評価結果

標準の評価

基本情報

【事業所名称】

けやき第一作業所

【サービス種別】

就労継続支援B型

事業者の理念・方針・期待する職員像

事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)

1) 作業所の役割とは、利用者にとっての安心した居場所であり、
2) 利用者への積極的援助の場であり、家族や支援機関との連携拠点であり、
3) 利用者と地域との社会的つながりの場でもある。
4) 作業所の運営とは、これらを日々に維持向上させて提供するものであって、利用者、職員、関わる皆でより良いその「場所」を作るために自分たちの手でそれを整えてゆくものと考えます。

職員に求めている人材像や役割

対人支援の面については、「丁寧に話を聞いてゆくこと」が支援方法の基本であり、年代・性別・社会的経験経歴もさまざまな利用者の個々人との良いつながりを得られるように、職員個々にもその個性を生かして仕事をしてほしい。また、生産活動の業務については、日々利用者と共に日常の受注作業をしてゆく中で、事業所や地域とのつながりの場面には、社会的責務を充分に自覚し、丁寧な業務をしてほしい。

職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

基本的・根本的には、対等な大人同士の互いの尊厳を守る中での、支援=良好な関係の場を育めることが大切であり、強権的に正しいとする意見やルールを押し付けるのが支援なのではなく、つねに利用者と共に精神的に学び育つように考えることが必要であると考えています。

全体の評価講評

特によいと思う点

本事業所の「理念・行動指針」には、作業所の果たす役割として、「精神的なよりどころ」が第一に掲げられています。もちろん「就労にむけて支援化する」という役割も明記されていますが、そうした機能が発揮できる大前提として、「気持の安定を得て、自己表現できる」場づくりが強く意識されています。就労を意識するあまり利用者に過度な就労意識の向上を強いることより、利用者一人ひとりのニーズに合わせて多様な支援を行うことに重きを置くことで、継続的に通所ができる安全・安心な拠り所として利用者や家族から強い支持を得ています。

上記の通り、利用者や家族からの支持を高く得ていることは、事業所の理念である「利用者にとっての安心した居場所づくり」「家族や支援者との連携拠点」「利用者と地域社会との社会的なつながりの場」などを体現化するために、職員が一丸となって取り組んでいる結果と思われます。特に職員間の関係性は施設長からのトップダウンではなく、話し合って決めていくという風通しのよさが利用者への細やかな支援にも活かされています。理念は掲示されていますが、読み合わせというよりは、日々の話し合いなどで自然に理念が浸透する風土があります。

当地で初めての精神障害者小規模作業所として事業開始してから40年近く運営を行ってきており、理念にある「地域との交流の場」として、精神科利用の方の家族の悩みについての相談や学習、懇談の場としての月1回の「家族の集い」を定期的な開催、障がい者自立支援協議会への活動参加を始めとして地域との関わりを深めてきています。コロナ禍で地域でのバザー等の交わりの機会は縮小していますが、周囲の住宅街の古紙回収や近隣の公園や図書喫茶店の利用等、周囲との密接な係わりを継続して、地域住民との繋がりを伺わせる場面も見られています。

さらなる改善が望まれる点

小規模な法人であるため、大規模法人と同様の組織体制や運営体制の整備が必要であるとは思われません。それ以上に、機動的でユーザーフレンドリーな環境を損なわない事業継続がより重要だと思われます。とはいえ、作業所および法人全体を見通して、効率的な事業運営を心掛けていくことは欠かせません。新型コロナをきっかけに、やむを得ず理事会や職員会議の開催が滞りがちです。従前に戻すのではなく、理事や職員の情報共有や連絡・相談が行いやすいというメリットを活かす上でも、個々の役割や責務を機能的に見直すことが大切だと思われます。

ハードの問題は一挙に解決は困難かと思われますが、例えば3S(整理・整頓・清掃)などの環境改善活動を活用してはどうでしょうか。保存年限を超えた書類は廃棄(整理)。物は決まった棚に収納し定量状態を維持し、取り出しやすく配置(整頓)。動線を中心にすぐ使えるよう点検(清掃)。これを習慣化すれば、職員への過度の負担(ムリ)、省力化できる業務(ムダ)、人や仕事量の負荷のばらつき(ムラ)の解消につながると思われます。情報の安全性や機密性の向上、効率的な計画や記録作成、情報共有と意思決定の円滑化にも資すると思われます。

市内初の精神障害者小規模作業所として運営を始め、2年後に運営を開始した第二共同作業所と共に長く精神障がいを持つ利用者や家族の「場」としての活動を40年近く継続してきていることは高く評価されています。建物の老朽化に伴う第二作業所の移転等の大事業とコロナ禍における利用者の活動の低迷、作業量の減少といった困難があり、移転作業は完了しましたが、これからの事業展開をどう図っていくのかといった点では未だ手を着け始めた段階のようです。中長期に渡る計画の策定や職員の役割分担の明確化といった課題への進展に期待します。

事業者が特に力を入れている取り組み

法人の行動指針「私たちは、利用者自身の希望、選択、決定を尊重します」にある通り、事業所の運営にあたっても利用者の意思を聴き取る場として月1回必ずメンバーミーティングを開催し、その月の工賃の決定の過程を大きな表にして説明を行う他、事業所運営の計画などについても説明を行い、活動内容や事業所運営に関する利用者からの意見を聴き取り、話し合いを行うように努めています。準備や議事の進行は職員が主導して行いますが、事業所の運営について利用者の声を聴き取り、活かす場として活用が図られています。

希望者には、昼食を提供しています。昼食作りは作業の一環であり、希望する利用者が当番で行っています。メニュー作りも利用者の食べたいものなどを聞きながら、取り組んでいます。訪問時には、季節に合わせた秋のメニューが提供され、職員と利用者が共に同じテーブルについて、利用者が作った昼食を食べる姿には一体感が感じられました。1食の予算を立て、メニューを考え、食事を作り皆に食べてもらい、喜んでもらうことが、利用者の励みにもなっているようです。作業の一環として、昼食づくりが大いに機能しています。

事業所の前身は精神障害者家族会であったために本人だけではなく、家族への支援の必要性も認識しています。なかなか、精神的な障害を持つ方の家族同士が話し合う機会は少ないものと思われますが、法人では毎月第一土曜日に当事業所で家族の集いを開催しています。利用者の家族ばかりではなく精神科を利用している子どもの家族が集まり情報交換やおしゃべりをする気軽な会となっているようです。こういった機会があることにより、気持ちが楽になる方もいると思われ、コロナ禍で開催が危ぶまれますが今後も長く続けてほしい取り組みです。

利用者調査結果

調査概要

  • 調査対象:全利用者31名
  • 調査方法:アンケート方式  
    評価者が事業所を訪問して、1対1で聞き取りを行いました。当日通所していない方などについては、アンケート用紙を事業所より配布いただき、評価機関へ直接返信いただきました。
  • 有効回答者数/利用者総数:28/31(回答率 90.3% )

事業所に対する満足度は、全回答者28名のうち「大変満足」と回答した方が14名、「満足」と回答した方が13名、「どちらともいえない」と回答した方が1名でした。「大変満足」「満足」と回答した方が96%であり、非常に満足度が高い結果となりました。「いろいろなことに気にかけてもらい、とても信頼しています」「仕事がとても楽しい。職員がわかりやすく指導してくれる」「アットホームなところ、自由にできる、職員さんが優しい」「親身になって話を聞いてくれる」といった好意的な声が数多く寄せられました。「大変満足」と回答している方の中には、「何か悪いことがあったときに注意してもらいたい」といった要望もありました。

アンケート結果

4~17は選択式の質問のため、該当項目のみ掲載しています。

1.利用者は困ったときに支援を受けているか

はい 28名 (100%)

回答者全員が「困ったときに支援を受けている」と回答しています。

2.事業所の設備は安心して使えるか

はい 26名 (93%)
どちらともいえない 2名 (7%)

全回答者28名のうち「事業所の設備は安心して使える」と回答した方が92.9%、「どちらともいえない」と回答した方が7.1%でした。

3.利用者同士の交流など、仲間との関わりは楽しいか

はい 22名 (79%)
どちらともいえない 4名 (14%)
いいえ 1名 (4%)
無回答・非該当 1名 (4%)

全回答者28名のうち「利用者同士の交流など仲間との関わりは楽しい」と回答した方が78.6%、「どちらともいえない」と回答した方が14.3%、「いいえ」と回答した方が3.6%、「非該当」と回答した方が3.6%でした。

16.【就労継続支援B型】
事業所での活動が働くうえでの知識の習得や能力の向上に役立っているか

はい 13名 (46%)
どちらともいえない 8名 (29%)
いいえ 4名 (14%)
無回答・非該当 3名 (11%)

全回答者28名のうち「事業所での活動が働くうえでの知識の習得や能力の向上に役立っている」と回答した方が46.4%、「どちらともいえない」と回答した方が28.6%、「いいえ」と回答した方が14.3%、「非該当」と回答した方が10.7%でした。

17.【就労継続支援B型】
工賃等の支払いのしくみは、わかりやすく説明されているか

はい 23名 (82%)
どちらともいえない 1名 (4%)
いいえ 2名 (7%)
無回答・非該当 2名 (7%)

全回答者28名のうち「工賃等の支払いのしくみは、わかりやすく説明されている」と回答した方が82.1%、「どちらともいえない」と回答した方が3.6%、「いいえ」と回答した方が7.1%、「いいえ」と回答した方が7.1%でした。

18.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか

はい 24名 (86%)
どちらともいえない 4名 (14%)

全回答者28名のうち「事業所内の清掃、整理整頓は行き届いている」と回答した方が85.7%、「どちらともいえない」と回答した方が14.3%でした。

19.職員の接遇・態度は適切か

はい 27名 (96%)
どちらともいえない 1名 (4%)

全回答者28名のうち「職員の接遇・態度は適切」と回答した方が96.4%、「どちらともいえない」と回答した方が3.6%でした。

20.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか

はい 24名 (86%)
どちらともいえない 4名 (14%)

全回答者28名のうち「病気やけがをした際の職員の対応は信頼できる」と回答した方が85.7%、「どちらともいえない」と回答した方が14.3%でした。

21.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか

はい 25名 (89%)
どちらともいえない 1名 (4%)
無回答・非該当 2名 (7%)

全回答者28名のうち「利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できる」と回答した方が89.3%、「どちらともいえない」と回答した方が3.6%、「非該当」と回答した方が7.1%でした。

22.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか

はい 26名 (93%)
どちらともいえない 1名 (4%)
無回答・非該当 1名 (4%)

全回答者28名のうち「気持ちを尊重した対応がされている」と回答した方が92.9%、「どちらともいえない」と回答した方が3.6%、「非該当」と回答した方が3.6%でした。

23.利用者のプライバシーは守られているか

はい 24名 (86%)
どちらともいえない 2名 (7%)
無回答・非該当 2名 (7%)

全回答者28名のうち「プライバシーは守られている」と回答した方が85.7%、「どちらともいえない」と回答した方が7.1%、「非該当」と回答した方が7.1%でした。

24.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか

はい 23名 (82%)
どちらともいえない 1名 (4%)
いいえ 2名 (7%)
無回答・非該当 2名 (7%)

全回答者28名のうち「個別の計画作成時に、状況や要望を聞かれている」と回答した方が82.1%、「どちらともいえない」と回答した方が3.6%、「いいえ」と回答した方が7.1%、「非該当・無回答」の方が7.1%でした。

25.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか

はい 18名 (64%)
どちらともいえない 4名 (14%)
いいえ 3名 (11%)
無回答・非該当 3名 (11%)

全回答者28名のうち「サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすい」と回答した方が64.3%、「どちらともいえない」と回答した方が14.3%、「いいえ」と回答した方が10.7%、「非該当・無回答」の方が10.7%でした。

26.利用者の不満や要望は対応されているか

はい 25名 (89%)
どちらともいえない 3名 (11%)

全回答者28名のうち「不満や要望は対応されている」と回答した方が89.3%、「どちらともいえない」と回答した方が10.7%でした。

27.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか

はい 12名 (43%)
どちらともいえない 4名 (14%)
いいえ 12名 (43%)

全回答者28名のうち「外部の苦情窓口にも相談できることを伝えられている」と回答した方が42.9%、「どちらともいえない」と回答した方が14.3%、「いいえ」と回答した方が42.9%でした。

組織マネジメント分析結果

◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合はで、実施できていない場合はで表しています。

【講評】
一人ひとりの職員に事業所創設以来、連綿と理念の大切さが浸透・継承されています

事業所には5つの理念と理念遂行のために欠かせない3つの行動規範が定められています。そうした事業所としてのビジョンを実現するための日々の実践の大切さが、職員一人ひとりに浸透していることがうかがえます。前身の精神障害者家族会以来の伝統が、サポーティブな雰囲気の中で事業所全体に着実に根付いていることが、利用者の居場所としての安心感や信頼感の醸成に大きく寄与しています。

利用者の希望、選択、決定を尊重するためボトムアップの意思決定が行われています

重要な意思決定とその伝達、共有は、毎日行われる職員による朝礼と夕礼で確認や提起が行われ、そこから利用者を集めて開かれる毎月末のメンバーミーティングの場や合同職員会議に提示され、最終的には必要な決議は理事会が開催され行われます。トップダウンで指示が下達されるのではなく、「利用者自身の希望、選択、決定を尊重する」という行動規範に基づくとともに、それを支える現場の職員の意向が大切にされています。

系統的な事業所運営を継続的に実現するための役割分担や責務の見直しが求められます

利用者一人ひとりへの細かな目配りが行われていることは大きな利点ですが、その反面、組織としての意思をぶれさせないルールの徹底が後回しになりがちだとも受け取られます。新型コロナウイルス感染症のまん延をきっかけに、理事会や合同職員会議の開催が滞りがちのようです。管理者以下、個々の職員の役割や責務をもう一度点検し、機能的でかつ系統だった事業所運営が継続できるような見直しを行うことが必要だと思われます。

1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
  • 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  • 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  • 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
利用者の意向は日々の利用者とのかかわりから拾い上げています

利用者の意向については、第三者評価の利用者アンケートによる把握が行われています。しかし、そうした仕組みによる定期的な意向把握以上に、日々、利用者と接する中からくみ上げる活動が職員の間に根づいています。雑談や利用者の何気ない所作から、アンケートでは表現されることのない生活上の情報や悩み、心情などをつかむことで目指す支援につなげています。

地域との深く長い関係から利用者の生活に必要な情報を得ています

長期間にわたる地域との緊密な関係づくりの成果が、情報の収集やさまざまなニーズの把握に直結しています。行政をはじめとした公の関係機関だけでなく、フォーマル、インフォーマルを問わず利用者が暮らす地域の中の生活を支えるさまざまな人や団体、商店、企業から情報を日常的に得ることができています。たとえば、地元の不動産会社と日ごろから関係を保っていることで、利用者が自立した生活を送る基盤となる住まいの確保にもつながるなどの事例もみられます。

中長期の事業の先行きを見据えた計画の作成が望まれます

毎年開催される法人の定期総会に向け、議案書が作成されています。そこには、事業活動方針、活動計画、予算案が掲載されています。しかし、中期、長期のスパンで事業の先行きを考えることも大切なことだと思われます。社会や時代が不透明さを増す現在、「こうなるはず」という予測や予想は、どの事業所にとっても困難です。そうではなく、これから起こりうるシナリオを考えていくというプロセスが、今の取り組みを振り返り、目指す姿や理念を実現するためのよすがとなるのではないかと考えられます。

1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  • 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  • 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  • 事業所の経営状況を把握・検討している
  • 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
  • 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  • 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  • 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  • 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
家族のつどいはじめ地域との信頼関係をうかがわせる活動が継続的に実施されています

前身である精神障害者家族会以来、長きにわたって継続して定期的(毎月第一土曜日の午後)に開催されている「精神障害者家族のつどい月例会」は、事業所が目指す姿の象徴的な活動です。社会福祉法が「地域共生社会の実現に向けた地域福祉の推進を図るため」に改正されという経緯を考えれば、福祉サービスの役割は「住みなれた地域で住み続けること」の支援と言い換えることもできます。そのために欠かせない、日々の活動を通じた地域との信頼関係が醸成されていることがうかがえます。

利用者の意向を踏まえた課題の解消に向け組織の資産を活用しています

事業所は、利用者の課題や思い通りにならない葛藤、要望を職員個人の問題として抱え込むのではなく、事業所自らが築いてきた資産であるさまざまな関係者、機関との関係性をフルに活用して利用者の思いを遂げさせようと組織として取り組んでいます。具体的には、事業所単独では解決が困難なケースであっても、適宜適切な相談先や窓口をネットワークから見計らって糸口を見つけることができるように取り組みを進めています。

利用者の人権尊重を事業倫理の根底に据えた取り組みを徹底しています

事業所は、「職員は、障害を持つ人たちの基本的人権を尊重し、福祉施設の社会的責務を自覚しながら日々の職務を遂行」することを理念実現のための職務規範の前提として明文化しています。こうした事業所の理念が、日々の活動の実践を通して職場の隅々にまで徹底されることによって、職員一人ひとりの強い職業倫理と利用者への敬意を生み出しています。

1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
  • 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  • 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
  • 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  • 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
  • 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  • 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
  • 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  • ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
  • 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  • 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  • 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
使い勝手のよい防災マニュアルの改訂が行われました

ここ数年の懸案であった災害対策の面では、防災マニュアルの改訂が行われました。地震、水害、火災その他の災害を想定したものとなっています。災害発生時の組織体制、連絡体制、情報の収集と提供、利用者一覧、さらには予防対策と地域社会や福祉施設間の連携やマニュアルの活用法まで、必要な項目が網羅されています。基本方針が大書されているなど、現場の使い勝手に配慮されています。

新型コロナウイルス感染拡大の体験を踏まえ「生きたBCP」の作成が期待されます

2024年度までの策定が義務化されている事業継続計画(BCP)は、まだ着手されていません。新型コロナウイルスの感染まん延により事業所を休止せざるを得なかった経験から、事業継続計画についてはその重要性を実感したようです。感染症予防マニュアルについても、新型コロナウィルスへの対応がなされていません。事業所の環境を熟慮してプライオリティーをを踏まえ、管理者が望んでいる「生きたBCP」として作成が進むことを期待しています。

情報の一元化、体系化を進め、安全性・機密性の向上とムダの削減が求められます

情報については、クラウドで共有フォルダを外部に委託することにより管理が行われています。しかし、紙ベースでの保存資料とデジタルデータによる保存が混在しており、一元的な管理は行われてはいません。体系化を進めることで、安全性や機密性の向上させるという観点はもとより、より効率的に計画や記録を作成し、それらを事業所全体で共有することを目指せば、意思決定がより円滑化され、アイドルタイムやロスタイムの削減に資するものと思われます。

1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
  • 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  • 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  • 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
  • リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  • 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  • 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  • 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  • 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  • 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
職員の個性や希望の尊重することで風通しの良い職場環境を実現しています

小規模事業所のメリットを生かして、職員同士の情報の共有は日々スムーズに行われています。管理者は、職員の個性を把握したうえで、常に状況に目を配り、コミュニケーションを図ることに努め、良好な意思疎通が保たれています。職員の意向や将来の希望についても、気兼ねなく語ることができる風通しの良い風土が確立されているため定着率は高く、職場環境はたいへん良好な状態です。

個人個人の特性を尊重しつつ業務の属人化を避ける仕組みづくりを期待します

経営層からは「個々人の働き方のニーズにより、一律的に『良い職員像』を目指すのではなく、できる人ができることを仕事として」担っていく環境づくりを目指したいというを意向をうかがっています。小規模事業所の長所をよく理解たうえでの方針であると納得しています。反面、デメリットへの配慮も大切だと思われます。人の能力には違いがあることを前提とすれば、人中心は行き過ぎれば、業務が特定の人のものとなり当人にしかわからなくなる「属人化」の危険性も孕んでいます。業務水準を担保する仕組みについても留意されることを期待します。

職員の将来が見通せる個別育成計画の策定を検討することが求められます

理念や方針が明確なこと、さらに一人ひとりの個性や希望をしっかり把握することができているため、職員の育成についても、配慮が行き届いています。仕事の状況の繁閑や必要性を勘案して、外部研修の受講などを進めています。しかし、職員の高齢化や人材不足のさらなる深刻化という状況を考えれば、より長いスパンでの育成の仕組みを考えていく必要性が高まっていくことが想定されます。計画の形式については柔軟性を持たせたものでよいと考えますが、事業所の規模やニーズ、今後の展開にあわせて、職員のキャリアが見通せる計画作成が求められます。

1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
  • 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  • 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
  • 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  • 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  • 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  • 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
  • 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  • 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  • 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  • 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
  • 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  • 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  • 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

在職していた職員の退職と高齢化に伴い、新たな職員の採用と人材育成とが喫緊の課題となっています。
ハローワークや福祉人材センターなど、コストをかけずに職員募集ができる機関を通してでは、まったくといっていいほど応募者がいない状態です。
かりに応募者がいたとしても雇用条件で折り合いがつかず、採用に至ることはありませんでした。
そこで、事業所の採用に係る予算を再検討し、有償の人材派遣会社や紹介会社を利用する方針に転換をしました。
その結果、非常勤で1名の採用をすることができました。その後、派遣会社の登録者を1名の採をして、2か月刻みでの採用契約を延長しながら現在に至っています。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

昨年度末で高齢を理由に退職した職員の抜けた分の手当はできて、人員配置基準を満たすことはできました。
しかし、上記のように綱渡り状態で、不安定な状況は変わっていません。
法人全体で、人材派遣会社や紹介会社の利用以外の多様な採用方法を引き続き検討する必要があります。

2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

新型コロナ感染症のまん延を契機に、これまでの業務のあり方では対処ができないさまざまな問題が持ち上がりました。
作業については、B型事業所として請負う作業が一時期まったく途絶えてしまいました。
また、利用者支援の面でも、2021年7月の一時閉所以降、それまでは不安感を抱きながらも日々通所していた利用者の通所率が大きく下がってしまうという事態が生じました。
そのため事業所運営、利用者支援の両面の見直しを行いました。
事業所内でできる、自主製品開発やリサイクル古紙回収先の開拓などといった事業の工夫を行いました。
請負作業については、新たな企業から作業を受注をすることができて、徐々に信頼関係を築いている状況です。
また、作業のバリエーションが新たに増えたことによって、利用者にとっても仕事の意欲を上げることにつながるという別の側面でプラスの効果も生じています。
利用者の出席については、通所の促しや、生活不安についての細かな相談に応じることに力を入れました。
さらに、新規利用者についての相談にも力を注いでいます。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

問題への対処は完了したとはいえず、現在も対処に追われ続けているのが現実です。
これまでは年数回の外出や宿泊行事、地域の祭りへの参加、カラオケレクなど、仕事の中に娯楽や息抜きによって利用者の心身の健康が維持をできていました。しかし、新型コロナ感染症の終息が見通せない中、現在の環境でも何か楽しいことができないかを模索しています。
不確実な状況のため、長期を見据えた計画を作ることは困難でも、手探りで、日々の活動の中で工夫を重ねながら、利用者の通所のニーズを充足する努力を積み重ねている状況です。

サービス分析結果

6. サービス分析のプロセス
【講評】
ホームページやパンフレットで事業所の情報を提供しています

A4版の三つ折りパンフレットには、利用対象者、利用までの流れや作業内容、工賃など必要な情報がすべて網羅されています。また、法人のホームページでも活動内容を公開しています。いずれも紹介内容は充実していると思われ、事業所の活動が十分に理解できるものと思われます。しかし、以前のように新規利用者の獲得が見込まれないことにより、今後どのようにアピールを展開していくかということを課題としてあげています。

長年の実績で、地域の関係機関との良好な関係性が利用者獲得につながっています

1984年に精神障害者小規模作業所として開設以来、地域の中で長い実績を積んできました。このため、市の所管の担当者や病院のソーシャルワーカー、計画相談支援専門員との関係性が深く、地域の関係者と連携をしながら利用希望者への対応を図っています。特別支援学校との連携はありませんが、卒業生の受け皿として受け入れを行うこともあります。また、法人内にて計画相談・特定相談支援事業の指定も受けており、通所利用にスムーズにつなげることもできます。

見学には作業内容をしっかりとみてもらいます

直接、事業所への問い合わせもあるようですが、見学を希望する際には、単独ではなく必ず紹介機関の方の同行を求めています。建物の1階と2階で行われている作業は違いがあるため、主に2階で行われている紙封筒の加工の作業工程を見学してもらいます。また、昼食を作るのも作業の一環であるため時間によっては見学をしてもらいます。パンフレットには「見学後、主治医や支援者、ご家族とご相談してください」と謳っており、無理強いをするのではない表現が好感が持てます。

1.利用希望者等に対してサービスの情報を提供している
  • 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  • 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  • 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  • 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
体験利用にじっくり時間をかけて、利用者が納得をして契約をしています

見学後、利用をしてみたいという本人の意志が確認できたら、すぐに契約はしていません。障害サービス支給決定の結果や主治医の意見書など必要とされる書類が大体そろう2~3週間は体験利用をしてもらい通所のペースをつかんでもらいます。利用に際してのルール説明など重要事項説明書の内容は体験利用時に説明をしています。体験利用には工賃も発生し、自分自身のペースをつかんでもらうため、期限も設けていません。ゆっくり、じっくりと時間をかけて利用に至るシステムとなっています。

少しずつ、利用に至るルールを説明しながら事業所の雰囲気に慣れてもらいます

上記の通り、通所のペースをつかんでもらうためじっくり時間をかけています。利用におけるルールなども少しずつ説明を重ねながら、事業所の雰囲気に慣れてもらうために契約書を交わすことを最終ゴールとして、丁寧に対応しています。契約の際には、支援者を交えてこれまでの体験利用についてフィードバックを行っています。支援者がいない人には、毎日あるいは週単位で面談をしています。契約に至るまでの丁寧できめ細かく対応していることがうかがえます。

退所後も必要に応じて支援を継続しています

昨年度の退所者は6名。内訳は就労1名、他事業所へ移った方が2名、在宅生活になった方が3名となっています。就労を希望する方には個別に対応して、東村山市の就労支援室と連携をして履歴書の書き方や面接の対応などをアドバイスしています。また、年齢や家庭の事情などで在宅になった方の中には一人暮らしの方もいるため、不動産会社や大家などから何かあった際に連絡をもらうこととしています。退所後も利用者の事情に応じて関係機関と連携をしながら利用者を見守っています。

1.サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている
  • サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
  • サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
  • サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
  • サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  • 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  • サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
  • サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
利用者本人の言葉で計画の目標をたてて、モチベーションを高めています

新規の利用者の計画は、担当する相談支援事業者の基本情報や利用申込書の情報をもとに利用者と面談をして作成しています。計画の目標を立てる際には「来年の今頃は何をしている」という視点で尋ね、利用者の言葉をそのまま計画の目標としています。半年に1度モニタリングを行い、計画を更新しています。計画の目標を利用者自身の言葉で作成しているため、本人にとってもやるべきことが身近となり、目標達成のためのモチベーションアップにつながるものと思われます。

日々の支援記録の見直しを進めることにより業務の効率化が図られました

事業所では、利用者一人ひとりの担当制ではなく、フロアーごとに担当職員を設けています。記録の書式が整っていなかったことにより、後で振り返るために多少の難がありましたが、生活支援担当の職員が中心となって記録をして、書式を整えました。情報が整理され、請求業務の記録に活かすこともでき、業務の効率化も図られました。また、利用者自身も1日の活動内容について、個別訓練記録(日報)を書いています。業務の振り返り目標達成に向けての効果的な取り組みと思われます。

朝と夕方の申し送りで職員間の情報共有を行っています

職員のアンケートからは、職員間の関係は非常に風通しがよく、コミュニケーションもよく取られていることが伺えます。朝礼では申し送りを行っています。また、利用者の帰宅後にはその日の記録を書きながら、利用者のその日の行動などを中心に情報交換をしています。また、特筆すべき事項については、翌日の朝礼で伝えながら、内容に応じて業務日誌に記録をしています。ミーティングは設けていませんが、毎日の朝礼や夕方のちょっとした話し合いなどで、情報共有はしっかりと行われています。

1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している
  • 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
  • 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  • アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の支援計画を作成している
  • 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
  • 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  • 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している
  • 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  • 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している
  • 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  • 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.個別の支援計画等に基づいて、利用者の望む自立した生活を送れるよう支援を行っている
  • 個別の支援計画に基づいて支援を行っている
  • 利用者一人ひとりに合わせて、コミュニケーションのとり方を工夫している
  • 自立した生活を送るために、利用者一人ひとりが必要とする情報を、提供している
  • 周囲の人との関係づくりについての支援を行っている
【講評】
利用者独自の言い回し等を理解し乍らコミュニケーションを図るようにしています

支援計画は半年に1回支援記録をもとに利用者に聞き取りを行うモニタリングを実施し、必要な場合には計画の変更を行い、利用者本人の了承を得ると共に職員に周知するようにしています。支援計画書は利用者個別の支援記録に綴じこんで、計画に沿った支援の実施を確認しています。利用者には話しやすい職員と話してもらったり、その利用者の様子をうかがいながら、利用者独自の言い回しでコミュニケーションを図るようにするなどの工夫をしています。

利用者にとって有益な情報の提供や自立生活の実施に役立つ知識も提供しています

市報や利用者にとって役立つような情報は事業所内に掲示されています。例えば、アパート住まいの単身者へのゴミ収集のサービスの情報には、該当する利用者に直接伝え、希望があれば手続きなどの支援をしています。また、作業の一環として職員、利用者が昼食材料の購入や食事作り、片付けを行っていますが、その参考としているレシピの本などが置いてあり、単身生活の利用者がそれを使って自宅での食事作りに役立ててもいるようです。

利用者と関係する様々な方々との連携や交流を通しての支援に努めています

訪問看護やヘルパーなどのサービスを利用している利用者もいて、それらの事業所や実際にサービスを担当している方々との連携を取りながら、利用者の状況や生活についての多くの情報を得て、利用者へ支援に反映させています。事業所は、精神的な障害を持った子どもを持つ家族の会が主体となって設立、運営を行ってきた経緯があり、地域の多くの関係者との交流や活動が継続されています。これらの方々からの様々な支援を得ていることも法人の総会での発表や資料で伝えています。

2.利用者が主体性を持って、充実した時間を過ごせる場になるような取り組みを行っている
  • 利用者一人ひとりの意向をもとに、その人らしさが発揮できる場を用意している
  • 事業所内のきまりごとについては、利用者等の意向を反映させて作成・見直しをしている
  • 室内は、採光、換気、清潔性等に配慮して、過ごしやすい環境となるようにしている
  • 【食事の提供を行っている事業所のみ】
    利用者の希望を反映し、食事時間が楽しいひとときになるよう工夫している
【講評】
就業前の利用者を含めてのミーティングで作業や役割を選んでいくようにしています

朝の職員ミーティングに続いて利用者も含めてのメンバーミーティングを行い、今日の予定、一日の流れを確認すると共に、作業や事業所内での役割について利用者からの希望を募り、本人の意向に沿った活動や時間が過ごせるように配慮しています。コロナ禍で作業内容やその作業量に制限が加わり、新規や従来行ってきた事業の展開も進まない現状があり、現時点では今実施している封筒作りやダイレクトメールの作業をこなしていきながら工賃を得て、事業所内での活動でやりがいを見出していく状態を維持しています。

利用者のメンバーミーティングで事業所内で決まりごとも話し合いをしています

利用契約書や重要事項説明書に記載されている利用者の義務や責務、利用の際に留意してもらう喫煙や貴重品の管理、政治宗教活動の禁止等様々な留意事項を基本としていますが、身近な事項として週2回のトイレの清掃や食事の後片付けの担当、作業終了後の清掃作業の実施を決めています。利用者が参加する月1回のメンバーミーティングを実施し、利用者からの様々な意見、提案について話し合いがされます。「トイレを綺麗に使おう」といった目標を掲げて利用者全員で守るように呼びかけています。

市有地といった条件下ですが、補助金を得て作業環境の整備や改善を進めています

現在地での事業開始から40年余を経た2階建の事業所であり、作業所の整備や環境改善は長年の課題でしたが、諸条件により作業環境の整備や改善を図ることが難しい現状があります。法人内の他の作業所の移転・新築が行われており、当事業所も老朽化に伴う害虫や害獣の被害等も出てきています。今年度は、エアコンの整備を行い、その他の工事も徐々に環境整備について検討を進めています。

3.利用者が健康を維持できるよう支援を行っている
  • 利用者の健康状態に注意するとともに、利用者の相談に応じている
  • 健康状態についての情報を、必要に応じて家族や医療機関等から得ている
  • 通院、服薬、バランスの良い食事の摂取等についての助言や支援を行っている
  • 利用者の体調変化(発作等の急変を含む)に速やかに対応できる体制を整えている
  • 【利用者の薬を預ることのある事業所のみ】
    服薬の誤りがないようチェック体制を整えている
【講評】
事業者内での様子を観察し、健診等からも健康状態を把握するように努めています

コロナ禍ということもあり、事業所で必ず検温を行い、発熱のある利用者には帰宅してもらいます。朝のミーティング時や作業中でも利用者の状態を観察して、体調の変化に注視して対応を図っています。保健所での健康診断実施が無理になったので、行政から生活習慣病予防検診の通知が来た利用者には受診を促し、通知が来ない者には代行して申請、予約を行い、健診結果を提出してもらいます。その結果によって、利用者の健康状態をを把握し、必要に応じて指導をしています。

利用者の健康については日中の対話等からも聴き取りながら情報を整理しています

朝のミーティングのみならず利用者との面談の際や作業中や昼食時等での会話や利用者間での対話の中で体調の状況や通院、薬の変更等の話があった場合には聴き取り、支援記録に記載しています。支援計画策定時の基本情報に医療に関する情報をまとめたシートに精神科以外の医療歴、通院先、薬などの情報を整理しています。通院先や薬について変更があった場合には、可能な限り利用者や家族にも確認を行いながら記載して、医療面に係わる情報の整備を心掛けています。

緊急時対応への対応についてのマニュアルの「見える化」も含めての工夫が望まれます

アパートの大家から利用者の異変について知らせを受けたり、利用している訪問看護やヘルパーさんからも情報を得るようにしています。職員と利用者が一緒に昼食をとっているため、好き嫌いや食事の傾向を把握したり、メンバーミーティング時に生活の様子を尋ねたり生活の様子も把握しています。事故対応マニュアルが整備されており、異常時の対応についても定められていますが、管理者不在時や新人職員の対応がより円滑に行われるように、図示されている内容の整理や対応に必要な情報のチャート化といった工夫も望まれます。

4.利用者の意向を尊重しつつ、個別状況に応じて家族等と協力して利用者の支援を行っている
  • 家族等との協力については、利用者本人の意向を尊重した対応をしている
  • 必要に応じて、利用者の日常の様子や施設の現況等を、家族等に知らせている
  • 必要に応じて家族等から利用者・家族についての情報を得て、利用者への支援に活かしている
【講評】
本人の意思は尊重しますが、状況や事情等を判断しながら家族と交流を図っています

家族との係わりについて、大人である利用者の自主性を可能な限り尊重する立場をとっています。利用者の約1/3程度が家族と同居していて、家族から連絡帳を使ってつながりを持っているケースもありますが、家族も高齢化が進んでおり、活発なやり取りといった状況ではないとのことです。家族と連絡ができる状況にある場合には、利用者には確認をとって連絡をしています。家族からの相談については、本人の状況、様子や話される内容等について勘案して、判断を行っていく場合もあるとのことです。

事業所独自の通信は現在停止していますが、法人からの便りが送付されています

法人や事業所は精神障害の特性を持つ子の家族の集まりであった「東村山けやき家族会」が創設の発端であり、精神障害の特性を持った利用者のための共同作業所としてスタートした経緯があります。NPO法人化後も地域の精神障害の家族を持った家族のための悩み相談や学習活動を行う「家族の集い」を実施しており、事業所も活動に参画しています。事業所の情報を伝える機関誌「けやきだより」は現在休止していますが、家族も参加している法人が月例会や近況等を掲載した月1回のお便りを会員向けに発行しており、家族にも送付しています。

利用者本人や家族の置かれた状況を把握しながら家族等との連携を図っています

事業所内に、通所利用者の家族を対象とした連絡会などの会合はなく、家族との交流もそれほど活発ではありません。中には、利用者の現在の様子や家族の現在置かれている状態を心配して事業所に相談に来られる家族もあり、いつでも相談に応じ、適切なアドバイスや対応をしています。利用者が医療機関に入院した際には、可能ならば本人に話を聴きますが、難しい場合には家族に連絡をとり様子をうかがうこともあります。

5.利用者が地域社会の一員として生活するための支援を行っている
  • 利用者が地域の情報を得られるよう支援を行っている
  • 利用者が地域の資源を利用し、多様な社会参加ができるよう支援を行っている
【講評】
コロナ禍でも機会を見計らいながら地域へ出掛け、地域施設を利用するようにしています

市報や地域内の関連機関からのお知らせやポスターが作業室内に掲示されています。行政機関や近隣の事業所等が開催しているイベントには事業所が所持している綿あめ機等を持参したり、出店を持つ機会があり、コロナ禍で出店の機会は減っていますが、朝のミーティング等でその案内を行い、出店に参加する利用者の希望者を募ったりしています。また、コロナの感染状況を勘案しながら最近では毎月2回のレクリエーションの機会に市内体育館を利用し、スポーツも開始しています。

長年培ってきた地域や近隣住民との密接な関係を活かしながらの活動を続けています

事業所は長年にわたり、地域での活動を行っており、事業所としては周囲からも広く認知されていて、コロナ禍前ではバザーの開催や地域の学校のボランティアを募集するなど、地域との密着した活動を行ってきていました。現在でも、自治会内の古紙回収作業を定期的に実施しており、地域の方々が自発的に古紙を届けにきてくる様子も見られています。また、レクリエーションとして散歩を行っており、近隣にある図書喫茶や名所旧跡等を目指して歩いていき、読書や見学など充実した時間を過ごすように計らっています。

12.【就労継続支援B型】就労の機会の提供や、知識の習得及び能力向上のための支援を行っている
  • 自発的に働きたいと思えるような取り組みを行っている
  • 働くうえで、利用者一人ひとりが十分に力を発揮できるよう支援を行っている
  • 工賃等のしくみについて、利用者に公表し、わかりやすく説明している
  • 受注先の開拓等を行い、安定した作業の機会を確保できるよう工夫している
  • 商品開発、販路拡大、設備投資等、工賃アップの取り組みを行っている
【講評】
今従事している作業の中で自らの役割や生き甲斐を持てるように支援を行っています

コロナ禍で従来の作業の種類や範囲、受注量といった点では困難な状況が展開しています。障害を持つ方々へソーシャルアニメの作成や農業提供といった分野も拓けては来ていますが、当事業所の利用者の状況や意識、職員配置といった諸条件を考慮していくと、今従事している作業の中で利用者ができる範囲で自分自身の役割や遣り甲斐を持ってもらえるように、支援を行っていくことを主眼としています。環境変化や作業展開の機会があればとは考えますが、現状を生えていくことについての余裕が現時点では少し難しいようです。

実績表の掲示で工賃への理解を深め、利用者の要望を踏まえての改訂も行っています

工賃については工賃規程を整備していて、作業所の壁に月次の作業別の売り上げや総時間数、皆勤者数、その月の時給が示されている作業工賃実績表が掲示されています。また。利用希望者の見学の際にもその作業工賃実績表を見てもらいながら説明をしています。工賃支給の際には、各個別の明細表も発行して明確に内容を示しています。工賃に関しては月次のメンバーミーティングでも説明を行うと共に、利用者からも工賃の内容についての質問や要望が出され、妥当と思われる件に関しては工賃規程の改訂をしています。

困難の中でも可能性のある商品の製作や販売、従来の事業の拡大も考えています

コロナ禍感染により、利用者自身の緊張が持続せず疲労を覚えて体調不良に陥ったり、通所も減少していくあるいは作業の種類や受注量の減少が表れてくる中で、現状維持の姿勢をとらざるを得ない状況下にありました。しかし、自主製品につながる可能性のある竹炭や受託依頼のプレートの製作や販売への取り組みも難しい中でも継続しており、市の商工会近くでのフリーマーケットにも参加しています。事業所としては古紙回収先の開拓も検討しており、活動を広めていくことに努めています。

【講評】
契約時に個人情報使用同意書を交わし、利用者からの同意を得ています

契約時に個人情報について必要に応じて、公表することに同意をいただく個人情報使用同意書を交わしています。また、事業所では個人情報保護マニュアルを整備しています。個人情報保護管理者、個人情報取扱責任者を設置し、マニュアルに基づいて個人情報を管理することが明記されています。9割近い利用者が職員は、プライバシーを守ってくれていると回答しており、利用者からの信頼を得ています。職員に対しても個人情報保護に関する誓約書を入職時に交わし、個人情報の取り扱いについて徹底しています。

快適に集中して作業ができるようにスペースを分けています

利用者の中には、他の人が発言することに過敏に反応してしまい、作業になかなか集中できないこともあるため、お互いの相性も加味しながら、バッティングしないよう作業スペースを分けて環境を整えています。また、現在のところ身体介助が必須の方はいませんが、例えば手の届かないところに湿布を張ってほしいなど、身体に触れなければいけないときには、必ず同性介助でということを徹底しています。また、服装の乱れなどがあった場合には、注意を促しています。「きれいに、仲良く、いきいきと」というスローガンを掲げて取り組んでいます。

個別の担当職員を置いてないがためのメリットがあります

利用者の特性や日々の状態などについては、朝夕のミーティングや申し送りなどで、職員間の情報共有が密なことから職員全員がよく理解しています。事業所でも、利用者に対して理解が足りず配慮が届かないことはないとしています。利用者一人ひとりに対しては担当の職員を決めずに、利用者が自分自身で話しやすい職員に相談することができる話しやすい環境を作っています。自分の担当職員とはどうしても合わないということもなく、担当をあえておかないことが利用者の安心感につながっています。

1.利用者のプライバシー保護を徹底している
  • 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
  • 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
  • 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している
  • 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
  • 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
【講評】
他所からのアドバイスに基づいて、必要とするマニュアルが作成されています

各種マニュアルについては、NPO人材開発機構等、外部団体のアドバイスに基づいて作成されています。各種マニュアルや虐待防止チェックリストも整備されています。マニュアルは、フロー図や図などを活用して見やすい内容になっています。特に最近クローズアップされている様々なハラスメントの対応については、支援の方向性を示す参考ともなっているようです。ただし、マニュアルは整備されていますがそれを読み込む時間などの余裕はないようですので、定期的に目を通す機会を設けることも今後望まれます。

作業における手引書は請負業者からの指示書を細かく確認しています

事業所の作業内容は、紙封筒やショッピングバックの加工、古紙回収、清掃作業などです。特に紙封筒やショッピングバックの加工はいくつかの工程があり、請負業者からの仕様書に基づいての正確さが求められます。更新があった場合には、職員とともに利用者も確認をして、指示書通りの製品づくりに努めています。利用者の作業を途絶えることなく継続していくために、請負業者との信頼関係を深めるためにも職員と利用者が協力をして、指示書通りに正確に作業を行っている様子がうかがえます。

1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
  • 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  • 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
  • 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている

事業者のコメント

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評価情報

【評価機関名】

株式会社 ウエルビー

【評価実施期間】

2022年7月1日~2023年3月28日

【評価者修了者No】

H0303048,H0202038,H0701104

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