評価結果

標準の評価

基本情報

【法人名称】

社会福祉法人六踏園

【事業所名称】

品川景徳学園

【サービス種別】

児童養護施設

事業者の理念・方針・期待する職員像

事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)

子どもたち一人ひとりの権利を擁護し、個々のニーズを尊重する。
子どもたちが傷ついた心を癒し、安心感を持ち、心身ともに健康で、さまざまな不安や危険から保護され、落ち着いてくらすことを保障する。
子どもたちが本来持っている成長力を阻害することなく、一人ひとりが成長への意欲を湧かせ、個性的で豊かな人間形成が育まれるよう援助し、社会的自立のために必要となる生活の知識や技術を習得し、総合的な生活力を養うことができるように支援する。
子どもたち一人ひとりを大切にするとともに、その子どもたちに関わる人々を大切にし、子どもたちにとって心の安らぐ人間関係を築くことができるよう支援する。 
日常的に子ども達の養育に携わる全ての職員が、常に元気で明るく、意欲的に子どもたちと関わることができるように、民主的な園の運営と養育援助技術の向上に努める。                

職員に求めている人材像や役割

児童の人権を尊重し、職員間および諸関係機関(小・中学校、地域、児童相談所担当者)等との協力関係を重視できる常識人。一職員として当然子どもを愛し、子どもが好きでなくてはならないが、子ども達に関わる多くの人を大切にし、特に親からはわが子の養育者として信頼されるような存在でありたい。職員一人一人の力量が豊かになると同時に職員集団として協力関係・信頼関係から生まれる力を発揮出来る関係性を願っている。また、身体的・精神的に健康であることも重要な要素であり、少々の困難にめげず、様々な目標に向かい、一手一つの調和を大切にできる気持ちを持ち続けてほしいと願っている。

職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

上記の内容に加え、職員自身が長期間勤続することが大切である。子ども達はこれまで好ましくない家庭環境で育ってきただけに、欠落しがちな家族観を、職員が代わって充たすことが出来るよう、定着に努めてほしい。例え家庭引き取りになっても、家族関係で悩む子どもや、社会に巣立った子ども達から、何年経っても良き相談相手と認められるには、相当長期間勤務することが前提となる。

全体の評価講評

特によいと思う点

子どもは様々な場面で生活に対する要望や不満など、自分の意見を表明できる機会をもっている。生活を共有する他の子どもや職員と話し合う子ども会議、小中高の横割りで自治会的に活動する児童会、自立支援計画の作成に合わせて行われる個別面談など、自分の生活や将来に関わる決めごとに意見を表明する機会がある。職員においても、寮舎や専門職ごとの部署会議、職種や所属に関わらず事業所全体の取り組みを分担する係会議、全体での職員会議などに参加して、事業所におけるすべての業務や支援に対して意見を表明する事ができる体制をもっている。

本園では、中長期構想に位置付けた新たな養育の場づくりの一環として、職員4名を配置するなど体制を整え、本年7月より、品川区の要支援ショートステイ事業を開始している。児童養護施設での支援経験を踏まえ、要支援ショートステイ事業において親子への側面的支援を行うことは、改めて親子の間にある愛着関係の重要性や、在宅で支援することの意義に気づく経験となっている。同時に、アセスメントを通して、保護者がどこで子育てに悩んでいるかを理解し、そのことが、施設入所児童の保護者や子どもの育ちの理解の一助にもなる手応えを得ている。

組織的な虐待防止に向けては、改めて施設として、職員が日常の業務において安心して悩みや不安などの困り感を相談できる環境づくりの重要性を再確認している。一例として、子どもへの支援の過程で職員が受ける心の痛みなどの困り感について、職員間の世代の違い、経験年数の差などが共有の壁となることがあり、そうした実態を踏まえ、園内研修において横割りグループでの討議形態にしたり、状況に応じて他部署や園長・主任などの第三者的関わりを挟む必要性を認識している。こうした課題については職員会議で年間計画を当て実行している。

さらなる改善が望まれる点

献立の希望を聞く「食べたいポスト」や、意見箱の設置、寮毎の子ども会議など、子どもの意向把握と意見表明の場の確保に努めているが、さらに、無記名での提出方法も追加することが望ましい。子ども主体による子ども会議が定着する一方で、内容によって、あるいは子どもによって、皆の前で発言しにくいこともある。発言しにくい子どもには、事前に職員が聞き取りを行うなどの対応も取られているが、「直接職員には言いにくいこともある」との前提に立ち、子どもが安心して意見を表明できる別の方法も検討されたい。

当施設では、施設運営理念を明文化しており、こうした運営理念や方針は、より具体的な方法に裏付けられている。ボトムアップによる集団討議を通じた民主的な意思決定を始めとして、集団討議をリードしていく運営委員の位置づけ、1係1委員制、子どもの担当制、子ども会議を通した意見の表明など、重要かつ施設を特徴づける運営の仕組みがある。こうした仕組みについても、集団討議を通して、常に見直しが可能とされているが、職員体制が新陳代謝をしていく段階を迎える中では、特徴ある仕組みを明文化しておき、可視化しておく事が期待される。

事業所は、子ども本意の生活を徹底して確かな自立を実現したいと考えている。そのため、子どもの自立する力と意識を育み、それを援ける環境づくりに日々の支援を通して取り組んでいる。民法改正により2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられる。成年年齢を迎える高校三年生や、これまで高卒者などが20歳になるまで行っていたアフターケアとは異なる視点での支援が必要となるなど、社会的養護出身者の自立を取り巻く環境が厳しくなる事が懸念される。社会の変化に対するさらなる自立支援の検討が、社会的養護の専門性からも求められる。

事業者が特に力を入れている取り組み

各寮の運営を6人から7人体制としたことも踏まえ、職層や役割にかかわらず1人一役を担当する方針で役割を分担している。運営委員会も係の一つと位置づけ、経営層の会議ではなく互選による中堅職員から構成されて、職員会議の議題整理や資料作りを行っている。全職員が係・委員会を担うことで、負担を分担しながら、職員が広く学ぶ機会ともなっており、人材育成の観点では能力強化が図られている。また、コロナ禍にあって、対面による研修や職員間の交流も制限される中、組織のネットワークを強化し、職員の横の繋がりを作る機会ともなっている。

品川景徳学園で検討したキャリアパスと、法人内の児童養護施設にて検討されたものに基づいて、3園の統一のキャリアパスが完成した。品川景徳学園キャリアパスに基づき、職員が個人別研修計画を作成し、チェックリストによって各年数別に求められること、部署ごとにその部署に求められることについて確認し、職員が主体的に目標を設定できるようにしている。次年度に向けた園長面談では、職員の能力の特性に応じて個々の育成計画を丁寧に立てる必要性を認識し、キャリアパスに基づく具体的期待を伝えながら、園全体を見渡す視野の育成に努めている。

調理室の職員は子どもの食生活改善や食卓が子どもたちの安心する場、安らぎの場となり、食を楽しむ工夫をしている。コロナ禍で日常活動が制限され、各寮舎でも行動制限に伴い子どもたちのストレスフルな状況が見られる中で調理室は食に楽しみが持てるよう「景徳べんとう」として給食提供方法に変化を持たせている。また、児童会のイベント企画に調理室が協力する「児童会とのコラボレーションメニュー」ではテイクアウト式で食事を楽しむ等、様々な制限のある日常でも子どもたちへ食を楽しむ雰囲気が感じられる取り組みをしている。

利用者調査結果

調査概要

  • 調査対象:2021年9月1日現在の利用者を対象とした。
  • 調査方法:アンケート方式,聞き取り方式  
    個別面接調査法。調査員が個別に聞き取りで調査を実施した。
    聞き取り調査を希望しない利用者・都合により調査ができない利用者には、調査票を配布して回収する方法で調査を行った。
  • 有効回答者数/利用者総数:41/46(回答率 89.1% )

総合満足度(とてもよい、ややよいを合計した割合)は、(59%、24人)となっています。
小学生以下の満足度(とてもよい、ややよいを合計した割合)は、(63%、12人)となっています。
中高生の満足度(とてもよい、ややよいを合計した割合)は、(55%、12人)となっています。

●各カテゴリーのうち、「はい」の比率が高かった上位は、以下の項目であった。
問10.あなたは、プライバシー(他の人に知られたくないことや聞かれたくないと思うこと、内緒の話などの秘密)を職員が守ってくれていると思いますか(85%、35人)
問15.あなたが困ったときに、職員以外の大人(児童相談所の職員や学校の先生、第三者委員など)にも相談できることをわかりやすく伝えてくれましたか(83%、34人)
問3.施設の生活の中での決まりや約束事がどうして大切なのか、職員はあなたがわかるように伝えてくれましたか
(80%、33人)

アンケート結果

1.食事の時間が楽しいひとときになっているか

はい 29名 (71%)
どちらともいえない 10名 (24%)
いいえ 1名 (2%)
無回答・非該当 1名 (2%)

<小学生> お話ししながら食べるのは楽しい。 みんなとおしゃべりをするのが楽しいから。 <中学生以上> 苦手な食べ物も出ますが、自分ではとろうとしないので頑張って食べています。

2.施設での時間の使い方や衣服・物の所有について、職員は意見を尊重してくれているか

はい 31名 (76%)
どちらともいえない 7名 (17%)
いいえ 3名 (7%)

<小学生> 聞いてくれる。 <中学生以上> 服をかいたいなどをよく言います。 不満はないです。

3.子どもの年齢や特性、個別事情に応じて生活の約束ごとの説明を受けているか

はい 33名 (80%)
どちらともいえない 8名 (20%)

<小学生> いつもみんなの前で分かりやすく説明してくれるので助かります。 わかりやすく教えてくれた。 <中学生以上> 伝えてくれる。

4.自立に向けた支援について、多様な選択肢から情報提供や相談対応がなされているか

はい 31名 (76%)
どちらともいえない 7名 (17%)
いいえ 2名 (5%)
無回答・非該当 1名 (2%)

<小学生> 理由が分からない時、聞いてくれる。 積極的に話を聞いてくれたりして頼りになります。 <中学生以上> 担当の職員さんが特に聞いてくれます。

5.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか

はい 18名 (44%)
どちらともいえない 18名 (44%)
いいえ 5名 (12%)

<小学生> 整理してくれる職員がいるからきれい。 片付いてると思います。 <中学生以上> きれい。

6.職員の接遇・態度は適切か

はい 31名 (76%)
どちらともいえない 8名 (20%)
いいえ 1名 (2%)
無回答・非該当 1名 (2%)

<小学生> しゃべる時とか丁寧な言葉です。 言葉づかいも優しいので話しかけやすいです。 <中学生以上> 普通。

7.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか

はい 32名 (78%)
どちらともいえない 7名 (17%)
いいえ 2名 (5%)

<小学生> 熱が出たことがあったが助けてくれた。 かぜをひいた時にちゃんと対応してくれるので信頼してます。 <中学生以上> 助けてくれる。

8.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか

はい 29名 (71%)
どちらともいえない 11名 (27%)
無回答・非該当 1名 (2%)

<小学生> けんかした時1対1と職員で話させてくれます。 よく助けてくれます。 <中学生以上> 間に入ってくれます。

9.子どもの気持ちを受け止め、尊重した対応がされているか

はい 28名 (68%)
どちらともいえない 11名 (27%)
いいえ 2名 (5%)

<小学生> いつも自分の気持ちを聞いてくれます。 ちゃんと気持ちを聞いてくれて助かります。 <中学生以上> 聞いてくれる。

10.子どものプライバシーは守られているか

はい 35名 (85%)
どちらともいえない 4名 (10%)
いいえ 1名 (2%)
無回答・非該当 1名 (2%)

<小学生> よく思います。 だいたいの人は守ってくれている。 <中学生以上> 守ってくれる。

11.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか

はい 32名 (78%)
どちらともいえない 7名 (17%)
いいえ 1名 (2%)
無回答・非該当 1名 (2%)

<小学生> 聞いて会議に出してくれます。 聞いてくれる。 <中学生以上> 特筆すべき意見なし。

12.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか

はい 27名 (66%)
どちらともいえない 12名 (29%)
いいえ 1名 (2%)
無回答・非該当 1名 (2%)

<小学生> 目標は年に1回の目標を一緒にたてる。 わかんない時わかりやすく教えてくれる。 <中学生以上> たくさん説明してくれます。

13.自らの権利について、さまざまな機会をとらえて職員はわかりやすく教えてくれるか

はい 30名 (73%)
どちらともいえない 8名 (20%)
いいえ 2名 (5%)
無回答・非該当 1名 (2%)

<小学生> 教えてくれるしノートも配られている。 わかりやすい言い方で教えてくれます。 <中学生以上> 教えてくれる人がいて、その人が毎年1回くらい教えてくれます。

14.子どもの不満や要望は対応されているか

はい 31名 (76%)
どちらともいえない 7名 (17%)
いいえ 2名 (5%)
無回答・非該当 1名 (2%)

<小学生> 対応してくれます。 会議にあげたりしてくれていい人だなと毎回思います。 <中学生以上> 特筆すべき意見なし。

15.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか

はい 34名 (83%)
どちらともいえない 3名 (7%)
いいえ 3名 (7%)
無回答・非該当 1名 (2%)

<小学生> わかりやすく教えてくれます。 伝えてくれます。 <中学生以上> 特筆すべき意見なし。

組織マネジメント分析結果

◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合はで、実施できていない場合はで表しています。

【講評】
職員会議を最終議決機関とし、集団討議重視の民主的な意思決定体制を敷いている

ボトムアップによる集団討議を通じて民主的に意思決定を行う方針のもと、全職員対象の職員会議を最終議決機関と位置づけ、毎週開催している。各寮舎・職域の代表として中堅層を中心とした運営委員による運営会議を事前に行い、職員会議の議題整理・資料の作成を行うとともに、持ち帰って内容の周知にも努めている。職員会議の議事録は、サーバーに保管され職員がいつでも確認することができる。他にも、寮会議、養育会議や中長期計画の検討も行う改築委員会も含めた各種係・委員会等でも、少人数の集団討議による意思決定の体制が敷かれている。

コロナ禍での運営委員の役割の変化を受け組織の在り方の見直しを視野に入れている

毎年の事業計画は、2月に行う寮および支援部署ごとの総括方針を経て、職員との分担のもとに園長がとりまとめ職員会議で全体確認している。計画を実行する体制は、年度計画書において、「組織・運営体制図」として、係や委員会も含め、明確にしている。コロナ禍で職員の集合が困難な状況下では、施設運営上、運営委員が意思決定に関して担う役割や業務も増えスピードも求められるなど、従来の民主的意思決定と、トップダウンで決定すべき事との棲み分けの課題が浮き彫りになった。こうした状況から、組織の在り方の見直しも視野に入れている。

事業所の理念・基本方針は職員と相談して確定させ新入所児への説明も丁寧に行っている

年間事業計画に明記する施設運営重点項目については、施設長が案を作成し、職員と相談して決定している。利用者の家族や新入所児童にも、事業所の理念や基本方針の丁寧な説明を心掛け、入所時に渡す資料には、安心・安全な生活や子どもの権利擁護についても分かりやすく記載されている。入所中の児童については、施設の運営理念を踏まえた職員による養育を通じて伝わると考え、子ども会議にも反映されているが、同時に、入所時資料のように子どもに分かりやすく工夫して明文化し、意識して周知することにも取り組まれたい。

1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
  • 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  • 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  • 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
施設運営に子どもが主体的に参画し相談しながら決定する子ども会議が機能している

寮毎に実施される子ども会議は、日常の課題を話し合いながら解決する場である。小・中学生会議や高校生会議のような年齢別や、年齢別にしないフロア会議などがある。子どもが議題を整理したり司会進行を担当するなど、子ども主体で行う仕組みを工夫している。子どもが様々な想いを言える場であると同時に、職員から発信する場としても機能しており、子どもも職員も「相談」しながら決定していくという文化が定着しつつある。子ども会議の結果は、議題を整理したうえで養育部会議や全体会議である職員会議にも上げている。

集団討議による計画策定と振返りを行って事業計画のPDCAサイクルを実践している

年間を通じて計画の策定、進捗の確認や課題対応を計画的に実施する体制が構築されている。事業計画は、施設運営、人材育成、利用者支援、地域・関係機関との連携の観点から計画され、前年度の総括として2月に全職員で振返りを行って策定される。10月には中間の振返りも行い、その際、各寮毎の重点項目については、達成、未達成、後期・総括に向けての側面から整理し、進捗と今後の取組みを確認している。振返りにおいては、広い視野での議論を期待し、年代別と年代混合のグループ討議を行うなど職員の参画を促進する工夫がある。

関連事業動向や地域ニーズの把握に努め日常の施設運営や新規事業の検討に活かしている

東京都社会福祉協議会や施設長会、従事者会関係、関連委員会、要保護児童対策協議会ブロック会議など様々な機会に参加できるように勤務体制を保障して取り組んでいる。来年度開始の18歳成年についても関係者で勉強会を行っている。本施設は品川区唯一の児童養護施設であることから、区の期待に応え新規ショートステイ事業を実施している。現在自粛中であるが、町内会への会議室の貸し出しや祭りの手伝い、自治会活動に加え、施設内の地域の掲示板への掲示物持ち込時のコミュニケーションを通じ、日常的に地域ニーズの把握が行われている。

1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  • 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  • 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  • 事業所の経営状況を把握・検討している
  • 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
  • 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  • 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  • 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  • 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
施設内の各所に設置されたご意見箱は、身近な意見表明方法として定着している

苦情解決委員会を設け、治療指導療法担当職員と自立支援担当職員を対応窓口として、2名配置している。園長と苦情解決委員対応窓口が対応する「意見箱」を増やし、昨年度からは各寮に設置している。意見箱に投書した事がどのように対応されるか、子どもたちに仕組みを説明している。寮に設置した意見箱には、子どもからの要望が入るようになっており、子ども同士のけんかの仲裁を求める内容が記載されるなど、より子どもに身近なものとなっている。

苦情解決委員会が中心になって「不適切な対応」への計画的学習機会を設けている

苦情解決委員会が中心となり、不適切な対応はどのような場面で生じるかについて、考えそれを防ぐための学び(研修)を計画を立てて行っている。研修では、不適切な対応の考え方とともに実践するためのスキルを重視し、アンガーマネジメントについて学ぶプログラムも盛り込んでいる。また、厚生労働省発行の権利擁護チェックリストを委員会を中心に年2回行い、自身への振り返りを行ったり、仕事の組み立て方も学び合えるようにしている。さらに、勤務体制は、2つのユニットに1名ずつ配置し、1棟で複数職員として相互に点検しあっている。

新たな養護の場づくりの中長期構想を踏まえ地域貢献の取り組みの再開が待たれる

設立時から施設開放を行い、会議室・体育館の開放等や、地域向け映画会・講習会も積極的に取り組んできたが、昨年度から引き続き新型コロナ感染拡大防止のため、利用を一時停止している。そうした中で、実習生の受け入れは、9月から再開し、ボランティアについては看護師資格者の月2回程度の活動を再開している。今年の7月からは要支援ショートステイ事業を開始し、地域支援への手応えは少しずつ得ている。中長期構想では、新たな養護の場づくりを掲げ地域の中の役割が求められており、コロナの収束を見据えて地域貢献活動再開が待たれる。

1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
  • 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  • 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
  • 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  • 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
  • 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  • 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
  • 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  • ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
  • 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  • 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  • 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
危機管理マニュアルにおいてリスクの優先度を明示し、体制も整えている

危機管理マニュアルにおいて重大事故を、A生死に関わるもの、B園生活の継続を阻害するもの、C自然災害の被害に分類し、対策については予防、早期発見、問題解決の3段階で整理している。新型コロナウイルス対策として、看護師による新型コロナウイルス感染症対応マニュアルを整備し、職員会議を経て寮への周知を図っている。ヒヤリハットはリスクマネジメント係で活用しやすい様式に見直し定着を図っているが、発生要因の分析は依然課題としており、また、入力件数が低下している点は注視が必要となっている。

事業継続計画を作成し、夜間等の実践的な訓練を通して意識を高めている

防災係を中心に学園の実態に即した内容で事業継続計画を完成させ、訓練などの実践を通して内容を確認し、避難訓練については、夜間の実施を検討するなど実際の火事や災害を想定した訓練としている。事業継続計画の内容は、見直しを経て計画の実効性をさらに高めるためにBCMの作成にも取り組んでいる。リスクマネジメントについては、過去には職員と知識を共有する時間が取りにくかったが、コロナ禍の緊急事態に対応する経験を経ていざという時の訓練になっていると感じている。

施設内のWi-Fi設置を踏まえ実務上の留意点の職員への周知が求められる

コロナ禍において、業務遂行上、オンライン対応が求められる場面が増え、事務所にポータブルのWi-Fiを設置した。IT環境の整備が必須となる中で、対応には高いリテラシーが求められており、新たなリスクへの備えも求められている。個人情報保護については、規約や規程の整備は行われているが、職員によって知識も異なることを踏まえ、業務上での具体的な対応や留意事項について、あらためて対応を確認する必要性も認識されている。

1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
  • 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  • 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  • 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
  • リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  • 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  • 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  • 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  • 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  • 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
品川景徳学園のキャリアパスを完成させ、職員による目標設定の取り組みを開始している

品川景徳学園で検討したキャリアパスと、法人内の児童養護施設にて検討されたものに基づいて、3園の統一のキャリアパスが完成した。品川景徳学園キャリアパスに基づき職員が個人別研修計画を作成し、チェックリストによって各年数別に求められること、その部署に求められることについて確認し、職員が主体的に目標を設定できるようにし、寮内での共有も徐々に行われている。次年度に向けた園長面談では、個人の状況変化の把握と、キャリアパスに基づく具体的期待を伝え園全体を見渡す視野の育成に努めている。

個人別研修計画を通し、個人の希望を尊重した研修受講や自主研修を重視している

職員によって、養育観や文章表現力、諸行事の企画力、実行力、諸会議への参加姿勢や発言内容には極めて個人差が大きいことを踏まえ、実際の勤務状況などを通してそれぞれの課題を直視し、職員個々の育成計画を丁寧に立てることの必要性を認識している。経営層として、キャリアパスに基づいた研修の受講と共に、個人別研修計画を作成する中での個人の研修希望を尊重した研修受講、自主研修についても整理を行っていきたいと考えている。研修後の効果等の評価についても視野に入れている。

ライフステージに合わせて働き続けられる方策を模索している

職員の有休取得の推進に向け、リスクマネジメント係が有祭休カウント等の把握を行っている。シフト作成では職員の誰もが勤務案を作成できるよう取り組んでいる。当学園では4週6休制を取り入れ、宿直でなく夜勤体制にするなど、働きやすい環境整備を進めている。今年度、育児休暇明けの職員が3名いることで、育休明け勤務体制の議論が活性化している。施設運営理念には「働き続けられる環境」を繰り返し述べており、働き方の多様なニーズに応じて、業務負担の軽減や時間の工夫、報酬のあり方の方向付けが期待される。

1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
  • 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  • 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
  • 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  • 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  • 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  • 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
  • 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  • 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  • 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  • 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
  • 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  • 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  • 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

【課題目標の設定】
・BCP&各種マニュアルの整備と実効性のある活用を目指す(BCM)
・背景として、BCP作成後その活用、マネージメントするために何をすべきかを探り実践に繋げていくため。
【取り組み】
・昨年度作成したBCPについて、各職員から気になる点や不十分な点、不安な点について意見集約と計画の修正
・実際の被災時の対応への不安の声が多かったことを受け、設備の復旧項目について業者に確認し詳細化
・不足していた資料についても作成し、全体確認後、各寮に配布
・被災時についての職員の参集範囲や持ち物を記載したシートを配布
【取組みの結果】
・実際の被災対応について、検討や決定、決定事項の周知、状況の把握等毎回いる職員で対応策を検討する機会となった。
・災害だけでなく、問題解決の手段をどのようにしていくかをそれぞれが考える経験ができた。
【今後への反映】
・検討が不十分な項目(地域住民の受け入れ)について一旦削除し、次年度の検討課題とした。
・全職員が理解し、非常時にどういった対応を取るかを想定し、訓練する機会を次年度重点的に設けることとした。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

BCP作成後その活用、マネージメントするために何をすべきかを探り実践に繋げていくため、BCP&各種マニュアルの整備と実効性のある活用(BCM)を課題とした。そのため、昨年度作成したBCPについて、各職員から疑問点など意見集約し計画の修正に反映した。職員からは実際の被災時の対応への不安の声が多かったため、設備の復旧項目について詳細化した。また、被災時についての職員行動を明確にするため、参集範囲や持ち物を記載したシートを配布した。こうした取り組みは、実際の被災対応について、担当者のみならず、様々な職員と対応策を検討する機会となった。また、副次的効果として、災害に限らず問題解決の手段をどのようにしていくかを考える経験ができた。今後は、検討が不十分な項目(地域住民の受け入れ)について一旦削除し、次年度の検討課題とした。また、全職員が理解し、非常時にどういった対応を取るかを想定し、訓練する機会を次年度重点的に設けることとした。このように、前年の取り組みの結果を、次年度の対応に反映させておりPDCAが適切に行われている。

2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

【課題目標の設定】
・寮の養護の充実  3つの寮の業務の標準化と子どもと共につくる特色ある寮運営
・背景として、子ども会議充実と子どもの意見を反映させた生活づくり、職員の生活支援のスキルアップを目指すため。
【取り組み】
・長い自粛生活の中で、感染のリスクを押さえながら少しでも楽しい生活を送るかについて、子ども会議や日常の場面での話し合った。
・実務の手引きの改訂の手続きを定め、改訂手続きを行った。
【取組みの結果】
・自粛疲れもあり、子どもたちには大きなストレスがかかっており、その中で子どもたちのトラブルが増え、学園のルールへの不満が大きくなっていることが確認された。
・職員は子どものトラブル対応に追われることが多く、養育能力の向上に十分に目を向けきれなかった課題に気づいた。
・実務の手引きの改訂作業により、業務の標準化が一定程進んだ。
【今後への反映】
・ユニット内での子ども会議をより充実させるため、子ども会議の年間計画を立て、見通しを持った準備と実施ができるようにしていく。
・IT化を推進していく中で、オンラインツールを活用した子ども会議の実施など、新しい生活様式に合わせた取り組みを検討する。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

子どもの意見を反映させた生活づくり、職員の生活支援のスキルアップを目指すため、3つの寮の業務の標準化と子どもと共につくる特色ある寮運営を課題とした。そこで、長い自粛生活の中で、少しでも楽しい生活を送る方法を、子ども会議や日常の場面での話し合った。また、実務の手引きの改訂を行った。子どもとの話し合いを通して、子どもたちには自粛が続く中で大きなストレスがかかっており、その中で子どもたちのトラブルが増え、学園のルールへの不満が大きくなっていることが確認された。また、職員は子どものトラブル対応に追われて、養育能力の向上に十分に目を向けきれなかった課題への気づきが得られた。実務の手引きの改訂作業により、業務の標準化が一定程度進んだ。今後については、ユニット内での子ども会議をより充実させ、子ども会議の年間計画を立て、見通しを持った準備と実施ができるようにしていくこととした。また、IT化を推進していく中で、オンラインツールを活用した子ども会議の実施など、新しい生活様式に合わせた取り組みを検討することを確認した。このように、前年の取り組みの結果を、次年度の対応に反映させておりPDCAが適切に行われている。

サービス分析結果

6. サービス分析のプロセス
【講評】
入所前の事前面接では事業所の概要と子ども自身の不安や要望に応じた説明を行っている

入所前の子どもには、事前面接時に事業所を紹介する姿勢で対応している。事業所の雰囲気や生活場面の様子がわかる写真資料を使い、一日の生活の流れや年間を通した行事の紹介、集団生活における決まり事や子どもに関わる小づかいや学校などについて説明している。面接には心理職も同行して、家族との関係性や成育歴、家庭での生活の様子などを確認している。その内容も踏まえながら、それまでとは異なる入所後の生活に向けた子どもの不安や要望の確認も行い、一つ一つに答えている。

情報発信手法を多様化し、ホームページ等を中心に発信している

多種多様な情報を不特定多数の閲覧者へ提供できるホームページを、関係機関や地域に対する情報発信の中心と考えている。業者に依頼して作成したホームページはスマートフォンにも対応しており、一般に向けた社会的養護の啓発啓蒙や事業所の概要、求職者に対する施設見学や就職説明会などの情報、外部支援者に対する寄付寄贈に対する返礼、地域に向けたイベント情報などについて掲載している。閲覧者がそれぞれの目的に応じて情報を確認する事ができるように整理されている。更新などの運営は、IT係の職員が年度毎に方針を立てて行っている。

子どもが可能な限り安心して入所を決める事ができるように取り組んでいる

児童相談所が入所を決めた子どもには状況に応じて事前の見学にも対応するなど、環境変化への不安を可能な限り和らげて入所へ向かう事ができるように取り組んでいる。見学する際は、入所している他の子どもたちへの配慮を行いながら、入所する子どもが実際に生活する予定の寮舎を中心に案内している。入所後の家族交流を開始するタイミングや具体的な手順などについては、児童相談所を通して伝えている。

1.子どもや保護者等に対してサービスの情報を提供している
  • 子どもや保護者の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  • 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  • 子どもや保護者の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
入所時の環境変化に伴う子どもの不安軽減に入所前からつとめている

入所前の事前面接には受け入れを予定している寮舎の職員と心理職が赴き、入所後の生活づくりと支援に関わる情報を確認して、所定の書式に記録している。入所が決まった際には、子どもに対して事前の見学を必須にしている。その際は、実際の生活をイメージした上で入所の日を迎える事ができるように、所属する予定の寮舎を中心に事業所内を案内しするとともに、日々の生活に関する決まり事や集団生活における注意事項も説明している。一方的に伝えるのではなく、子どもが感じる入所後の生活に対する不安や要望を確認して答えるようにつとめている。

子どもが安心して入所する事ができる受け入れ態勢づくりに取り組んでいる

入所時には事前面接に赴いた寮の職員が出迎えて、子どもの緊張が和らぐようにしている。生活する寮へ案内する前に行うオリエンテーションでは、家庭支援専門相談員、心理職、看護師がそれぞれに必要な情報を確認するとともに、様々な職員が護っている事を伝えている。食物アレルギーなどを確認する必要がある際には、栄養士も同席している。さらに、入所した子どもが安心して学校へ通う事ができるように、通学予定の学校と必要な情報の共有や対応の検討を事前に行うなど、その後の定着へつながる第一印象づくりと受け入れ側の環境整備につとめている。

自立支援計画を積み重ね、継続的なアフターケアへつながる支援を提供している

入所している子どもには、年度ごとに策定する自立支援計画を通してそれぞれの自立や将来の実現に向けた目標達成の積み重ねを支援している。常に退所後を視野に入れながら生活している中で、子ども自身が退所へ向けた意識づくりと技量の習得をはかれるように関わっている。その支援関係を継続して維持できるように、すべての職員が力に依らない子どもとの信頼関係の構築に取り組む事ができる環境を構築したいと考えている。自立支援計画に基づいた様々な生活体験を積み重ねながら、退所後もアフターケアとして支援を継続する体制を提供している。

1.サービスの開始にあたり子どもや保護者に説明し、理解を得るようにしている
  • サービスの開始にあたり、施設の基本的ルール(約束ごと)、権利擁護の取り組みをはじめとした重要な事項等を子どもや保護者の状況に応じて説明している
  • サービス内容について、子どもや保護者の理解を得るようにしている
  • サービスに関する説明の際に、子どもや保護者の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
  • サービス開始時に、子どもの支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  • 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  • 入所以前の生活習慣等をふまえた支援を行っている
  • サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、退所後の支援の継続性にも配慮している
【講評】
子どもに関する情報をまとめて、様々な領域ごとの課題と支援の内容を明示している

入所後1か月を目途にアセスメントシートを作成している。子ども、保護者、児童相談所それぞれの将来に向けた意向、心理職職員の意見、寮職員による入所後の生活状況と所見をまとめている。その内容に基づき、主任や支援部署を交えたアセスメント会議の中で生活、心理、医療、家族といった領域ごとの課題と具体的な支援姿勢や内容を明らかにして、自立支援計画の策定につなげている。子ども自身や環境などの変化へ対応すべく初年度に限って作成していたシートを定期的につくり直す必要を認識して、その試行に取り組んでいる。

子どもの将来に対する意向を踏まえながら自立を支える自立支援計画を作成している

自立支援計画は、子ども一人ひとりの確かな自立に向けた支援の根拠として作成している。計画を作成する際には、自立の主体となる子ども自身の意向を踏まえ、自立する力の育みや環境づくりに対する具体的な支援を明らかにしたいと考えている。計画作成の過程で子どもとの個別面談を行い、将来の夢や不安を把握している。その内容と日頃のアセスメント情報を踏まえて、達成すべき支援目標を生活、心理、医療、家族といった領域ごとに掲げ、具体的な支援方法を検討している。定期的に計画進捗を確認している。来年度は書式を新たに見直す。

職員個々の支援や業務だけでなく、チームワークに活かせる情報共有の体制をもっている

子ども一人ひとりの日々の様子や職員が対応した内容、関係機関や家族と関わる中で把握した情報は、担当する寮舎の職員が集約している。集約した情報や会議の内容は、記録の目的に応じた書式やデータベースのシステム上に記載している。作成した記録は事業所内のサーバーに保管して、すべての職員が業務や支援の必要に応じて活用する事ができるようにしている。職員は同じ寮舎や専門職同士の中だけでなく、事業所で横断的に関わる係活動にも参加して場面に応じた情報共有をはかり、必要に応じてチームワークを発揮できる体制を構築している。

1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している
  • 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
  • 子ども一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  • アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.子どもや保護者の希望と関係者の意見を取り入れた自立支援計画を作成している
  • 計画は、子どもの最善の利益を第一に、子どもや保護者の希望を適切に反映して作成、見直しをしている
  • 計画を子どもにわかりやすく説明し、同意を得るようにしている
  • 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直すとともに、緊急に支援内容を変更する必要が生じた場合の対応や計画変更のしくみを整備している
3.子どもに関する記録を適切に作成する体制を確立している
  • 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  • 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している
  • 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  • 申し送り・引継ぎ等により、子どもに変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.個別の自立支援計画に基づいて、自立した生活が営めるよう支援を行っている
  • 個別の自立支援計画に基づいて支援を行っている
  • 子ども一人ひとりに合った方法で、子どもと職員との愛着関係や信頼関係を構築するために受容的・支持的な関わりをしている
  • 小規模なグループでケアを行うなど、子どもが家庭的な環境の中で生活できるよう支援を行っている
  • 子どもの発達支援等のため、精神科医等が子どもの発育等に応じ個別判断した上で、児童相談所と協議し、適切な職員等が生い立ちを振り返る取り組みをしている
  • 退所後の安定した生活基盤の確保に向け、関係機関や関係職員が連携をとって、リービングケア(退所後の生活を見越した支援)を行っている
  • 退所後は計画に基づいて、一人ひとりに応じた支援を関係機関や関係職員と連携して行っている
【講評】
子どもと日常的に関わる職員が自立支援計画を作成し、日々の支援につなげている

自立支援計画は、子どもが生活する寮舎の職員が中心となって作成している。計画には、子ども自身の将来に対する意向や不安、家族や児童相談所の意見、主任職や支援部署職員がそれぞれの視点や経験から把握した子ども一人ひとりの強みと課題を踏まえ、自立する力を育み環境を整える支援の目標と具体的な方法を明記している。すべての職員が、子ども一人ひとりの計画を踏まえながらチームワークの中で関わる事ができるように、日々の引継ぎや必要に応じた会議などで個別の支援内容を確認しながら対応している。

子どもが、担当以外の様々な職員と関わりを持てる生活環境づくりに取り組んでいる

子どもたちは、ユニット(8名定員)を基盤に生活している。2つのユニットで構成される寮舎ごとに所属する職員が、日々の支援を担当している。居室は子ども2人の相部屋を基本にしている。テレビや風呂の使い方など、こまかな生活のルールはユニットや寮舎ごとに子どもと職員が話し合って決めている。職員はそれぞれに子ども一人ひとりとの信頼関係の構築を目指すとともに、子どもと自身との関係性を踏まえながらチームとして効果的な役割分担も行っている。子どもが担当以外の様々な職員と関わりを持てる生活環境づくりに取り組んでいる。

退所までを子どもの自立する力を育み環境を整える準備期間ととらえて支援している

子ども自身の将来に対する要望や不安、家族や児童相談所の考え、寮の職員と支援部署による意見を踏まえて、年度ごとの自立支援計画の中で具体的な退所後のイメージを想定している。段階を経ながら実際の退所に向けて準備を行っている。家庭への復帰や社会への自立など、それぞれの退所の形に応じた子ども自身の意識づくり、関係機関と調整しながらの環境づくりに取り組んでいる。退所後の生活に対する不安軽減に事前からつとめるとともに、退所後も新たな生活への定着を見守るなどのアフターケアを心掛けている。

2.家族等との関係構築に向けた取り組みを行っている
  • 家庭支援専門相談員を中心に、家族等との関係構築のための支援方針が明確にされ施設全体で共有されている
  • 子どもの最善の利益を第一に子どもや保護者等の意向を確認しながら、関係機関と連携をとって、子どもと家族の関係調整に取り組んでいる
  • 子どもの状況や行事等の情報を個別の連絡により保護者等に知らせている
  • 保護者等との面会、外出、一時帰宅等は、状況を把握したうえで、子どもの安全に注意しながら行っている
  • 養育家庭や養子縁組等の制度が有効に活用されるよう児童相談所と連携をとっている
  • 入所中の子どもの家族等(里親を含む)に対し、退所後の生活を想定したさまざまな支援を行っている
【講評】
寮職員を中心に支援部署が関わり、関係機関と連携し、家族関係調整に取り組んでいる

寮職員を中心に、支援部署の家庭支援専門相談員(FSW)が児童相談所、関係職員と連携し、育成記録等の情報を常に共有し、支援方針の確認を行い、親子関係の再構築に向け包括的に取り組んでいる。年度当初に児童相談所から送付される家庭復帰児対象表を参考に家庭復帰を視野に入れ、家族に対する客観的な整理や子ども自らの生い立ちの整理に向け多職種連携で関わっている。昨年はコロナ禍で、家庭復帰に向けては子どもの意向を基に、保護者、関係機関と連携し、必要性の高いケースを優先的に家族交流を行っている。

子どもと保護者の関係性が深められる面会、外出等は基本的なことを確認し、促している

交流が可能な保護者と子どもの面会、外出、外泊については保護者の意向や子どもの希望を聞き取り、児童相談所と連携し、外出、外泊(帰省)を実施する前に基本的なことを確認している。実施後は保護者と振り返りを行い、状況を把握し、子どもの行動等の変化に留意している。学校の行事や子どもが関わる様々な行事予定表は保護者へ渡し、積極的な参加を促している。親子の交流や面会を促進するという保護者支援の視点だけではなく、子どもの養育支援のために親が出来ることを模索することで関係性がつながるよう取り組んでいる。

家族再統合に向けて子どもの意向を再確認し、児童相談所を介して関係調整に努めている

家族再統合に向け児童相談所と連携して取り組む中で保護者と子どもの意向が会わない時は子どもの意向が反映するよう再アセスメントを行い、児童相談所を介して保護者との関係調整に努めている。里親支援専門相談員はフレンドホームや里親委託等をすすめるために各関係職員と常に連携し、検討しているが、家族背景等から候補児の提案までに至らない状況にある。児童相談所と更なる情報共有を図り、多職種連携し、保護者と共育ての姿勢で向かい合い関係機関等と連携を図りながら、多様な成育環境の提供に向けた取り組みの促進を期待したい。

3.子どもが楽しく安心して食事ができるようにしている
  • 楽しい食事となるような環境を整えている
  • 食事時間は子どもの希望や生活状況に応じて対応している
  • 食事の献立は、子どもの状況(食物アレルギーや疾患等に関する主治医等の指示を含む)や嗜好に応じて工夫している
  • 食習慣の確立や食についての関心向上のため、関係職員と連携して食育の推進に取り組んでいる
【講評】
提供する食事は季節感のある献立で体づくりと共に心を育み、食を楽しむ工夫をしている

食事の充実を目指し栄養士は季節感のあるメニューを献立に入れる等、調理員と共に、できる限り手作りを心掛け、栄養バランスのとれた食事を提供している。四季折々の食材や様々な行事食を取り入れ、子どもが好むメニューを献立に入れる等、体づくりと共に心を育み、入所前の子どもたちの食生活の改善を図り、食を楽しむ工夫をしている。食に関する興味や食への関心を把握する嗜好調査を行い、食に関心が持てる環境を整えている。コロナ禍で取り組みの自粛をしながら、自立に向けて適切な調理体験の実施や看護師と連携を図り、健康管理に努めている。

食物アレルギー食対応の体制を整え、リクエストメニューで楽しく食卓を囲む環境がある

栄養士は入所受け入れ時の子どもの食生活の状況や嗜好、発育状況、食物アレルギーの有無等の報告を担当職員から受け、看護師、寮職員と連携し、必要に応じ、医師の指示に従い、食物アレルギー食に対応している。各ユニットのリビングは子どもたちと職員が家庭的な雰囲気で、一日の出来事の会話を楽しみ、誕生会では周りの仲間に祝福され、リクエストメニューで食卓を囲む環境があり、自分の居場所を確認する機会となっている。子どもの生活スケジュール(部活動、アルバイト)に合わせ弁当作りや食事時間など、話し合いながら個別の対応をしている。

感染防止対策を講じ、従来取り組んでいた活動の実施や調理支援を食育につなげている

昨年から続くコロナ禍の状況に対応し、子どもたちが自立して健康な食生活が営めるよう食を育む工夫をしている。テイクアウトを楽しむ「児童会とのコラボレーションメニュー」、給食提供を変化して「景徳べんとう」、従来とは異なる雰囲気の食事に子どもたちは感染防止の大切さを感じている。年度後半には感染防止対策を講じ、お手伝い受け入れや別室での調理クラブ、卒園予定児の調理支援を行い、調理を通して食への興味関心を高め食育につなげている。「自立のためのハンドブック」は、退所後、生活の自己管理に必要な知識の改訂をし、提供している。

4.子どもの健康を維持するための支援を行っている
  • 入所まもない子どもの健康状態(口腔ケア、視力等)に配慮し、健康維持のための支援を行っている
  • 健康に関して、子どもに理解を促す取り組みを行うとともに、子どもからの相談に応じ、必要に応じて子どもや保護者等に説明をしている
  • 子どもの服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などのしくみを整えている
  • 医療機関と連携しながら、日頃の健康管理を行い、子どもの体調に変化があったときには、速やかに対応できる体制を整えている
【講評】
入所による生活の大きな変化を受け止め、心身共に健全な成長を育む支援に努めている

昨年度に続き今年度もコロナウイルス感染症予防対策を重点に置きながら、日々の業務では可能な限り寮へ出向き寮職員、子どもの要望に柔軟な対応をし、心身共に健康維持、増進に取り組んでいる。子どもの入所時に立ち合い、生活の大きな変化を体験する子どもの心に寄り添い、担当保護司と健康に関する情報を共有し、健全な成長を育む支援に取り組んでいる。年2回の歯科検診、嘱託医の定期健康診断以外にも相談できる仕組みを整え、看護師(3名)が共同して子どもの健康状態を把握し、治療が必要な場合は通院同行し、多職種連携で支援している。

メンタル面で複雑な状態を抱え通院に伴う子どもの服薬も調整し、誤薬防止に努めている

子どもから体調等の相談を受ける前に入所前の情報を基に子どもの変化に留意し、個別対応をしている。発達障害や鬱状態、不安状態を抱えて入所してくる子どもの増加傾向に伴い、メンタル面で通院を必要とする子どもの通院医療機関は数か所あり、同行している。受診に伴う服薬の必要性、その理由をわかりやすく指導をし、薬の管理は看護師が行い、寮職員が子どもに内服させ、服薬チェック表を使用し、寮・看護師で薬の空き袋の確認や服薬後のチェックをして、未服薬の件数は減少しているが、なぜ誤薬が発生したのか双方でヒヤリハット提出をしている。

日常的に感染症予防指導に努め、新型コロナウイルスに対するマニュアルを作成している

終息の方向が見えない新型コロナウイルス感染症防止対策として日常的に感染予防指導(マスク着用、手洗い、うがい)、ソーシャルディスタンスに重点を置きながら平時の感染症予防を並行し、昨年度のインフルエンザ罹患は0件であった。今年度職員間で感染予防対策に関する対応策や正しい情報を共有する「新型コロナウイルス感染症対応マニュアル」を今年度9月に作成し、感染予防教育や健康教育に活用している。看護師は生教育係も担っており、心身ともに健やかに、自分の体は自分で守る事の大切さを日常生活の中で場面をとらえ指導をしている。

5.子どもの精神面でのケアについてさまざまな取り組みを行っている
  • 子どもが心の悩みや不安を相談できるように工夫している
  • 性についての正しい知識と理解が得られるよう、子どもの年齢や状況に応じた説明を行っている
  • 子どもの課題に応じて、心理的ケアや医療的ケアが必要な場合は、関係職員・機関と連携をとって、支援を行っている
【講評】
心理職は生活場面の観察を通して職員の関わりに理解を進め適切な支援につなげている

各寮職員は日常生活の中で子ども自身の気持ちや考え方を受容し、適切なタイミングで心理職につなげ、心理職の視点で安心できる生活や自己実現へつながる心理ケアを実施している。コロナ禍に対応するため個別面接の場所に配慮しながら子どもと向き合ってきたが環境が整えられた中で表現が保証される重要性を知る機会となった。また、子どもの生活も園中心となり、以前と違う生活場面に入る機会を設け、子どもと職員、子ども同士の関係性、子どもの特性やその時々の状況を観察し、寮職員の関わり方への理解を進め、より適切な支援につなげている。

年齢に応じ命の尊さ、大切さを育む場面を設け、生き方教育の取り組みをしている

各寮舎が生活の場である子どもの年齢、発達段階に応じて科学的な情報に基づき命の尊さ、大切さを認識する力を育む生き方教育に取り組んでいる。子どもに「生」について説明する時、大人として正しく伝えられるよう生教育 ガイドラインを活用している。二分の一成人式では職員が育てた植物の鉢植えを子どもたちの「育ち」「育てる」気持ちを育み、健やかな成長を願い渡している。各寮舎毎に生教育の場を設け、日常生活の中で意識することを話している。生教育係を担う専門職は入浴の仕方、月経について、より具体的な個別対応に努めている。

子どもの抱える心の問題をアセスメントし精神科医と共に包括的な支援を行っている

入所理由には子どもの虐待が増加傾向にあり、子どものトラウマや発達障害等の特性を持つ子どもの抱える様々な心の問題をアセスメントし、入所時、入所後も目的に応じてアセスメント会議を実施している。自立支援計画策定には心理職をはじめ多職種連携で関わり、具体的な支援と役割分担を担い、定期的にケースカンファレンスを実施している。心身共に専門的な治療支援が行える専門機能強化型施設として心理職による心理療法、精神科医(嘱託)による心理ケア、医療機関でのケア、児童相談所等と連携し包括的な支援を行っている。

6.子どもの主体性を尊重し、施設での生活が楽しく快適になるよう支援を行っている
  • 居室等施設全体は、子どもの年齢や状況に応じて一人ひとりの居場所が確保され、安心、安全で快適なものとなるようにしている
  • 日常生活や余暇の過ごし方は、子どもが主体的にかかわって決めている
  • 行事やイベントの企画・準備は子どもとともに考え行っている
  • 施設の生活ルールは子どもの意見を尊重し見直しを行っている
  • 子どもが一人ひとりの希望や季節等に合った清潔な衣服を身に付けられるよう支援している
【講評】
子どもたちの生活居室は男女別の縦割りで家庭的な雰囲気の居住環境を整えている

グランドと体育館がある閑静な住宅街に囲まれた学園で、生活ユニットは男女混合縦割りで家庭的な環境とし、居室は男女別で安全性に配慮している。共同部屋ではお互いのプライバシーや安らぎの空間を尊重しながら過ごせるよう寮職員を交えて話し合い、子どもの気持ちを受けとめ配置している。寮の運営は各寮事業計画に重点項目を挙げ支援方針を確認し、具体的な支援に取り組んでいる。寮内は家庭的な雰囲気の居住環境となっているが、子どもと一緒に居室前や廊下等共有スペースに置かれた荷物等の整理整頓に取り組んでほしい。

各寮で定期的に行う子ども会議は一緒に考え、相談して決める文化が定着している

子どもにとって学園が自分の居場所と認識し、日常生活を楽しく、誰もが安らげる寮舎生活にするために話し合う、子ども会議は各寮で定期的に実施する中で‘相談‘して決める文化が定着している。子ども同士の遊びの場面でも相談して決めている姿が見られている。各寮の決まりごとは子ども集団により違いはあるが、寮職員と一緒に考え、相談する子ども会議の在り方については利用者調査結果から子どもたちに浸透していることが伺える。小さなこだわりでも年齢に応じて発言する体験と機会を大切に、自分の思いを伝えるプロセスを見守り、支援している。

コロナ禍に合わせ、園内設備を有効活用し、衣替えの援助や衣服購入の助言をしている

楽しい施設づくりの一環として学園全体行事はコロナ禍の現状に合わせ、実施できる可能性を模索しながら、従来楽しんでいた様々なイベントや外出などを企画し進めている。体育館とグランドの使用は寮ごとに使用日を決めることで遊びを深めている。子どものたちの「外で楽しい遊びができない」の声を受け止め、外出以外、余暇の充実に向け各寮が企画(職員が漫画本を貸し出す等)し、楽しく社会性を育む配慮をしている。子どもたちの衣服は寮職員等が季節に合わせた衣替えの援助をしながら衣服の購入は子どもの個性(センス)も受け入れ助言をしている。

7.子ども一人ひとりに応じた学力向上・進路決定のための取り組みを行っている
  • 基本的な生活習慣を確立するとともに、社会常識、社会規範及び生活知識・技術を身につけられるよう支援を行っている
  • 学習環境を整備し、基礎学力の向上・学習習慣獲得のための支援を行っている
  • 子どもの意欲・意思や能力に応じた学習教材・塾等を活用している
  • 進路について、子どもと保護者等、学校、施設による話し合いを行っている
  • 多様な選択肢を提示したうえで、子どもの最善の利益にかなった進路の自己決定ができるよう支援している
  • 個別に必要な時期・状況で、職場実習や職場体験、アルバイト等の社会経験を積めるよう支援している
【講評】
基本的な生活スキルの向上を図る取り組みや携帯電話の所持に向け約束事を決めている

様々な家庭環境の中で培われた子どもの生活習慣を把握し、日常的なケアを通して、一人ひとりの子どもの発達段階や子どもの持てる能力に応じて基本的な生活スキルの向上を目指し、家庭的養護支援に努めている。栄養士のアドバイスを受けながら自主調理や金銭管理等の知識・体験ができる取り組みをし、社会的自立を目指す意欲を高める個別的な支援をしている。進路係、IT係は携帯電話の所持を希望する高校生以上にはSNSを含むインターネットの利用方法に関する様々なリスクやトラブルについて説明をし、約束事を守り、使用する事を確認している。

子どもの学習への意識や習熟度を把握し、学習意欲を高め習慣化する配慮をしている

入所後、心理担当職員が子どものスクリーニングを行い、学習への意識や習熟度を把握し、寮職員と共同で活用する教材の工夫や学習に対する意欲が習慣化するよう援助をしている。目的を確認しての通塾、学校の漢字検定や英語検定を促す等、学習意欲を高める配慮をしている。学校での子どもの状況を把握、理解できるよう保護者会へ出席し、担任と学校生活の様子、学力等の情報交換を積極的に行い、担任と支援の連携を図っている。進路に関わる面談は可能な限り保護者の出席を促している。学習ボランティアの活用はコロナ禍で未実施となっている。 

進路については早期に意向を確認し、社会的自立に向けた支援が充実する援助をしている

子どもの進路については早期に子ども自身が希望の職種等を見つけて進路が決められるよう、寮職員を中心に自立支援担当職員と連携し、支援計画の内容や状況を確認している。意向に沿った進路スケジュールの提案や社会資源と連携した就労体験(長期休暇利用)、望む職業に向けて社会で生活するための資金、進学に必要な奨学資金等のシミュレーションを一緒に行い、社会的自立に向けた支援が充実するよう援助している。自活訓練室を活用して経済観念を持ち、健康な食生活等、一人暮らしを想定する体験や高校生には卒園を見据えて援助している。

8.地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている
  • 地域の情報を収集し、子ども一人ひとりの状況に応じて活用している
  • 施設の活動や行事に地域の人の参加を呼びかける等、子どもが職員以外の人と交流できる機会を確保している
  • 子どもに、地域と日常的に関わりながら生活していることの大切さを伝えている
【講評】
子ども自身が地域で暮らし、様々な経験を重ねているという意識を育む配慮をしている

子ども自身が地域に関わり、地域で暮らし、様々な経験を重ねているという意識や、社会に出て、より良い人間関係が築かれ、生活の幅が広がるよう、地域とのつながりを大切にする情報把握に努めている。従来は子どもたちが通う小学校や中学校の保護者会やPTA活動に参加し、友好的な関係を築くことで子どもたちの交遊の幅が広がり、子どもたちを見守る環境が築かれている。地域の自治会に加盟し、コロナ禍以前は近隣の児童センターが企画するイベントに子どもたちは参加し、交流を図っていた。子どもの習い事は希望すれば利用できる配慮をしている。

地域との関係を尊重した学園の施設貸し出しなどは感染対策のため一時中止している

コロナ禍以前は地域に向けて会議室の貸し出しや体育館、グランドの開放等、日頃から地域と関わって暮らしていると実感する取り組みを行っていた。講師を招いて地域向けの講演会、親子で参加して見る映画会は状況に合わせて実施を予定している。クリスマス会、卒園式には第三者委員、ボランティアを招待し、職員以外の人と交流する機会を設けていたがコロナウイルス感染防止対策として一時中止としているが子どもたちの将来像にもつながるコミュニティ活動など、学園以外の多彩な方達との交流を通して地域に根差した学園を目指している。

地域で暮らすための生活マナーやルールは場面を通して伝え、その大切さを話している

社会的自立を育む活動(職場体験、職場実習など)を積極的に活用し、コミュニケーションスキルを身につけることの大切さや地域との交流や協調、ふれあいが大切であることを日常的に伝えている。日頃お世話になっている近隣の方へ朝夕の挨拶を率先して発することや地域での暮らし方等、気軽に地域の方と会話のやりとりができる関係づくりの必要性が養えるよう援助し、アフターケアにつなげている。近隣との生活マナー(大きな騒音等)、ルール(ごみの捨て方等)について場面を通して伝え、地域社会で生活している実感がわかるよう取り組んでいる。

【講評】
子どもが自分のプライバシーを護るよう、羞恥心を育てる取り組みが求められる

子ども宛の郵便物や電話などは、できるだけプライバシーを尊重し、職員が取り次いでつないでいる。居室への出入りや私物の確認についても本人の了解を得た上で行っている。子どもが寝起きする各居室は2名定員の部屋もあり、その場合、一人ひとりのプライバシーを確保する事が困難な環境になっている。周囲の視線を気にせず安心して過ごす事のできる空間や、私物や洗濯した衣類を収納して管理できる場所をつくるなど、子どもの羞恥心を育て、自分のプライバシーを護る事ができる取り組みが求められる。

子ども自身が自分を護る事ができ、護られている事を実感できる環境づくりが期待される

子どもが一人の人間として権利をもつ存在である同時に、誰からも大事にされるべき存在でもある事を伝えたいと考えている。今回の利用者調査では職員の対応に力関係の存在を指摘する意見があり、個別の対応が職員集団全体への不信につながりかねない状況が懸念される。職員個々の対応が、その意図に関わらず子どもへ実際どのように伝わっているのかを職責として把握する必要がうかがえる。子どもの尊厳を徹底して護り、子どもが護られている事を実感できる関わりを目指し、支援の意図を正しく伝える事のできる信頼関係づくりへの取り組みが期待される

多様な生活習慣や価値観をもつ子どもたちが認め合える関係づくりに取り組んでいる

様々な成育歴をもつ子どもたちそれぞれの生活習慣や価値観には、将来の自立や他者の生活に影響が及ばない範囲で最大限に尊重したいと考えている。食事や衣類の好みなど、個別に判断できる事柄については子ども一人ひとりの嗜好に任せている。さらに集団生活の主体者である子どもたちには、自分自身と同じに他者の生活習慣や価値観も否定せずに尊重してほしいと考えている。それぞれの考え方の違いなどで対立する場面では、互いに相手を尊重して譲り合う事ができるように話し合う事の大切さを伝えている。

1.子どものプライバシー保護を徹底している
  • 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、子どもや保護者の同意を得るようにしている
  • 個人の所有物や郵便物の扱い、居室への職員の出入り等、日常の支援の中で、子どものプライバシーに配慮した支援を行っている
  • 子どもの羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、個人の意思を尊重している
  • 「子どもの権利ノート」などにより、子どもの基本的人権について、日常生活の中でわかりやすく説明している
  • 子どもが意見を表明しやすい環境をつくるなど、子どもの権利が守られるように取り組んでいる
  • 子ども一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
  • 施設内の子ども間の暴力・いじめ等が行われることのないよう組織的に予防・再発防止を徹底している
【講評】
基本理念と実際の業務や支援に基づいた手引書づくりを通して標準化に取り組んでいる

基本理念や倫理綱領、防災や緊急対応など安全をはかる業務、日常生活や自立など子どもに直接関わる支援など、提供するサービスの要点や手順は、「実務の手引き」にまとめている。手引きは事業所のサーバー上で公開を行い、職員が個別の対応や会議や係活動での必要に応じて実際の業務や支援をいつでも見直す事ができるようにしている。その中で、職員は項目の追加や内容の修正を各会議を通じて適宜提案する事ができる。その内容については各寮舎や専門職、各係の会議で検討を行い、そこでの意見を踏まえて全体による職員会議で改訂の是非を決めている。

職員集団の支援水準の把握と向上をはかる目標設定をPDCAサイクルの中で行っている

年度当初に策定する「事業計画」には、子どもに提供する支援水準の年度目標を「利用者支援計画」として掲げている。寮舎ごとの年度目標、すべての子どもに共通する日常生活や行事などの計画、事業所全体の防災やリスクへの対応、心理職、調理室、家庭復帰や自立支援といった領域ごとに、前年度の振り返りや当年度の見立てに基づいて取り組むべき課題と具体的な方策を明示している。それぞれの取り組みについては年度末に総括を行い、振り返りと次年度に向けて抽出した課題を「事業報告」の中で明らかにしている。

ヒヤリハットを活用するなど、寮舎の独自性を特色とできる支援体制づくりが期待される

事業所にある3つの寮舎は、それぞれの事業計画と支援チームによって運営されている。寮舎ごとの職員と子どもの構成や状況に応じて、その支援体制や関わり方には独自性が存在している。そのため、子どもなどから寮舎間の支援格差を指摘される事もある。事業所のヒヤリハットは物理的リスクだけでなく子ども間や子どもと職員間のリスクについても対象としており、定期的に内容を分析している。今後は、各寮舎や職員個々の支援における強みと弱みも分析して明確に把握するなど、格差ではない独自性を特色とする寮舎ごとの支援体制づくりが期待される。

1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
  • 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  • 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
  • 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や子ども・保護者等からの意見や提案を反映するようにしている

事業者のコメント

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評価情報

【評価機関名】

株式会社 地域計画連合

【評価実施期間】

2021年9月1日~2022年3月24日

【評価者修了者No】

H0201025,H2001053,H0701051,H1202041

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