評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
1)カトリックの精神と創立者の遺志に基づき、子どもの権利を守り、最善の利益のために全力を尽くす
2)子ども一人ひとりを大切にし、ありのままに受け入れて、安全で安心できる居場所をつくる
3)子どもたちが自分の好きなことや可能性を見つけ、将来に対する夢や希望が持てるように支援する
4)子どもたちが社会性を養い、感謝と礼儀を身につけて自立ができるように支援する
5)子どもと家族への理解を深め、協力して養育に取り組み、地域や多機関と連携しながら一人ひとりの子どもが幸せになるように力をつくす
6)地域ニーズに応えられるように、地域を協力して子育て支援に関するネットワークを作る
職員に求めている人材像や役割
・自らの課題を見つける、自ら考えて行動する、周りと協働する、自分のやるべきことを理解している。
・個々の子どもの可能性を信じ、やりたいことや夢を応援し、実現するために一緒に考え行動することができる。
・PDCAサイクルを実践し、多職種と連携して、支援の専門性を高める努力をすることができる。
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
・子どもの最善の利益を最優先して思考、行動すること。
・それぞれの子どもの特性を個性として、ありのままに受け入れ、個々のペースに合わせた支援を行うこと。
・向上心を持ち、常に成長に向け努力すること。
全体の評価講評
特によいと思う点
子ども一人一人を大切にし、意見表明の機会を大事にしています。子どものつぶやきを逃さず傾聴し、課題を発見するなど、全職員に支援スキルの向上を推進しています。子どもの年齢にかかわらず、就寝前に個別の時間をとり、週1回曜日を決めるなどして、職員が子どもと一対一で関わることに重点を置いています。職員と子どもとの交換ノートも活用しています。職員は、子どもを買い物に連れ出したり、通院時の車中で話しやすい雰囲気を作ったりしながら、あらゆる場面で子どもの声を傾聴することに努めています。
「子どもの最善の利益」を目指して、子どもの強味に着目し「面接シート」を使って自立支援計画の作成を進め、日常的に子どもの話を傾聴する仕組みを作っています。自立支援計画書作成前に、自立支援アセスメントシートを作成して、入所理由と見通し、児童相談所の援助方針、本人と保護者の意向、家庭環境・強味等を整理し、担当者が子どもの強味に着目することを促しています。また、自立支援計画書の短期・中期・長期の各目標は2つまでに絞り込むことで、焦点を明確にしており、特に高年齢の子どもから高い評価を得られています。
外部環境や利用者の変化、職員構成変動などにより、施設運営をめぐっては従来からの課題に加え、新たな課題も生まれてきています。当施設では次々と手を打って問題解決を図っていて、その姿勢は大変評価できます。例えば、職員育成のための「階層別に求められる役割・能力」の表を整備したり、働き方改革委員会やメンタルヘルス係を設置・配置するなど、次々と対応策を講じています。こうした姿勢は職員に希望を持たせ、組織を活性化させることにつながるものと考えられます。今後もこの姿勢を継続していくことを期待しています。
さらなる改善が望まれる点
新人育成の仕組みは充実してきていますが、2年目以上の職員育成の仕組みは目標成果シートと外部研修の組み合わせにとどまっています。施設では「階層別に求められる役割・能力」という表を整備し、経験年数を基にした階層ごとに「何を期待するか」を明確にしています。これを見ると研修だけでは身につかない能力も多く、現場でのOJTの必要性を感じます。 例えば、同表の項目を基にチェックリストを作って定期的に上司等からフィードバックを受けるなどの方法が考えられます。他施設の事例を参考に方法を考えるのもよいかもしれません。
当施設は2017年に乳児院と合築しました。事業計画では乳児院と協働で子育て支援を実行し、フォスタリング機関を立ち上げるなどの検討課題が掲げられています。乳児院と合同の取り組みとしては、管理職が毎月会議を実施するほか、避難訓練や芋ほりの行事なども行っています。しかしながら、コロナ禍の影響もあり、多くの職員が互いの顔や名前が分からない状況で、災害時の連携において支障になりかねません。まずは、合同で実施する行事の機会を生かして、乳児院と当施設の職員が顔見知りになることから始めてはいかがでしょうか。
家族再統合に向けて入所時から保護者との信頼関係を作り、親子で宿泊して掃除・洗濯・調理・入浴など日常生活技術を磨くため、親子生活訓練室を用意して家庭復帰を支援しています。しかし施設退所者に占める家庭復帰や里親成立の割合・実績は決して高いとはいえません。子どもに関する課題が増えているという事情も考えられます。同様な状況でも成果が出ている施設もあるため、そのような施設を視察して学びを深めたり、自立支援計画書に家庭復帰・里親委託の可能性に関して項目を立てるなど、組織をあげた取り組みや支援体制が必要と思われます。
事業者が特に力を入れている取り組み
新人職員育成についてはOJTの仕組みを整えていて、OJT年間計画や外部講師によるトレーナー・トレーニー研修等を実施しています。新人と指導を担当する職員は、この研修の中でペアリングを行い、OJTを進める上でのポイントを学びます。指導担当職員同士は年数回のこの研修において情報交換を行うことができます。日々のOJTでは業務のマニュアルとOJTノートを使いながら1年かけて習得を進めます。2人同時に勤務に入って直接教えることができる機会は多くはありませんが、OJTノートを使って質問をするなどしてそれを補っています。
リービングケアの充実を進めており、自活訓練室に加えてアパート借り入れなども検討しています。日常の洗濯・掃除・食事や買い物と家計簿作成など生活技術面の支援をしています。退所者支援を積極的に進めてきた中で得られた自立への課題を、リービングケアに反映させています。特に大きな問題は生活資金の枯渇・不足であり、退所後の生活「資金シミュレーション」を行っています。予想される生活資金不足に対しては、就職や進学に合わせた就労支援金や奨学金確保を支援しており、困窮する退所者のために卒園生基金も用意しています。
コロナ禍においても感染防止に配慮しながら、ハロウィンで仮装をし、人形でクリスマス劇を演じ、美術大学のボランティアによるワークショップを実施しています。「ミニ夏祭り」や「ミニどんぐり祭」は当施設のみで行っています。自治会の方と畑で芋ほりもしました。各ホーム行事は、子どもの意向を尊重して子どもが意欲的に関わっています。別日に分かれて川原でバーベキューや、浴衣を着ておうち縁日・古民家宿泊・空き缶での飯盒炊飯などを行い、子どもは、海や花火の思い出を熱心に語っています。子どもと職員が創意工夫し行事を実施しています。
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:【児童数】 49名
【調査対象者数】 39名
・事業所と協議の上、未就学児と入院している子どもを除き、共通評価項目による調査をおこないました。
・1名から回答を得ることができませんでした。 - 調査方法:アンケート方式,聞き取り方式
・事業所と協議のうえ、子どもの状況にあわせて聞き取り調査とアンケート調査を実施しました。 - 有効回答者数/利用者総数:38/49(回答率 77.6% )
【総合的な感想】 「よい・少しよい」を合計した満足度は73.7%です。「よい」が57.9%、「少しよい」が15.8%、「どちらともいえない」は18.4%、「少しよくない」が2.6%、「よくない」が5.3%となりました。
【各設問】 「はい」の回答割合が最も高かったのは、問7「病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか(89.5%)」で、次いで問2「ここでの時間の使い方や衣服・物の所有について、職員は意見を尊重してくれているか(84.2%)」でした。一方、「はい」の回答割合が最も低かったのは、問1「食事の時間が楽しいひとときになっているか(55.3%)」でした。
【前回との比較】 前年度と比べ、「はい」の回答割合が大きく変動した設問ははありませんでした。
【自由意見】 職員が優しいことや話しやすいこと、相談すればきちんと話を聞いてくれること、行事が楽しいこと、食事がおいしいことなどを述べた意見があがっていました。一方、他の子どもとの関係やトラブルに関すること、職員の対応についての不満、もっと家族と会いたいことなどを述べた意見も出ていました。
アンケート結果
1.食事の時間が楽しいひとときになっているか
【回答割合】 「はい」が55.3%、「どちらともいえない」が39.5%、「いいえ」が2.6%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が14.4ポイント下降しています。 【自由意見】 食事がおいしいことや、おしゃべりが楽しいこと、コロナ禍で黙食となっていても皆と一緒に食べられるので楽しいこと、などを述べた意見があがっていました。一方、黙食は楽しくないことや、皆に気を遣うのが嫌なこと、ケンカ等が多いので一人で食べた方がよいことなどを述べた意見も出ていました。
2.施設での時間の使い方や衣服・物の所有について、職員は意見を尊重してくれているか
【回答割合】 「はい」が84.2%、「どちらともいえない」が10.5%、「いいえ」が2.6%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が5.4ポイント上昇しています。 【自由意見】 意見を聞いてくれることや、職員と一緒に買いに行くこと、服は自分で選んでいることなどを述べた意見があがっていました。一方、自分の気持ちを伝えにくいことや、聞いてくれないこともあるといった意見も出ていました。
3.子どもの年齢や特性、個別事情に応じて生活の約束ごとの説明を受けているか
【回答割合】 「はい」が78.9%、「どちらともいえない」が7.9%、「いいえ」が5.3%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が6.2ポイント上昇しています。 【自由意見】 ルールについて説明を受けたことや、説明に納得できたこと、ホームミーティングのときに教えてもらったことなどを述べた意見があがっていました。一方、ルールに納得できないまま生活していることや、門限など納得できないルールもあることなどを述べ意見も出ていました。
4.自立に向けた支援について、多様な選択肢から情報提供や相談対応がなされているか
【回答割合】 「はい」が73.7%、「どちらともいえない」が13.2%、「いいえ」が13.2%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が5.1ポイント下降しています。 【自由意見】 職員と将来何になりたいかを話しているというものや、上級学校の話をしてくれること、進路の相談に乗ってくれることなどを述べた意見があがっていました。一方、そのようなことはあまり聞かれないことや、聞いてくれる人もいれば聞いてくれない人もいること、自分からは言わないことなどを述べた意見も出ていました。
5.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
【回答割合】 「はい」が73.7%、「どちらともいえない」が15.8%、「いいえ」が2.6%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が1.0ポイント上昇しています。 【自由意見】 毎日掃除しているのできれいというものや、まあまあきれいなこと、自分たちも掃除を手伝うことなどを述べた意見があがっていました。一方、衛生面は問題ないが物が多過ぎて統一感がない、という意見も出ていました。
6.職員の接遇・態度は適切か
【回答割合】 「はい」が63.2%、「どちらともいえない」が23.7%、「いいえ」が10.5%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が6.5ポイント下降しています。 【自由意見】 問題ないことや、職員は普段は優しいこと、くん付け・ちゃん付けで呼ばれていることなどを述べた意見があがっていました。一方、人によることや、言葉や態度がきついときがあること、すぐに切れる人がいることなどを述べた意見も出ていました。
7.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
【回答割合】 「はい」が89.5%、「どちらともいえない」が5.3%、「いいえ」が0.0%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が1.4ポイント下降しています。 【自由意見】 信頼できる対応であることや、寄り添ってくれること、消毒して絆創膏を貼ってくれることなどを述べた意見があがっていました。一方、転んで擦りむいたときは助けてくれなかったことを述べた意見も出ていました。
8.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
【回答割合】 「はい」が71.1%、「どちらともいえない」が18.4%、「いいえ」が0.0%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が4.4ポイント上昇しています。 【自由意見】 ケンカのときは助けてくれることや、一人ずつ話を聞いてくれること、仲介してくれることなどを述べた意見があがっていました。一方、職員が話してくれてもよくならないことや、忙しいときは見守るだけになること、助けてくれなかったこと、向こうが悪いのに両方悪いというのには納得できないこと、などを述べた意見も出ていました。
9.子どもの気持ちを受け止め、尊重した対応がされているか
【回答割合】 「はい」が76.3%、「どちらともいえない」が13.2%、「いいえ」が0.0%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が6.6ポイント上昇しています。 【自由意見】 職員が話を聞いてくれることや、共感してくれること、どうすればよいか一緒に考えてくれることなどを述べた意見があがっていました。一方、大切にされていると感じるときもあるがそう感じないときもあることや、話をする時間があまりないこと、大切にされているか否かは分からないことなどを述べた意見も出ていました。
10.子どものプライバシーは守られているか
【回答割合】 「はい」が78.9%、「どちらともいえない」が13.2%、「いいえ」が2.6%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が12.3ポイント上昇しています。 【自由意見】 プライバシーは守ってくれていることや、部屋に入るときはノックしてくれることなどを述べた意見があがっていました。一方、秘密の話はないし職員に話さないことなどを述べた意見も出ていました。
11.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか
【回答割合】 「はい」が81.6%、「どちらともいえない」が5.3%、「いいえ」が10.5%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が8.9ポイント上昇しています。 【自由意見】 聞いてくれることや、希望が通っていること、学校生活の相談にも乗ってくれることなどを述べた意見があがっていました。一方、聞かれていないことや、言っても希望が通らないことなどを述べた意見も出ていました。
12.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
【回答割合】 「はい」が68.4%、「どちらともいえない」が21.1%、「いいえ」が5.3%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が4.8ポイント上昇しています。 【自由意見】 分かりやすいことや、こと細かく説明してくれること、毎年春に職員と話し合っていること、いつ頃どこに行くか教えてくれることなどを述べた意見があがっていました。一方、そういう説明は受けていないというものや、よく分からなかったことなどを述べた意見も出ていました。
13.自らの権利について、さまざまな機会をとらえて職員はわかりやすく教えてくれるか
【回答割合】 「はい」が65.8%、「どちらともいえない」が15.8%、「いいえ」が15.8%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が8.2ポイント上昇しています。 【自由意見】 分かりやすく教えてくれることや、毎年権利ノートについて教えてくれること、皆が集まって聞いていること、ホームミーティングで質問したら答えてくれることなどを述べた意見があがっていました。一方、権利ノートはもらったことがないという意見や、教えてもらったことがないことなどを述べた意見も出ていました。
14.子どもの不満や要望は対応されているか
【回答割合】 「はい」が76.3%、「どちらともいえない」が13.2%、「いいえ」が5.3%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が9.6ポイント上昇しています。 【自由意見】 言えば対応してくれることや、嫌だったことを聞いてくれること、職員は皆言いやすいことなどを述べた意見があがっていました。一方、言ってもあまり変わらないことや、相手の子に言ってはくれるが何も変わらないこと、できないものもあることなどを述べた意見も出ていました。
15.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
【回答割合】 「はい」が76.3%、「どちらともいえない」が5.3%、「いいえ」が10.5%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が0.6ポイント上昇しています。 【自由意見】 職員が教えてくれたことや、第三者委員の写真が掲示されていること、学校の先生や児童相談所の児童福祉司から教えてもらったこと、などを述べた意見があがっていました。一方、聞いたことがないというものや、説明のポスターが貼っていないことなどを述べた意見も出ていました。
組織マネジメント分析結果
◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合は
で、実施できていない場合は
で表しています。
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
- 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
- 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
- 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
日常の生活の中で子どものつぶやき等を逃さず拾いあげ共有することを目指しています
職員アンケート結果を見ると、「事業所は利用者の意向を収集しニーズを把握しているか」という問いに全体の8割強が「そう思う」と回答しています。具体的には、日常の生活の中で子どものつぶやき等を逃すことなく拾いあげることを目指しているほか、自立支援計画作成の際に個別に聞き取ったり、子どもと職員との交換ノートから収集するなどの方法をとっています。自立支援計画作成の際には、聞き取りの前に面談シートに記入してもらうようにしていて、利用者アンケートでは8割強の子どもが「計画作成の際に意見を聞かれている」と回答しています。
中長期計画では、3年前後の範囲で自分たちが何をなすべきかの方向性を示しています
事業計画の中に「中長期計画」を掲載し、全職員に明示しています。同計画では、何年度までに何を行うかという表現で、ある程度具体的に、3年前後の範囲で自分たちが何をなすべきかの方向性を示しています。一方、年度の事業計画は、この「中長期計画」をふまえて策定していて、年度の重点目標には中長期計画を意識したものも見受けられます。中長期計画や年度単位の事業計画が立てられていることは職員にもよく浸透していて、職員アンケート結果を見るといずれの計画もリーダー層は100%が、一般職員層は9割超がその存在を認識していました。
年度の事業計画を策定する際には職員の意向を確認し、計画に反映するようにしています
年度単位の事業計画については半期ごとに総括を行っていて、中間総括ではその結果を受けて後期の計画の見直しをするようにしています。 事業計画では年度の重点目標を設定していて、目標を数値で表すなど達成度合いを測りやすくしています。重点目標を各ホームの年間計画とも連動するようにできると、一層良いでしょう。 また、当施設では、事業計画を策定する際には職員の意向を確認し、計画に反映するようにしています。今年度はコロナ禍のためホームごとのまとめ作業は行わず、職員ごとにアンケート形式で提出してもらうようにしました。
1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
- 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
- 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
- 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
- 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
- 事業所の経営状況を把握・検討している
- 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
- 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
- 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
- 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
- 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
職員会議の際に倫理綱領を皆で唱和し、職員としての倫理意識を高めるようにしています
職員が一冊ずつ持っている会議時必携ファイルには、児童福祉施設最低基準の抜粋や児童養護施設運営指針、職員倫理綱領、職員ハンドブックなどの書類を綴っていて、職員会議の際に皆で唱和して職員としての倫理意識を高めるようにしています。そのことは、職員会議録で確認できました。また、新人職員については、新人職員向けのオリエンテーションの際に、福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理等について説明しています。 職員アンケート結果を見ると、9割強の職員が、施設の取り組みを肯定しています。
苦情解決委員会を中心に、子どもたちに対して苦情解決制度の説明を毎年実施しています
苦情解決制度を利用できることは入所時に利用者に伝えるとともに、各ホーム内に掲示して子どもが見られるようにしています。また、苦情解決委員会が中心となり、子どもたちに対して苦情解決制度の説明を毎年実施しています。 子どもの気持ちを傷つけるような職員の言動や虐待が行われることがないようにするため、人権擁護のためのセルフチェックを年4回実施して職員の意識づけを行っているほか、無記名でヒヤリハット報告を提出できるようにして、気になることを発見したらすぐに報告するよう職員に促しています。
ホームページ上で事業計画書や事業報告書、園だより、行事の様子などを公開しています
透明性を高めるため、ホームページで事業計画書や事業報告書、園だよりなどをダウンロードできるようにして公開しています。行事のときの様子も写真を掲載しています。また、コロナ禍においても可能な限り実習生を受け入れ、学習指導ボランティアをホームページ上で募集するなど、外の目を適宜入れています。 施設内に地域交流ホールや音楽室があり、それらを地域の活動に貸し出すなどしていましたが、現在はコロナ禍のため中止しています。 地域関係機関のネットワークとしては要保護児童対策地域協議会等に参加しています。
1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
- 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
- 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
- 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
- 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
- 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
- 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
- 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
- ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
- 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
- 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
- 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
危機管理マニュアルに暴力対応についても追加すべく、現在たたき台を基に検討中です
全職員が一人一冊持っている会議時必携ファイルには、震災を想定した事業継続計画(BCP)が綴られていて、職員はいつでも確認することができます。 危機管理マニュアルも整備していて、施設外で事故にあった場合や所在不明の場合の対応などさまざまなケースを想定して手順を取り決めています。今年度は、職員や子どもに対する暴力等への対応についてもマニュアルのたたき台を作成しました。たたき台を基に、すでに皆で検討しているホームもあり、今後さまざまな意見を取り入れながら修正を加え、ひとまず完成を目指す予定ということです。
ヒヤリハット報告の活用に熱心で、強化月間などを設けるなど積極的提出を促しています
事故・ケガ等を未然に防ぐための取り組みとして、危機管理委員会が中心となってヒヤリハット報告の活用を進めています。軽い事故とひやりとした事柄とを区別して集計していて、何がヒヤリなのか意識を高める良い方法だと感じられます。同委員会では、強化月間などを設けヒヤリハットの積極的提出を促しています。提出された報告は内容を検証し、職員会議で報告・共有して注意を促しています。しかし、提出された報告書を見ると事故に比べてヒヤリが少ない印象を受けます。ヒヤリとした事を見つける訓練の機会を作るなどしてもよいかもしれません。
文書の保管・廃棄の規程を整備し、会議時必携ファイルに綴るよう皆に配布しました
文書の保管・廃棄に関する規程を整備し、各自の会議時必携ファイルに綴るよう全職員に配布しました。 紙媒媒体の重要情報は書棚に保管し、常時施錠して必要な時だけ解錠しています。 電子媒体の情報は、パスワードがないとシステムにアクセスできない仕組みにしてセキュリティを確保しています。 個人情報の利用目的については「個人情報の利用目的」という文書に明示し、開示請求への対応については「個人情報の開示手続き」および「個人情報の開示手順について」という文書に明示しています。いずれの文書も施設玄関に掲示しています。
1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
- 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
- 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
- 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
- リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
- 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
- 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
- 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
- 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
- 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
人材対策委員会を立ち上げ、具体的な目標を立てて人材確保に取り組んでいます
今年度、人材対策委員会を立ち上げ、具体的な目標を立てて人材確保に取り組んでいくこととしました。まずは見学会への参加者を一定数確保することを目標に、ホームページの見直しや見学会のあり方の見直し等を行っています。これまでは副施設長の業務としていた見学会開催を委員会として取り組んでいくこととし、ホームページ上で開催告知と参加者募集を行っています。社会的養護総合情報サイトも活用しています。 職員のキャリアパスとしては、職位別の職務分掌表に昇格条件を明記して、どのような経験や能力が必要かを明示しています。
直属上司と一緒に目標を設定し、自分の能力をどのように高めていくか計画を作ります
新人や中堅、リーダー職など、所属団体等が主催する階層別の研修を活用し各職員に研修機会を与えています。内部研修では全職員を対象に現場に則した研修を実施しています。 各職員は目標成果シートを作成し、直属上司と一緒に目標を設定して自分の能力をどのように高めていくか計画を作ります。目標設定の際は、「階層別に求められる役割・能力」を参考にします。上司とは年2回面談し、期末には振り返りを行います。 新人育成はOJTの仕組みを用意していて、OJT年間計画や外部講師によるトレーナー・トレーニー研修等を実施しています。
働き方改革委員会やメンタルヘルス係の設置など、働きやすい職場づくりに努めています
働き方改革委員会を設置し毎年テーマを変えながら取り組んでいます。休憩取得の意識を高めることも委員会から発信して進め、一定の効果をあげているようです。その他、職員休憩所の活用、半休や時間休の取得の可能化、ノー残業週間などを実施しています。また、今年度からメンタルヘルス係を3人配置し、職員が気軽に相談できるようにしました。実際に活用されていて、職員にも好評の様子です。しかし、休憩の取得状況にはホームによる差があるようです。各ホームと委員会が協力し、皆で話し合ってさらなる解決策を見つけていく必要があるでしょう。
1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
- 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
- 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
- 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
- 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
- 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
- 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
- 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
- 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
- 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
- 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
- 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
- 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
- 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
・必要な人材の確保はできたものの、しっかり定着して働き続けてもらえるようにしなければ、サービス品質の維持・向上や労働条件の改善等の取り組みはおぼつかなくなります。そこで、人材の育成を進めながら定着のための施策にも取り組んでいくこととしました。
・具体的には、外部スーパーバイザーとの取り組みとして、新人職員のOJTに特化し1年を通して研修などを行いました。また、職員面談では、施設長との面談は新人職員は年3回、他職員は施設長面談を年1回とし直属の上司との育成面談を年2回を行うようにしました。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
<評語を選択した事由>
・新人職員をなるべく多く定着させるという目標を設定し、新人育成や施設長面談による意向の確認などの取り組みを進めました。
<目標達成の状況>
・1年間を終えた時点で、新人12名のうち11名が職員として継続しました。目標はほぼ達成したものと施設では認識しています。
<備考>
・新たに人材対策委員会を立ち上げ、更なる人材育成、職員の定着のために取り組んでいくこととしました。
2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
・子どもたちにとって当施設が安全安心で居心地のよい場所となるためには、自分だけが良いのではなく、お互いが心地よい環境となるよう配慮ができることが必要と思われます。日常的に子どもの意見を傾聴していくことはしていますが、子どもたちがここに来て良かった、気持ちを受け止めて尊重されているか等を実感できるような取り組みが必要だと考えました。
・そこで、下記のような取り組みを実施しました。
①子ども自治会を継続し、子どもたちのやりたいことを企画、実施する
②自立支援計画書作成のためにアセスメントシートや面談シートを使用する
③保育所等訪問支援や放課後デイサービスの利用をする
④高校受験に向けて通塾する
⑤就寝前に個別の時間をとる
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
<評語を選択した事由>
・「子どもの満足度に関する第三者評価の利用者アンケートの数値が向上することを目指していく」という目標を設定し、そのための施策を考えいくつも実施しました。
<目標達成の状況>
・第三者評価の利用者アンケートにおいて、子どもの満足度を問うた設問(「あなたはここに来てよかったと思うか」)では、小学生以下、中学生以上のいずれも10ポイント以上上昇していました。この結果から、目標はほぼ達成できたと施設では認識しています。
サービス分析結果
【講評】
「入所のしおり」は子どもと保護者向けの2種類を用意し使い分けています
「ベトレヘム学園のしおり(子ども用)」には、「子ども一人ひとりを大切にありのままに受け入れ、安全安心の居場所を提供すること」のほか、学園の暮らしや職員の紹介、生活のルール、子どもの権利などを掲載し、漢字にはルビを振り説明しています。保護者に向けた「入所のしおり~保護者の皆様へ~」では、創設以来の理念や子どもたちが快適に過ごすために保護者が守るべき諸事項、保護者支援の基本姿勢を記すなど、子どもと保護者の特性を考慮して書き分けがされており、職員からは特に保護者への説明を行いやすくなったと評価を受けています。
ホームページと機関紙の制作主体組織を統一することで広報活動が安定してきています
施設のホームページは施設長の年度初めの挨拶や施設概要、創立者紹介、理念・基本方針、子どもの行事のほか、採用情報として職員紹介や施設見学案内、さらにフレンドホームと学習ボランティアの募集などを掲載し、事業計画書や機関紙「メタセコイヤ」のバックナンバーにもアクセスできます。機関紙「メタセコイヤ」は巻頭と編集後記に職員の意見を掲載し、年3回発行を目指し、地域、関係機関、ボランティア、寄付者などへ約700部発行しています。施設見学者には機関紙や施設パンフレット、スライド上映などを通じて理解を深めてもらっています。
入所前の施設見学などの交流により、入所に向け心の準備ができるようにしています
入所前の中学生以上の子どものほぼ全員が施設を見学しています。施設職員も一時保護所を訪ねて交流し、互いの様子をあらかじめ具体的に理解し合うことで、入所の体制を整えています。乳幼児については入所前に2~3回来訪してもらい、施設職員も乳児院に赴いて交流しています。合築している乳児院の場合は入所前さらに頻繁に来てもらって、施設の様子を感じ、雰囲気に慣れてもらいます。利用者アンケートの「ここに来てよかったか」の問いに対し「よい」と答えた子どもの割合は、特に中学生以上で増加傾向を示しています。
1.子どもや保護者等に対してサービスの情報を提供している
- 子どもや保護者の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
- 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
- 子どもや保護者の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
入所に向けてインテーク記録を作成し、入所時アセスメントをおこなっています
子どもには「一人ひとりを大切にし、ありのままに受け入れて、安全安心な居場所を作る」ことを目指していること、子どもの権利や「おたより箱」の説明をしています。子どもの生活環境・支援の準備のため、子どもの発達・発育、性格、食べ物や衣類の好み、睡眠や排泄、入浴など子どもとの話し合いをもとに「インテーク記録」を作成しています。さらに「入所時書類・説明事項確認票」を作成して入所時の書類や同意書の有無、保護者の様子等を記録し「入所時アセスメント確認事項」に子どもと保護者の要望、面会・外泊、支援者、健康について記載します。
入所当日の不安に配慮しつつ丁寧に観察し、3カ月以内に自立支援計画を策定しています
入所日には、子どもが安心して暮らせるよう、環境整備をして、好きな食事のメニューを用意します。入所後の毎日の様子を丁寧に観察し、子どもと対話を深めながら「2週間記録」を作成して児童相談所に送付します。並行して発達段階、対人関係などについてドクターカンファレンスなども行い、多面的にアセスメントをしています。子どもの強味に着目して「面接シート」を作成し、入所3カ月以内に新入所児ミーティングを開催し、子どもの最善の利益を目指した自立支援計画を作成しています。
退所後に自立が困難な卒園者が多い実態を把握し、在園生の支援の見直しをしています
施設ではアフターケア支援体制を充実させてきており、多職種が集まり「退所時ミーティング」を開いて支援内容を決め、アフターケア計画を策定します。実施した内容はアフターケア記録を作成して共有しています。現状、自立できない退所者も多く、自活の術や金銭、時間管理等の支援が課題であり、弁護士に相談するなどさまざまな支援を行っています。昨年度は3件のケース会議を開き、日々の朝礼でも卒園後の困っている状況を伝え共有しています。アフターケアの実施状況と課題はインケアに反映させて支援の見直しに生かしつつあります。
1.サービスの開始にあたり子どもや保護者に説明し、理解を得るようにしている
- サービスの開始にあたり、施設の基本的ルール(約束ごと)、権利擁護の取り組みをはじめとした重要な事項等を子どもや保護者の状況に応じて説明している
- サービス内容について、子どもや保護者の理解を得るようにしている
- サービスに関する説明の際に、子どもや保護者の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
- サービス開始時に、子どもの支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
- 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
- 入所以前の生活習慣等をふまえた支援を行っている
- サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、退所後の支援の継続性にも配慮している
【講評】
医療的ケアの必要な児童の増加に対応し育成記録に医師の所見を反映しています
入所児童には医療的ケアが必要な子が増えており、医師による職員向け学習会を開いたり、自立支援計画策定にあたってドクターカンファレンスを開くなどして対応しています。日々の子どもの様子は記録システムに情緒、社会性、対人、心理、相談連絡などのタイトルを指定して入力することにより特性ごとの分類ができ、1カ月分の記録をまとめ上げて育成記録としています。育成記録は、短期の個別指導目標、目標の展開及び結果を記載し、情緒、社会性、対人、心理などのタイトルに従い成果と課題を記載する仕組みとなっています。
積極的に子どもの意見を収集し、施設運営や個別支援に反映する努力が見られます
子ども自治会、苦情解決制度などを通じて子どもの意見表明の機会を大事にしています。また、日常の場面での児童の一言に関心を持ち、課題の発見や職員の気づきを得られる感性を大切にしています。自立支援計画書作成時には「児童面接シート」を使って面接し目標を設定していますが、幼児の場合は何を頑張りたいのか、親と面会したいか等職員が誘導しながら行っています。子どもたちそれぞれの強みに着目した目標設定を意識的に行っており、支援について希望を聞いてくれるかの質問に中学生以上の9割が「はい」と答えています。
低年齢層に向けた自立支援計画の分かりやすく納得性の高い伝え方の検討が望まれます
利用者アンケート結果の推移を見ると、将来について、子どもの権利について、自立支援計画について、中学生以上の評価は年々高くなってきていますが、小学生以下では低迷しています。子どもに向けた自立支援計画の説明について、 口頭で伝える方法が主になっているという意見が、職員から出ています。口頭による方法の場合、中高生は理解できても、低年齢児の理解を得ることは困難と思われます。低年齢児に向けて「児童面接シート」や自立支援計画をビジュアル化するなど、分かりやすくしていく工夫が望まれます。
1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している
- 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
- 子ども一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
- アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.子どもや保護者の希望と関係者の意見を取り入れた自立支援計画を作成している
- 計画は、子どもの最善の利益を第一に、子どもや保護者の希望を適切に反映して作成、見直しをしている
- 計画を子どもにわかりやすく説明し、同意を得るようにしている
- 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直すとともに、緊急に支援内容を変更する必要が生じた場合の対応や計画変更のしくみを整備している
3.子どもに関する記録を適切に作成する体制を確立している
- 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
- 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している
- 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
- 申し送り・引継ぎ等により、子どもに変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.個別の自立支援計画に基づいて、自立した生活が営めるよう支援を行っている
- 個別の自立支援計画に基づいて支援を行っている
- 子ども一人ひとりに合った方法で、子どもと職員との愛着関係や信頼関係を構築するために受容的・支持的な関わりをしている
- 小規模なグループでケアを行うなど、子どもが家庭的な環境の中で生活できるよう支援を行っている
- 子どもの発達支援等のため、精神科医等が子どもの発育等に応じ個別判断した上で、児童相談所と協議し、適切な職員等が生い立ちを振り返る取り組みをしている
- 退所後の安定した生活基盤の確保に向け、関係機関や関係職員が連携をとって、リービングケア(退所後の生活を見越した支援)を行っている
- 退所後は計画に基づいて、一人ひとりに応じた支援を関係機関や関係職員と連携して行っている
【講評】
自立支援計画書は子どもの長所を伸ばすことを目指して策定しています
施設では子どもの伸ばしたい点、改善したい点を明らかにして、具体的にどう支援を行っていくのかを検討しています。自立支援計画書は年度当初と中間、年度末にチームミーティングを開き専門職とともに合議して作成しています。支援目標は短期、中期、長期それぞれ焦点を絞っており、アンケートでは特に中学生以上に高い評価がみられ、計画の作成・見直しについて9割の高齢児が肯定的に評価しています。支援の希望が通っている、何でも聞いてくれるし話しやすい、計画・目標が分かりやすい、事細かに説明されるなどの意見が出ています。
ケアニーズの高い子どもたちに、ドクターカンファレンスを実施するなど対応しています
入所前の生活の影響により、ケアニーズの高い子どもが増えています。精神面のケアとして服薬や治療、入院を必要とするケースもあります。施設内外の研修で対応スキルを身につけ、緊急連絡の仕組みを導入し、ホームをバックアップする職員を配置しています。ホームの子どもを減らし、職員を増配する対策も行っています。心理療法のほか医師のカンファレンスも行っており、カンファレンスでは、入所の経緯、家族構成や状況、子どもの心身の状況の検査、病名、知能等を確認しています。医師から説明を受け、今後の支援方針を決めています。
退所後の生活と心身状況を把握して、アフターケアをおこなっています
退所者のモニタリング結果などから、退所後の安定した生活基盤のための基金確保、進学や資格取得支援を進め、施設独自の卒園生基金や社会的養護自立支援事業、早期家庭復帰促進事業等を活用しています。退所2週間前までに退所時ミーティングを開催して、アフターケア実施計画書を共有し、職員間の役割分担を決めています。また、ドクターカンファレンスを開いて心身の健康をチェックしており、医師が退所後も主治医となって連携する事例もあります。退所後のやり取りはアフターケア記録に記載し、退所後1カ月以内に自立支援計画の評価を作成します。
2.家族等との関係構築に向けた取り組みを行っている
- 家庭支援専門相談員を中心に、家族等との関係構築のための支援方針が明確にされ施設全体で共有されている
- 子どもの最善の利益を第一に子どもや保護者等の意向を確認しながら、関係機関と連携をとって、子どもと家族の関係調整に取り組んでいる
- 子どもの状況や行事等の情報を個別の連絡により保護者等に知らせている
- 保護者等との面会、外出、一時帰宅等は、状況を把握したうえで、子どもの安全に注意しながら行っている
- 養育家庭や養子縁組等の制度が有効に活用されるよう児童相談所と連携をとっている
- 入所中の子どもの家族等(里親を含む)に対し、退所後の生活を想定したさまざまな支援を行っている
【講評】
家庭支援専門相談員が窓口となり、子どもと家族の関係構築に取り組んでいます
児童相談所と連携し家庭支援専門相談員、担当職員で会議を行い、家族などとの関係構築のための支援方法を検討しています。家族からの相談には、家庭支援専門相談員が窓口となりやりとりをしています。関係性をつないでいくために、施設では入学式や卒業式などの行事を案内するほか、進路や子どもの体調に関することなども丁寧に伝えています。保護者の要望によって子どもの施設での様子なども伝えています。当施設には、自宅で過ごす前段階で親子が一緒に過ごすことができる親子生活訓練室が完備されています。
家庭環境調整に関しては、ファミリーケースワーク記録にて職員間で共有に努めています
年度当初の自立支援計画作成時に児童福祉司に来園を依頼し、方針の確認を行い、ケースによっては保護者との話し合いの場を設けています。記録の書き方を職員間で共有できるよう園内研修で取り組んでいます。家庭環境調整の支援などについては、ファミリーケースワーク記録にて職員間で共有を図っています。5月中に全園児に里親委託候補児の選定を実施し、その際専門職で共有し、検討して慎重に判断しています。里親制度に関する十分な理解については、今後の課題であると施設では捉えています。
個別の状況に配慮し、「フレンドホーム」で子どもが家庭での生活を体験しています
隣接している地域の社会福祉協議会を訪ねて、子どもが休みの期間に家庭での生活を体験できる「フレンドホーム」のチラシを配布し、ボランティア登録者への呼びかけを依頼しています。施設のホームページでも常時「フレンドホーム」を募集しています。希望者には登録後、面談や家庭訪問を行います。例えば、体験の必要性がある子どもが、お泊まりをしたいという意向がある場合には、保護者の意向を確認しています。年齢や状況を考慮して、子どもの最善の利益を検討したうえで、家庭で生活する貴重な体験ができるよう支援しています。
3.子どもが楽しく安心して食事ができるようにしている
- 楽しい食事となるような環境を整えている
- 食事時間は子どもの希望や生活状況に応じて対応している
- 食事の献立は、子どもの状況(食物アレルギーや疾患等に関する主治医等の指示を含む)や嗜好に応じて工夫している
- 食習慣の確立や食についての関心向上のため、関係職員と連携して食育の推進に取り組んでいる
【講評】
ホームのキッチンで調理をおこない、子どもと調理するなど自立支援に取り組んでいます
自立支援の一環として、調理は各ホームのキッチンで行っています。子どもは、職員が日々調理をする様子を目にし、自ら配膳下膳をしたり、ときには食器を洗ったりしています。準備から片づけまで生活のなかで身につくような環境に配慮しています。また、職員は、調理に興味のある子どもと共に、積極的に調理を行うなど食の自立に向けて支援しています。各ホームには、幼児から18歳くらいまでの子どもがおり、訪問時には、幼児が食事の際、できないところだけを手伝ってほしいと職員に伝える姿がありました。年齢に応じて細やかに支援しています。
ホームごとの食事の写真を共有し、職員は意欲的に調理や盛り付けに取り組んでいます
入所日や入学・入園・卒業などはホームで祝いの食事、誕生日、卒園時には子どもの希望を取り入れてリクエストメニューを提供します。手作りのピザやあんまんを取り入れたり、誕生日には名前を入れたり、季節ごとの行事食も取り入れています。盛り付けも工夫し、こんがり焼きあがった餃子など、各ホームで写真を撮って職員間で共有し、スキル向上に意欲的に取り組んでいます。各ホームで買い物や調理を実施しているため、給与量などに差が出ないよう、給食会議を利用し、栄養士がホームに入って支援しています。個々の適正量も算出しています。
食への関心が高まるよう、お菓子作りや米の試食会などに取り組んでいます
夏休みに小学生を対象としたお楽しみクッキングを実施し、希望者にお菓子作りの機会を設けるなど、食への関心が高まるよう取り組んでいます。また、給食会議での発案から米の試食会を行い、種類の異なる米を試食したことで、子どもが味の違いを確認し食への関心が向上しています。毎年小学生以上の子ども全員に園内嗜好調査を行い、献立作成に反映させています。「栄養だより」を毎月発行し、季節のクイズや食器の配置の仕方、食事マナーなど食育全般を興味を惹くように掲載し、子どもと職員に周知しています。
4.子どもの健康を維持するための支援を行っている
- 入所まもない子どもの健康状態(口腔ケア、視力等)に配慮し、健康維持のための支援を行っている
- 健康に関して、子どもに理解を促す取り組みを行うとともに、子どもからの相談に応じ、必要に応じて子どもや保護者等に説明をしている
- 子どもの服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などのしくみを整えている
- 医療機関と連携しながら、日頃の健康管理を行い、子どもの体調に変化があったときには、速やかに対応できる体制を整えている
【講評】
毎月看護師と栄養士が各ホームを巡回し、子どもの健康維持のために支援しています
入所間もない子どもの健康状態については、母子手帳を確認しています。ドクターカンファレンスを行い、心理職、看護師、職員のいずれかが同席して子どもが小児精神科医と面接をしています。幼児の昼食後の歯磨きなど、口腔ケアにも配慮している様子が訪問時に確認できました。医務室では、いつでも身体測定ができることを看護師が子どもに伝えており、子どもは成長曲線を一緒に見るなどしています。幼児の身体測定を毎月実施し、細菌検査や嘱託医による健康診断も行っています。必要に応じて子どもが通院し職員は同行しています。
子ども自身が健康管理をできるよう、看護師は手順を周知するなどしています
新型コロナウイルス感染症対策の、手洗い・うがい・手指消毒などの手順を各ホームに看護師が配布し、子どもと職員に周知しています。食事は、感染状況によって黙食を基本とし、職員は場所や時間を変えて子どもとは別に取るなどの配慮をしています。看護師から健康と衛生に対する意識付けを行い、子ども自身が健康管理をできるよう支援しています。あるホームには、「水分補給をしよう」「帽子をかぶって外に出よう」と夏の目標が掲示してありました。看護師は全職員と連携し、子どもと職員が心身ともに健康に過ごせるよう取り組んでいます。
約9割の子どもがけがや体調不良時の職員の対応は信頼できると回答しています
服薬管理は毎週金曜日にケースを交換し、服薬状況を把握して、変更がある場合は看護師がホームの職員と共有しています。また、薬の種類がわかるようセットしたり、なぜ薬を飲んでいるのかを職員から子どもに問いかけてもらうよう伝えたりしています。看護師と栄養士が毎月各ホームを巡回し、衛生状況の確認や歯ブラシチェックなどを行い、ホーム職員からの相談にのるなどしています。利用者アンケートの「けがや体調不良時の職員の対応は信頼できるか」については、昨年度に引き続き約9割の子どもが信頼できると回答しています。
5.子どもの精神面でのケアについてさまざまな取り組みを行っている
- 子どもが心の悩みや不安を相談できるように工夫している
- 性についての正しい知識と理解が得られるよう、子どもの年齢や状況に応じた説明を行っている
- 子どもの課題に応じて、心理的ケアや医療的ケアが必要な場合は、関係職員・機関と連携をとって、支援を行っている
【講評】
子どもが悩みを言うことができるように、子どもと一対一になる時間を設けています
カトリックの精神に基づき、一人一人のいのちを尊び人格を大切にすることとしています。子どもが悩みや不安を言うことができるように、日頃から寝かしつけや買い物、通院など、職員が子どもと一対一になる時間は、貴重な傾聴の機会と捉えています。心理のグループ活動として、幼児が月2回、小学生も月に1・2回作品作りに取り組んでいます。集団が苦手な子どもへの関係作りの場の提供など、活動の目的は一人一人異なります。作品は、心理療法室手前の壁に飾られ、訪れた保護者は作品を鑑賞し、子どもの様子をうかがい知ることができます。
職員による生(性)教育委員会では、助産師と連携し性教育をおこなっています
今年度、心理職員の体制が変わったため、副主任と業務の見直し作業に取り組んでいます。約50人の子ども全員に基本的な心理ケアを工夫しながら提供したいと考えています。職員が分野別に担当している生(性)委員会では、今年度も助産師との連携を継続し、年代別に集団で性教育を行っています。さらに個別でも助言をもらえるよう方法を見直して取り組んでいます。性教育マニュアルについては、今年度も見直しを継続しています。また、自分の心とからだを守る暴力防止のための予防教育プログラムを導入し、まずは職員が受講しています。
学校や児童相談所などの関係機関と連携し、担当者と心理発達的見立てを共有しています
4名の小児精神科の医師と連携し、毎月ドクターカンファレンスを実施し、専門機能強化型施設として治療的・専門的ケアの体制を整備しています。特に年数の若い職員にとっては、医師からアドバイスを受けることができ貴重な学びの場となっているようです。心理職員の年間計画は、心理療法・遊戯療法、日常生活場面での子どもへの関わりと行動観察、学習支援、職員との情報交換・コンサルテーションなどとしてます。また、学校や児童相談所、医療機関などとは必要に応じて連絡を取ります。担当者と協働し心理発達的見立てを共有して連携を図っています。
6.子どもの主体性を尊重し、施設での生活が楽しく快適になるよう支援を行っている
- 居室等施設全体は、子どもの年齢や状況に応じて一人ひとりの居場所が確保され、安心、安全で快適なものとなるようにしている
- 日常生活や余暇の過ごし方は、子どもが主体的にかかわって決めている
- 行事やイベントの企画・準備は子どもとともに考え行っている
- 施設の生活ルールは子どもの意見を尊重し見直しを行っている
- 子どもが一人ひとりの希望や季節等に合った清潔な衣服を身に付けられるよう支援している
【講評】
個別の空間に配慮し、シャンプーなどを個人所有とするなど自己領域を確保しています
子ども一人一人の居場所を確保できるよう、2人部屋ではカーテンや2段ベッド、複数の棚で1つの空間を2か所に区切るなど工夫しています。ベッドや和布団など、年齢や状況によって使い分けています。キッチンは対面式で、職員が調理をしながら子どもと会話を交わしたり、リビングダイニングなどの様子が見える環境です。子どもが使う茶碗などは、入所時に職員と買いに行き子どもが好きなものを選びます。シャンプーなどは小学生から個人セットを使用したり、ドライヤーや柔軟剤などを個人所有としたりするなど、子どもの自己領域を確保しています。
子どもの意向を尊重した行事を実施し、子どもが海やバーベキューなどを楽しんでいます
各ホームで、子どもの意向を尊重し職員が一緒に考え、子どもがやりたい行事に取り組んでいます。バーベキューや花火、水族館、別荘、海、古民家、また、電車が好きな子どものために鉄道博物館に行くなど多様な行事を実施しています。子どもからは、行事が楽しかったという意見が多数出るなど、大きな楽しみであることがうかがえます。職員は、子どものなにげない言葉を逃さず聴くことを共通認識しています。子どもがやりたいことを自由に言える雰囲気が培われ、余暇は、お菓子を作るなど趣味や興味あることを自由に楽しんでいます。
ホームミーティングで、子どもが意見を出し合い生活時間などのルールを決めています
ホームごとのホームミーティングで、目標や日課などについて子どもが意見を出し合っています。 テレビや起床、門限などの時間についても次の行動から時間を逆算するなどして、話し合って決めています。直接言えない場合は、「おたより箱」で伝えることもできます。また、複数のホームの中高生が参加できる「子ども自治会」を夏に行いました。希望した子どもが参加して活発にアイデアを出し、合意を形成したり、方法を共に考えたりすることを互いに学んでいます。さらに計画を仲間と実践することができるよう職員は見守りつつ支援しています。
7.子ども一人ひとりに応じた学力向上・進路決定のための取り組みを行っている
- 基本的な生活習慣を確立するとともに、社会常識、社会規範及び生活知識・技術を身につけられるよう支援を行っている
- 学習環境を整備し、基礎学力の向上・学習習慣獲得のための支援を行っている
- 子どもの意欲・意思や能力に応じた学習教材・塾等を活用している
- 進路について、子どもと保護者等、学校、施設による話し合いを行っている
- 多様な選択肢を提示したうえで、子どもの最善の利益にかなった進路の自己決定ができるよう支援している
- 個別に必要な時期・状況で、職場実習や職場体験、アルバイト等の社会経験を積めるよう支援している
【講評】
自立に向けて社会性などが身につくよう、子どもが体験できる機会を設けています
自立に向けて基本的な生活習慣や社会性が身に付くよう年齢に応じてホームごとに取り組んでいます。月1回お小遣いで買い物に行き、交通ルールや店内での適切な声量を学んだり、1年生は、自転車で公園に行く練習をしたりしています。子ども自身が通帳記入を行って口座残高を把握する取り組みも行いました。生活能力が身につくよう暮らしのなかで家事を子どもと一緒に行ってます。中高生は、個人所有の好みの洗濯洗剤を使い、主体的に節約しています。挨拶や「ありがとう」は、子どもから自然に言えるように、日々職員から積極的に言葉にしています。
学習意欲が高まるよう、塾やボランティア、手作り教材、クイズなどを活用しています
学校と連携し、学校生活の様子を把握して子どもの学習を支援しています。各ホームでは、学習習慣が獲得できるよう一人一人の能力に応じて、職員の手作り教材を用いて指導しています。塾の利用希望は積極的に支援し、施設の学習室(2室)でのボランティアによる学習指導を取り入れています。受験生は、高校見学や模試を積極的に行います。子どもの学習意欲が高まるよう興味ある分野のクイズやテレビ情報を実践するなど、職員は工夫を凝らして学べる機会を作っています。一時保護を受け入れるケースでは、児童相談所と連携して支援しています。
個別に卒業後の生活や収支を想定し、中高生が進路を自己決定できるよう支援しています
子どもが将来の夢や希望を持てるように支援することを基本方針としています。職員は、子どものアルバイト先を開拓し、子どもと卒園生との面談を取り入れています。また、個別に進学や就職など卒業後の生活や収支を想定し、子どもが熟慮して進路を自己決定できるよう支援しています。中学生以上の利用者アンケートで、「将来について情報提供や相談対応がなされているか」では、昨年に引き続き向上し、9割以上が「はい」と回答しています。小学生以下については、同質問の「はい」が半数以下なので、取り組みを検討していくことが期待されます。
8.地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている
- 地域の情報を収集し、子ども一人ひとりの状況に応じて活用している
- 施設の活動や行事に地域の人の参加を呼びかける等、子どもが職員以外の人と交流できる機会を確保している
- 子どもに、地域と日常的に関わりながら生活していることの大切さを伝えている
【講評】
職員は自治会の行事などを子どもに伝え、子どもが地域の一員として生活しています
グループホームは住宅街にある戸建て住宅で、日頃から職員と子どもが近隣の人と交流しています。苗をいただき、育て方も教えてもらい、ホームの庭で採れた小玉スイカ(15個)を子どもがデザートとして食べています。近くの店舗で生活用品や衣類を職員と一緒に購入したり、子どもだけで買い物に行ったりするなど地域の人と顔を会わせて交流しています。職員は、年2回の市の清掃日や、自治会の芋ほりの行事などを子どもに伝えています。祭りの際は浴衣やはっぴを着て参加するなど、子どもがさまざまな場面で地域の一員として生活する機会があります。
「地域ネットワーク」を基本方針とし新たにコミュニティースクールに参加しています
基本方針の一つに「地域ネットワーク」を掲げ、施設の1階に「地域交流ホール」を備えています。コロナ禍で開放していませんが、靴のまま気軽に会議や催し物などに活用することができます。ドラムセットやピアノ・ギターがある音楽室も通常は地域に開放しています。「ひとまず相談窓口」は、市の取り組みの一環でのぼりを立てて開設しています。また、地域の貢献事業やPTA活動、自治会の定例会にも参加しています。今年から、学校と保護者や地域の人が知恵を出し合う小学校のコミュニティースクール(学校運営協議会)に職員が参加しています。
さまざまな体験や考えを持つ人と子どもが触れ合い、生活や交流の幅を広げています
社会的マナーとしての挨拶などを重点目標として取り組んでおり、地域の方が、挨拶だけではなく、子どもと職員の顔を覚え会話をする機会も増えています。コロナ禍で中止となった前年度の新成人も招いて昨年度は成人のお祝い会を行いました。在園時の話や近況報告をするなど再び交流する機会となっています。施設では、ボランティアとして、学習・ピアノ・遊びの会・アニマルセラピーなど6団体以上を積極的に受け入れています。それぞれの目的にとどまらず、さまざまな体験や考えを持つ人と子どもが触れ合うことで、生活や交流の幅を広げています。
【講評】
プライバシー保護について子どもの意識を高める取り組みが期待されます
プライバシー保護に関して職員ハンドブックや性教育マニュアルの読み込み、人権擁護のためのチェックリストを用いた振り返りをしており、職員は高く自己評価をしています。しかし、当直室や他人の部屋へ無断侵入する子どもがいるようで、他の子どもや職員のプライバシー、個人情報の漏洩の恐れがあります。特に小学生から苦情が寄せられています。職員自身はプライバシー保護に取り組んでいますが、今後は、子どもがお互いのプライバシーを尊重できるような取り組みを進めることが期待されます。
オンラインを使った「紙芝居」を生かすため、事前準備とフォローが重要と思われます
コロナ禍で子どもが全体で集まることができない中、子どもの権利の説明をオンラインで行う工夫を進め、「紙芝居」を実施しました。おたより箱、子どもの権利ノート、守秘義務、虐待はしないなどの内容を盛り込み、コロナ禍の創意工夫として評価できます。しかし、子どもの権利について分かりやすく伝えているかという設問に、中学生以上は前年より約20%評価が高くなりましが、小学生以下では低下しています。ホームによる差が大きく出ていることから、配信前の事前準備や、配信後のホーム内での対応なども大事な要素かと思われます。
子どもの行動上の問題に対して、子どもを減員し職員を増員し強い覚悟で対応しています
職員からは、子ども同士のトラブルが多いことや、けんかになりやすいことについて意見が出ています。子どもの行動上の問題により職員が疲弊気味のホームもあります。緊急対応のために本園からホームに支援に行く対応を取っていますが、到着までに多少時間を要するという課題があります。施設では暴力対応のフローチャートを作成し、暴力への対応プログラムの導入や、寝かしつけをする時間をとるなど子どもの心の安定を図っています。直面する重要課題であることから職員を増員し、入所者数を減らし、暫定定員も辞さない強い覚悟で取り組んでいます。
1.子どものプライバシー保護を徹底している
- 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、子どもや保護者の同意を得るようにしている
- 個人の所有物や郵便物の扱い、居室への職員の出入り等、日常の支援の中で、子どものプライバシーに配慮した支援を行っている
- 子どもの羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、個人の意思を尊重している
- 「子どもの権利ノート」などにより、子どもの基本的人権について、日常生活の中でわかりやすく説明している
- 子どもが意見を表明しやすい環境をつくるなど、子どもの権利が守られるように取り組んでいる
- 子ども一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
- 施設内の子ども間の暴力・いじめ等が行われることのないよう組織的に予防・再発防止を徹底している
【講評】
ハンドブックや各種マニュアルに加え職員を加配して、孤立を防ぐ体制を作っています
施設の職員ハンドブックは各支援項目の実行ポイントが明確で実践的な内容となっています。一般職員のアンケートでは「分からないときなど日常的に手引書を活用している」との問いに約7割が「そう思う」と回答しています。また、施設の記録システムは以前に比べると、検索が容易で、文字数制限がない等使いやすいものになっているとの意見が出ています。ホームの地域分散化とケアニーズの高い児童の増加の中でマニュアルや記録システムに加え、フリー職員を配置し孤立化を避け、円滑な業務推進にスーパーバイジング機能を強化しています。
OJTの充実を進めて、新人職員の日常業務での戸惑いやつまずきの支援をしています
現場の実務に即した手順や基本については各種マニュアル、ハンドブックとともに、新人職員へのOJTを充実しています。新人職員とOJTリーダーが「OJTノート」を交換しており、子どもとのかかわり方や日常生活の支援のほか子どもに直接関わらない業務も含め、悩みや相談事、日々の感想を書き留め、相談しています。また、新人職員とリーダーのペアリング研修やトレーナー研修を通じて実務経験の継承と蓄積が進んでおり、新人職員の離職率が低下する副次効果も見られました。
サービスの基本事項や手順を見直すプロセスを改善して効果が出ています
サービスの基本事項や手順の見直しは随時行っており、昨年各会議の開催スケジュールを調整しています。その結果、リーダー会議の発議を主任会で検討して運営会議で決定するボトムアップの仕組みが円滑に機能してきていると施設は判断しています。また、施設独自の取り組みとして「他のホームを知り、気付きを得る」ことを目的として昨年試行した「他ホーム体験研修」は、今年度3名が参加を予定しており、ホームの担当者と一緒に支援、家事、引継ぎなどを体験します。ホーム間の学び合いを通じ、孤立を防ぎ、日常業務の標準化と改善を期待しています。
1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
- 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
- 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
- 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や子ども・保護者等からの意見や提案を反映するようにしている
事業者のコメント
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【講評】
職員ハンドブックを年間を通して読み合わせをするなどして全体への浸透を図っています
施設が目指していることは、ホームページにおいて「私たちが目指すもの」として掲載し、広く公表しています。この中では、カトリックの精神と創立者の意志に基づく理念に加え、それを具現化するための基本方針を7つにまとめて示しています。これらの内容は、年度当初の職員会議で施設長から全職員に向けて説明していますし、同じく職員会議で職員ハンドブックを毎回少しずつ読み合わせを進めるなどして全体への浸透を図っています。 職員アンケート結果を見ると、全職員の8割強が「施設が目指していることを理解できている」と回答しています。
職位別の職務分掌を使って経営層の役割等を説明するほか、それを全員に配布しています
事業計画書の中に「職務分掌・職位別」を掲載し、施設長や副施設長、養護主任などの運営幹部の役割と責任を明示しています。この内容は、年度当初の職員会議で説明し、事業計画書を全職員に配布していつでも確認することができるようにしています。職員アンケート結果を見ると、「あなたは経営層の役割と責任を理解できているか」との問いに、全体の4分の3の職員が「そう思う」と回答していて、この値は年々緩やかに上昇しています。リーダー層のみに着目すると、「そう思う」の割合が9割強に達しています。
現場の意向を施設の意思決定に反映させるのに効果的な流れを検討し、今に至っています
重要な案件の検討や決定の手順は、昨年度に「リーダー会議→主任会議→運営会議」という流れが固まり、今年度も継続しています。運営層は、この検討・決定の手順が現場の意向を施設の意思決定に反映させるのに効果的だったと評価しています。運営会議で決定した内容は職員会議を通して全体に周知します。職員アンケートでは、「経営層が意思決定の内容と経緯を職員に周知しているか」との問いに、全体の4分の3が「そう思う」と回答しています。