評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
(1)法人理念「地域に根ざした社会福祉」の実践
(2)いろえんぴつ理念「一人ひとりの未来(あした)に向かって自立した私らしい生活づくり」
(3)利用者の自己選択・自己決定の尊重
(4)利用者の人権を尊重し、一人ひとりの個別ニーズに応じた個別支援計画の作成
(5)住み慣れた地域で安心で安全な環境を整え、利用者の自立と社会参加の促進
職員に求めている人材像や役割
・利用者の人権を尊重し、性別・年齢・家庭環境等いかなる理由においても差別をしない。
・利用者に対する適切な支援者として、専門性の向上と倫理の確立に向け自己研鑽に努める。
・他者の評価を謙虚に受け、反する行為は相互に見逃さず改善に努める。
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
・利用者の人権を擁護し、体罰・暴言などの権利侵害及び個人情報保護とプライバシーを遵守する。
・利用者の主体性・個性を尊重し、自己選択・自己決定ができるよう個別のニーズに対応した質の高いサービス提供を目指す。
・利用者の社会自立を目指し、社会参加の機会を広げると共に地域理解を推進する。
全体の評価講評
特によいと思う点
服薬は利用者の健康維持等に不可欠であることからも、誤薬等がないように複数の職員による準備・提供・服薬確認と幾重にもチェックする機会を設け、その流れをシステマティックに行える仕組みがつくられている。また、処方箋を預かることを行い、薬の変更を知ることだけではなく、処方箋と持参薬の照合によって誤りがないことも確認している。状況の把握と様々なチェック体制のもと、日常とは異なる変化によるミスなどがないように支援が行われ、利用者も家族も安心して利用することができている。
短期利用の目的は、自立の訓練や家族のレスパイトなど様々であるが、どのような理由であれ利用するのは利用者本人である。共有スペースや居室を毎日清掃して快適に過ごしてもらうことをはじめ、食事のタイミングなどの希望を聞き取ったり、リーピーターの特性を把握することなどの様々な工夫が図られている。集団生活の場という制限を超えて、利用者主体の充実した時間をストレスなく楽しく過ごしてもらいたいという思いが、実際の支援に活かされている。
バス通りに面した立地であり、交通機関や車を使った初めての来所見学者でも分かりやすい好立地である。また、法人の高齢者施設と同一の敷地内に隣接しているメリットとして、イベントの共催や参加などの交流が図りやすいことに加えて、防災の面でも災害時には資材等を共有して対策にあたることや地域で孤立しないことなどがあげられる。さらに、日常的にも、夜間など職員体制が薄い時間帯に緊急対応が入った際は、高齢者施設の職員の応援を仰ぐこともできる。ハード面からも安心と安全が確保されていると思われる。
さらなる改善が望まれる点
短期利用開始時には、特性を把握できるように工夫された書式が活用されている。リピート利用も多く、複数回の長期にわたる情報も日々蓄積されており、状況や利用目的の変化などは情報追記事項として記録されている。このように利用者情報は記録されているが、やや散漫な印象も見られ、記録方法についても電子化などが模索されているようである。今後の課題として、職員間の共有をより強固にするためにも、記録の集約・情報の更新などを的確に行い、個別支援のさらなる充実と継続性を視野に入れた記録類の見直しを期待したい。
利用の都度に個々に合わせた快適な支援が提供されていることから、重度の利用者を含めた誰でもが、安全かつ満足した利用となっており、リピートも多い。しかしながら、特性と併せて目標や支援方針なども記録に残されているにもかかわらず、個別支援計画の策定が中断されている状況である。策定マニュアルもすでに整備されており、策定を復活させて、より特性把握などを深めた支援とともに、利用者の成長や今後の生活の在り方など長期的な視点を含む、さらなる充実した支援の実践が望まれる。
重度や自閉傾向などの特性のある利用者へも門扉を開いて受け入れを行い、短期の入所であっても快適な支援を行えるよう、特性に応じた様々な工夫が細やかに配慮されており、リピートも多い。しかしながら、今回の職員調査では。職員自身が的確な支援を行うための支援力不足を感じており、事業所へは、全職員の専門性の向上のための研修・勉強会の企画・実践が求められていると思われる。専門知識の獲得とともに、職員個々の価値観の違いなどへの対応も含めた研修・勉強会の検討を期待したい。
事業者が特に力を入れている取り組み
利用者には様々な障碍や特性、それに伴うこだわりの行動が種々ある。丁寧な聞き取りや客観的な情報の収集によって理解を深めて、信頼関係を構築し、利用者が心地よく過ごせるように、こだわりを考慮した居室づくりなどの環境整備をはじめとした細やかな配慮を行っている。集団生活が苦手な重度の利用者でも、これらの配慮によってトラブルを未然に防ぐことができ、快適に利用することが可能になっている。『利用した方に、また来たいと思えるホームでありたい』という方針のもと、利用者の意思の尊重が図られているといえる。
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:1日の定員3名に対して、1ヵ月間で利用した4名を対象としたアンケート調査を行った。男性2人、女性2人であった。
- 調査方法:聞き取り方式
経営層及び職員への評価説明を丁寧に行った上で、事業所と相談して調査日程を決め、調査期間に利用した利用者へのアンケート依頼を事業所より行った。アンケート実施に際しては、事業所職員より丁寧な説明を行った。 - 有効回答者数/利用者総数:4/4(回答率 100.0% )
「大変満足」が2人(50%)、「満足」が2人(50%)で合わせて100%の満足度であった。13の設問の内、「はい」の答えが100%の物は4問あったが、設問項目への記入は殆ど無く、自由記述並びに今回の調査でお気づきになった点についての記入もなかった。
アンケート結果
1.利用中の生活はくつろげるか
「はい」が100%だった。設問項目には、記入されていなかった。
2.事業所の設備は安心して使えるか
「はい」が100%だった。設問項目には、記入されていなかった。
3.利用時の過ごし方は個人のペースに合っているか
「はい」と「どちらともいえない」が、各50%だった。設問項目には、「ゲームが出来るから」と、記されていた。
4.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか
「はい」が75%、「非該当」が15%だった。設問項目には、記入されていなかった。
5.職員の接遇・態度は適切か
「はい」が50%。「どちらともいえない」と「非該当」が各15%だった。設問項目には、記入されていなかった。
6.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
「はい」が75%、「非該当」が15%だった。設問項目には、記入されていなかった。
7.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
「はい」と「どちらともいえない」が、各50%だった。設問項目には、記入されていなかった。
8.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
「はい」が100%だった。設問項目には、記入されていなかった。
9.利用者のプライバシーは守られているか
「はい」が75%、「非該当」が15%だった。設問項目には、記入されていなかった。
10.サービスの利用に当たって、利用者の状況や要望を聞かれているか
「はい」が50%。「どちらともいえない」と「非該当」が各15%だった。設問項目には、「テレビが見られる」と記されていた。
11.サービス内容に関する職員の説明はわかりやすいか
「はい」が50%。「どちらともいえない」と「非該当」が各15%だった。設問項目には、記入されていなかった。
12.利用者の不満や要望は対応されているか
「はい」が100%だった。設問項目には、記入されていなかった。
13.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
「はい」が50%。「いいえ」と「非該当」が各15%だった。設問項目には、記入されていなかった。
サービス分析結果
1.利用希望者等に対してサービスの情報を提供している
- 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
- 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
- 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
- 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
サービス開始には、わかりやすい資料を活用し、丁寧な説明による同意を得ている
サービス開始に際しては、表で見やすく詳細に記されたサービスや利用負担金などの重要事項を丁寧に説明するとともに、細かい質問にもしっかりと対応した上で同意を得ている。その際に活用する資料は、工夫された契約書や重要事項説明書だけではなく、利用案内などわかりやすい資料も用意されており、利用者の理解力に配慮しながら説明がなされている。また、利用者の状況や意向については、記録を行って職員間での共有を図る仕組みがあり、急な受け入れでも対応可能な体制が整えられている。
利用者個々の状況を体験利用等を通じて把握し、工夫された様式に記録して活用している
利用者・家族・関係機関から、利用者個々の障碍状況・コミュニケーション・日常生活動作・生活のリズム・特性・対応などの細やかな情報を把握できる様式を活用して利用者理解に努めている。障碍重度の支援に際しては、服薬など医療に関わることやパニックへの対応方法などの生命にかかわる部分も含まれるため、利用開始前の体験利用を原則としている。その後も聞き取りなどを通じて状況をみながら情報の更新を図り、安心して支援を提供できるように努めている。
安心した支援生活のための配慮と、支援終了後の情報伝達を行っている
事業所を利用をするなかで不安やストレスを感じている利用者に対しては、声掛けを行って安心を促している。さらに、観察によって変化を捕え不安の要因を分析するなど、利用者が安心した生活を送れるような配慮を行っている。一方、短期利用という形態上、すぐに支援終了となる。家庭生活に戻る人に対しては利用の都度、『利用報告書』を作成し、利用中の様子を家庭へ伝達している。また、次のサービスに移る方にも『申し送り書』を作成して、スムースな移行ができるように情報提供を行っている。
1.サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている
- サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者等の状況に応じて説明している
- サービス内容や利用者負担金等について、利用者等の同意を得るようにしている
- サービスに関する説明の際に、利用者等の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
- サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
- 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
- サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
- サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
日々の支援をはじめ、方針変更等についても定められた様式に一貫して記録されている
支援開始時には、フェイスシートとショートステイ情報に個々の特性・状況等を記録している。日常的な支援においては、日誌やケース記録に日々記し、方針の転換や障碍状況の変化などは新規情報として改めて様式に記載する。このように、記録としての様式は定まっている。また、特記すべき出来事などは日々の記録である日誌などから新規情報様式に転記され、変更された支援目的や方針とともに、情報として記録されている。短期利用ではあるが、定められた様式を活用することで継続的な支援記録が可能となっている。
アセスメントの見直し時期や計画の作成・見直しなどのマニュアルが整備されている
支援計画の作成についてのマニュアルが整備され、作成手順などの基準が記されている。この基準をもとに、支援方針が利用者の状況や家族の意向のもとに作成され、その見直しも同マニュアルに沿って行われている。また、マニュアルには緊急時の方針変更についても記されており、年に一度の定期的な見直しとともに、必要に応じてマニュアル自体の修正も行われている。一方、個別支援計画の作成においては、現時点で中断されてしまっている
必要な記録は確保され、職員間での共有も図られている
初めての利用時には支援目的を明確にしているが、短期利用であるために定期的な見直し及びリピート利用時の再作成はされず、大きな変化があったその都度に行われている。また、日々の状況から見出された課題や変化は支援会議等で検討の上、必要に応じて支援方針の変更がなされている。事業所ではこれらをすべて記録し、交代勤務でも全職員がもれなく確認できるよう、日々活用する日誌に記すことや記録を保存する場所を固定するなど、共有にむけた工夫を図っている。
1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している
- 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
- 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
- アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の支援方針を作成している
- 支援方針は、利用者等の希望を尊重して作成、見直しをしている
- 支援方針を利用者等にわかりやすく説明し、同意を得ている
- 支援方針は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
- 支援方針を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している
- 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
- 支援方針に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している
- 支援方針の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
- 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.個別の支援方針をいかしながら、利用者に合った自立生活を送るための支援をしている
- 支援方針に基づいて支援を行っている
- 利用者の特性に応じて、コミュニケーションのとり方を工夫している
- 必要に応じて、さまざまな情報を提供し、または相談に応じる体制を整えている
【講評】
支援方針に基づいた支援の確認と検討が恒常的に行われている
緊急利用の場合もあり、短期利用開始前に受け入れ会議などは行わない。代わりに、体験利用などから収集・記録された個々の特性・利用目的・方針について月1回の支援会議で共有するなど、日常的に確認できる仕組みが習慣化されている。支援会議では、受け入れの確認や支援のあり方などが検討され、現状とズレてしまっている場合には改めて検討修正するなど、支援方針に基づいた支援の確認が行われている。参加者は職員全員と法人からなり、様々な視点での検討がなされていた。
利用者個々の特性を理解した上で、よりよいコミュニケーションに努めている
利用者一人ひとりに特性があり、生活習慣も異なっている。それらを理解した上で支援にあたりながら、日々の観察や意思の把握を行うことで、利用者への理解を深め、コミュニケーションの円滑化に日々努めている。また、把握された特性や事柄については、連携ノートや業務日誌などを活用して職員間で共有を図り、交代勤務時の負担や職員間の差異が生じないように努めている。特に、こだわりを持つ利用者への対応においては、大きな負担軽減に繋がっている。
関係機関とも連携しながら、様々な情報提供や相談体制の整備を図っている
利用者や家族とは日常的にコミュニケーションをとり、必要に応じては関係機関と連携しながら、利用者の自立生活についての情報収集と提供を行っている。得られた情報を個別に利用するだけではなく利用者全体に還元するために、個人情報に留意した上で、館内掲示やホームページなどで提供している。また、それらによって短期利用でも相談できる体制の一助となっているようだが、事業所では職員の顔写真を掲示したりすることで、より安心して相談をできる体制の整備に努めている。
2.利用者の主体性を尊重し、利用中の生活が楽しく快適になるような取り組みを行っている
- 利用者の状況や希望に沿って生活を楽しめるように取り組んでいる
- 室内は、利用者の状況に応じて快適で落ち着ける環境・空間にしている
【講評】
利用者の希望に沿いながら、安心して息抜きができる場所を基本方針としている
家族のレスパイト・家族の冠婚葬祭・自立生活に向けた一歩など、利用目的は様々である。利用者も固有のこだわりがあったり重度であるなど多様であるが、どのような人であっても、短い利用期間中は安心してホッとできる、充実した時間を提供することを基本方針としている。共同生活の場としての制約はあるものの、制約を押し付けることをせず、利用者自身の希望に沿った時間を楽しむ場となっている。利用者調査においても、自宅では制限のあるゲームやテレビを自由に楽しんで喜びを感じている利用者が見られた。
快適な環境空間の提供により、利用期間中が快適であるように努めている
利用者の主体性を尊重するためには、本人や家族からの聴取などから把握されたニーズへの対応だけではなく、利用中を安心に自由に過ごせる、清潔で落ち着いた空間も重要であると考えている。コロナ禍でリクリエーションなどに制限もあり、利用期間中は居室にて過ごすことが基本であり、毎日の居室清掃・室温管理・消毒など感染症対策を実施している。また、共用部分についても清潔・快適に配慮するなど、ハード面での満足も得られるように努めている。
感染症対策の制限下でも、施設内で可能な楽しみを工夫している
コロナ感染症対策によって、行事の制限や利用者とのコミュニケーション機会が減少していることは否めない。事業所では、隣接している法人の施設を借りたり、法人主催のお祭りに参加するなど、資源活用に取り組んでいる。また、食事などのタイミングを見計らってコミュニケーションをとるように心掛けたり、入浴に際しては、入浴剤の活用で施設内温泉を謳い、外出気分を味わうなど、コロナ禍においても感染予防をしながらもできる施設内で楽しむための工夫が模索されている。
3.利用者一人ひとりの状況に応じて生活上で必要な支援を行っている
- 利用者の意向を尊重しつつ、自分でできることは自分で行えるよう働きかけている
- 食事、入浴、排泄等の支援は、利用者の状況やペースに合わせて行っている
【講評】
自立支援を基本としながらも、本人意向の尊重とルールとの均衡を図っている
自立支援を基本として、利用者の能力を把握しながら、自身でできることは自身で行うように促している。また、本人の意向を尊重しながらも、食事時間・入浴のタイミング・手指消毒等の感染予防対策など、共同生活における最低限のルール遵守を促すことで、社会生活に準じた支援を行っている。最低限のルールを逸脱してしまう利用者も時にいるが、職員が調整できるところは最大限にフォローして、社会生活と利用者の意向・特性との折り合いをつけている。
自立に向けた生活能力の向上を促す支援を行っている
家族からの要望もあり、利用者の自立生活のイメージ作りのために、現在の本人の能力等を把握しながら、生活能力の向上を促す支援を行っている。具体的には、家族のいない中で朝起きて夜寝るといった生活リズムを自身で把握して行うこと、介助の必要な日常生活動作をヘルパーとともに行ってみること、入浴の時間やタイミングを他者との共同生活に合わせて行ってみること、等がある。利用者一人ひとりの状況に応じて生活能力は異なるが、その状況を踏まえた体験や促しなどによって、生活に必要な支援を図っている。
利用者自身のできることを大切にして、本人のペースや自立心を尊重している
事業所は、他人に迷惑のかからない限り、利用者を手助けしないことが基本姿勢である。例えば、入浴に際しては全身を介助するのではなく、洗髪だけを支援して自身でできる体洗いは自分で行うようにしている。自立可能なことを見極めて手助けを最小限にし、本人のペースを見守り大切にする。また、利用者本人のできないところや苦手なことだけに着目せず、本人のできること・やりたいことを大切にすることで、利用者の自立心を尊重する支援を行っている。
4.利用者の健康を維持するための支援を行っている
- 利用者の健康状態や服薬に関して、利用者や家族から必要な情報を収集している
- 服薬管理は誤りがないようチェック体制を整えている
- 利用者の体調変化(発作等の急変を含む)に速やかに対応できる体制を整えている
【講評】
服薬管理では、処方箋との照合などのきめ細やかなチェック体制をとっている
薬は預かることを基本としており、職員から利用者へ渡し、服用後に飲み忘れがないかを確認している。正確に薬を渡すために、事前にケースに準備を行う工夫もなされている。自身で管理する利用者に対しては声掛けを行い、複数の職員で服用を確認している。また、処方箋を預かって持参薬との照合を行っており、短期入所ということで起こりやすい持参忘れやミスの防止を図っている。これにより、薬の変化を把握できるというメリットもあるなど、きめ細やかなチェック体制で安心が提供されている。
日常の健康状態を把握し、変化を見逃さずに対処できる体制がある
入所の際に、利用者・家族・身近な人たちからの健康状態の聞き取りを行っている。併せて、健康診断書や処方箋などの薬剤情報を確認することで、疾病・障碍・健康状態などの情報を把握している。このように日常の様子と医療的な情報の双方を把握していることで、常態を知らない点を補い、短期入所という生活環境の変化のなかでも健康が維持できるように配慮がなされている。さらに、体調等の変化に気づき、それを見逃さず速やかに対応できる体制にも繋がっている。
感染症発生時などの情報提供が徹底されて、安心の提供に努めている
感染症発生時の症状の有無などの確認や対応などは、マニュアルによって整理されている。また、関係機関や家族との連携体制も整っており、対応がスムースに行える体制となっている。短期利用者については、利用時に発生した場合にはこの体制下で対応がなされるが、発生前後に利用されている人については曖昧になるリスクがある。そのために、発生の前日に利用した利用者と発生事後の利用予定者には、情報提供のルール化とその徹底が図られており、感染症に対しての安心が提供されていると言える。
5.家族等との交流・連携を図っている
- 家族等との交流・連携に際して、利用者本人の意思を確認し、その意向に基づいた対応をしている
- 必要に応じて、家族等への情報提供や相談に乗るなど支援をしている
【講評】
利用の開始と終了時には、家族等と連絡を取り合う書式が用意されている
利用開始時には、利用者の日用品・洋服・薬などがわかる持ち物表の書式が用意されており、家族が準備しやすい工夫がなされている。また、家族からの連絡欄が設けられており、利用前の生活の様子やそれに伴う留意点などの記入によって、支援に活かされている。一方、終了時には事業所での様子を食事・入浴・服薬を中心にまとめた報告書を、事業所と家庭の双方向へ情報提供している。これらによってスムースな移行が可能となり、本人の負担軽減や目的の達成などの効果がもたらされている。
家族の意向を把握しながら、常日頃から様々な利用目的への対応に努めている
利用の目的は、自立訓練の一助や日常生活を維持するための利用者の息抜きなど様々で、中でも家族のレスパイトが多い。利用にあたっては、本人や家族の意向を踏まえた受入れがなされている。リピート利用の場合には冠婚葬祭などで急を要する利用者もいるが、これまでに得られた利用者特性や必要な配慮などの情報が即活用できる用に整備されている。また、他の利用者と良好な関係構築によって緊急対応に快く予約を譲って貰えるなど、一過性だけではない、常日頃からの準備や関係性の継続が認められる。
家族の意向に応える関係づくりによって、家族との信頼関係が構築されている
利用時に工夫された書式によって、双方向のコミュニケーションをとり、利用者本人の意向を確認しながらではあるが送迎時に話ができるようにするなど、日常的にも機会を見つけて接点を持っている。また、家族の状況に合わせて電話や面談を行うなど、コミュニケーション手段にも工夫を図っている。健康面や特性面などで変化が生じたときには、些細なことでも家族に連絡をすることを欠かさず、気軽に家庭からの相談を受け入れられる関係づくりにも力を入れている。
6.地域で自立した生活を送れるよう支援をしている
- 地域の情報を収集し、利用者の状況に応じて提供している
- 必要に応じて、利用者が地域の資源を利用し、多様な体験ができるよう支援している
- 必要に応じて、関係機関(日中活動事業所、相談支援事業所等)と情報共有を行い、支援に活かしている
【講評】
家庭や関係機関との連携によって、将来を含めた自立生活の支援に役立てている
短期利用という環境変化で受ける影響を加味して、自宅等に戻ってからも安定した生活が送れるように、利用中の睡眠・排泄・入浴・日中の過ごし方・摂られた食事のメニューなど、できる限り得られた情報を戻る先にも伝えるように心掛けている。また、何らかの変化があった場合には、その旨も伝えるとともに、日中活動の場や関わっている相談支援事業所等の関係機関にも連絡を行っている。安定した生活を送るために、さらに、将来の自立生活に向けての検討にも活用することができている。
会議等で得られた情報や、様々な体験の機会を提供している
通所施設長会議から得られた情報・法人内外のイベント情報・関係各機関から得られた情報など、各職員が得た情報は事業所内で共有された上で利用者へ提供している。こうした様々な情報は、知識だけではなく体験の機会も提供している。例えば、利用者がイベント情報を得て参加した施設を訪れることで、情報だけではなく実際に見て触れる体験となり、将来の利用検討に繋がることもある。なお、事業所では情報自体が関係機関のものに偏っている感もあるとして、今後は地域情報の収集をより充実することに努めるとしている。
利用者の志向を考慮しながら、興味を持てるように情報を提供している
得られたイベントをはじめとする様々な情報は、ホーム内に掲示している。しかし、感染症対策上、共有スペースで過ごすことも少ないことや短期利用ということもあり、掲示物に気づかないことも危惧される。そのために、すでに把握されている利用者本人の志向などを考慮しながら、興味を持てるように口頭で伝えたり、世間話などの日常会話の中に盛り込みながら伝えるなど、時には将来必要となる情報なども含めて、丁寧に本人に届くような工夫が図られている。
【講評】
利用者個々の特性等を把握して、安心・安全に利用ができる細やかな準備がなされている
共同生活の場であることや短期利用という制限の下でも、可能な限り個人の価値観や生活習慣に配慮している。備品の配置や布団の敷き方などのこだわり等に細やかな対応による安心空間の提供が行われている。、希望だけを把握するのではなく、利用者特性などのアセスメント・安全にも配慮した準備・得られた情報の蓄積と共有などがなされており、どの職員でも次の利用に際して受け入れ準備がスムースに行える仕組みの構築にも至っている。
いかなる場合でも利用者の意思尊重を原則とする方針が徹底している
短期利用の居室の案内には、『楽しくお過ごしください』との一言が付け加えられている。、ストレスなく楽しく過ごして、また来たいと思ってもらいたいという職員の気持ちが表れている。短期利用者は重度の人など多様であり、その目的も様々であるが、事業所としては、命に関わることや他人の迷惑になること以外であれば、いかなる場合でも利用者の意思を尊重することを原則としている。職員間の差異もあるようだが、利用者との意思確認を積み重ね、専門的視点に基づいた的確な判断とその記録・蓄積でこの方針を貫いている
日常生活の支援において、利用者のプライバシーへの配慮がなされている
個人情報保護規定が整備されており、個人情報の取り扱いは必要に応じてメールや連絡帳なども活用しながら規定に則って利用者の同意を得て行われている。日常生活においては、荷物は原則的に自己管理とし、本人のプライベートを尊重して居室には極力立ち入らない、介助を必要とする際には日頃から活用しているヘルパーを起用するなどの工夫を図り、短期利用中のプライバシーの保護に配慮している。また、利用者個々によって大切にしてもらいたいことが異なるため、単発利用に際しても個々への配慮を記録・共有してリピート時にも活用している
1.利用者のプライバシー保護を徹底している
- 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
- 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い、利用者のプライベートな空間への出入り等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
- 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している
- 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
- 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
【講評】
各種のマニュアルが整備されており、業務の標準化が図られている
事業所が提供するサービスは多岐にわたっており、日常生活の支援も含まれている。支援における生活様式については職員によっても差異が生まれやすいところではあるが、マニュアルは職員間での検討過程を経ており、職員も納得して共有することができ、支援における標準化と安定したサービス提供に繋がっている。また、業務全般についても基本的手順が示されているため、日常生活支援における支援内容が重なってしまう場合や夜間対応時などでも、スムースに標準的なサービスの提供と正確な業務遂行が確保されている。
整備されたマニュアルは目の届く場所に置かれており、日常的な支援に活用されている
マニュアルは、目につく場所に設置されているので、日常的な支援や必要な業務を行う際にいつでも速やかに活用することができる。何かあったらマニュアルで確認できることから、職員自身の安心にも繋がっており、業務の一定水準の確保とともに安定した業務遂行が行われている。また、平易な言葉によって詳細に記されていることでわかりやすく、新人職員も手に取りやすいという利点もある。さらに、各マニュアルが一括して設置されていることによって、各業務の点検にも活用できている。
マニュアルの定期的な見直しなど、業務レベルを見直す仕組みが確立されている
各マニュアルは、利用者・家族・関係者からの聞き取りや職員間での話し合いによって作成しているため、それぞれの意見や提案が反映されているといえる。一方、見直しの必要性が生じることもあるが、その都度に支援会議や職員会議などで話し合い、改変に向けた取り組みがなされている。また、各マニュアルには策定日・更新日が記されており、状況変化が見られない場合でも年に1度は定期的に見直しを行うなど、業務レベルなどを見直す仕組みが確立されている。
1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
- 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
- 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
- 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
事業者のコメント
このセクションは事業者によって更新される情報です。
評価情報
【評価機関名】
【評価実施期間】
2022年6月20日~2022年12月6日
評価結果のダウンロード
本ページの内容をPDFファイル形式でダウンロードできます。
【講評】
利用希望者がわかりやすいように、情報は視覚に訴えるなどの様々な工夫がなされている
利用希望者が初めて手に取る事業所のパンフレットは、写真や図をふんだんに活用して視覚的にわかりやすい。利用案内などの説明が必要なものも、文章ではなく簡易な言葉で箇条書きにするなどの工夫が図られている。さらに、初めて事業所を訪ねる希望者でも、最寄駅から事業所へ迷わず到着できる写真を活用した『道順』のお知らせなど、利用希望者が負担なく事業所のことを知る工夫が様々なところに施されている。また、不定期ではあるが事業所独自の新聞も発行されており、必要な情報を盛り込みながらも写真を多用し明るく楽しい紙面である。
独自の情報に加え、法人と連携したホームページ・広報誌など豊富な情報を提供している
事業所独自の新聞やホームページに加え、法人の情報広報室やホームページ委員会によって、広報誌・パンフレット・ホームページ更新などが行われている。法人全体のことや日頃知られることがない職員の声など事業所の情報も盛り込まれており、豊富な情報が提供されているといえる。また、これらの情報は、行政・関係機関・会議等においても提供されており、さらに、求めに応じて提供も行うなど、広く積極的な情報提供がなされている。
問い合わせ等に対して、どのような人へも受容的な姿勢で対応している
豊富な情報提供を積極的に行っていることや、以前に入居していた人の関係機関などからの紹介でなど、幅広い人から問い合わせを受けている。見学希望者の場合には、基本的に見学を行っている。一方、サービス対象外の人からも見学等の問い合わせも多々ある。実際に見学することは、将来の事業所利用に繋がるとともに、それらの人たちの将来に役立つことでもあり、事業所は、どのような人でも希望があれば広く受け入れる姿勢を持っている。