評価結果

標準の評価

基本情報

【法人名称】

社会福祉法人共生会

【事業所名称】

松風荘

【サービス種別】

児童養護施設

事業者の理念・方針・期待する職員像

事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)

子どもたちの最善の利益を守り、発達成長を支援します。

職員に求めている人材像や役割

・専門性とコミュニケーションスキルを持っている職員
・権利擁護意識の高い職員
・チームあるいは組織の中で連携しながら仕事のできる職員

職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

・養護問題に深く精通し、児童の最善の利益を考えられること。
・自分達のしている仕事は専門的職業であると認識し、常に自己研鑽と資質向上を目指す姿勢があること。
・共に働く仲間を大切にする心を持ち信頼し合えること。

全体の評価講評

特によいと思う点

「一人はみんなのために、みんなは一人のために」のもと、共に生きることをモットーにしています。なかでも皆で食べる共食の時間を大切にし、できる限り食卓を囲みお互いの理解を深めるような会話に努めています。食後には毎日話し合いの時間を設けて、翌日の予定を皆で共有するとともに、意見を表明し皆で考える場にもなっています。トラブルが起きた場合には臨時の家族会議で話し合っており、対話により解決を図っています。子ども一人一人について、職員全体で共有・検討をする機会を設けていることなどからも、共に生きる姿勢が感じられます。

自立支援計画は、子どもが将来、自立した日常生活を営むための基本的な計画であり、作成にあたっては、「なりたい自分になろう計画書」という書式を用いて、子どもの意見を取り入れています。将来の夢や自分の得意なこと、苦手なこと、遊びのこと、学校や勉強のことなど13の項目に沿って今の子どもの希望や考えを確認し、来年の今、自分がどんな人になっていたいかを把握しています。こうした計画書は職員間で共有し、日常の養育・支援につなげています。将来の姿を意識することで、子どもたちが日々の生活の中で努力するように支援しています。

人権擁護のための自己チェックリストを全職員が年3回実施し、うち2回は実施後に施設長面談を行って、普段の職員の行動に不適切なものがないかを確認しています。面談の際には、他の職員の言動・行動で不適切なものを見ていないかも確認します。子どもに対しては防災安全委員会で個別聞き取りを実施し、職員や他の子どもとの間にトラブル等がないかを確認しています。聞き取った内容から子ども同士の相関図を作って、トラブルの未然防止に役立てています。聞き取りは、担当以外の普段接していない職員が実施して言いやすい環境をつくっています。

さらなる改善が望まれる点

日常の中で子どもたちは、分担して掃除をしたりジャンケンで食器を洗う人を決めたりと、楽しみながら生活術を学ぶ機会があります。リービングケアの実施方法も明文化しています。一方で、例えば預金は引き出し方によって手数料が異なることや、惣菜は時間によって価格が異なることなど、より現実的な生活術を伝え切れていないと施設では認識しています。卒園生から得た話などをもとに必要な生活術をリストアップし計画的に習得できるようにするとよいでしょう。また、一人暮らし体験ができる環境を整備するなど、より実践的な取り組みも期待されます。

当施設ではOJTは入職3年目までを対象とした育成表(チェックリスト)を作っていますが、異動があると途切れてしまい、しっかり3年間続けられるようになっていないようです。また、個人別育成計画の導入はコロナ禍で中断し、振り出しに戻っています。一旦立ち止まって振り返る良い機会と考え、まずは理想とする人材像を階層別に明確にし、理想形に近づくためのスキルや経験等を規定していくと良いでしょう。その上で必要な研修やOJT等を設定し、異動があっても継続される体系的な育成計画を構築していくとよいように思われます。

策定した計画は、年度末には総括を実施して、達成度合いの確認と次期への課題の確認をしています。しかし、事業報告を見る限りでは、重点方針は最終的にどの程度達成できたのかがよく分からないように思われます。達成度合いをしっかり確認することで、次期への課題がより明確になりますので、実施していくことが期待されます。また、達成度合いを測るには目標設定の段階から、測定しやすいものを設定していく必要があります。達成度合いを測ることを意識して重点方針を設定していくようにするとよいでしょう。

事業者が特に力を入れている取り組み

ヒヤリハット報告の活用を熱心に行っていて、それを基に事故やトラブルの未然防止と再発防止に取り組んでいます。ヒヤリハット報告を基にして、発生頻度と影響の大きさでリスクマップを作り、養護会議で提示してその共有を図り注意して見回るようにしています。例えば子ども間のトラブルが発生しやすい死角の場所があれば、そこは常に注意深く確認するということに取り組んでいます。また、同報告の一つ一つの危険度を低・中・高の3つに区分して毎月集計し、危険度の高いものの対応策を検討して職員会議等で全体に周知しています。

当施設独自の取り組みとして、例年、中学3年生以上を対象に泊まり込みの合宿を行っています。自立に向けた取り組みで、外部のさまざまな講師を招き、自立に向けた講話を聞いたり、卒園生を呼んで自身の体験談を聞いたりしています。高齢児の自立に向けた心構えを構築する場とし、11年目を迎えました。コロナ禍の現在も、対象者を変更し複数回に分散したり、オンラインを活用したりと工夫しながら継続しています。自立支援委員会が中心になり、毎年何回も話し合いを重ね、どのような内容で高齢児合宿を実施するか検討しています。

子どもの特性に合わせた性教育が必要であると施設では考えています。個々にあった正しい性の知識を身につけ、理解を深めることで命の尊さを学んでいくことを目標に、マニュアルや年齢別プログラムを作成して取り組んでいます。毎年生活支援会議の中で、子ども一人一人に必要な性教育の内容を検討し、個別目標や実施日を設定しています。距離感、プライベートゾーン、恋愛のステップなどテーマはさまざまで、実施状況を報告書にまとめています。高齢児合宿では外部の専門家を招くなどしてSNSのリスクや身だしなみについて学ぶ機会を設けています。

利用者調査結果

調査概要

  • 調査対象:【児童数】 29名
    【調査対象者数】 29名
    ・全員に共通評価項目による調査をおこないました。
  • 調査方法:聞き取り方式  
    ・事業所と協議のうえ、全員に聞き取り調査を実施しました。
  • 有効回答者数/利用者総数:29/29(回答率 100.0% )

【総合的な感想】 「よい・少しよい」を合計した満足度は58.6%です。「よい」が48.3%、「少しよい」が10.3%、「どちらともいえない」は34.5%、「少しよくない」が0.0%、「よくない」が6.9%となりました。
【各設問】 「はい」の回答割合が最も高かったのは、問10「子どものプライバシーは守られているか(93.1%)」でした。次いで高いのが問4(自立に向けた情報提供・相談対応)および問6(職員の接遇・態度)、問7(病気やケガへの対応)、問8(トラブル対応)、問15(外部苦情窓口)で、いずれも86.2%でした。一方、「はい」の回答割合が最も低かったのは、問5「施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか(62.1%)」でした。
【自由意見】 今のままで楽しいことや満足していることを述べた意見のほか、職員が優しいことや話を聞いてくれること、ゲームができることや小遣いをくれることなどを述べた意見があがっていました。一方、ゲームの時間延長や小遣いの増額、門限等に関する要望、他の子どもとの関係やコロナ禍での食事に関する意見なども出ていました。

アンケート結果

1.食事の時間が楽しいひとときになっているか

はい 19名 (66%)
どちらともいえない 6名 (21%)
いいえ 4名 (14%)

【回答割合】 「はい」が65.5%、「どちらともいえない」が20.7%、「いいえ」が13.8%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が2.2ポイント上昇しています。 【自由意見】 会話が弾んでいると楽しいことや、面白いことがたくさんあること、食事がおいしいことなどを述べた意見があがっていました。一方、全員が食べ終わるまで待つのが面倒くさいというものや、他の子が話していることを聞くのが嫌だといった意見が出ていました。

2.施設での時間の使い方や衣服・物の所有について、職員は意見を尊重してくれているか

はい 24名 (83%)
どちらともいえない 3名 (10%)
いいえ 1名 (3%)
無回答・非該当 1名 (3%)

【回答割合】 「はい」が82.8%、「どちらともいえない」が10.3%、「いいえ」が3.4%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が2.8ポイント上昇しています。 【自由意見】 希望は聞いてくれることや、服は自分で選んでいること、服は職員と一緒に買いに行くこと、文房具は自分で買いに行くことなどを述べた意見があがっていました。一方、予算を超える服や似ているような服はダメだと言われることや、要望がなかなか通らないことなどを述べた意見も出ていました。

3.子どもの年齢や特性、個別事情に応じて生活の約束ごとの説明を受けているか

はい 20名 (69%)
どちらともいえない 6名 (21%)
いいえ 1名 (3%)
無回答・非該当 2名 (7%)

【回答割合】 「はい」が69.0%、「どちらともいえない」が20.7%、「いいえ」が3.4%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が7.7ポイント下降しています。 【自由意見】 どういうルールがあるのか説明してもらった内容を述べた意見のほか、ルールには納得していることなどを述べた意見があがっていました。一方、納得できるルールと納得できなりルールがあることや、納得はしたが変えて欲しいルールもあること、ルールがある理由を職員が理解していないことなどを述べた意見も出ていました。

4.自立に向けた支援について、多様な選択肢から情報提供や相談対応がなされているか

はい 25名 (86%)
いいえ 3名 (10%)
無回答・非該当 1名 (3%)

【回答割合】 「はい」が86.2%、「どちらともいえない」が0.0%、「いいえ」が10.3%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が2.9ポイント上昇しています。 【自由意見】 将来何になりたいかを話したりすることや、職員が相談に乗ってくれること、上級学校のことについて教えてくれることなどを述べた意見があがっていました。一方、将来の夢を自分から話したりしないことや、職員と将来の話などはあまりしないことなどを述べた意見も出ていました。

5.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか

はい 18名 (62%)
どちらともいえない 4名 (14%)
いいえ 7名 (24%)

【回答割合】 「はい」が62.1%、「どちらともいえない」が13.8%、「いいえ」が24.1%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が17.9ポイント下降しています。 【自由意見】 職員が掃除してくれていることや、子どもにも掃除等の分担があることなどを述べた意見があがっていました。一方、特定の場所を指して汚れているときがあることを述べた意見や、子どもが散らかすので汚れているという意見なども出ていました。

6.職員の接遇・態度は適切か

はい 25名 (86%)
どちらともいえない 3名 (10%)
いいえ 1名 (3%)

【回答割合】 「はい」が86.2%、「どちらともいえない」が10.3%、「いいえ」が3.4%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が2.9ポイント上昇しています。 【自由意見】 皆問題ないことを述べた意見があがっていました。一方、言葉づかいがたまに悪い職員がいることや、普段は問題ないが言い合いになったときの態度が良くないことなどを述べた意見も出ていました。

7.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか

はい 25名 (86%)
どちらともいえない 3名 (10%)
いいえ 1名 (3%)

【回答割合】 「はい」が86.2%、「どちらともいえない」が10.3%、「いいえ」が3.4%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が7.1ポイント下降しています。 【自由意見】 職員が対応してくれることや、優しくしてくれること、病院に連れていってくれたり絆創膏を貼ってくれたりすることなどを述べた意見があがっていました。一方、微熱があったときでも皆と一緒に食事をするように言われたというものや、問答無用で学校に行くように言われたなどの意見も出ていました。

8.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか

はい 25名 (86%)
どちらともいえない 1名 (3%)
いいえ 1名 (3%)
無回答・非該当 2名 (7%)

【回答割合】 「はい」が86.2%、「どちらともいえない」が3.4%、「いいえ」が3.4%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が16.2ポイント上昇しています。 【自由意見】 職員が止めてくれることや、仲裁してくれること、職員の対応に問題は無いことなどを述べた意見があがっていました。一方、大人は止めに来ないというものや、対応が信頼できるときとできないときがあること、仲裁はしてくれるが年齢の小さな子ばかり擁護することなどを述べた意見も出ていました。

9.子どもの気持ちを受け止め、尊重した対応がされているか

はい 22名 (76%)
どちらともいえない 2名 (7%)
いいえ 2名 (7%)
無回答・非該当 3名 (10%)

【回答割合】 「はい」が75.9%、「どちらともいえない」が6.9%、「いいえ」が6.9%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が2.5ポイント上昇しています。 【自由意見】 学校での出来事を聞いてくるというものや、嫌なことがあったときに話を聞いてくれること、自分のしたい事についていろいろと考えてくれることなどを述べた意見があがっていました。一方、どちらとも言えないというものや、勝手に言葉の意味を変えて解釈して型にはめているなどの意見も出ていました。

10.子どものプライバシーは守られているか

はい 27名 (93%)
いいえ 2名 (7%)

【回答割合】 「はい」が93.1%、「どちらともいえない」が0.0%、「いいえ」が6.9%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が9.8ポイント上昇しています。 【自由意見】 職員は守ってくれること、信用できること、ノックしてから部屋に入ってきてくれることなどを述べた意見があがっていました。一方、秘密は職員には言わないというものや、ノックをしながら部屋に入ってくるなどの意見も出ていました。

11.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか

はい 24名 (83%)
どちらともいえない 1名 (3%)
いいえ 1名 (3%)
無回答・非該当 3名 (10%)

【回答割合】 「はい」が82.8%、「どちらともいえない」が3.4%、「いいえ」が3.4%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が0.6ポイント下降しています。 【自由意見】 家族に会いたい希望などを聞いてくれるというものや、将来何をしたいかを聞いてくれること、支援計画を作る時は面談してくれること、計画の見直しもしていることなどを述べた意見があがっていました。一方、聞かれていないというものや、聞いてはくれるが意図が伝わっていないなどの意見も出ていました。

12.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか

はい 24名 (83%)
どちらともいえない 1名 (3%)
いいえ 2名 (7%)
無回答・非該当 2名 (7%)

【回答割合】 「はい」が82.8%、「どちらともいえない」が3.4%、「いいえ」が6.9%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が32.8ポイント上昇しています。 【自由意見】 最初に説明してくれて分かったというものや、何月何日に行くと説明してくれる、シミュレーションを立てているなどの意見があがっていました。一方、まだ聞いていないというものや、直前になって言われるので前もって説明してくれたことがないように思うなどの意見も出ていました。

13.自らの権利について、さまざまな機会をとらえて職員はわかりやすく教えてくれるか

はい 22名 (76%)
どちらともいえない 2名 (7%)
いいえ 2名 (7%)
無回答・非該当 3名 (10%)

【回答割合】 「はい」が75.9%、「どちらともいえない」が6.9%、「いいえ」が6.9%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が9.2ポイント上昇しています。 【自由意見】 入所して1カ月くらい毎日職員が子どもの権利ノートを読んでくれたことや、入所した後も半年に一度は説明してくれること、最近はないが以前教えてもらったことなどを述べた意見があがっていました。一方、聞いたことがないというものや、入所した時に説明を受けて以降は説明を受けていないなどの意見も出ていました。

14.子どもの不満や要望は対応されているか

はい 23名 (79%)
どちらともいえない 4名 (14%)
いいえ 2名 (7%)

【回答割合】 「はい」が79.3%、「どちらともいえない」が13.8%、「いいえ」が6.9%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が2.6ポイント上昇しています。 【自由意見】 時間は掛かるが対応してくれることや、言えば対応してくれること、どの職員にでも言えること、言える職員が何人かいることなどを述べた意見があがっていました。一方、対応してくれるときとしてくれないときがあることや、話は聞いてくれるが実行されないこと、あまり相談しないことなどを述べた意見も出ていました。

15.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか

はい 25名 (86%)
どちらともいえない 2名 (7%)
いいえ 2名 (7%)

【回答割合】 「はい」が86.2%、「どちらともいえない」が6.9%、「いいえ」が6.9%となりました。 【前回との比較】 「はい」の回答割合が26.2ポイント上昇しています。 【自由意見】 リビングに掲示してあることや、玄関に相談箱があること、職員や児童福祉司、学校の先生が教えてくれたこと、権利ノートと一緒に教えてくれたことなどを述べた意見があがっていました。一方、聞いたことがないといった意見も出ていました。

組織マネジメント分析結果

◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合はで、実施できていない場合はで表しています。

【講評】
重点方針について話し合う際などに、原点に返って施設が目指すところを伝えています

職員アンケート結果をみると「あなたは事業所が目指していることを理解できているか」との問いに8割強の職員が「そう思う」と回答していて、理念・方針等が全体的に理解されていることがうかがえます。しかし、以前より大きく改善しているものの一般5年目以上の職員層が他の層に比べてやや低く、この層に対しては機会を捉えて説明・浸透に努めていく必要があるでしょう。現在行っている具体的な取り組みとしては、年度当初の職員会議で施設長から説明するほか、年度末に次期重点方針について話し合う際に原点に返って目指すところを伝えています。

職務分担表および組織図を整備し、年度当初の職員会議で施設長から説明しています

「あなたは経営層の役割と責任を理解できているか」という職員アンケートの問いに、7割弱の職員が「そう思う」と回答しています。運営・支援会議メンバー層は9割丁度と高いものの、一般職員層と差が出ています。引き続き、職員への説明を継続しながら、会議での指示や現場での行動により役割と責任、方向性を示していくことが期待されます。施設では、職務分担表および組織図を整備し、事業計画書に掲載して年度当初の職員会議で施設長から説明・伝達しています。また、事業計画の策定過程において職員で検討するなどしています。

決定内容の周知については、喫緊の課題として原因の究明と対策の検討が期待されます

組織としての意思決定手順は決まっていて、職員アンケート結果によると4分の3の職員はそのことを理解しているようです。実質的な意思決定機関は運営会議ですが、現場の意向はその手前の支援会議に一旦集めて整理・検討します。支援会議には運営会議メンバーに加えて各ホーム長が参加しています。決定した事項は職員会議に提出して承認を得るという流れです。一方、重要な意思決定内容の周知状況が芳しくないようで、運営・支援会議メンバーでも周知が十分でないようです。この点は喫緊の課題として、原因の究明と対策の検討が必要だと思われます。

1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
  • 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  • 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  • 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
利用者アンケート結果からは利用者意向の確認がしっかりできていることがうかがえます

家族会議や夜の話し合いが各ホームで行われていて、子どもたちの意向を確認する場となっています。また、自立支援計画を策定する際には個別にアンケートを取って意向の確認を行います。利用者アンケート結果を見ると、子どもの意見・要望の収集と対応に関するいくつかの設問は、いずれも肯定的な回答が多くを占めていて、利用者意向の確認がしっかり行えていることがうかがえます。 福祉事業全体の動向については、法人内の会議のほか、所属団体の施設長会や専門部会、外部研修などに参加する中から収集しています。

3カ年の中期計画と単年度の事業計画を策定していて、両者はよく連動しています

3カ年の中期計画と単年度の事業計画を策定していて、両者はよく連動しています。中期計画は毎年見直し、常に直近の3年間になるようにしています。年度の事業計画では施設長が重点方針を発案し、支援会議および運営会議に提起して決定します。その方針を念頭に、各担当がそれぞれ計画を策定します。 職員アンケート結果をみると「事業所は事業所運営に対する職員の意向を把握・検討しているか」との問いに対する「そう思う」の割合が、一般5年目以上の層で低くなっています。この層の意見も組み入れていく手順の検討も必要と思われます。

運営会議や支援会議で進捗状況を確認し、必要に応じて見直しをしながら進めています

策定した計画は、運営会議や支援会議で進捗状況を確認し、必要に応じて見直しをしながら進めています。年度末には総括を実施して、達成度合いの確認と次期への課題の確認をしています。しかし、事業報告を見る限りでは、重点方針が最終的にどの程度達成できたのかよく分からないように思われます。何に取り組んだのかはよく整理されていますので、その取り組みの効果を明確にした方がよいように思われます。また、中期計画についても、総括した結果を明示しておくとよいでしょう。

1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  • 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  • 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  • 事業所の経営状況を把握・検討している
  • 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
  • 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  • 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  • 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  • 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
入職時に就業規則等について周知するほか、全職員を対象に倫理綱領の解説をしています

職員アンケート結果をみると「事業所は、守るべき法・規範・倫理などを周知し、理解が深まるように取り組んでいるか」との問いに、9割強の職員が「そう思う」と回答していて、そうした取り組みがしっかり行われている様子がうかがえます。具体的には、新任職員に対しては就業規則や管理規程等の内容について入職時の新任研修で周知します。全職員を対象とした取り組みとしては、職員倫理綱領の読み合わせや人権擁護の自己チェックなどを実施しています。倫理綱領の読み合わせは、年度当初の職員会議で実施し、施設長から解説を加えています。

職員には自己チェック後の施設長面談、子どもには防災安全の聞き取りを実施しています

虐待の防止と早期発見のための取り組みとして、人権擁護のための自己チェックリストを年3回実施し、うち2回は実施した後に施設長面談を行って、普段の職員の行動に不適切なものがないかを確認しています。面談の際には、他の職員の言動・行動で不適切なものを見ていないかも確認します。 子どもに対しては防災安全委員会の個別聞き取りを実施し、職員や他の子どもとの間にトラブル等がないかを確認しています。この聞き取りは、担当職員以外の普段接していない職員が実施することで、言いやすい環境をつくって実施しています。

3人の第三者委員が別々にホームに入り子どもと一緒に食事をする機会を設けています

法人の経営方針として「地域との連携」と「情報の公開」が掲げられていて、当施設もその方針にならった運営を心掛けています。地域との連携としては、学校の地区別懇談会に参加したり、児童健全育成のパトロールに職員が協力するなどしています。情報の公開の面では、ホームページ上に子どもの生活の様子や通信誌を掲載したり、収支計画書や事業計画書等を掲載するなどしています。また、昨年度はコロナ禍で中止した第三者委員と子どもとの会食も今年は復活させました。3人の委員が別々なホームに入り、子どもと一緒に食事をとっています。

1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
  • 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  • 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
  • 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  • 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
  • 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  • 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
  • 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  • ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
  • 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  • 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  • 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
リスクの洗い出しと優先順位付けは運営会議で実施し、防災安全委員会等で整理しました

事業の継続を脅かすリスクの洗い出しと優先順位付けは、今年度運営会議メンバーで抽出、検討し、防災安全委員会およびマニュアル委員会に引継いて危機管理マニュアルに整理しました。施設では東海地震等に備えた事業継続計画(BCP)を策定していて、自衛防災組織表に基づいて訓練を実施しています。また、年に1回「松風荘・防災の日」を設定して、備品や危険個所の確認等をしています。燃料交換や備蓄食料の期限確認、入れ替えも毎年実施しています。

ヒヤリハット報告を基にして発生頻度と影響の大きさでリスクマップを作り共有しました

ヒヤリハット報告の活用を熱心に行っていて、それを基に事故やトラブルの未然防止と再発防止に取り組んでいます。ヒヤリハット報告を基にして、発生頻度と影響の大きさでリスクマップを作り、養護会議で提示してその共有を図るなどしています。また、同報告の一つ一つの危険度を低・中・高の3つに区分して毎月集計し、危険度の高いものの対応策を検討して職員会議等で皆に周知しています。ヒヤリハット報告は、その内容も事故等に至る前の事象をしっかりとらえたものとなっているように見受けました。

各ホームから紙媒体を持ち出すことなく情報の交換、共有ができるようにしています

子どもの個別ファイルなど、紙媒体の重要情報は事務所の書庫及び書類室で施錠して保管し、管理の徹底を図っています。各グループホームと本園の間の情報交換は、紙媒体を持ち出すことなく情報システム内の掲示板を使って行うことができるようにしています。交換したデータは、サーバーに保存した上でパスワードによる管理をしています。 個人情報の利用目的および開示請求に対する対応方法は、ともに「情報保護に関する取り組み方針」に明示し、施設内に掲示しています。

1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
  • 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  • 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  • 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
  • リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  • 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  • 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  • 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  • 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  • 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
ホームページに募集情報を掲載しているほか、実習生からの採用を重視しています

ホームページに募集・採用情報を掲載しているほか、静岡県内や都内の保育士養成校等に求人を出して人材確保にあたっています。特に実習に来た学生から採用に結び付けることを重視していて、実習生は積極的に受け入れています。コロナ禍の今年度も、静岡県内に居住する学生についての受け入れは継続しました。施設長は、今後は特にグループホームの職員体制の充実のため、さらに職員数を増やしていきたい意向です。 職員のキャリアパスについては、法人の考えに従って進めていくことにしています。

人材育成面のさらなる充実を望む職員が多く、個人別育成計画の構築を進める予定です

職員アンケート結果をみると、「あなたには事業所から様々な研修等の機会が与えられているか」との問いに7割弱の職員が「そう思う」と回答していて、研修機会の点では肯定的に見ている職員が多いようです。しかし、個人別育成計画に関する設問の評価はいずれも低めで、自由記述欄に書かれた意見からも、この点についてさらなる充実を望む職員が多いことが分かります。個人別育成計画の導入はコロナ禍で停止してしまった経緯があります。施設では今年度から人材育成委員会を立ち上げ、体系的な育成の仕組みを改めて構築していきたいと考えています。

職場の良好な人間関係が構築できているとする職員の割合は年々高まっています

経験年数別会議を開催して職員間の連携を深めるとともに、現場の意向を運営面に取り入れていこうという取り組みを数年前から実施していますが、職員アンケート結果では特に一般5年目以上の層で昨年度に比べての意欲と働きがいの項目が大きく低下しています。経験年数別会議がしっかり開けているか、形骸化していないか、確認してみる必要があるでしょう。 働き方改革は継続して進めていて、休暇は以前よりも取りやすくなっているようです。また、職場の良好な人間関係が構築できているとする職員の割合は年々高まっています。

1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
  • 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  • 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
  • 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  • 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  • 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  • 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
  • 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  • 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  • 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  • 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
  • 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  • 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  • 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

・個人別育成計画を整備していくにあたって、まずは求める職員像を明確にすることから始める必要があるということに気づきました。
・そこで、「期待する職員像を明確にする」ことを目標に据え、人材育成委員会を発足させ、月に一度会議を実施して検討を行いました。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

<評語を選択した事由>
・「期待する職員像を明確にする」という目標掲げ、それを実現するための最も効率的で効果的な方法を考え、決定しました。
<目標達成の状況>
・話し合いはしたものの、結局定めることができず今年度も引き続き課題となっています。

2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

・個人が特定されてしまいそうな文言の報告を外部に出す書類に記載してしまい、第三者評価において指摘を受けました。そこで、子どもの個人情報とプライバシー保護について、より慎重に記載するための手順を整備し、新たな手順に基づいた資料作成と確認をするように計画しました。
・運営会議および支援会議で検討しました。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

<評語を選択した事由>
・プライバシー保護を徹底するための、文書作成および確認の手順を確定する、という明確な目標を掲げ話し合いを進めました。
<目標達成の状況>
・話し合った結果、「会議内で計画書、報告書に個人が特定される内容がないかを複数名で確認をする」というダブルチェックの方法を取ることに決定しました。
<副次的効果>
・個人が特定されるような、情報の開示が起きないよう施設全体で取り組んでいくこととしました。
<備考>
・今年度から計画書、報告書の書式の変更を行い、個人情報の保護に努めています。

サービス分析結果

6. サービス分析のプロセス
【講評】
パンフレットや広報紙「松風通信」、ホームページで、どのような施設か紹介しています

施設の情報はパンフレットや「松風通信」、ホームページなどで紹介しています。パンフレットの表紙には子どもが描いた絵を用いて、親しみやすいものにしています。パンフレットの中には、松風荘の理念、年間行事予定、一日の生活日課表などを掲載し、施設の概要を紹介しています。子どもの活動は写真で紹介しています。「松風通信」では、本園と各グループホームを紹介し、掲載してある子どもの写真は個人が特定されないように配慮しています。ホームページには新たにブログを設け、施設の活動を絵や写真で定期的に紹介しています。

関係機関や関係者、入所前の子どどもに施設の情報を提供しています

広報紙である「松風通信」は年2回、毎回約400部発行しています。児童相談所や地域関係機関、支援者、卒園生、保護者、実習生、ボランティアなどに提供し、保護者に子どもの近況を報告する際には、ケースによって成長の記録や写真も同封するようにしています。パンフレットは施設見学にきた人、施設に関心を持っている人、保護者等に渡しています。入所前の子どもに面会をする際には、子ども用のパンフレットを一時保護所に持参し説明しています。

見学希望者に応じるほか、コロナ禍の工夫としてオンラインも活用しています

都外施設なので、見学を希望する方は多くありませんが、希望があれば見学に応じています。子どもの保護者の見学はほとんどありませんが、見学を希望される人がいれば受け入れています。この施設にいることを隠す必要がある子どものケースでは、児童相談所の指示に従い、問い合わせには応じないことにしています。実習生やボランティアには事前の見学を勧めており、コロナ禍の状況を受けて、オンラインも活用しながら対応しています。

1.子どもや保護者等に対してサービスの情報を提供している
  • 子どもや保護者の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  • 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  • 子どもや保護者の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
子どもの状況を把握するため、一時保護所にいる子どもに会いに行きます

子どもを受け入れる前に、子どもの状況を把握するため児童相談所の一時保護所にいる子どもに会いに行きます。面会は児童相談所の福祉司を交えて行います。施設の説明は「受入れマニュアル」に沿って行います。子どもから聞き取ったことは事前面会記録に記します。入所が決まった子どもには子ども向けのパンフレットを手渡し、説明シート「松風荘ってどんなこところ?」に沿って、施設のことを詳しく説明します。施設での生活や清掃活動のこと、お小遣いのことなどを伝えます。保護者はほとんど同席しないので、保護者の意向は福祉司から聞いています。

入所後の子どもの様子は児童育成記録に記し、子どもには日記を勧めています

子どもの受け入れは、子どもが安心できるように児童相談所に行った職員が出迎えます。事前に子どもが生活する部屋を決め、ベッドや机、たんすなどを用意します。その日の夕食時には歓迎会を開き、施設の子どもたちの紹介をします。子どもには気持ちの整理をつけるために一カ月間は日記をつけるように勧めています。職員は毎日子どもと面談し子どもの気持ちを聞いています。入所後の子どもの様子は、児童育成記録に丁寧に記し、子どもの入所後の変化を把握しています。記録はパソコンで行い、施設の職員間で共有できるようにしています。

退所後1年の短期計画と5年間の中長期計画に従って、継続的に支援しています

子どもが施設を退所するのは、家庭復帰する場合や里親に養育してもらう場合、または進学・就職して自立する場合など、さまざまなケースがあります。退所後の支援シートとしてアフターケア計画を作成し、退所後1年の短期計画と5年間の中長期計画に従って継続的に支援しています。現在、高校を卒業するほとんどの子どもは大学や専門学校に進学しています。就職などで自立する場合は、自活に向けてさまざまな支援をしています。今年度は、地域の団体が職場体験教室を実施し、当施設の子どもたちが洗車や調理活動などの体験をしました。

1.サービスの開始にあたり子どもや保護者に説明し、理解を得るようにしている
  • サービスの開始にあたり、施設の基本的ルール(約束ごと)、権利擁護の取り組みをはじめとした重要な事項等を子どもや保護者の状況に応じて説明している
  • サービス内容について、子どもや保護者の理解を得るようにしている
  • サービスに関する説明の際に、子どもや保護者の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
  • サービス開始時に、子どもの支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  • 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  • 入所以前の生活習慣等をふまえた支援を行っている
  • サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、退所後の支援の継続性にも配慮している
【講評】
子どもの状況を児童育成記録や養護日誌に記録し確認しています

入所してからの子どもの記録は、児童育成記録や養護日誌に記しています。児童育成記録は子ども一人一人の個人別の記録で、養護日誌は全員の子どもの毎日の記録です。子どもの日々の行動や職員の対応、出来事などを記録するほか、独自の書面を使って子どもの意向も確認しています。これらについて担当職員や自立支援担当職員、心理職等で共有し、ケース会議で支援の方向性について検討して自立支援計画の作成につなげています。ケース会議は年度当初と半年後の年2回行っています。

自立支援計画は、子どもたちの意向を反映させて作っています

自立支援計画の作成にあたっては、子どもの最善の利益を反映するために、「なりたい自分になろう計画書」という書式を用いて、子どもの意向を取り入れています。将来の夢や自分の得意なこと苦手なこと、今の自分が好きかどうかなど、13の項目に沿って、子どもの気持ちを確認して自立支援計画に生かしています。自立支援計画は前期評価と年度末の後期評価をして、次年度の計画策定につなげています。緊急に計画を変更する場合として、例えば家庭復帰など子どもの状況が変化する場合は、ケース会議を開いて対応しています。

施設内の情報は業務支援システムにより、職員間で共有できるようにしています

施設内の情報管理には業務支援システムを導入しています。子どもの情報はパソコンにより職員間で共有できるようにしています。例えば、自立支援計画や記録類はパソコンで作成していますので、パソコンでファイルやデータを開けば、どの職員も確認できるようになっています。グループホーム間もオンラインでつながっています。パソコンにはパスワードを設定して、部外者はアクセスできないように情報管理をしています。日々の業務について職員間の連絡は、掲示板や引き継ぎノートで、他の職員に伝わるようにしています。

1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している
  • 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
  • 子ども一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  • アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.子どもや保護者の希望と関係者の意見を取り入れた自立支援計画を作成している
  • 計画は、子どもの最善の利益を第一に、子どもや保護者の希望を適切に反映して作成、見直しをしている
  • 計画を子どもにわかりやすく説明し、同意を得るようにしている
  • 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直すとともに、緊急に支援内容を変更する必要が生じた場合の対応や計画変更のしくみを整備している
3.子どもに関する記録を適切に作成する体制を確立している
  • 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  • 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している
  • 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  • 申し送り・引継ぎ等により、子どもに変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.個別の自立支援計画に基づいて、自立した生活が営めるよう支援を行っている
  • 個別の自立支援計画に基づいて支援を行っている
  • 子ども一人ひとりに合った方法で、子どもと職員との愛着関係や信頼関係を構築するために受容的・支持的な関わりをしている
  • 小規模なグループでケアを行うなど、子どもが家庭的な環境の中で生活できるよう支援を行っている
  • 子どもの発達支援等のため、精神科医等が子どもの発育等に応じ個別判断した上で、児童相談所と協議し、適切な職員等が生い立ちを振り返る取り組みをしている
  • 退所後の安定した生活基盤の確保に向け、関係機関や関係職員が連携をとって、リービングケア(退所後の生活を見越した支援)を行っている
  • 退所後は計画に基づいて、一人ひとりに応じた支援を関係機関や関係職員と連携して行っている
【講評】
自立支援計画で年間の個人目標を設定し、自立に向けた支援を実施しています

子どもの支援は、自立支援計画に基づいて行われます。入所したての頃は、施設の生活に慣れること、職員と安定した信頼関係を築くことを短期の目標にします。そのため職員は、家庭的な環境の中で基本的な生活習慣を身に付けることに重点を置いて子どもを指導します。中長期目標は5年ぐらい先の目標とし、将来の自立に向けて必要なスキルを身に付けるための目標を立てています。対人関係や学校での勉強、自分の得意なことなど、さまざまな視点で目標を立て、支援内容を記録し、年度の中間と年度末に振り返り、評価をしています。

専門的な機能をさらに強化していきたいと施設では考えています

施設では、小児科医や精神科医との連携さらに深めていきたいと考えています。また、心理職員の複数配置を目指していて、男女の心理職員を配置し、専門的な機能をさらに強化していきたいと考えています。子どもの生い立ちについては、児童相談所から入所前の生活について情報を得るとともに、入所後の子どもの生活は職員が写真を撮って、アルバムにまとめています。退所の時にアルバムを渡して子どもたちが自分の生い立ちを振り返ることができるようにしています。子どもの自己形成のため、さらに一歩踏み込んだ取り組みが期待されます。

子どもの退所後の生活が安定するように必要な支援に取り組んでいます

子どもの退所後の生活が経済的にも社会的にも自立できるように支援しています。自立支援担当職員が中心になって、退所後の子どもの生活をサポートしています。必要なときは退所した子どものアパートや就職先まで出かけて、相談にのったり就職先の上司と話したりすることでアフターケアを行っています。施設の行事のときには子どもを招待したり、施設に泊まりに来るように勧めたりして、退所後の生活が安定するように支援しています。一方で、施設では自活訓練など、リービングケアをさらに充実させていくことが今後の課題と考えています。

2.家族等との関係構築に向けた取り組みを行っている
  • 家庭支援専門相談員を中心に、家族等との関係構築のための支援方針が明確にされ施設全体で共有されている
  • 子どもの最善の利益を第一に子どもや保護者等の意向を確認しながら、関係機関と連携をとって、子どもと家族の関係調整に取り組んでいる
  • 子どもの状況や行事等の情報を個別の連絡により保護者等に知らせている
  • 保護者等との面会、外出、一時帰宅等は、状況を把握したうえで、子どもの安全に注意しながら行っている
  • 養育家庭や養子縁組等の制度が有効に活用されるよう児童相談所と連携をとっている
  • 入所中の子どもの家族等(里親を含む)に対し、退所後の生活を想定したさまざまな支援を行っている
【講評】
2名の家庭支援専門相談員を配置し、家庭復帰について職員全体で検討しています

家族との信頼関係を大切にし、家族との関係調整を行うことを事業計画に明記しています。男女2名の家庭支援専門相談員を配置して、家族の状況にあわせて分担しています。互いがすべてのケースに対応できるよう記録だけでなく口頭でも情報共有を図り、毎月アセスメントを行っています。個々の支援方針については自立支援検討会の中で、担当職員や家庭支援専門相談員、心理職員、自立支援担当職員、管理職などが話し合い見直しをしています。家庭復帰のケースでは、外部の専門家を招いたケースカンファレンスを行い職員全体で検討しています。

オンライン面会や交換日記で、コロナ禍でも関係が途切れないように取り組んでいます

家庭関係支援プログラムを作成し、段階を踏みながら家族交流を進めています。プログラムの冒頭には子どもの気持ちを記入する欄を設けており、子どもの意向を特に重視していることが分かります。プログラムは振り返り・面会開始・外泊・家庭復帰とその後の調整という4段階に分けていて、各段階について児童相談所と施設で役割分担を明確にしています。コロナ禍の現在は、オンライン面会を取り入れて、互いの気持ちが離れないように対応し、定期的に成長の記録や写真を家族に送るほか、ケースによっては交換日記をして子どもの成長を共有しています。

ケースによっては法人内で施設移動を検討し、家族交流の道を探っています

ケースによっては法人間で協力し合いながら家族交流を検討しています。例えば、きょうだいが別施設に分かれて措置されていることにより家族交流が進みにくいと判断されたケースでは、同一施設で暮らせるよう法人内他施設と検討し、児童相談所に働きかけるなど、協力し合いながら子どもの最善の利益を追及しています。家庭復帰が見込めない子どもについては里親委託やフレンドホームを検討しながら、同時に自立を見据えた支援を行っています。都外施設という事情もあり、東京都の里親候補者とはつながりにくいという課題もあります。

3.子どもが楽しく安心して食事ができるようにしている
  • 楽しい食事となるような環境を整えている
  • 食事時間は子どもの希望や生活状況に応じて対応している
  • 食事の献立は、子どもの状況(食物アレルギーや疾患等に関する主治医等の指示を含む)や嗜好に応じて工夫している
  • 食習慣の確立や食についての関心向上のため、関係職員と連携して食育の推進に取り組んでいる
【講評】
「食への感謝、関心」を重点テーマとし、共食の時間を大切にしています

子どもにとって食事をする環境はとても大切だとし、夕食の30分間はできる限り皆で食べる共食の時間としています。食事中の離席はできるだけ避け食卓を囲むようにしています。食への感謝や興味を持てるような話題や、互いの理解を深めるような会話に努めています。現在は、コロナ禍による黙食を緩和しているため、会話が弾んで楽しい、皆と話せて嬉しいなどの意見が子どもから複数出ています。一部の子どもからは、皆で食べることや食事中のトラブルについて意見は出ていますが、家族会議で話し合うなどして解決を図っています。

クイズ形式の嗜好調査をおこない、子どもが献立に興味を持てるようにしています

嗜好調査の用紙は、献立のイラストをふんだんに使ったもので、子どもが興味を持って回答できるようになっています。嗜好調査の結果をみると、ラーメンや焼肉、唐揚げ、トンカツなどが上位を占めていて、ラーメンは土日の昼食などで対応しています。日々の献立は肉料理と魚料理を交互に出し、副菜を複数添えるなど栄養バランスが取れたものになっています。調理は本園の厨房や各ホームのキッチンで行い、調理専門の職員を中心に温かい料理を提供しています。誕生日の希望献立のほか、行事食、試験前のお夜食、出前も楽しみの一つになっています。

日常の中で調理の様子を間近に見たり、手伝ったりすることができる環境になっています

日々の中で子どもたちは調理の手伝いを行っています。子どもと一緒に食材を買いに行ったり、食後はジャンケンで食器を洗う人を決めるなど楽しみながら食の各工程を体験しています。自立に向けた食事づくりは、進路が決定したころからスタートしています。自分で献立を考え、予算を立てて調理実習を行っています。自立後に生かせるよう、めんつゆでできる簡単料理などの紹介も行い、個々の状況に合わせてレシピ集も渡しています。一方で、高年齢児からは、自立後の料理や食事面についての不安がいくつか上がっており、さらなる取り組みが期待されます。

4.子どもの健康を維持するための支援を行っている
  • 入所まもない子どもの健康状態(口腔ケア、視力等)に配慮し、健康維持のための支援を行っている
  • 健康に関して、子どもに理解を促す取り組みを行うとともに、子どもからの相談に応じ、必要に応じて子どもや保護者等に説明をしている
  • 子どもの服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などのしくみを整えている
  • 医療機関と連携しながら、日頃の健康管理を行い、子どもの体調に変化があったときには、速やかに対応できる体制を整えている
【講評】
毎月、身長や体重を計測し、急激な体重の増減などを共有して支援につなげています

定期的に健診を行うほか、毎月、身長や体重、BMIを測定し、成長曲線に記しています。急激な体重の増減が見られるときには、職員間で共有をして、食生活などの支援を行っています。1カ月、半年、1年という単位で、子どもの発達や変化を確認しています。入所後には、内科・歯科・耳鼻科・眼科を受診し、その後の支援つなげています。予防接種については母子手帳から確認をして「予防接種表」に記録し未接種に対応をしています。母子手帳を持っていない子どもについては医師に相談をして母子手帳が発行できるよう依頼しています。

朝夕の2回検温をして、体調の変化に迅速に対応できるようにしています

入所1週間程度で平熱を把握し、コロナ禍の現在は毎日2回検温をして体調に変化がないか確認をしています。就寝時間やゲームの時間は学年にあわせて施設全体で決め、ベッドのシーツは週1回洗濯するなど健康・衛生面を考慮した生活を営んでいます。生活リズムが整っていることについて、子どもから好意的な意見がいくつか出ており、今回の利用者アンケートでは、「病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか」の問いについて、85%以上の子どもが「はい」を選択しています。

ケースによって、高齢児は一人で通院できるような支援を進めています

初診時や小学生以下、精神疾患に関する通院などには職員が同行し、医師の説明を子どもと一緒に聞くようにしています。処方薬が出る時には、なぜ薬が必要なのかを医師から丁寧に説明してもらうようにし、薬の必要性を子どもが理解できるよう努めています。中学生以上になると、徐々に一人で通院できるよう自立に向けた支援を行っています。日々の服薬管理については、施錠できる書庫で保管し、服薬を見届けてから記録しています。処方薬については回復しても最後まで飲みきることを入所時に子どもに伝え、対応を促しています。

5.子どもの精神面でのケアについてさまざまな取り組みを行っている
  • 子どもが心の悩みや不安を相談できるように工夫している
  • 性についての正しい知識と理解が得られるよう、子どもの年齢や状況に応じた説明を行っている
  • 子どもの課題に応じて、心理的ケアや医療的ケアが必要な場合は、関係職員・機関と連携をとって、支援を行っている
【講評】
担当職員や心理職員、その他の職員が子どもの話を聞く機会を設けています

子どもの悩みや不安は、担当職員が生活の中で相談に応じています。利用者アンケートでは、ストレスがたまったときに話を聞いてくれること、学校での出来事を聞いてくれることなどについて好意的な意見が出ています。心理職員は、定期的にグループホームも訪問し生活場面を通した心理面接を行うほか、低年齢児には心理室でプレイセラピーを行っています。年1回、担当職員以外の職員が子ども一人一人に聞き取りをする機会を設けています。仲の良い人・悪い人、安心できる場所・怖い場所、嫌なことなどを聞き取り、安心・安全な生活につなげています。

年齢別の性教育プログラムを作成し、集団や個々に合わせた支援をおこなっています

施設では子どもの特性に合わせた性教育が必要であると考えています。個々にあった正しい性の知識を身につけ、性について理解を深めることで命の尊さを学んでいくことを目標に、性教育マニュアルや年齢別性教育プログラムを作成し、定期的に見直しています。毎年生活支援会議の中で、子ども一人一人に必要な性教育の内容を検討し、個別目標や実施日を設定しています。距離感、プライベートゾーン、月経、恋愛のステップなどテーマはさまざまで、実施した記録は報告書にまとめています。高齢児合宿では外部講師を招いて性の教育を実施しています。

児童心理治療施設の心理士や小児科医、精神科医とカンファレンスをおこなっています

心理面に特化したケースカンファレンス年4回企画しているほか、ケース検討会を定期的に実施しています。外部より児童心理治療施設の心理士、小児科医、精神科医を招き、全職員が参加して、子どもの生育歴から、現在表面化している子どもの行動上の課題について見立てをし、養育上の支援方針や医療的な治療方針について意見を得ています。職員からは、実践的なケース検討ができていると評価する意見が出ています。一方で、精神面のケアが必要な子どもが増えていることから、心理職の複数配置を望む意見が多数出ています。

6.子どもの主体性を尊重し、施設での生活が楽しく快適になるよう支援を行っている
  • 居室等施設全体は、子どもの年齢や状況に応じて一人ひとりの居場所が確保され、安心、安全で快適なものとなるようにしている
  • 日常生活や余暇の過ごし方は、子どもが主体的にかかわって決めている
  • 行事やイベントの企画・準備は子どもとともに考え行っている
  • 施設の生活ルールは子どもの意見を尊重し見直しを行っている
  • 子どもが一人ひとりの希望や季節等に合った清潔な衣服を身に付けられるよう支援している
【講評】
安心できる場所や子ども同士の関係性を確認し、安全な生活環境を整えています

防災安全委員会では、子ども間の関係を把握するために年1回聞き取り調査を行っています。担当職員以外の職員が聞き取ることで、言いにくいことも訴えられるようにしています。その結果や日常の関係性から児童関係相関図を作成し、トラブルの予防に役立てています。
土日の朝には、玄関やトイレ、洗面所、廊下などの掃除を子どもが分担して、快適な生活空間をみんなで作っていくようにしています。リビングや廊下には、季節の装飾や、いきいきとした子どもの写真、他ホームの様子が分かるまつかぜ新聞などを掲示し楽しい雰囲気が伝わってきます。

コロナ禍のため全体行事を縮小しながら、ホーム別の行事の充実を図っています

コロナ禍のため全体行事については縮小しながら、クリスマス会については、松風荘としての一体感も大切にしたいという考えを考慮し、各ホームで出し物の動画を作成し鑑賞することを企画しています。絵・マンガ大会も企画しています。ホーム別には、子どもが意見を出し合いながらさまざまな行事を企画しています。ホームの庭を利用して、かき氷、焼きそば、フランクフルトなどのミニ屋台や的あてゲーム、魚つりゲームなどのお楽しみ会を開催したり、スイカ割り、水鉄砲合戦、花火、海水浴に行ったりと、各ホームで工夫を凝らしています。

家族会議や夜の話し合いで、ルールを確認したりホームの出来事を共有したりしています

施設全体で共通するルールに変更が出た時には、夕食後に行う夜の話し合いを通して担当職員が子どもたちに伝えています。夜の話し合いでは、その日に起きた出来事や、食後・翌日の予定などについて共有する機会であり、自分の意見を表明できる場にもなっています。ルールに関する子どもの要望は、家族会議で子どもと職員が話し合いをしています。ここ数年で変更したルールとして、テレビゲームの使用方法や時間などがあります。子ども同士のトラブルが起きた場合には臨時家族会議で話し合っており、対話を通して解決を図っています。

7.子ども一人ひとりに応じた学力向上・進路決定のための取り組みを行っている
  • 基本的な生活習慣を確立するとともに、社会常識、社会規範及び生活知識・技術を身につけられるよう支援を行っている
  • 学習環境を整備し、基礎学力の向上・学習習慣獲得のための支援を行っている
  • 子どもの意欲・意思や能力に応じた学習教材・塾等を活用している
  • 進路について、子どもと保護者等、学校、施設による話し合いを行っている
  • 多様な選択肢を提示したうえで、子どもの最善の利益にかなった進路の自己決定ができるよう支援している
  • 個別に必要な時期・状況で、職場実習や職場体験、アルバイト等の社会経験を積めるよう支援している
【講評】
スマートフォンのリスクやマナーについて学ぶ機会を設けています

今年度の重点方針として「養育の質を高めよう」を掲げ、1日の始まりから1日の終わりの生活を重視し、自立後に必要な知識の経験を生活場面の中で積むことを掲げています。まずは挨拶をすることや自分で起きることを重要視しています。日常の中では食器洗いや掃除に子どもも関わり、楽しみながら家事をする機会を設けています。ゴミの分別は一人暮らしの重要なスキルであるとし、ゴミの分別を意識できるように支援しています。また、高齢児合宿では、外部講師を招いてスマートフォンのリスクやマナーに関して学ぶ機会を設けました。

不登校で入所してきた子どもが、学校に通えるようにサポートをしています

不登校で入所してきた子どもが学校に通えるようにサポートをしています。日常の学習支援では、学校への提出物や宿題に漏れがないよう丁寧にみることに努めています。オンライン授業に向けWi-Fi環境を整備し、学校から貸与されるパソコンなどで宿題を行っています。中学生は塾も利用して学力向上を図っています。進路選択に向けた取り組みとして、中学3年生と高校3年生について養護会議や進路会議で検討を行っています。本人の意向をもとに受験先や進路について話し合うほか、上位校を目指す子どもの資金シミュレーションを行うなどしています。

オンライン社長室を企画し、中高生がさまざまな会社の社長と話せる機会を設けています

コロナ禍における職業体験として、オンラインをフル活用した取り組みを行っています。オンライン社長室を年8回企画し、リモートで各業界の社長とつながり、直接話を聞ける機会を設けています。オンラインのインターンシップでは手軽に各業種を知ることができています。地元の中小企業とも継続的なつながりを持ち、プログラミングやデザイン、トリミング、洗車、調理について実体験できる機会もあります。日常では高校生にアルバイトを推奨しています。高齢児合宿は日帰りやオンライン形式に変更し、工夫しながら継続的に実施しています。

8.地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている
  • 地域の情報を収集し、子ども一人ひとりの状況に応じて活用している
  • 施設の活動や行事に地域の人の参加を呼びかける等、子どもが職員以外の人と交流できる機会を確保している
  • 子どもに、地域と日常的に関わりながら生活していることの大切さを伝えている
【講評】
招待を受けて、ジャガイモの苗植えや田植えなどの農業体験をしています

支援者から招待を受けて小学生を中心に農業体験を行っています。ジャガイモの種植えや追肥、収穫を行いました。田植えやサツマイモの種植え、梅ジュースづくりにも挑戦しています。さらに、ログハウスに1泊してホタルを鑑賞するなど、支援者の協力を得ながら子どもたちがさまざまなことを体験できる機会を設けています。緊急事態宣言によりボランティアについては、受け入れを休止せざるを得ない状況もありますが、学習や遊びボランティアなど、可能な限り継続できるようにしています。

子ども一人一人に合わせた習い事などを検討し、子どもの生活の幅を広げています

長年、地元の子ども会などに参加してきましたが、コロナ禍が継続しているため活動しにくい状況が続いています。数カ月に1回地域で行う子ども劇場には、小学校低学年が参加して観劇などを楽しんでいます。町内活動では、側溝の清掃や児童健全育成のパトロールに職員が協力するなど、地域活動を支えています。習い事や地域のスポーツクラブへの参加を推奨しており、空手やバスケットボール、小学生の学習教室などに通っている子どももいます。また、高齢児合宿や職業体験では外部の人々の知識や能力を子どもたちに還元してもらっています。

支援者から寄贈品を頂いたときには、お礼状やメッセージカードを渡しています

フルーツやお菓子、マスク、消毒液など、支援者や近所の人々から寄贈品やお裾分け、手作り品などの支援を受けています。頂き物をしたときには、お礼状やメッセージカードを送り、感謝の気持ちを伝えるようにしています。今年度は、コロナ禍の影響で、外部の人々を招いて行うバザーやクリスマス会の開催を見送りましたが、子どもたちには、地域や多くの人々に支えられていることを伝え、より自発的に感謝できるようにしていくことを目指しています。

【講評】
子どもの情報管理や子どもの尊厳を守ることに最大限の注意を払っています

子どもが施設内で体調を崩して、医療機関にかかる必要が生じたときは保護者の了承が必要ですが、保護者と連絡がとれない場合は、児童相談所の了承をとっています。また学校でのイベントで子どもの写真を伝うときは、個人が特定できないように対応しています。子どもの居室に入るときは事前にノックをして子どもの了解を得ています。子ども宛ての郵便物は子どもが開封することを原則にしています。風呂は中学生以上は一人で入っています。子どもがおねしょをしたときは、他の子どもに気がつかれないように布団を干すなど羞恥心に配慮しています。

「子どもの権利ノート」で、子どもがさまざまな権利を持っていること伝えています

「子どもの権利ノート」については、子どもが入所して一定期間が過ぎたら職員が説明します。子どもには「生きる権利」「守られる権利」「育つ権利」「参加する権利(自分の意見を表明する)」を持っていることを話しています。都の担当課の職員が説明しに来てくれることもあり、今回の第三者評価の利用者アンケート結果から、中学生になれば、きちんと理解していることがわかります。また、施設では家族会議を定期的に開催し、子どもが自由に意見を表明できるようにしていますし、夕食の後にも子どもが発言できる時間を設けています。

施設内で子ども同士の暴力やいじめが起きないように最大限の注意を払っています

「防災安全委員会」では、施設内で子ども同士の暴力やいじめが起きないように最大限の注意を払って子どもたちを見守る体制を作っています。委員会では、施設内で死角になる場所がないか、孤立している子どもがいないかなど、全職員でチェックしています。そのため、子ども同士の関係については、子どもたちから仲のいい子、仲が悪い子などの人間関係を聞いて施設内における子ども同士の相関図を作っています。虐待を受けるなど人権を侵害されてきた子どもにとって、最後の砦になるように子どもたちを守っています。

1.子どものプライバシー保護を徹底している
  • 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、子どもや保護者の同意を得るようにしている
  • 個人の所有物や郵便物の扱い、居室への職員の出入り等、日常の支援の中で、子どものプライバシーに配慮した支援を行っている
  • 子どもの羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、個人の意思を尊重している
  • 「子どもの権利ノート」などにより、子どもの基本的人権について、日常生活の中でわかりやすく説明している
  • 子どもが意見を表明しやすい環境をつくるなど、子どもの権利が守られるように取り組んでいる
  • 子ども一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
  • 施設内の子ども間の暴力・いじめ等が行われることのないよう組織的に予防・再発防止を徹底している
【講評】
業務に必要なマニュアルや手順書を用意しています

マニュアルのファイルには、「受け入れのマニュアル」「危機管理マニュアル」「新型コロナウイルス感染症マニュアル」「業務の手引き」「性教育マニュアル」「日常に関するマニュアル」「支援に関するマニュアル」「プライバシーに関するマニュアル」「人権チェックリスト」など、業務に必要なマニュアルや手順書を綴じています。それぞれ担当する業務については、マニュアルをもと適正に業務を行っているか確認しています。毎年マニュアルの学習会をしていますが、前年度はコロナ禍のため職員間の密を避けるため実施できませんでした。

前年度、新型コロナウイルス感染症が流行したため、マニュアルを新たに作成しました

マニュアル委員会が定期的に会議を持ち、マニュアルの見直しを行っています。新規に作成する必要のあるマニュアルや改訂する必要のあるマニュアルを洗い出しています。「新型コロナウイルス感染症マニュアル」は流行が拡大したため、昨年度、予防対策と発生したとき対応方法を示し作成しました。「感染症マニュアル」もレジオネラ菌対策のため、見直しました。見直しや改訂したときには、マニュアルの表紙に改定日を記入しています。こうしたマニュアルは事務室の書庫に保管して、確認が必要な職員に閲覧できるようにしています。

委員会を複数設置し、業務の標準化や業務の見直しなどに役立てています

施設では、防災安全委員会や性教育委員会、自立支援委員会、マニュアル委員会などの委員会を設置し、業務の標準化や業務の見直しなどに役立てています。各委員会の年間計画を事業計画に掲載することで、年度の目標を明確にし周知しています。委員会の活動を通して、リスクマップの作成や児童相関図の作成、性教育、マニュアルの見直し、高齢児合宿の企画や実行などについて計画的に検討が進められています。また、人材育成委員会を新たに発足し、個々の職員を組織的に育成していく仕組みを充実させていきたいとしています。

1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
  • 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  • 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
  • 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や子ども・保護者等からの意見や提案を反映するようにしている

事業者のコメント

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評価情報

【評価機関名】

株式会社 IMSジャパン

【評価実施期間】

2021年6月15日~2021年12月15日

【評価者修了者No】

H0305063,H0901070,H1801009

評価結果のダウンロード

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