評価結果

標準の評価

基本情報

【事業所名称】

リエンゲージメント

【サービス種別】

就労移行支援

事業者の理念・方針・期待する職員像

事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)

1)社会福祉の視点から、経済の発展を目指し、個々人から家庭、コミュニティ、社会全体での幸福、豊さの向上を目指す
2)障害を持つかた、高齢者、女性といった社会的弱者の雇用創出により、地域、社会全体の生産性を向上させ、且つ社会的弱者がスムーズに社会参加できるような環境の成立を目指す
3)精神疾患を患った方の復職・再就職の支援を第一の目標とする
4)精神疾患を患った方の雇用先の創出についても注力する

職員に求めている人材像や役割

スタッフ自身が「自信を持ち、平穏で他者を受容し与える人である」ことを体現し、利用者に示せること。
失敗・未熟を認め、できないことはできるようにするよう、考え、聞き、努力する。
利用者が自身の課題に向き合うことができるように理解と共感を持ちながら、真摯に必要なことを伝える。

職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

利用者の成長につながる支援を心掛けること。
本人の望む生活につながる就職(最就職)ができるよう、よく利用者の本心を聞き取り、スタッフ一丸となって協力して支援していくこと。

全体の評価講評

特によいと思う点

利用者個々が、多様な背景と課題を抱えている。例えば、ある発達障碍を持つ人は、延長利用を含め3年かけて就職を果たした。コミュニケーションスキル不足や、考えを変えられないこだわりが生きづらさとなっていたが、アサーショントレーニングを繰り返し受ける体験を通して少しずつ変化して行き、人の気持ちが分かり思いやりを持てるようになった。その後、再就職を果たし、ストレス対処を重視しながら継続に取り組んでいる。事業所は、個別のニーズと願いに寄り添い、本人の気付きや成長を丁寧に共有しながら、自立と社会参加への支援を行っている。

障碍からの回復には、ピア(仲間)同士の支え合いが効果的である。「働きたい」という共通の願いを持って集い、幅広い種類のグループワークを通じて経験等交流を積み重ねている。例えば、職員指導だけでなく、利用者がグループで体調管理に必要なテーマを調査研究する活動があり、役割分担して情報収集を行い、まとめた内容をパワーポイントで発表して学び合う。卒業時には、体験発表会を行い、仲間への経験の分かち合いと感謝のメッセージを送る。事業所は、仲間意識を醸成し、自尊心の回復と社会参加を後押しする支援に努めている。

個別支援計画は、利用者の希望を取り入れ、反映させることを主軸に置いている。日ごと・週ごとに利用者がセルフマネジメントを行い、その積み重ねが月ごとのアセスメントになるという、わかりやすいプロセスが構築されている。さらに、利用者自身が個別支援計画書への振り返り・評価を行い、次の個別支援計画書を作成する仕組みがある。事業所では、利用者希望を取り入れた個別支援計画書に基づいた支援体制が構築されている。

さらなる改善が望まれる点

仲間同士の経験交流による回復の効果は重要な支援の資源であるが、自己開示には不安もつきまとうものである。また、そこには個人情報保護に関する配慮の必要性も影響してくる。一方、一人ひとりの価値観や意識も多様化しており、自尊心・羞恥心・プライバシー・主体性などの尊重は大前提である。事業所の各プログラムの多くは、グループワークの活動によって大きな効果を発揮している。それらへの理解を利用者から得て不安を軽減するためにオリエンテーション・プログラム運営・ルール設定の工夫などに、更に力を入れることを期待したい。

東日本大震災から10年が経過したが、誰もがあの惨状を忘れることはできない。東南海地震や首都直下型地震の発生が想定される中、福祉施設として大災害発生への備えは必須である。事業所は、本部・事務室と利用者作業室が近距離とは言え別々のビルで業務を行い、グループの別事業所も同居している。大災害発生の場合に冷静に対応して安全が確保できるように、職員・利用者への周知と理解を深めるとともに、地域や関係機関との連携を深めるために、事業継続計画(BCP)の早期作成とそれに基づく訓練の実施を望みたい。

障碍からの回復、そして身体の症状等の改善と、利用者個々の目標に向けた様々なプログラムが準備されており、それぞれのマニュアルや手引書が作成されている。職員は専門家としての専門性をもってサービス提供を行っているが、職員個々の裁量によるところも見られるようである。プログラム実施にあたって、手引書の活用を常態化するために、所内で所在を明らかにするとともに、全職員が常に活用することが重要であり、これにより、サービスの標準化とそれに伴う業務水準の更なる向上を期待したい。

事業者が特に力を入れている取り組み

事業所はグループの中心として、就労移行・就労定着支援事業を行っている。グループ内医療法人では精神科・診療内科が診療を行い、復職支援を行っている。また、カウンセリングや教育を行う法人と心理職専門の人材紹介事業やセミナー事業を行う法人も有している。事業所は、これらのグループ事業所と連携できる強みを活かし、精神疾患に特化した離職者向けの復職支援のパイオニアとして、利用者の最就職支援(最高で、最適な最後の就職)に力を尽くしている。

精神障碍の回復に必要な支援を体系的に構築し、提供している。職員は公認心理士等の心理・福祉系国家資格を持つ専門家で構成されている。社会リズム療法や集団認知行動療法などの心理プログラムをはじめ、自律神経計測や栄養指導等の健康管理、さらに、アサーションやエンカウンターなどの対人関係能力向上に注力しており、利用者が体調管理やコミュニケーションの知識・スキルを身につけて自己管理できるよう支援し、細やかな個別面談によって自己理解・モチベーション・意欲を支え、本人らしい社会参加・再就職の願いの実現を支援している。

利用者調査結果

調査概要

  • 調査対象:定員は20名だが、調査時点での利用者数は15人であり、全員を対象として13人(86.7%)から回答があった。男性は8人、女性は4人で、無記入が1人だった。年齢は30歳台から40歳台が10人と一番多かった。
  • 調査方法:アンケート方式  
    機関の用意した調査票一式(手紙付きアンケート、封筒)を、事業所職員から利用者へ手渡ししてもらった。糊付けした封筒で集められた調査票を、機関へ郵送してもらい、集計・集約のうえ、グラフ化して事業所へ報告した。
  • 有効回答者数/利用者総数:13/15(回答率 86.7% )

「大変満足」が3人(23%)「満足」が7人(54%)で、満足度は77%だった。その他、「どちらともいえない」が2人(15%)、「無回答」が1人(8%)だった。自由記述には、「空調の調整がよくない」「専門職から講義やアドバイスを頂けてありがたい。丁寧に接して頂き安心してできる。医療機関と連携しており、何をどこまで共有しているか分からず、医師やスタッフに安心して話せない時もある」「スタッフへは概ね不満はない。難しいとは思うが個室や1人で休めるスペースが欲しい」「心理プログラムに強みを持ったサービスの維持に心から感謝している。「学び直しの場」(社会人が通う大学や専門学校)だと感じており、皆様「同窓生」(年齢、性別、環境が皆違う)だと感じている。リエンゲージメントに通えてよかった」「職員が少なく就労相談員が1人。2年を前提とした計画はやめてほしい」「人数が増えてかなり手狭になっているので、もう少し広いところに移転することを検討してほしい」と、記されていた。調査に関しては、「何が知りたいのか、目的が分からない」「どちらかと言えば、とあると答えやすい」等、記されていた。

アンケート結果

4~17は選択式の質問のため、該当項目のみ掲載しています。

1.利用者は困ったときに支援を受けているか

はい 12名 (92%)
どちらともいえない 1名 (8%)

「はい」が92%、「どちらともいえない」が8%だった。設問項目には、「直接的な助けというより、一緒に考えてもらえるとは思う」「こちらから困り事を伝える必要はある。メンバーさんには消極的な人もいるので。もう少し積極的に課題を聞いてくれたらよいと思う事もある」「心理的な相談にはのってくれるが、生活面、経済面となると結構厳しい。メンバー内ではニーズが多いように感じる。例えば、卒業生がどうやって一人暮らしをしているか、生計を立てているかなど、生活のヒントになるような情報がほしい」と、記されていた。

2.事業所の設備は安心して使えるか

はい 9名 (69%)
どちらともいえない 4名 (31%)

「はい」が69%、「どちらともいえない」が31%だった。設問項目には、「トイレが1つのため休憩中に入れないことあり。ソファーはあるが横になれるスペースはない。衛生面は気をつかっている」「サービス利用者用のロッカースペースが広くなく人が密集して使えなかったり、上段から物が落ちてくることがある」「やや古い設備(机、椅子等)があり、みんなで物を大切に、自分達で手入れしながら使っている」「一部壊れているものあり」「パーテーションがメンバーさんの頭上に倒れた事があり、怖かった」と、記されていた。

3.利用者同士の交流など、仲間との関わりは楽しいか

はい 8名 (62%)
どちらともいえない 5名 (38%)

「はい」が62%、「どちらともいえない」が38%だった。設問項目には、「時期によって雰囲気は異なるが、個人的な情報や屋外での交流禁止のため安心して関われる」「様々な障碍や課題を持っているので、相手によってはひどく気を使って疲れる」「比較的少人数の利用者達と、様々なプログラムを通して互いの事を知り交流を深めている」「話をできる人がいる事はとてもありがたい」「事業所のルールとして通所外交流は禁止されており、プログラム中は活発に意見や考えを出し合っている」と、記されていた。

11.【就労移行支援】
事業所での活動が就労に向けた知識の習得や能力の向上に役立っているか

はい 9名 (69%)
どちらともいえない 3名 (23%)
いいえ 1名 (8%)

「はい」が69%、「どちらともいえない」が23%、「いいえ」が8%だった。設問項目には、「心理プログラムが豊富で、通所初期から知りたい知識もあった」「心理プログラム(NLP、エンカウンター、アサーション、認知行動療法など)が充実している」「「就労」というよりも精神的アプローチが優先。早く就職したい人には向かない」「心理プログラムやビジネスマナーは大いに役立っている。生活リズムシートの記入は負荷が大きく、またそれをメンバー同士で共有し合うというのは少々無理があると思っている」と、記されていた。

12.【就労移行支援】
職場見学・職場実習等の、事業所外での体験は充実しているか

はい 1名 (8%)
どちらともいえない 5名 (38%)
いいえ 1名 (8%)
無回答・非該当 6名 (46%)

「はい」が8%、「どちらともいえない」が39%、「いいえ」が8%、「非該当」が46%だった。設問項目には、「東京しごと財団経由の見学、委託訓練参加」「まだ職場見学の経験がないのでわからない」「コロナ蔓延後、一気になくなった。また就労担当が一人しかいないので、過重労働になっているように思う」「もともと就労に特化した事業所ではないので、充実度はそこまで求めていない。就労基準のプログラムに入る前に全員一度は職場実習を経験したほうが良いと思っている」と、記されていた。

13.【就労移行支援】
工賃等の支払いのしくみは、わかりやすく説明されているか

無回答・非該当 13名 (100%)

「非該当」が100%だった。設問項目には、「経済的に困っている人もいると思うので、仕事を請け負い、B型事業所のような事も希望する人にはやってみてもよいのではないかと思う」と、記されていた。

18.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか

はい 11名 (85%)
どちらともいえない 2名 (15%)

「はい」が85%、「どちらともいえない」が15%だった。設問項目には、「男性用トイレが汚い。きれいに使えない人がいるが対応できていない」「正直申し上げて新しくはないが、毎日の掃除などで自分達で使いやすい空間を保とうとしている」「毎日掃除をメンバーでしているので、清潔は保たれていると思う。一方部屋の端はダンボールや道具など雑多なものが置いてある印象である。目立たないようにはなっていて、気になるほどではない」と、記されていた。

19.職員の接遇・態度は適切か

はい 9名 (69%)
どちらともいえない 4名 (31%)

「はい」が69%、「どちらともいえない」が31%だった。設問項目には、「とても丁寧な対応」「ビジネスマナーの際にスーツやオフィスカジュアルを意識する利用者がいる一方で、スタッフの服装が華美であったり、崩しすぎていると(サンダル)やや気になる」「私服のスタッフとスーツのスタッフがいるので、調和が取れているように思えない。肌が見えたりはしていないので不適切というわけではない」と、記されていた。

20.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか

はい 12名 (92%)
無回答・非該当 1名 (8%)

「はい」が92%、「非該当」が8%だった。設問項目には、何も記されていなかった。

21.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか

はい 6名 (46%)
どちらともいえない 1名 (8%)
無回答・非該当 6名 (46%)

「はい」と「非該当」が各46%、「どちらともいえない」が8%だった。設問項目には、「職員さんに人間関係について相談した際、内容を一度受け止め、スタッフ間で共有し各々対応してもらった。不安なく通所を継続できた」「今までそういった事例を見たり聞いた事がない」と、記されていた。

22.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか

はい 11名 (85%)
どちらともいえない 2名 (15%)

「はい」が85%、「非該当」が15%だった。設問項目には、「丁寧に傾聴、とてもアサ―ティブに対応してもらっている」「職員によってスタンスが異なるので、場合によってはかえって「理解が得られなかった」と落ち込むことがある」と、記されていた。

23.利用者のプライバシーは守られているか

はい 10名 (77%)
どちらともいえない 3名 (23%)

「はい」が77%、「非該当」が23%だった。設問項目には、「スタッフ席の仕切りが低いので、利用者から見える位置に資料があると感じることはあります。基本的にはプライバシーを守ってくれていると思う」「提出した書類が机上に置きっぱなしになっている事がある。自律神経計測の設定画面で利用者さんの個人情報(年齢、生年月日)が一覧で見えるので、目のやり場に困る。覗き見防止フィルターなどで対応してほしい」と、記されていた。

24.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか

はい 11名 (85%)
どちらともいえない 2名 (15%)

「はい」が85%、「非該当」が15%だった。設問項目には、「聞いてくれるが、計画作成のタイミングがずさん」「話は聞いてくれるが利用計画(個別短期計画)を作成するタイミングが前回作成時の目標達成期日後になることが多いので、もう少し早めに作成してほしい」と、記されていた。

25.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか

はい 8名 (62%)
どちらともいえない 5名 (38%)

「はい」が62%、「非該当」が38%だった。設問項目には、「説明される事がめったにない」「確認してOKならサインください、といった流れ作業で終わっている感じがしている。一人ひとり面談の時間をとって説明してほしい」と、記されていた。

26.利用者の不満や要望は対応されているか

はい 10名 (77%)
どちらともいえない 2名 (15%)
無回答・非該当 1名 (8%)

「はい」が77%、「どちらともいえない」が15%、「無回答」が8%だった。設問項目には、「現在の負担金額(自分および自治体)を考慮した時、充分サービスは金額分、それ以上の品質だと感じる」「何故各々がその段階にいないのか説明に具体性を持たせてほしい。先延ばしをしているように感じる事もある」と、記されていた。

27.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか

はい 8名 (62%)
どちらともいえない 3名 (23%)
いいえ 1名 (8%)
無回答・非該当 1名 (8%)

「はい」が62%、「どちらともいえない」が23%、「いいえ」と「無回答」が各8%だった。設問項目には、「相談支援事業所の役割がいまだによく分からずに、担当者の方と面談しています」と、記されていた。

組織マネジメント分析結果

◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合はで、実施できていない場合はで表しています。

【講評】
理念・方針など、事業所が大切にしている考えを様々な方法で広く周知している

事業所は「福祉と経済の融合」を理念に掲げ、「福祉の事業を営みながら、社会の経済発展に寄与する」ことを目指している。理念や大切にしている考えはホームページにも掲載され、広く外部へ発信されている。本部及び事業所事務室や利用者の作業室の壁面には、理念や「倫理綱領及び行動規範」が利用者や職員の目に触れるように掲示されている。職員がいつでも確認できるように、名札フォルダーに経営理念とスタッフ心得を印刷したカードを挿入している。一方、利用者へは利用開始時に、他の重要事項と併せて説明を行い、理解を深めている。

環境変化に応じて組織を再編するなど、経営層は事業所をリードしている

経営層の役割は職務権限規程に明示されており、理念実現に向けた役割と責任を、経営層は朝礼・夕礼など様々な機会を通して職員へ伝えている。コロナ禍における大きな経営環境変化に対応し、リエンゲージメントグループとして事業所は、グループ全体の組織改革に取り組んだ。経営層は事業再編や事務所移転など大掛かりな改革を主導し、一連の改革は今秋新たな体制となってスタートした。経営層は、現場職員とのコミュニケーション及びグループとの連携をさらに深め、新たな体制を早期に軌道に乗せるべく努めている。

重要事項決定のルールが定められ、経緯及び決定はパソコンや朝礼で職員へ伝えている

事業所では、所内の情報共有やコミュニケーションを密にし、また、業務効率向上のためにパソコンの支援ソフトを活用している。多岐にわたる機能を有した便利なツールで、申請や稟議が必要な案件は必要なフォーマットをパソコンから取り出して作成できる。重要案件は、管理本部を経由して代表理事の決裁を受けるルールが定められている。緊急案件などのイレギュラーケースは、職員倫理綱領及び行動規範に示されたルールに基づいて対応することが定められている。一方、重要案件の決定事項や経緯は、パソコン内の掲示板や朝礼で職員へ伝えられている。

1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
  • 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  • 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  • 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
利用者・職員の意向や地域・業界・行政の情報を基に、対応すべき課題を抽出している

事業所の職員は、社会福祉士・公認心理士・臨床心理士・精神保健福祉士・産業カウンセラーなどの専門資格を有している。それぞれの高い専門性を活かして利用者の就労移行に向けたきめ細かい支援にあたっており、日常的に利用者の意向・ニーズを把握してサービスに反映させている。一方、2018年10月に管理本部が発足し、人事労務面接の仕組みを構築するなど、職員の意向把握にも効果を上げている。経営層は、これらの内部情報にと地域・業界・行政などの様々な外部情報から課題を抽出し、事業運営に役立てている。

専門性の高い良質なサービス提供の継続を目指し、年度事業計画を策定している

事業所は開設9年目を迎えている。開設時には中・長期的な展望を描き、それに沿って各年度の事業を進めてきた。事業所を取り巻く経営環境は厳しさを増しており、特に新型コロナウィルス感染症の蔓延は事業所運営に重大な影響を及ぼしている。事業所では、こうした先行きの不透明感が増す中では現実とかけ離れた計画になってしまうとの考えから、中・長期計画の見直し・作成を中断している。ただし、事業所の強みである高い専門性を活かした良質なサービス提供を継続するための単年度計画が作成され、資金収支を前提とした予算編成もなされている。

役割表で職員の分担を定め、毎月の責任者会議で計画推進の進捗状況を確認している

2021年1月にリエンゲージメントグループの部門別年間目標が発表され、それらを踏まえて事業所の年度事業計画が策定された。計画の推進にあたっては役割表を作成し、職員が分担して業務を遂行している。一方、計画の進捗状況は、月に1回行われている代表理事とサービス管理責任者による責任者会議で確認し、必要に応じて見直し・修正を行っている。責任者会議の結果は、朝礼やパソコンソフト内の掲示板を活用して職員へ伝えられている。

1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  • 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  • 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  • 事業所の経営状況を把握・検討している
  • 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
  • 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  • 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  • 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  • 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
倫理綱領及び行動規範を定め、法・規範・倫理の遵守徹底を図っている

事業所が定める倫理綱領と行動規範には、生命の尊厳・個人の尊重・人権の擁護・プライバシーの保護・社会的ルールの遵守・不正の禁止などの10項目が列挙され、それぞれについての指針が明示されている。常に、自らの行動を顧みながら、専門職員として行動するための基本的な指標として、職員相互で日々確認し合うためのものであることが、その序文には記載されている。綱領及び規範は、本部・事務室や作業室の壁面などへの掲示とともに、パソコン内の掲示板にも掲載され、職員への周知と徹底が図られている。

利用者の権利擁護への様々な取り組みを行い、職員の意識も高い

利用者の権利擁護については、事業所が常に重要に考え配慮している。苦情解決制度では、苦情解決の措置として、窓口(担当者氏名明記)・第三者委員(法律事務所名明記)の設置・解決のための処理体制及び手順を定めており、申し出があった場合は苦情処理簿を使用して迅速な処理を図っている。事業所では、専門性の高い職員のきめ細かな日頃の支援により、苦情の実例はほとんどない。一方、虐待についても「障害者虐待の防止と対応の手引き」を作成して研修を行い、重要事項説明書には虐待防止に関する相談窓口の設置を記載している。

事業所は、就労支援活動の中で、地域との関わりをさらに深める必要を感じている

事業所は3年ごとに福祉サービス第三者評価を受審し、評価結果を公表している。また、ホームページでも事業所の理念や活動内容などを詳しく説明するなど、外部に向けて広く情報発信を行って透明性を高めている。地域との関係づくりの重要性は十分認識し、行政をはじめ地域の関係機関との連携やネットワーク構築にも努めているが、コロナ禍においては残念ながら交流会などの活動は中止の状況であり再開が期待される。一方、実習生・ボランティアの受け入れについては、業務の性格から微妙な問題があると捉え、現在は受け入れを行っていない。

1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
  • 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  • 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
  • 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  • 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
  • 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  • 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
  • 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  • ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
  • 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  • 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  • 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
年度ごとに「リスク洗い出しリスト」を作成し、優先順位をつけて対策を講じている

事業所は、理念の実現を阻害するリスクを洗い出し、対応を検討するための「リスク洗い出しリスト」を作成している。2021年版では新型コロナウイルス感染症を含めた感染症の拡大を第1とし、次に自然災害を挙げ、全部で11項目のリスクを洗い出して対策を講じている。さらに、タイミングを捉えてリスクマネジメント・感染症・事故対応などについての研修を実施している。なお、11項目のうち支援現場に関係するリスク項目は感染症と利用者トラブルであり、他は組織マネジメントに関するリスクである。リスク項目自体の見直しも必要かと思われる。

大規模災害の発生に備え、事業継続計画(BCP)の策定が急がれる

2021年版のリスク洗い出しリストでは優先順位の2番目に自然災害を挙げ、地震・津波・台風・水害・落雷が対象となっている。これらに加えて、従来はあまり想定できなかったゲリラ豪雨による被害など、近年の気象変動によるリスクも考慮しておく必要がある。さらに、最大のリスクである首都圏直下型など大地震への備えも必要である。発生時の事業継続を見据えたBCPの策定を急ぎ、職員・利用者などへの周知を行い、非常時にも冷静な行動がとれるように準備を進めることが望まれる。

必要な内部情報を職員は活用できるが、取り扱い・管理には十分な配慮がなされている

事業所業務の性格上、情報管理については特段の配慮を行っている。14条からなる個人情報保護規定を定め、利用者からは個人情報使用同意書を、職員からは秘密保持誓約書を得て、厳格に取り扱っている。利用目的や開示請求への対応も、個人情報保護規程や重要事項説明書に明記して利用者へ説明している。また、使用しているパソコンソフトにはセキュリティーが掛かっており、さらに、アクセス権限やIDパスワードを用いて保護している。一方、紙面に記録した利用者の個人情報などは施錠できる収納庫で厳重に管理している。

1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
  • 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  • 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  • 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
  • リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  • 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  • 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  • 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  • 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  • 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
職員の専門性が十分に発揮できるように、適材適所の人員配置に取り組んでいる

事業所では、定員20名(現在の利用者15名)に対し8名の職員(常勤6名、非常勤2名)が利用者支援にあたっている。前年度は、採用が3名で退職が1名であった。採用にあたっては人事方針や現場の必要性を踏まえ、主としてインターネットを利用して募集している。事業所は高い専門性を発揮して就労移行・就労定着の支援を提供しており、担当職員はそれぞれが各種の専門資格を有して利用者の支援にあたっている。事業所はこのような状況を踏まえ、より良いサービスが提供できるように適材適所の人員配置を心掛けている。

キャリアパスと人材育成計画について、職員へさらに丁寧に説明することが望まれる

職員へは人事評価シートを用いた人事面接を行い、人材育成に繋げている。人事評価シートには、基本的能力及び技能・技術に関する能力について、それぞれの能力ごとに職務遂行のための基準が記載されている。職員は一つひとつの基準に対して5段階で自己評価を行い、上長の面接を受けて評価と次への目標などが話し合われている。一方、研修については担当者を定めており、OJTや外部研修への参加などを個人のスキルや課題に応じて計画的に行っている。但し、キャリアパスと人材育成に関しては、職員に対しさらに丁寧な説明が望まれる。

管理本部の本格稼働により内部管理体制が充実し、職員の意欲向上に繋がっている

職員は、人事評価シートに基づいた管理者との面接により評価が行われ、給与規定に沿って賃金などの処遇が決められている。就業状況の把握に関しては、2年ほど前の勤怠管理システム導入によりきめ細かい管理が可能となった。時間単位で有給休暇の取得が可能になるなど、職員に喜ばれている。また、設置後3年の管理本部の主導によって、人事労務面談の実施・部門別目標の設定・部門別表彰制度開始の準備・スキルアップのための自己管理表の考案など、新たな仕組みを打ち出し、職員の意欲向上に取り組んでいる。

1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
  • 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  • 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
  • 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  • 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  • 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  • 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
  • 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  • 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  • 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  • 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
  • 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  • 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  • 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

事業所は、精神疾患に特化した離職者向けの復職支援のパイオニアとしての自負を持ち、高い専門性を有した職員が支援に力を尽くしている。事業を取り巻く近年の経営環境は特にコロナ禍において厳しさを増しており、事業所は「スタッフの離職、それに伴うサービスの質の低下防止」を重点目標に掲げた。この目標は前回評価時にも掲げた目標でもあるが、事業所として常に欠かせない重要な課題として捉えている。事業所では、課題解決に向けて根本的な問題である財政収支と業務効率改善のために、組織の改革に取り組んだ。代表理事のリーダーシップの下、3年前に設置された管理本部によって事業の再編や本部・事務所の移転などの経営・組織改革を行うとともに、職員の意欲向上に繋がる福祉厚生制度の充実などを図っている。また、代表理事自らが、職員のスキル向上を目指して直接指導・教育にあたるなど、目標達成に取り組んでいる。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

<標語選択の理由>重点目標の1つとして、「スタッフの離職、それに伴うサービスの質の低下防止」を掲げた。この目標達成のためには、厳しさを増す経営環境の変化の中で財政収支と業務効率の改善が前提であると捉え、経営・組織改革に取り組んだ。<目標達成の状況>先ず、リエンゲージメントグループを含めた事業の再編や業務効率を高める本部・事務所の移転が実行に移された。その上で職員の意欲向上と支援業務スキルの向上への取り組みを始めている。部門別報奨金制度(2022年1月開始予定)の導入・管理本部による新たな人事面談開始・勤怠ソフト導入でのきめ細かい就業時間管理によって時間単位で有給休暇の取得が可能となるなど、意欲向上に繋がる取り組みが行われている。また、専門家集団としての高い専門性を維持・向上させるために、従来から行っている計画的な研修に加え、代表理事自らが職員の現場におけるスキル向上に向けて、朝礼の場などを活用して指導・教育を始めている。

2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

精神疾患に特化した復職支援のパイオニアである事業所が、その専門性を活かして利用者に良質なサービス提供を継続して行くためには、職員のスキル向上が不可欠である。評価項目1で掲げた課題に関連し、次の課題として職員自身がさらにスキルアップ・キャリアアップを意識することを目指し、「自己におけるスキル目標設定」を掲げた。管理本部が仕組みやツールの作成を準備して運用が開始されている。評価項目1に記載したサービスの質の低下防止を実現するために、事業所はこの仕組みの定着を目指して力を入れている。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

<標語選択の理由>評価項目1の重要課題の達成を強めるために設定した課題で、職員自身に自己研鑽の意識を強めてもらう目的である。「自己におけるスキル目標設定」を課題とし、管理のためのツールを作成して新たな人事面接も実施した。<目標達成の状況>従来の人事面接とは別に、人事労務面接を新たに定めた。管理本部が半期に1回行うこととし、10月から開始した。職員の思いを聞き取り、スキル目標設定にも役立てようとするものである。一方、スキルアップのための「自己管理表」は、期首に設定した自己目標(習熟したい主なスキル)について年度の上期と下期ごとに達成状況などを自己評価し、上長の評価を受けるものである。フォーマットが準備されており、次年度期首から運用の予定である。

サービス分析結果

6. サービス分析のプロセス
【講評】
ホームページの周知を中心に、リーフレット等の紙媒体でも情報提供している

代表の理念についてのあいさつで始まるホームページを中心に、事業所の周知を行っている。詳細なプログラムのリンク先・見学相談の予約・問い合わせなどにも、工夫がなされている。ホームページに加えてリーフレットもあり、手に取って見たい人への情報提供として配慮している。リーフレット類は、クリニックや職業安定所などの窓口に置かせてもらえるように郵送や訪問による依頼を行い、少しでも多くの利用希望者の手元に情報が届くよう、設置場所などにも工夫を行っている。

利用希望者がわかりやすいように、図式化やモデル例示などで、説明の工夫に努めている

ホームページやリーフレットでは、広く一般的に事業内容等の説明をしたのち、利用希望者個々の特性や課題などに対応するサービスの提供について、実例のモデルを表記して、より分かりやすい情報提供を心がけている。さらに、考えすぎてしまう人や理解の難しい人への配慮として、図式・イラスト・具体的な数字などを活用した説明資料も作成している。また、サービス開始から就労までの流れを、利用者と話し合いながら縦型の日数と横型の実例として、時系列に合わせて明示しており、利用者の理解を深める様々な工夫に取り組んでいる。

利用希望者の問い合わせや要望は事業所内で共有し、細やかに対応している

利用希望者の特性に応じてわかりやすい情報提供ツールを活用しており、様々な特性や傾向を持つ人々に対応している。また、問い合わせや見学などの要望についても、時間帯や付き添いの可否など確認して、丁寧な対応に留意している。さらに、事業所内でもこれらの情報を共有し、要望に即した環境で受け入れられるように努めている。一方、来所の相談時には、工夫されたツールをフルに活用して、事業所のサービス内容について利用者の理解を深めるための細やかな対応がなされている。

1.利用希望者等に対してサービスの情報を提供している
  • 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  • 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  • 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  • 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
サービス開始時には、重要事項説明書等により、契約・ルールを丁寧に説明している

サービスの開始にあたり、利用契約書及び訓練等給付費内のサービスが細かく記載された重要事項説明書に加えて、利用料についての詳細な説明書など、こと細かな資料が準備されており、じっくりと時間をかけた説明が行われている。一方、暗黙のルールなどは、利用者の特性上理解が難しい面もあるが、利用者同士の話し合いによって作成された「利用のしおり」が、事業所の基本的ルールとして活用されている。「利用のしおり」は、毎年の見直しが利用者によってなされており、常に利用者の視点が重視されている。

利用者個々の状況等を把握・共有することで、サービス開始当初の不安軽減に努めている

利用開始前の面談において、利用者個々の症状・健康状態・緊急時の対応などを聞き取り、フェイスシートを記入できる書式に記録されている。また、これらの情報はスタッフ間で共有されており、各種プログラムとの相性や利用体験時の変化などに応じた配慮ができる体制がつくられている。一方、利用体験時には声掛けを適宜行い、毎日の体験終了時にはヒアリングを行い記録するとともに、事前に得た情報も加味しながら丁寧な調整を行っている。利用開始に際しては、利用者の負担軽減を図った段階的な支援が行われている。

プログラム開始時から、目標に向けたスモールステップでの設定と継続性を意識している

生活リズム記録シートを活用しながら、生活の様子や当初の体力などを確認して、利用日数や時間を決めていくことを基本としている。しかし、利用期限があることからも、先ず起床して外出するという習慣化を目指して、利用時間は短時間でもよいから週3日は朝のサービス開始時間に来所することを促している。また、目標設定はスモールステップで行うよう指導がなされており、支援終了後もこれを活用して定着支援が行われている。さらに、定着支援終了後もOB・OG会が開催されるなど、支援終了後も継続性が意識出来る支援が行われている。

1.サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている
  • サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
  • サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
  • サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
  • サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  • 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  • サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
  • サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
目標設定・モニタリング・アセスメント・計画策定までの手順が一連化されている

プログラムの中に週1回のセルフモニタリングの時間が設けられており、睡眠・食事・入浴などを振り返り、翌週の目標設定を行う。さらに、モニタリングでの振り返りに、気分・コミュニケーション・就労などを加えて、月間の振り返りを行う。これらを踏まえて3ヵ月ごとに、アセスメントを所定の様式で行い、その上で担当スタッフが次の3ヵ月間の支援計画を策定し、利用者と共有していく。事業所では、こうした手順の一連化がなされており、これにより、本人の振り返りを尊重しながらも、定期的に計画の見直し・作成ができている。

利用者一人ひとりの情報を適宜更新し、それらの共有化がシステムとして確立されている

クラウドグループウエアを日々の記録の要として常用しており、担当の枠を超えて複数人で関わっている。また、コロナ禍における在宅支援をきっかけにウエブ会議やチャット機能を活用することで、利用者個々のリアルタイムでの記録が可能となっている。さらに、構造化された様式で利用者ごとのニーズや課題は明示されており、定期的にその振り返りが行われている。策定された様式の原本は本人の手元にあるが、グループウエア上でもファイル化して保存され、日々の記録と同様に情報の更新・保存・共有がシステムとして確立されている。

記録の視覚化や会議の在り方などで、利用者の状態を事業所全体で捉えようと努めている

毎朝のミーティングと入力された記録によって、日々の利用者の状態が共有されている。これらの情報を、通所・身体・心理・就労といった課題ごとに進捗管理表で整理し、月ごとに棒グラフ化している。こうした視覚化によって、課題の焦点化や変化が把握しやすくなっている。さらに、毎週のケース会議や月1回の全体会議での情報共有においても、グループウエア上と口頭での打合せをリンクして整理することで、莫大な情報のシンプル化を図っている。事業所では、利用者の状態を常に全体で捉えて試行錯誤しながらも支援がしやすいように努めている。

1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している
  • 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
  • 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  • アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の支援計画を作成している
  • 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
  • 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  • 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している
  • 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  • 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している
  • 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  • 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.個別の支援計画等に基づいて、利用者の望む自立した生活を送れるよう支援を行っている
  • 個別の支援計画に基づいて支援を行っている
  • 利用者一人ひとりに合わせて、コミュニケーションのとり方を工夫している
  • 自立した生活を送るために、利用者一人ひとりが必要とする情報を、提供している
  • 周囲の人との関係づくりについての支援を行っている
【講評】
丁寧なニーズアセスメントに基づいた個別支援計画を職員間で共有し、支援を行っている

事業所では、丁寧なニーズのアセスメントに基づいて個別支援計画を作成している。そこに記載されている利用者個々の目標・現在の課題・必要な提供サービス内容を、職員間で共有しながら支援に当たっている。入所時において、利用者の希望と障碍及び生活の詳細な現状を、インタビューや質問シート記入によって把握し、ニーズをアセスメントしている。また、当初の計画立案時や3カ月ごとのモニタリングによる更新の都度、職員会議や朝礼にて共有しており、それらの内容は記録ソフト内で、いつでも確認できるようになっている。

就職を目指すために、企業社会におけるコミュニケーションの仕方を支援している

当たり前と思うことでも、利用者一人ひとりの障碍や家庭環境の影響などにより、企業社会に適応するにはスキルが不十分であることもしばしば見られる。例えば、遅刻や欠勤の連絡の入れ方一つでも、企業社会人としてふさわしいやり方がある。職員は、個別に助言を行っているが、課題をプログラムの講義の中で取り上げて伝える方が良い場合もある。また、相談することが不得手でストレスを溜め込んでしまい、回復を困難にしている人も多い。職員は、ちょっとした雑談を交わすなど、話しやすい雰囲気作りに努めて会話を引き出すように支援している。

個別の課題に寄り添いながら、より良い対人関係を構築できるように支援している

プログラムにはグループワークが多く取り入れられている。内向的な人には、先行する仲間がいることで安心できるグループに組み合わせ、仲間にリードしてもらうことで集団の体験が可能となるように図っている。一方、対人関係面での課題には適宜、個別支援が行われている。例えば、攻撃的な言動がある人には、言葉遣いや物事の受け取り方などについて、職員から客観的な助言を行っている。さらに、個別面談によって振り返りを行いがら、より良い対人関係を構築できるように支援している。

2.利用者が主体性を持って、充実した時間を過ごせる場になるような取り組みを行っている
  • 利用者一人ひとりの意向をもとに、その人らしさが発揮できる場を用意している
  • 事業所内のきまりごとについては、利用者等の意向を反映させて作成・見直しをしている
  • 室内は、採光、換気、清潔性等に配慮して、過ごしやすい環境となるようにしている
  • 【食事の提供を行っている事業所のみ】
    利用者の希望を反映し、食事時間が楽しいひとときになるよう工夫している
【講評】
職業生活に必要なステップを積み上げるプログラムを体系的に構築している

プログラムは、就労継続に必要な「からだ」「こころ」「環境適応」の知識とスキルの積み上げを支援する構造であり、利用者個々の意向や段階に応じて参加方法を選択し、主体的に活用できる。まず最初に、体調と生活リズムを整えて、通所が安定することが大切であることを伝えている。一人が落ち着く場合は、ビーズアートや写経など個別に取り組めるツールも提供している。さらに、心理プログラム等の参加を通して感情コントロールやコミュニケーション方法を学ぶなど、就職に向けた着実なステップを踏めるように支援を行っている。

日直当番や利用者ミーティングなど、主体的に参加する活動機会を作っている

事業所では、朝礼の司会やストレッチ号令を、日直当番として利用者が担う。その人らしさが醸し出され、話し方も上手くなって行き、気付きを仲間に伝える意欲を高めている。当番の決め方も、利用者ミーティングで話し合い、ランダムに順番を決めるソフトを使っていたのを、一週間ごとに自主立候補する仕組みに変えた。誰も入らない日には、「仲間を助けてあげようかな」「そろそろやってみたいな」との意志を持ち、自由参加の利用者が現れている。利用者が意思表示して選択できる機会の保障が、意欲を引き出し、主体性を高める支援となっている。

都心での限られた環境を工夫しながら、快適に過ごせるように努めている

都心に立地する民間事業所ならではの苦心として、限られた施設面積と設備がある。日当たりの良さは、逆に熱がこもりやすいという課題ともなっている。コロナ禍では、窓開けを小まめにして換気をよくするなど気をつけている。体調は一人ひとり異なるので、エアコンの向きでの寒い・暑いにより、席を交換するなど協力し合っている。清掃は掃除機で職員が定期的に行うが、利用者も毎日閉所前にイス・テーブルを除菌シートで拭き、トイレ掃除や床のゴミ取りなどに協力している。また、面談には別建物にある事務所を使用するなどの工夫を行っている。

3.利用者が健康を維持できるよう支援を行っている
  • 利用者の健康状態に注意するとともに、利用者の相談に応じている
  • 健康状態についての情報を、必要に応じて家族や医療機関等から得ている
  • 通院、服薬、バランスの良い食事の摂取等についての助言や支援を行っている
  • 利用者の体調変化(発作等の急変を含む)に速やかに対応できる体制を整えている
  • 【利用者の薬を預ることのある事業所のみ】
    服薬の誤りがないようチェック体制を整えている
【講評】
障碍と疾病が共存する特性に焦点化し、健康管理を職業生活の土台として支援している

事業所では支援対象を、うつ病を中心とした精神障碍に特化している。障碍と疾病の共存が特性であり、職業生活上の中心的課題である。プログラムはそこを焦点化して構築されている。体重・血圧・血流・自律神経状態の定期計測による変化を共有しながら、個別に健康について話す機会を設けている。精神疾患の疾病教育・睡眠・社会リズム療法・自律訓練法・リラクゼーションなどのプログラムによって、知識やスキルの情報提供を行うとともに、身体の健康作りを土台と位置付けて、良質な栄養摂取方法の講義や散歩及びダンスなども取り入れている。

現病歴や服薬状況などを把握し、必要に応じて家族や医療機関と情報共有している

医療機関に勤務経験のある公認心理士など、専門性を持った職員が揃うため、かなり詳細な医療情報を把握して支援に活かしている。利用開始時には、本人から問診票へ記載してもらい、社会復帰に向けての障碍の影響、現病歴・症状などについて把握している。また、服薬状況については、月初にお薬手帳の写しを提出してもらい、投薬の変更情報を把握している。一方、主治医や家族から情報を得る必要がある場合には連携を図っている。利用者へはそれらの情報に基づいて、回復・改善・予防の対策などの助言を行っている。

法人のグループ内には精神科医療機関等があり、必要に応じた連携を行っている

体調変化に速やかに対応できるよう、一人ひとりの緊急連絡先や緊急診療先を把握して管理している。また、事業所の運営主体である法人のグループには、精神科クリニック・リワーク・カウンセリングセンターなどの施設が開設されている。必要に応じて指導や支援を仰ぐことが可能であり、それぞれの施設から得た知見を事業所の支援に活用している。一方、利用者からの希望があれば、転院やカウンセリングを利用することも可能である。

4.利用者の意向を尊重しつつ、個別状況に応じて家族等と協力して利用者の支援を行っている
  • 家族等との協力については、利用者本人の意向を尊重した対応をしている
  • 必要に応じて、利用者の日常の様子や施設の現況等を、家族等に知らせている
  • 必要に応じて家族等から利用者・家族についての情報を得て、利用者への支援に活かしている
【講評】
家族との連携については、基本的に本人の了解を得た上で行っている

事業所における就労移行支援は、成人を対象とした就職に向けた有期限のサービスであり、家族との積極的な関りを勧めてはいない。事業所は、利用者本人の意思や意向を尊重することを基本としており、家族と連絡を取る際には利用者からの了解を得ている。ただし、利用者の判断力や健康状態などの障碍特性にも配慮して、最善の利益に応じるために、家族から情報を得て総合的な判断を行う場合もある。

本人の希望と必要がある場合には、家族同席の面談なども実施している

職業生活を継続するための準備訓練中において、生活面は重要な土台である。生活面は、基本的に家族の支援や福祉サービスなどで自主的に整えてもらうが、家族関係に課題がある場合もある。例えば経済面の援助を親に依頼したいが、親子だけで冷静に話し合うことができないと考えている利用者から、職員へ同席面談を依頼したこともあった。実際に面談を持つと、本人が思っていたよりも親は心配しており、快く援助を行うことになった。親の側も、子どもの状況を知る機会を持つことが出来て、関係改善のきっかけともなっている。

5.利用者が地域社会の一員として生活するための支援を行っている
  • 利用者が地域の情報を得られるよう支援を行っている
  • 利用者が地域の資源を利用し、多様な社会参加ができるよう支援を行っている
【講評】
相談内容に応じて社会資源及び制度の紹介や福祉制度学習会などを行っている

利用者からは生活面でも様々な相談が寄せられている。内容に応じて、居住地域の相談窓口を紹介するなどの支援を行っている。今年度、生活保護や障碍年金についての基礎知識を得るために、福祉制度の学習会を実施した。障碍者雇用の収入だけでは生活していくことが難しい事情もあり、福祉制度の活用も考えられるようにするためである。一方、障碍年金の基礎勉強会も実施され、社会保険労務士から申請の仕方などの講義を受け、併せて個別の相談会も行われるなど貴重な機会を設けている。

近隣公園の活用やダンス教室の協力を得て、健康作りの場を設けている

事業所の徒歩数分圏内には大きな公立公園があり、身近に季節ごとの自然に触れられる環境となっている。事業所は、公園に福祉施設として登録することで、無料で利用ができている。利用者は、広々とした園内の散策をしたり広場でストレッチをするなど活用している。また、近隣のダンス教室の協力でスタジオを貸してもらい、ダンスプログラムを行っている。その際には、教室の講師から職員が簡単なステップをあらかじめ習っておき、利用者に教えている。適度に身体を動かし、リフレッシュできる健康作りの機会を、地域の資源を活かして実現している。

障碍の自己理解と本人らしい社会復帰の形を支援し、地域の社会資源に繋げている

再就職を目指すことを目標として就労移行への支援を行っているが、利用者個々が自分らしい社会復帰の形を見つける支援を大切にしている。自分自身の病気や障碍と向き合い現実とどのように折り合いをつけて生活するのかについて、本人の自己理解と選択を支援している。体調変化のために、就職とは別の進路として就労継続支援A型・B型を紹介する場合もある。また、遠方から通所していた人が地元の就労移行支援に移るというケースもある。その際に、居住地域の相談支援機関や行政窓口へその後の支援を依頼するなど、細やかな連携を行っている。

10.【就労移行支援】就労に向けて、必要な知識の習得や能力向上のための訓練等の支援を行っている
  • 利用者が働く意欲を持てるような取り組みを行っている
  • サービス期間内に就労に結びつくことができるよう工夫している
  • 生活リズムや社会人としてのマナーの習得等の就労に向けた支援を行っている
  • 就労に向けた職場見学や実習等、実際に職場にふれる機会をとりいれた支援を行っている
  • 就労支援機関と密接な連携をとり、利用者が力を発揮できる就労先に結びつくよう支援を行っている
  • 就労後も利用者一人ひとりに応じて職場定着等の支援を行っている
【講評】
再発を予防しながら、働き続けるための心身の体質改善と個別支援に力を入れている

精神障碍を持つ人の就労継続率は未だ低い水準にあり、多くの課題がある。長く働き続けるためには再発予防が重要であり、事業所ではそこに力点を置いている。「こころと身体の体質改善プログラム」と「専門スタッフによる個別相談」がそのカリキュラムであり、再発予防や就労準備の知識とスキルを身につけ、課題について自己理解を深めて取り組めるよう支援している。さらに、「最善で最後の就職」を目指して、エージェント等への登録・求人先とのマッチング・職場体験実習・委託訓練・PC訓練・面接同行などを行い、個別に就労への支援を行っている。

就労準備プログラムや企業実習などで、課題の自己理解や就労への意欲を支援している

毎週1コマ設けた就労準備プログラムでは、履歴書など応募書類の作成方法・模擬面接・働く上で必要な心構えなどを、職員から伝えている。コロナ禍前には、企業の人の講義による講演会の開催や企業見学会を設けている。また、関係機関が開催する職場体験実習面談会や、行政による障碍者委託訓練制度を活用して、様々な体験を図っている。一方、職業準備生活チェックリストを用いた月1回の自己評価を個別支援に活用している。事業所では、知識と情報の提供や、実体験と振り返りを通して、利用者自身が課題や強みの自己理解を深めるよう支援している。

就職後の定着支援事業やOB OG会開催などで、就労継続を支援している

今年はコロナ禍で中止となったが、例年3〜4回のOB OG会を開催している。メールを出すことで近況を把握する機会ともなっているが、利用者にとっては、働いている卒業生のリアルな声を聞いて刺激を受ける機会ともなっている。就職後には、6ヵ月のフォローアップ期間後に、希望する人は定着支援事業を利用することができる。有料の体調管理用ソフトを活用するには、日々の体調を本人が入力すると職員に伝わり、変化があった際にタイミングよく支援に入ることもできる仕組みとなっている。

【講評】
信頼関係の構築を軸に、利用者が意思を表出できる機会を確保している

利用者一人ひとりに対して、個性を認め、対話を重視し、主体性を持って課題に取り組めるような支援を行っている。基本的には、面談する機会を細やかに持つこと・プログラムにおける個別支援・個人の意思表出ができる機会をいつも見逃さないこと・利用者と対等であることを日頃から心掛けること、等であり、支援の姿勢から信頼関係が構築されている。利用者が気がかりなことを遠慮なく伝えられる信頼関係は、利用者の権利を守ると同時に、個々の利用者の意思を尊重するものといえる。

施設設備や室内の工夫に努め、利用者のプライバシーや羞恥心への配慮を行っている

今回の第三者評価における利用者調査の自由記述・設問記述に記されていたように、都心に開設されている利便性はあるものの、施設内スペースの狭さや設備などに対しての課題はあると思われる。事業所はこれらの課題を認識し、相談室の複数化・横になれるソファの設置・パーテーションや棚の活用による固有スペースの確保・トイレ表示の工夫やロッカー設置場所による男女別への配慮、等の様々な工夫を行い、利用者のプライバシーの確保や羞恥心への配慮に努めている。

利用者の価値観や生活習慣を尊重しながら、利用者自身の気づきを促す支援に務めている

事業所は、利用者がエンカウンターなどのプログラムを通じて、自身の価値観に気づくことを第1歩とし、そこから生まれる様々な葛藤を経て、社会に適応して行く過程への支援に努めている。支援プログラムにおいては、他者の価値観に触れることで、相手を否定せずに理解するための自己研鑽なども用意されている。全職員が、利用者一人ひとりの価値観や生活習慣を尊重しながらも、利用者自身の気づきに繋がる日常支援を心掛けている。

1.利用者のプライバシー保護を徹底している
  • 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
  • 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
  • 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している
  • 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
  • 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
【講評】
専門家の裁量だけに任せない、業務の標準化を目指した取り組みがなされている

職員が臨床心理士等の専門家であることから、その裁量によって、プログラムにおける進行の仕方・在り方・効果が左右されたりすることがある。支援業務の経験年数や専門家としての力量などによって差異が生じることもある。事業所では、個別支援計画の作成ができるための研修をはじめ、ケースカンファレンスの進め方や電話対応までの幅広い研修を通じてマニュアル化を行い、業務の標準化に取り組んでいる。また、これによって、職員自身が成長と安心をもって職場に定着できる効果も期待されている。

職員の意見を取り入れながら、業務水準の見直しと発展を進めている

作成されたマニュアル・手引書類は、法令等の変更に応じて改変している。さらに、日々のミーティングや週1回のケースカンファレンスなど、職員から支援の状況に合わせた手法の変化などの意見を吸い上げ、必要に応じて見直しを行っている。一方、リーダー層においては、これまでいろいろと試行してきたプログラム等をよりシンプルで分かりやすく、標準化させる必要性を共有している。そのため、支援の片手間ではなく、担当制によってじっくりと時間をかけて取り組む体制がとられている。

明文化されている手引書等の所在の明確化や声掛けによる更なる活用に努めてもらいたい

マニュアル一覧によると、面談のながれやプログラム対応をはじめとする多くのマニュアルが作成されている。しかし、所在が分からないものもあるなど、再確認及び職員周知の徹底が望まれる。また、各マニュアルと研修をリンクさせ実践に備えるなどの活用場面を設定し、声掛け等によってマニュアルの活用を図りたい。これらにより、職員が単にプログラム等の進行に終始するのではなく、効果を意識したサービス提供や専門性に特化しすぎないバランスの取れた支援などが可能となり、利用者の成長や発展により一層寄与することが期待される。

1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
  • 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  • 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
  • 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている

事業者のコメント

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評価情報

【評価実施期間】

2021年10月1日~2022年2月2日

【評価者修了者No】

H0306026,H0602021,H1302011,H1501060

評価結果のダウンロード

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