会となることが期待される。人材の層が厚く、現場で先輩から後輩に伝える組織風土が根付いていることは強みでもある。しかし、明文化し、適宜見直す機会を設けることで各職員の理解度も分かり、研修等のニーズ把握もしやすくなるため、今後、マニュアルの体系を定めて文書化を進めていくことが望まれる。
アセスメントのプロセスでは、これまで心理職員が児童票の記載及び児童福祉司から聞き取った内容をまとめ、入所歴、生育歴等を整理していた。一部のケースでは家庭支援専門相談員や心理職員、ホーム職員が生活場面面接を実施したり、治療指導担当職員が個別に聞き取ることも行っている。施設では今後、そのような形をスタンダードにしていきたいと考えており、アセスメント項目に沿って体系的に確認していく仕組み作りが望まれる。また、自立支援計画策定の過程で、子ども自身がより意識的に目標設定に関与できるような仕組みの構築も期待したい。
今年度は新たな施設長のもと、以前より積み残されてきた様々な課題解決に取り組んだ1年であった。そのため、組織の土台となる職務分掌や役割の再構築、各種規程類の見直し、会議の整理、キャリアパスに基づいた職員個別の研修計画の策定、書類や物品の管理と整理等、従来より課題としてきたことが後回しになっていることを認識している。解決すべき各種課題を洗い出して優先順位を定め、中長期のロードマップに目標達成の指標を明記するなど、TODOリストの活用と併せ、マネジメント体制の強化が必要となっている。
事業者が特に力を入れている取り組み
本年度、人材育成委員会を設置し、「安心・安全・信頼感のあるチームワーク」を目標に取り組んでいる。内部研修を充実させ、年4回は管理職がテーマを設定し、その他に人材育成委員会が主導してテーマを考える研修も年5回実施している。委員会主導の研修では「睡眠について」等、現場が知りたい内容がテーマとなっており、「先輩職員に聞いてみよう」として失敗談を語ってもらう等、フランクに話し合える場となるよう工夫している。地域分散化の中で孤立を防ぐことも目的に取り組み、横の繋がりができ、相談相手が増える等、成果が見られている。
施設では、入所の段階からアフターケアまでを意識して支援の検討を進める等、リービングケアに力を入れている。退所後の継続的な支援には、入所中に子どもとの信頼関係を築くことが重要となるため、一人ひとりの生育歴や特性等の理解を深めるとともに、日々の生活の中で表出する気持ち、また、潜在的な気持ち等を受容することを心がけている。また、虐待の経験から精神面のケアが必要な場合には小児精神科医や心理療法担当職員等からの専門的な支援の実施、生い立ちの整理等の取り組みによって、情緒の安定を図ってアフターケアにつなげている。
生命の大切さを伝えることをベースに、一人ひとりの自己肯定感が高められるよう活動を行うことを主目的として生教育委員会を設置し、ガイドラインを作成している。自立支援コーディネーターを兼務する主任を中心に、生教育委員会の委員が性別・年齢・発達状況に分けて絵本の読み聞かせをしたり、クイズ形式にして学びを深めている。中高生に関しては、1泊2日の自立合宿の中で、生教育を位置づけている。また、職員向けにも研修を実施して職員間の共通認識を図り、日常生活の中でも権利も含めた生教育を子どもに伝えらえるよう環境整備を進めている。
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:利用者全員
- 調査方法:アンケート方式,聞き取り方式
聞き取り方式及びアンケート方式 - 有効回答者数/利用者総数:40/42(回答率 95.2% )
調査対象児は42名であり、40名から回答を得ることができた。満足度が高かった項目としては、「施設での時間の使い方や衣服などの所有について職員は意見を尊重してくれるか」「子どもの年齢や特性や状況に応じて、生活や規則内容等の説明をうけているか」「病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか」などがあげられる。総合的な満足度では、20名が「大変満足」、4名が「満足」の回答であった。全部よいです、子どもがいっぱいいること、紙とかハサミとかあるのがよい、おもちゃがあるから好き、相談にも乗ってくれて優しいので良い施設です、などのコメントがあがっている。意見や要望としては、人の話をちゃんと聞いて改善しようとする心を行動に表して欲しいです、すぐ怒ったり暴力する大人は嫌いです、小遣いを増やしておやつ代増やしてほしいです、不登校とかの子への対応を揃えてほしいです、職員さんによって対応が変わると思います、キッズ携帯等自分の端末を持ちたい、子ども同士の相性を考えて相性悪い子は無理にでも引き離してほしいです、他の子が大人しくしているからと何も思っていない訳ではない、暴力のないホームになって欲しい、などがあがっている。
アンケート結果
1.食事の時間が楽しいひとときになっているか
29名が食事時間は楽しいひとときになっていると回答している。学校の話とかを聞いてくれて良いと思う、いつも一人で食べている、おかわりもするしごはんの時間が楽しみです、お話することがある、静かに食べてる、嫌いな物が出た時は減らしてもらったり頑張って食べている、みんなで話し合いながらご飯を食べるのは楽しい、他の人たちが話しているのを聞いたりするのが楽しいです、うるさいです、などのコメントがあがっている。
2.施設での時間の使い方や衣服・物の所有について、職員は意見を尊重してくれているか
32名が時間の使い方や衣服などの所有について職員は意見を尊重してくれる、と回答している。服とかしまう時も「部屋入るね」って声を掛けてくれる、うんていが好きで公園にも行く、ランドセルを自分で選んだ、野球が好き、遊びたいと言ったら遊んでくれる、おやつもこれ食べたいと言ったら買ってくれる、洋服はいつも綺麗にしてくれる、誕生日外出やホームで出掛けることがある、誕生日外出は自分で決めることが出来る、相談したらすぐに服を買いに行ったり出来るから嬉しい、言いたいけど言えない、などがあがっている。
3.子どもの年齢や特性、個別事情に応じて生活の約束ごとの説明を受けているか
31名が子どもの年齢や特性や状況に応じて、生活や規則内容等の説明がされていると回答している。私は納得できるけど納得できない子もいるみたいです、日常的に話してくれて分かりやすい、包丁などがあるのでキッチンには入りません、並べたり皿洗いとかお米といだりは手伝う、「悪いことしないでね」と言われる、分かるほど伝えられすぎて飽き飽きしている、あまり教えてくれないから分からない、などがあがっている。
4.自立に向けた支援について、多様な選択肢から情報提供や相談対応がなされているか
25名が自立に向けた支援について、多様な選択肢から情報提供や相談対応がなされていると回答している。ちゃんと話を聞いてくれた、私はそういう相談をあまりしません、小学校に行くことが楽しみです、サッカー選手になりたい、幼稚園から帰ってくると「次の準備をしてから話を聞かせてね」と言われる、その日にあったことの話をする、まあまあ聞いてくれたり相談に乗ってくれる、などがあがっている。
5.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
20名が施設内の清掃、整理整頓は行き届いていると回答している。わりと綺麗な方だと思う、見て欲しいです全く出来ていないです、大人が掃除している、「使ったおもちゃは、ちゃんと片付けてから次のおもちゃを使ってね」と言われる、綺麗になっている、ほとんど毎日散らかっていたり物が置いてあると思います、いつも散らかっている、などがあがっている。
6.職員の接遇・態度は適切か
24名が職員の接遇・態度は適切と回答している。汚い言葉は使ってないと思う、優しくしてくれる、甘すぎると感じる、注意と教育ができない人が多いと思う、一部の職員の態度が良くないと思う、、大人の人が怒ると怖いし男の人はもっと怖い、嫌なことをしてしまうと怒られる、職員によってとても言い方が強い人がいて嫌だと思う、などあがっている。
7.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
31名が病気やけがをした際の職員の対応は信頼出来ると回答している。部屋まで様子を見に来てくれる、時々というか結構忘れられがち、風邪をひいてもご飯が届かないことが多い、病院へ行ってくれたし優しくしてくれた、熱が出た時は和室の部屋に一人で寝ることになるが近くで寝てくれるけど和室はちょっと暗い、お熱の時のご飯は別にしてくれる、けがやお腹が痛い時は病院に連れて行ってくれる、一応助けてくれる人もいるし助けてくれない人もいる、などあがっている。
8.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
24名が子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できると回答している。ちゃんと話を聞いてくれる、けんかの時は口で注意して無理だったら大人が止めてくれる、大人が「ごめんなさいしよう」と言ってくれる、対処が甘いと思う、他の子どもに迷惑が掛かっている、などあがっている。
9.子どもの気持ちを受け止め、尊重した対応がされているか
25名が子どもの気持ちを受け止め、尊重した対応がされていると回答している。時間をとって自分のことを考えてくれる、あやとりを教えてくれた、泣きたくなった時「大丈夫?」と聞いてくれる、大切にしてくれる、泣いちゃった時は大人が抱っこしてくれるので安心する、人によると思う、などがあがっている。
10.子どものプライバシーは守られているか
27名が子どものプライバシーは守られている、と回答している。他の子に聞かれないように配慮してくれる、人によると思う、ばらされることがある、話して良いと言っていないこともたまに共有されていることがあって嫌でした、児童相談所の人は「秘密にして」と言ったことを全部親に伝えます、などがあがっている。
11.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか
26名が個別計画作成時に、利用者の状況や要望をきかれていると回答している。聞いてくれました、驚くほど自由だと思う、一緒に考えてくれる、小学校の勉強を頑張るという来年の目標を担当と決めている、とても聞いてくれている、本にあった実験をやってみたい、自分で決めた目標を書いて貼っている、などがあがっている。
12.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
25名がサービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいと回答している。明確で分かりやすい、もっと早くに知りたかったこともあった、生い立ちノートをやっている、聞いてくれる、などがあがっている。
13.自らの権利について、さまざまな機会をとらえて職員はわかりやすく教えてくれるか
26名が自らの権利について、さまざまな機会をとらえて職員はわかりやすく教えてくれると回答している。教えてくれる、うるさいほど聞かされました、例を挙げてくれて分かりやすい、何回かやっている、説明が早くて分からない、などがあがっている。
14.子どもの不満や要望は対応されているか
24名が子どもの不満や要望は対応されていると回答している。すぐ話を聞いてくれる、どうしようもない時もあるから仕方ないと思うことにしている、人によると思う、現実はここに住んでいるのは私だけじゃないのでそう上手くはいかない、そういう時は大人に言うとやってくれる、会議で相談をしてくれている、職員さんによって違ったりするので揃えてほしいです、などがあがっている。
15.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
26名が外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられている、と回答している。自分は相談する気ないけれど伝えてくれた、とのコメントがあった。
組織マネジメント分析結果
◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合は
で、実施できていない場合は
で表しています。
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
- 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
- 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
- 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
コンプライアンス強化に向け、職員面談は施設等と補佐の2名体制で実施している
毎年、第三者評価を受審し、子どもと職員の意向を把握するとともに、フロア会議、子ども会議等で子どもの意見や要望等を吸い上げ、子ども同士の話し合いを通して、ホームのルール等の見直しに繋げている。また、年2回、ホーム以外の職員が一人ひとりの子どもに聞き取りを実施しており、子ども自身が職員を選べるようにすることで、安心して話ができる環境を整えた。職員面談については、コンプライアンスを強化するために、今年度から施設長と施設長補佐の2人体制で実施しており、記録を残すことで客観性を担保している。
中長期のビジョンは描いたが、より現実的な計画としていくための準備を進めている
施設の中長期計画策定に向けて「将来構想委員会」を設置し、区の中長期計画や児童法改正の状況等踏まえて環境分析等を行ってビジョンを描いたが、予算等との調整が課題となっており、法人全体で検討する必要があるとしている。そのため今年度は、より現実的な計画としていくために、主任会議でビジョンを描き、内容はワーキングを設置し検討することを予定している。区児相の設置は未定といった政策動向等を踏まえ、多機能化を図っていくことで地域支援を充実させていくとしており、次年度以降のショートステイの複数受入を検討している。
副主任会議で課題解決に向けたTODOリストを作成し、進行管理を行っている
単年度の重点項目は社会情勢と職員のヒアリングを参考にして管理者が設定してきたが、新たな施設長は職員の主体的を引き出すためには事業計画の策定プロセスについても変更が必要だとし、可能な限り現場におろして、それぞれの職員が役割をもって課題解決を図っていきたいと考えている。現在、5つの委員会の責任者は副主任が担っており、「副主任会議」において課題解決に向けたTODOリスト(内容、いつまで、誰が、誰に、どうする)を作成し、課題の達成状況等を確認している。
1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
- 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
- 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
- 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
- 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
- 事業所の経営状況を把握・検討している
- 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
- 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
- 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
- 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
- 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
第三者委員の増員と子どもとの交流の機会を設けていくことを課題としている
事業計画書に東社協の児童部会が作成している倫理綱領を掲載し、運営指針とともに年度初めに職員に配布をしているが、読み合せ等は実施していない。今後は8つの基本方針から一つを取り上げてグループワークを実施し、職員の理解を深めていくことを予定している。コロナ禍以降、第三者委員と子どもとも交流は控えているが、次年度以降、夕食会の再会や第三者委員の増員を予定している。また、権利擁護委員会では、年1回「子どもの権利のつどい」を開催して子どもの権利ノートや苦情解決制度について説明をしている。
子ども自身が選択したホーム以外の職員が、年2回子どもへの聞き取り調査を実施する
「子どもの権利のつどい」に加え、年2回施設長による権利ノートの説明を行い、説明後には全児童に個別の聞き取りを実施しており、聞き取りはホーム職員以外の専門職や他ホームの職員が対応するとともに、子ども自身が話をしたい職員を選べるようにしている。今年度は複数の外部講師による虐待防止研修を実施し、グループワークを通して課題はチームで共有すること、相互に指摘し合える組織としていくことを確認し、チームワークをテーマにキャリアコンサルタント(SV)によるチームビルディング研修を実施した。
地域支援充実に向け、次年度以降のショートステイの複数受入を検討している
地域の子育て支援拠点となることを目標としており、地域支援担当チームを編成し、ショートステイ担当職員が中心となり、目黒区子ども家庭支援センターと定期的に協議を行い、今後のあり方を検討している。現在、ショートステイは1世帯のみの対応であるが、要支援ショートステイが入るとショートステイの受け入れができなくなることを課題とし、受入枠の検討をしている。ショートステイ利用時には保護者の来所を促して職員と一緒に料理をする機会を設けており、保護者の悩み等に寄り添い支援をしている。
1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
- 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
- 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
- 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
- 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
- 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
- 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
- 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
- ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
- 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
- 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
- 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
職員の感情をヒヤリハットに盛り込み、職員と子どもの状況を分析している
ヒューマンエラーは必ず起こるものとして捉え、ミスをしてしまったことを言える、気になることは言い合える組織とするために、ヒヤリハットを活用している。特に、虐待防止の一貫として「職員の感情」をヒヤリハットに盛り込んでおり、職員自身の心の動きを含めてヒヤリとしたことを記載するよう促している。提出されたヒヤリハットや事故報告書はホーム会議で共有後、副主任から主任に報告し、対応策が示される。虐待防止委員会では3カ月ごとに集計を行い、子どもの状況や職員の状態等を分析しており、全体会議で対応策含め、周知を図っている。
BCP訓練を通して課題を洗い出し、実態に即したBCPとマニュアル作成が期待される
昨年度、防災担当の職員がBCP作成に関する都の研修に参加し、フォーマットに基づき災害対応のBCPを作成している。しかし、施設の実態に合った内容となっているか、実際に災害が起きたときに活用できるのか検証が必要だと認識しており、防災委員会において見直しの検討を進めている。特に職員の参集について緊急連絡網は作成しているが、連絡網を用いた訓練は実施していないため、実際に機能するのか確認する必要がある。また、子どもには避難場所の説明はしているが、緊急時の連絡方法等を共有することを課題としている。
ファイリングを含めた書類の体系化やPCのフォルダ整理等が課題となっている
子どもの情報が書かれた各種記録の管理について、鍵のかかる書庫で保管すること等、全体会議で施設長から注意喚起が図られており、事務所には防犯カメラを設置するとともに、パソコンにパスワードを設定し、記録システムには職員個々のIDでアクセスする仕組みとしている。Wi-Fiも職員用と児童用に分ける等、セキュリテイ対策を取っている。一方で、ファイリングを含めた書類の体系化やPCのフォルダ整理等、手が回っていない状況があり、各ホームの書類の取扱い状況等を確認し、優先順位を定めて整理を進めていく必要がある。
1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
- 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
- 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
- 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
- リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
- 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
- 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
- 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
- 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
- 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
ウエブサイトやSNSのコラムを通して支援内容を発信し、職員の応募につながっている
ウエブサイトやSNSによる情報発信に力を入れており、職員採用情報をはじめ、子どもたちの日々の一コマをコラムとして発信している。コラムは職員の子どもたちへの目線が伝わる内容となっており、コラムを通して応募をしてくる人もいる。PR委員会ではコンテンツの閲覧数を分析し、コラムを記載した職員を表彰してモチベーションアップにつなげており、更新頻度が滞らない要因ともなっている。また、オープンハウスやフォーラムでのPR、実習生の積極的な受入により職員を確保しており、地方からの応募者も増えている状況である。
職員面談の内容を下に研修計画を作成し、グループワーク等でチーム力を高めている
年2回、職員との個人面談を実施しており、今年度から施設長と施設長補佐による2名体制とすることで密室性を排除し、職員が安心して話しができる環境を整えた。面談では職員が受講したい研修を確認し、その内容をもとに人材育成委員会が研修計画を作成しており、セカンドステップやペアレントトレーニング等、グループワークを取り入れることで、チームワーク醸成につなげている。新人職員には「KPT法」による育成を図っているが、今後はチューター制度を取り入れる等、相談体制を整えて定着につなげていきいたいとしている。
児童精神科医や外部講師による研修等で、子どもの行動の背景への理解を深めている
採用時より児童養護施設の現状等を伝えているが、子どもとの関わり等からメンタル面で不調をきたす職員もおり、試し行動や怒りを引き出す行動等、虐待を受けた子どもが示す行動等について、児童精神科医による研修を実施し、治療的支援が必要なことを職員間で共有している。また、外部講師による生教育や権利擁護に関する研修を年4回実施し、支援力向上を図っているが、職員個別の育成計画については未整備であり、今後の課題としている。さらに、職員確保及び福利厚生の充実に向け、宿舎借上げを進めていきたいとしており、成果が期待される。
1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
- 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
- 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
- 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
- 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
- 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
- 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
- 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
- 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
- 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
- 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
- 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
- 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
- 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
目黒若葉寮の理念・基本方針に沿った支援を行い、子どもの最善の利益を保障するため、「子どもの養育と権利擁護」を目標に設定している。
具体的には、①児童精神科医より児童理解の研修を行った。②児童虐待防止センターより講師を招き、マルトリートメントの研修を行った。
結果として、児童が抱える困難さやアセスメントの重要性を学ぶことができた。また、不適切な対応の基礎的な知識を得ることができた。
今年度も引き続き、児童の権利擁護に対して、職員の意識をさらに強いものとするために、「権利擁護」を重要課題とした。職員全体で考えられるよう施設内で研修を開催したい。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
施設では子どもへの権利侵害の事案が起きたことから、施設の基本方針の一つである「私たちはすべての子どもの権利を守ります」の徹底に向け、「子どもの養育と権利擁護」を目標に掲げて取り組みを進めた。具体的には、「権利擁護委員会」を中心に権利教育の企画・調整を行い、職員の支援力向上に向け、児童精神科医による研修を実施した。研修では、虐待を受けた子どもの特徴を学び、治療的支援が必要なことや、感情労働という側面からアンガーマネジメントの重要性を確認している。また、児童虐待防止センターの講師からは、不適切な支援について事例を交えて学ぶことが出来た。これらの取り組みからアセスメントの重要性を認識し、根拠に基づいた支援とするために、今後は全ての子どもに対し家庭支援専門相談員と心理職員2名体制で面接を実施し、アセスメントの充実を図っていくとしている。また、施設内虐待をテーマとした研修を実施し、グループワークを通して職員間で児童の権利擁護への理解を深めることに引き続き取り組んでいる。
2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
「地域の子育て支援の拠点となることを目指し、地域支援担当チームを組織する」、「要支援ショートステイを開始し、地域支援を拡充する」ことを目標に設定した。地域支援担当チームの職員が定期的に関係機関と協議を行い、地域の子育て世帯を包括的に支援する体制を整え、要支援家庭の母子と料理教室を開いたり、縁日を開催する等、母子関係が良好になるよう支援した。要支援ショートステイは一年通して利用があり、定着している。結果として、目黒若葉寮の地域支援事業の一つとして大きな柱となったことを検証した。今後も虐待予防のため、地域支援のさらなる拡充を目指すことを継続課題とし、ショートステイの複数家庭受け入れに向け、目黒区と調整を行っている。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
虐待相談が増加の一途にある中、施設では政策動向等も踏まえながら多機能化を進め、地域の子育て支援の拠点として機能していくことを今後のビジョンとして描いており、虐待予防に向けた体制整備を進めている。具体的には、ショートスティ担当、育児指導担当、里親支援専門相談員による地域支援担当を配置し、目黒区家庭支援センターと協議を重ねながら、地域支援のニーズを分析しており、要支援家庭に向けたショートステイ事業を行っている。ショートスティを利用する保護者には、乳幼児期の育児方法や適切な子どもとの関わり方等、子育ての悩みに答えてアドバイスをするなど、保護者に寄り添いながら、子どもへのケアを行っている。ショートステイ事業については、要保護ショートステイが入ると受け入れができないため、複数家庭受け入れを実現するために、目黒区と協議を重ねている。
サービス分析結果
【講評】
目的別に施設の概要を説明し、案内する機会として「オープンハウス」を開催している
年に数回、施設説明会「オープンハウス」を開催している。目的別に説明内容を変え、「児童養護施設を知りたい、支援をしたい」という方には施設の現状や必要とされる支援について、「施設で働きたい」方には仕事内容ややり甲斐について、「ボランティア活動に参加したい」という方にはボランティアグループの紹介等を行っている。施設の現状等についての説明会は、本年度は3回実施し、ウェブサイトで告知している。就職希望者向けには適宜開催し、ボランティア希望者には問合せフォームを通じて個別に案内している。
フレンドホームやボランティアの呼び掛け等、地域の方向けの情報提供も充実している
ウェブサイトには施設の理念・基本方針・事業目的、施設長挨拶、子どもたちの生活場所や一日の流れ・行事の紹介、社会的養護施設の説明等が見やすく掲載されており、外部の人が施設の概要を知ることのできるツールとなっている。「地域の皆さまへ」のページではフレンドホームや養育家庭(里親)、ショートステイについて紹介し、また、他のページでは「建替えプロジェクト」や卒寮生への物品送付等への寄付を募る等、地域の人と施設とを繋ぐ機能も持たせている。
PR委員会等が中心となって情報発信を行っており、職員によるコラムも好評を得ている
情報発信についてはテーマ別に役割を分担しており、子どもの生活等に関する内容はPR委員会が、職員募集・採用に関しては人材育成委員会が担い、それぞれに企画・実施している。ウェブサイトのコラムには毎月5、6件の投稿があり、子どもたちの日常生活の一コマや行事の様子、アフターケア等の支援の内容等について知らせている。PR委員会では、最も閲覧数の多かったコラムや、職員が初めて書いたコラムを選んで表彰する等、執筆へのモチベーションアップを図っている。SNSも活用して情報を発信しており、寄付等のやり取りにも繋がっている。
1.子どもや保護者等に対してサービスの情報を提供している
- 子どもや保護者の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
- 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
- 子どもや保護者の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
事前面会及び見学の際には子どもが安心できるように努め、ポイントを説明している
基本的に、家庭支援専門相談員とホーム担当職員が入所前に子どもと面会し、顔合わせを行っている。その後、可能であれば施設見学を受け入れ、子どもに実際の生活環境を見てもらいながら、就寝時間、門限、お金の使い方、スマホやWi-Fi等に関するルール等を説明している。その際、事前面会と同じ職員が対応するようにし、子どもの安心感に繋げている。説明の内容が過多にならないよう、年齢によってはスマホを夜間に預かることがあるといった、子どもにとって気になる部分を中心に説明し、入所前に理解しておくことができるようにしている。
入所前の情報収集を重視し、各職員が質問事項を挙げて児童相談所に確認している
児童票に記載された内容や、面会・見学時の子どもとのやり取り等を通じて把握する情報に加え、必要な情報をできるだけ入所前に得ておくことを重視している。ホームの担当職員や管理職、主任が、児相への質問をアセスメントシートに各自記入していき、それを基に家庭支援専門相談員が児童福祉司に確認し、回答を共有している。特に、親の状況や、入所について児童福祉司が子どもにどのように説明しているかについては、子どもの年齢を問わず必ず確認するようにしている。生い立ちの整理の第一歩として、子どもの意向確認のやり取りを重要視している。
適切な環境での生活が当たり前になるよう、子どもの背景を理解しつつ対応している
子どもの生活習慣については、一時保護所での生活も経てある程度身に付いていることが多いが、食生活や衛生面等に課題のある子どもも一定数いる。職員は、生活環境を整えることが子どもの安定に繋がるとの前提で、ホーム会議で情報を共有し共通認識を持ち、子どもの背景を理解し、無理強いしないアプローチを取るようにしている。子ども任せにはせず、例えば苦手な食べ物や食べたことのないものは「一口食べてみよう」と声を掛けたり、味付けを変える等の工夫をしている。入浴についても、入れたら褒める等しながら、寄り添い、援助している。
1.サービスの開始にあたり子どもや保護者に説明し、理解を得るようにしている
- サービスの開始にあたり、施設の基本的ルール(約束ごと)、権利擁護の取り組みをはじめとした重要な事項等を子どもや保護者の状況に応じて説明している
- サービス内容について、子どもや保護者の理解を得るようにしている
- サービスに関する説明の際に、子どもや保護者の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
- サービス開始時に、子どもの支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
- 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
- 入所以前の生活習慣等をふまえた支援を行っている
- サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、退所後の支援の継続性にも配慮している
【講評】
入所後1ヶ月を目処に子どもへの聞き取りを行い、子ども像の理解を深めている
入所1ヶ月後に子どもへの聞き取りを実施している。入所前の家の間取り、ジェノグラム、食事、衣類、衛生、学校等について確認し、家族への思い等も聞き取っている。現在は一部の子どもを対象としているが、今後は全員に実施していく予定である。聞き取りはこれまで、家庭支援専門相談員が一対一で、一部の子どもを対象に実施していたが、今後は心理職員も加わり、全ての子どもを対象にすることを標準にしていく予定である。新たな情報を把握する他、雑談も交えて、子どもとのコミュニケーションを深める機会にもなっている。
本年度から自立支援計画書策定会議を開催し、視点を深めて検討できるようにしている
自立支援計画書の策定にあたっては、これまで担当職員が作成した案を関係職員で回覧し、確認する方法を取っていたが、本年度は自立支援計画書策定会議を開催し、顔を合わせて検討できる場を設けた。ホーム職員、主任、管理職、専門職(家庭支援専門相談員、職業指導員、自立支援担当職員、自立支援コーディネーター、栄養士、心理職員)が参加し、ケースによって里親支援相談員も加わり検討した。生い立ちの整理を始めた方が良いのではないか等の意見があれば発達段階を含めて話し合う等、具体的なやり取りにより支援の見通しを検討している。
チーム養育を効果的に進めるために、職員間の情報共有を重視し、連携を図っている
チームでの養育を大切に考え、職員間での連携を図っている。一人ひとりの子どもの状況に応じて支援を行う中で、ルールを一律に適用するような対応をしていないため、「このような状況であったから、多少不適切なことも許容している」等の現状を職員間で共有し、子どもにも「聞いているよ」と伝えられるようにする必要性を認識している。交代勤務の中で、支援の意図も含めたこまめな情報共有を大切にし、その基本は育成記録への記載であるが、記載状況には職員による差があることを課題としている。勤務開始時に必ず目を通すこと等の徹底も望まれる。
1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している
- 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
- 子ども一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
- アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.子どもや保護者の希望と関係者の意見を取り入れた自立支援計画を作成している
- 計画は、子どもの最善の利益を第一に、子どもや保護者の希望を適切に反映して作成、見直しをしている
- 計画を子どもにわかりやすく説明し、同意を得るようにしている
- 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直すとともに、緊急に支援内容を変更する必要が生じた場合の対応や計画変更のしくみを整備している
3.子どもに関する記録を適切に作成する体制を確立している
- 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
- 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している
- 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
- 申し送り・引継ぎ等により、子どもに変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.個別の自立支援計画に基づいて、自立した生活が営めるよう支援を行っている
- 個別の自立支援計画に基づいて支援を行っている
- 子ども一人ひとりに合った方法で、子どもと職員との愛着関係や信頼関係を構築するために受容的・支持的な関わりをしている
- 小規模なグループでケアを行うなど、子どもが家庭的な環境の中で生活できるよう支援を行っている
- 子どもの発達支援等のため、精神科医等が子どもの発育等に応じ個別判断した上で、児童相談所と協議し、適切な職員等が生い立ちを振り返る取り組みをしている
- 退所後の安定した生活基盤の確保に向け、関係機関や関係職員が連携をとって、リービングケア(退所後の生活を見越した支援)を行っている
- 退所後は計画に基づいて、一人ひとりに応じた支援を関係機関や関係職員と連携して行っている
【講評】
子どもの意向を反映した計画書に基づいた支援の実施状況をホーム会議で確認している
施設では、幼児・小学生・中学生・高校生の各養護方針を事業計画に掲げ、「安心・安全」「生活」「自立」「情緒」「家庭調整」「地域とのつながり」の6項目にそれぞれ支援の基軸を明記している。また、個々の子どもの支援は、それぞれに聞き取った頑張りたいこと等を反映した自立支援計画書を基に行っており、ホーム会議で個々の状況や支援の進捗を確認している。本園に3つのホーム、5ヵ所のグループホームと小規模化し、ユニット最大8名の子どもが生活できる環境を整えているが、個室の確保に関しては十分とはいえない状態を課題と認識している。
「生い立ちの整理」を丁寧に行い、子どもの自己肯定感を育む支援を進めている
子どもの心身の発達等に関しては、嘱託医である小児精神科医に相談しており、ケース会議の開催にあたり、個々の理解につながる助言等も求めている。また、本人の自己肯定感を育み情緒の安定を図るために、保護者への関心等を示したタイミング等に児童相談所と協議のうえで「生い立ちの整理」を進めている。これまでもアルバムは用意しているが、特に愛着関係をつくるうえで大切な幼少期から、大人から大切にされてきた気持ちや、関わり等を振り返ることができる仕様のアルバムを作成しており、今後、施設全体へと推進していく予定がある。
制度を活用して退所までの準備期間を設け、退所後は具体的な支援を継続的に行っている
措置延長や社会的自立支援事業等の制度を活用できる環境が整備されたことにより、施設内の退所に向けた支援方針への共通認識が図りやすくなっている。今年度の退所予定者5名中4名が進学を希望しており、1名は方向性を検討中であるが、退所に向けて法人が契約するアパートを借りて一人暮らしの経験を積む等、慎重に準備を進めている。退所後は、アフターケア計画を作成し、家庭復帰した場合はFSW、その他は自立支援コーディネーター等の専門職を中心に、担当ホームの職員が連携し、訪問や相談対応等、具体的かつ継続的に支援にあたっている。
2.家族等との関係構築に向けた取り組みを行っている
- 家庭支援専門相談員を中心に、家族等との関係構築のための支援方針が明確にされ施設全体で共有されている
- 子どもの最善の利益を第一に子どもや保護者等の意向を確認しながら、関係機関と連携をとって、子どもと家族の関係調整に取り組んでいる
- 子どもの状況や行事等の情報を個別の連絡により保護者等に知らせている
- 保護者等との面会、外出、一時帰宅等は、状況を把握したうえで、子どもの安全に注意しながら行っている
- 養育家庭や養子縁組等の制度が有効に活用されるよう児童相談所と連携をとっている
- 入所中の子どもの家族等(里親を含む)に対し、退所後の生活を想定したさまざまな支援を行っている
【講評】
家庭復帰にあたっては子どもの心情に留意しつつ安心・安全性に留意している
子どもと家族との関係調整は2名のFSW(家庭支援専門相談員)を中心に進めており、子どもの気持ちや意向を把握し、施設内の方向性の合意をとって児童相談所と方針の擦り合わせを行い、自立支援計画書にも反映している。面会等の交流後には子どもの気持ちや家族の心情等を確認し合い、その後の支援を検討するプロセスを繰り返し、家族の心情や家庭環境等、子どもが安心・安全に家庭に帰れるかを児童相談所と協議して決定している。家庭復帰後はアフターケアによって、子どもや家族の心情や生活状況を把握しながら、支援を継続しサポートしている。
子どもの自立生活への支援体制の整備にあたり、家族の理解と協力を求めている
家庭復帰ができる状況は多いとはいえないが、子どもと家族双方の気持ちを聞き取りながら、可能な限り交流の機会を設け、関係の維持・構築に向けた支援を行っている。また、家族には子どもの将来生活への援助ができるか等も児童相談所やFSWが確認し、学校行事への参加、面談の実施等を促しており、職員が同行して進路の話を一緒にする機会も設けている他、子どもの意向を共有し、進学時のサポート体制等を検討している。家族との面会の際には育児担当職員も関わることがあり、家族からの電話対応を担う等、FSWと連携しながら支援にあたっている。
養育家庭やフレンドホーム等の制度も活用して子どもの愛着形成をサポートしている
児童相談所との協議により養育家庭の候補が挙がると、里親支援専門相談員が里親と子どもとそれぞれに意向の確認を行う等、交流のタイミングを図っている。交流にあたっては子どもの心情を第一に考え、ボランティアとして幼児ホーム全体と関わり、慣れて良好な関わりが持てるようになった際に、里親について説明衣し、個別の関わりを増やしている。一方、養育家庭までは難しくてもフレンドホームとして登録を依頼し、子どもが週末や長期休暇等の際に、家庭的な雰囲気の中で特定の大人と愛着関係を築ける環境を整え、情緒の安定につなげている。
3.子どもが楽しく安心して食事ができるようにしている
- 楽しい食事となるような環境を整えている
- 食事時間は子どもの希望や生活状況に応じて対応している
- 食事の献立は、子どもの状況(食物アレルギーや疾患等に関する主治医等の指示を含む)や嗜好に応じて工夫している
- 食習慣の確立や食についての関心向上のため、関係職員と連携して食育の推進に取り組んでいる
【講評】
子どもの年齢や発達状況に合わせて安全な食事、食べやすい食事の提供を心がけている
事業計画には、栄養士・調理員を配置し、安全な食事を提供するとともに、望ましい食習慣が身につくよう働きかけ、子どもが楽しく食事ができる環境を作る旨の方針を示している。栄養士がバランスを考慮した献立を作成しており、子どもの年齢・嗜好・発達を考慮し、食べやすい大きさにする等、切り方の工夫を行っている。また、温かいものは食べる直前に作る等、提供時間に合わせた調理を行うことを各ホームの職員にも伝えている。さらに、アレルギー除去食が必要になった際は、医師の診断に基づいた食事を提供し、周囲とも共有し安全性に配慮している。
ホームでの調理ができるようになり、子どもが食事を楽しめる環境を整えている
各ホームでの調理体制が整い、日常生活の中で子どもとやり取りをしながら、身近な職員が食事を作る等、家庭的な雰囲気、環境づくりを進めている。ホーム毎の買い出しも次年度より行うが、子どもの買い物経験の意味合いは大きい反面、現場の職員の負担感が大きくなることは課題と捉えており、サポート体制も検討している。通常の食事に加え行事食があり、誕生日には子どもの希望のメニューやケーキを提供して全体で祝うことが恒例となっている他、手作りのおやつ作りも子どもから好評であり、野菜作り体験等、さまざまに楽しめる環境も整えている。
食育や調理技術等、「食」に関する職員間の共通認識を図っていくことが望まれる
献立表に栄養士からのコラムを掲載し、食に興味、関心を持てるようにしている他、職員が一緒に食べる、見守る等、子どもを一人で食事させないことにも留意している。高校生を対象に自立に向けた調理実習等も行うが、難しい場合は栄養士が一緒にスーパーマーケットへ行き、栄養バランスの良い弁当、冷凍食品等を選ぶ体験の機会を設ける等、現実的な助言を行っている。一方で、新人職員の入職が増えて、食育をはじめ食事に対する考え方や価値観、技術等が多様になっていることから、調理実習や研修等により職員間の共通認識を図っていくことが望まれる。
4.子どもの健康を維持するための支援を行っている
- 入所まもない子どもの健康状態(口腔ケア、視力等)に配慮し、健康維持のための支援を行っている
- 健康に関して、子どもに理解を促す取り組みを行うとともに、子どもからの相談に応じ、必要に応じて子どもや保護者等に説明をしている
- 子どもの服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などのしくみを整えている
- 医療機関と連携しながら、日頃の健康管理を行い、子どもの体調に変化があったときには、速やかに対応できる体制を整えている
【講評】
健康診断結果を踏まえ、嘱託医と連携して個々に必要な治療等の対応を図っている
入所の際は、児童相談所で行った健康診断結果をもとに子どもの健康状況を確認し、その後は年2回の健康診断を実施して、個々の発達・成長、疾病等の把握をしている。子どもの病気に関しては嘱託医に相談して、個々に治療の必要があれば、児童相談所を通して保護者等の同意も得ながら通院の対応をしており、病気の症状に応じて、保護者とも情報共有を行っている。また、入所時に食物アレルギーの診断がある場合は、その内容と対応方法全職員に周知するとともに、除去食の提供と支援状況等を記録に取り、医師の指示のもとで適切な対応に努めている。
予防接種や個別性の高い疾病の治療は近隣クリニック等の医療機関と連携している
コロナ禍にあっては「新型コロナウイルス感染症マニュアル」に則り、検温や手指消毒等により感染予防に努めていた他、5類に移行した後も健康管理等は継続的に行っている。また、インフルエンザ等を含む予防接種は、近隣クリニックの医師が来所して施設内で実施する等、協力を得ている。嘱託医である2名の小児精神科医へは、子どもの発達・成長、体調不良等が発生した際に相談しており、夜尿、先天性の疾病等の個別性の高い病気に関しては、近隣の医療機関と連携するとともに、日常生活における職員のサポート等、回復に向けた対応を図っている。
服薬管理やチェック体制の標準化、職員の知識等の習得に向けた実践が望まれる
「服薬マニュアル」が作成されており、服薬管理や支援に関してはそのマニュアルに則り対応するよう、職員間の共通認識を図っている他、服薬チェック表をつけることになっており、退所後も薬の服用を要する場合は、管理も含めて子どもが自分でできるように支援も行っている。一方で、マニュアルが形骸化し、処方薬がテーブルに置いたままになっている場面が多く見られる等の意見が職員から挙がっている。今後は、服薬管理やチェック体制の標準化とともに、公衆衛生に関する職員の知識等の習得の必要性も施設は認識しているため、実践が望まれる。
5.子どもの精神面でのケアについてさまざまな取り組みを行っている
- 子どもが心の悩みや不安を相談できるように工夫している
- 性についての正しい知識と理解が得られるよう、子どもの年齢や状況に応じた説明を行っている
- 子どもの課題に応じて、心理的ケアや医療的ケアが必要な場合は、関係職員・機関と連携をとって、支援を行っている
【講評】
早い段階から心理的な視点を入れて子どもを把握し、個々に必要な支援に活かしている
男女各1名の小児精神科医、常勤・非常勤各1名の心理療法担当職員、常勤の治療指導員を配置し、子どもの心理的ケアを行っている。入所した子どもへの面談はホーム職員と心理療法担当職員が行う体制を整えて、早い段階から専門的な視点から子どもの心身状況を把握し、児童相談所とも協議のうえ、プレイセラピーやカウンセリング等、本人に適した心理的ケアを実施している。そこから表出した子どもの感情や家族への思い等は、ホーム職員と共有する範囲を心理ケア担当の専門職間で確認のうえ、記録や会議等を通して伝達、共有して支援に反映させている。
専門職がホーム職員と連携して、個々の子どもに必要な心理的ケアを実践している
心理療法担当職員は心理室にて子どものケアにあたっており、治療指導員は各ホームを訪問し、生活場面の中でスタッフルームや共用部分等、子どもが話やすい環境で聞き取りを行い、ホーム職員にフィードバックしており、その際に子どもへの関わり等に関する相談があれば、それに対応し助言をしている。心理状態がより治療的なケアを要する場合には、医療機関や児童相談所の心理司等にも協力を求めて、心理的な治療にあたっている。毎月の心理職会議で、施設全体の子どもの支援状況を把握し、医師への相談等も適宜行い、ホーム職員と情報共有をしている。
委員会や外部機関による性教育を実施して生命の大切さを子どもに伝えている
生命の大切さを伝えることを基本として、「生教育委員会」を中心に一人ひとりの自己肯定感が高められるよう年間、数回に分けて、年齢別に性教育を学ぶ機会を設けており、就学前の子どもに対しては「命の時間」としてゲーム性を取り入れながら実施している。また、ガイドラインを活用して、日常生活の中でホーム職員が性教育ができるようにすることを目指している。さらに、外部のNPO団体が開催する「巣立ちプロジェクト」の中で性教育を学ぶ機会があり、そこへ参加したり、CAP(子どもへの暴力防止)等の取り組みを通して権利も含め学んでいる。
6.子どもの主体性を尊重し、施設での生活が楽しく快適になるよう支援を行っている
- 居室等施設全体は、子どもの年齢や状況に応じて一人ひとりの居場所が確保され、安心、安全で快適なものとなるようにしている
- 日常生活や余暇の過ごし方は、子どもが主体的にかかわって決めている
- 行事やイベントの企画・準備は子どもとともに考え行っている
- 施設の生活ルールは子どもの意見を尊重し見直しを行っている
- 子どもが一人ひとりの希望や季節等に合った清潔な衣服を身に付けられるよう支援している
【講評】
ホーム間の環境整備の差異を課題と捉えているため、快適な生活への検討が望まれる
本園に3ホームとグループホーム5ヵ所の8ホームに4名から最大8名の子どもが生活しており、事業計画には8ヵ所それぞれの重点目標を掲げてホームを運営している。ホーム内でコミュニケーションを図り、ホーム会議で協議しながら、子どもが心地よく生活できる空間づくりを進めており、共有スペースの整理整頓をはじめ、居室内においても片付けの声かけをする等、快適性に留意している。一方で、環境整備に関しては、ホーム間で差異が生じていることへの課題認識があるため、子どもの将来の生活モデルになることを念頭に検討することが望まれる。
子どもがやりたいことを叶えられるよう職員が連携しながら支援にあたっている
ホーム毎に子どもの意向を確認し、年齢・性別を考慮しつつ、生活上必要な約束を定めており、例えば、勉強・宿題をやってから遊びに行くことを基本スタイルとしているが、遊びに行った後に宿題をすることを職員に交渉する等、自分で生活を組み立てることを尊重している。また、子どものやりたいことを叶えられるように日々生活の中で職員が勤務や優先順位を調整しながら動いている。さらに、野球塾、サッカー教室、バンド活動等、ホーム間の垣根を越えて子ども同士が交流する場を設けており、スポーツや音楽活動等を通して協調性や社会性を育んでいる。
一人ひとりの意向を踏まえて、生活を充実させるための取り組みを進めている
子ども主体で行う子ども会議を通して、一人ひとりが望む生活を検討し、その実現に向けて支援している。また、ホーム内での外出や宿泊等は子どもからの意見・提案を基に、予算等も視野入れて話し合い企画、実施している他、体操、工作、ダンス、歌、柔道、プログラミング、チアリーディング、サッカー、フットサル等の習い事も、情報を入手して手続きを踏んで実施できるようにしている。さらに、衣服等は年齢に応じて職員が一緒に買い物に出かけて購入したり、自分で購入する際は、公共の場で適切かを念頭に置くこと等のアドバイスをしている。
7.子ども一人ひとりに応じた学力向上・進路決定のための取り組みを行っている
- 基本的な生活習慣を確立するとともに、社会常識、社会規範及び生活知識・技術を身につけられるよう支援を行っている
- 学習環境を整備し、基礎学力の向上・学習習慣獲得のための支援を行っている
- 子どもの意欲・意思や能力に応じた学習教材・塾等を活用している
- 進路について、子どもと保護者等、学校、施設による話し合いを行っている
- 多様な選択肢を提示したうえで、子どもの最善の利益にかなった進路の自己決定ができるよう支援している
- 個別に必要な時期・状況で、職場実習や職場体験、アルバイト等の社会経験を積めるよう支援している
【講評】
基本的な生活習慣を習得する支援によって、情緒の安定を図って登校を促している
幼児ホームから進級に伴い移行する際は、体験日を設けて移行先で過ごす時間を作り、少しずつ馴染めるようにしている。子どもの年齢や発達状況に応じて、基本的な生活習慣を身に着けられるよう個別ケアを基本とし、情緒の安定が登校にも影響するとの認識から、日々の心身の健康状態を把握し、本人の特性に応じて支援にあたっている。また、不登校の状態にある場合には、本人の気持ちに配慮しつつ、学校とも協議しながら施設内での過ごし方を検討しており、職業指導員が畑作業等への参加を促して、興味や関心を抱くきっかけを作る等、試みている。
ボランティア団体の協力を得て、専門職を中心に学習及び自立への支援を行っている
外部のNPOボランティア団体のスタッフの協力のもと、子どもの学力に見合った教材等の相談や、その教材を活用した学習へのサポートを得ている他、個別教材のSTAD(スタッド)を利用し、個人の学習の取得状況に応じた基礎学習等、継続的な学習支援を実施している。自立支援コーディネーターや職業指導員等が必要に応じてグループホーム等を訪問し、学習のフォローをしたり、中学3年生~高校3年生を対象に自立に関する学習会を合宿形式で企画して、他の子どもとの交流を図るとともに、自立支援の必要性等を合宿を通して学ぶ機会にしている。
制度活用によって子どもの選択肢の幅が広がり、本人の意向に沿った進路を決定している
アルバイトやインターン等の社会体験は、ホームの職員や自立支援の専門職等が本人の意向を基にその機会を設けている。進路は本人の意向を踏まえ、シミュレーションを行ったうえで、進路会議で方向性の確認を行っており、児童相談所や保護者の意向も把握して、サポートが受けられるか等の確認も含めて進路を決定している。措置延長や社会的自立支援事業等の制度を活用できるようになり、進学を希望する子どもが増える等、選択肢が広がっており、自活訓練室や法人契約のアパートを借りて一人暮らしの体験をしつつ、通学可能な環境を整えている。
8.地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている
- 地域の情報を収集し、子ども一人ひとりの状況に応じて活用している
- 施設の活動や行事に地域の人の参加を呼びかける等、子どもが職員以外の人と交流できる機会を確保している
- 子どもに、地域と日常的に関わりながら生活していることの大切さを伝えている
【講評】
地域社会で開催される企画等に参加し、多様な体験によって子どもの社会性を育んでいる
施設は、本園の他に5ヵ所のグループホームがあり、それぞれの所在地の地域情報をチラシ等から入手しており、コロナ禍は制限があり参加を控えていたが5類に移行した後は、祭りや豆まき等のイベントにも参加できている。また、児童館も活用しており、そこで開催する幼児クラブに未就園児が参加して、他の子どもとの交流を図っている。青少年センターのキャンプに参加した子どもがリーダーを務める経験をする等、施設内の生活にとどまらず、地域社会で開催される企画等に興味・関心を示し、多様な体験によって社会性を育めるよう支援にあたっている。
地域住民との関わり方は職員が身をもって行動で示し、子どもに伝わるよう努めている
日々の生活の中で、近隣住民との挨拶はもとより、外出や旅行等の土産を近所に配ったり、近所の住民から土産をもらう等のやり取りが行われて良好な関係を築いており、グループホームへの理解と協力を得ている。あるホームでは、建物の前をゴミステーションとして使ってもらう等、地域へ可能な協力を行う等、地域住民との関わり方等を職員が行動で示しつつ子どもに伝えている。また、施設では年3回「オープンハウス」を開催して、施設への理解を進めて子どもの支援につなげる他、ボランティアや就職等にもつながるように見学・説明の機会を設けている。
住民や関係者、支援団体の協力、寄付金や寄贈品を子どもの生活に活かしている
施設行事である創立記念のお祝い会の「ホームカミングデー」には退所者を、「卒業生を祝い励ます会」には来賓を招待している。また、支援団体の協力を得て、中・高校生による「東北復興支援ボランティア」の活動を行う等、交流の機会を設けている。「ボランティア・シンフォニー」というボランティアグループを運営しており、行事、生活、学習会の手伝いを依頼しているが、現在は中止している。さらに、子どもや施設にとって必要な物品等を企業のショッピングサイトを活用して、寄付金や寄贈品の支援を依頼する等、子どもの生活に活かしている。
【講評】
年1回、各ホームを巡回して「権利のつどい」を実施し、子どもに合わせて説明している
10~15年程前から「権利のつどい」を開催し、子どもたちに権利の説明をしている。年1回、各ホームを巡回しており、東京都の権利擁護担当者が来所しない年には、管理職及び主任が説明を実施している。本年度は第三者委員にも参加してもらい、さらに透明性を高めながら実施した。説明資料は心理職員の助言を得ながら発達に応じた内容となるように留意し、幼児向けには「子どもの権利ノート」の内容を紙芝居にして、「困ったら助けてって言ってね」等の分かりやすい言葉で伝えるよう心がけた。小学生向けにも都の資料を基にした教材を作成している。
子どもへの個別聞き取りの機会を設け、権利侵害の芽を摘むように努めている
年2回、一人ひとりの子どもへの聞き取りを実施している。聞き取りの担当者については、ホーム職員以外で、話を聞いてもらいたい職員を子ども自身が選んでいる。聞き取り結果を記載する「権利擁護アンケート」のフォーマットを中高生用、小学生用、幼児用に分けて用意しており、子どもにも、施設内で共有することへの許可を得た上で、内容に応じて管理職やホーム職員と共有している。聞き取る内容は、権利の説明を理解できたか、権利が侵害されていないか、ホームをどのようにしたいか等についてであり、幼児には平易な言葉で問いかけている。
子ども同士のトラブル防止のためのワークを実施したいと考えており、実現を期待したい
子ども同士のケンカ等のトラブルがあれば、その都度、暴力や暴言等がいけないことであると子どもが理解できるように伝えている。子どもの持つ背景から来る感情のアップダウン等もあるため、即効性のある対応や解決に至らないことも多いが、ホームで繰り返し話をするようにしている。課題の大きさに応じて、必要と判断した場合には緊急でフロア会議を開催し、話し合った上で、子どもに働きかけることもある。今後は、トラブルが起こってからの対応だけでなく、落ち着いた生活とは何かを子どもたちと一緒に考えるワーク等を実施したいと考えている。
1.子どものプライバシー保護を徹底している
- 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、子どもや保護者の同意を得るようにしている
- 個人の所有物や郵便物の扱い、居室への職員の出入り等、日常の支援の中で、子どものプライバシーに配慮した支援を行っている
- 子どもの羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、個人の意思を尊重している
- 「子どもの権利ノート」などにより、子どもの基本的人権について、日常生活の中でわかりやすく説明している
- 子どもが意見を表明しやすい環境をつくるなど、子どもの権利が守られるように取り組んでいる
- 子ども一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
- 施設内の子ども間の暴力・いじめ等が行われることのないよう組織的に予防・再発防止を徹底している
【講評】
施設内研修でルーティンワークの見直しを実施し、互いのホームの気づきに繋がっている
本年度、人材育成委員会を設置して施設内研修をほぼ毎月実施している。その中で、ホームのルーティンマニュアルの見直しをテーマにした研修を行い、各ホームのマニュアルを持ち寄ってグループワーク形式で話し合った。そのことを通して、参加した職員は自分の所属以外のホームの業務ルーティンも知り、所属ホームとの違いを認識して、改めて振り返る機会になっている。今後、施設全体で標準化するべき事柄について、文書にまとめ、マニュアル化していくことを課題としており、その前段階として一定の成果が出ている。
蓄積されたノウハウを支援マニュアルとしてまとめていくことを課題としている
施設長は、職員が自主的に考え、動くことができるように「メンバーシップ」を大切にしたいと考え、そのための研修や組織作りに取り組んでいる。現場主体で考えてもらうために、皆が共通して持っておくべき土台作りと、そのための標準化を図りたいと考えている。目黒若葉寮は、都内児童養護施設の中でも平均勤続年数が長く、ベテラン層や中堅層も含めて人材の層が厚いことが強みであるが、一方で、口頭で継承されてきている部分が多い。今後も地域分散化が進む中で、新人職員にも分かりやすく、支援のあり方を集約していく取り組みに期待したい。
業務効率化や記録の追加作成、基本事項の見直し等の取り組みを進めている
本年度初めて設置した自立支援計画書策定会議では、計画書案を回覧して意見を乗せていく方法を改め、関係者が集まりその場で決めていく方法を取ったことで、計画策定業務の効率化が図られた。職員に対する年1回の施設長ヒアリングでは、施設長補佐も同席して2名体制で実施することと、記録を作成することの2点を従来のやり方から変更した結果、職員の意向について管理職が情報を共有できる等のメリットが現れている。主任会議の記録も本年度から正式に作成することとした。さまざまな改善を通じて、業務効率化、情報の共有化が進んでいる。
1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
- 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
- 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
- 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や子ども・保護者等からの意見や提案を反映するようにしている
事業者のコメント
このセクションは事業者によって更新される情報です。
評価情報
評価結果のダウンロード
本ページの内容をPDFファイル形式でダウンロードできます。
【講評】
出逢った全ての人を大切にし、安易な措置変更等はしないことを養育観として培っている
目黒若葉寮(以下、施設)では、子どもを含め出会った全ての人を大切に考えるとしており、例えば措置変更や施設変更等を安易に考えるのではなく、自立に必要なことを考えて最後まで支援すること、インケアのみではなく、アフターケアを通して個々の子どもの育ちを支えていくこと等、長年の取り組みの中で養育観として培ってきている。それらの考えは、施設理念「目黒若葉寮は出会いと支え合いを大切にし 人と社会をつなぎます」として表現されており、全体会議や新人職員オリエンテーションで施設長による説明が行われている。
施設長と施設長補佐が交代し、職員が安心して働ける組織づくりを進めている
今年度、施設長と施設長補佐が交代しており、組織運営の在り方について、まずは職員が安心して働くことができる組織をつくることを経営層として確認している。そのうえで施設長は、職員自身が決断し、施設の一員として主体性をもって働いていけるようメンバーシップ型の組織を目指すとし、会議や研修の際には、グループワークを取り入れて職員間のコミュニケーションを促している。徐々に職員から意見が挙がるようになり、「拡大会議」の開催の要望が出た際は、施設長は席を外し職員間で忌憚なく意見交換できる環境を整えた。
ボトムアップの組織運営を目指し、副主任会議の役割強化を図っている
ホーム会議で話し合われた現場の課題は、施設長、施設長補佐、主任、副主任、専門職が参加する「副主任会議」で検討し、支援の方向性を決定するとともに、運営全般に関することは「主任会議」で検討後、意思決定している。決定事項は、全体会議で周知しているが、リモートでの実施のため周知が十分ではないといった課題がある。各ホームの運営管理は副主任が担っており、副主任の情報伝達力の向上と併せ、「副主任会議」での意思決定力を高めることで、ボトムアップの組織運営としていくことを目指している。