評価結果

標準の評価

基本情報

【法人名称】

社会福祉法人愛児の家

【事業所名称】

愛児の家

【サービス種別】

児童養護施設

事業者の理念・方針・期待する職員像

事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)

1) 子ども中心
2) 家庭的
3) ゆとりある生活

職員に求めている人材像や役割

・幅広い人間性、多角的な視野、児童の養育を枠にとらわれずに考えられる。等

職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

・児童の養育に自分の持つ多くの能力を注ぎ込んでほしい。出来る事、出来ない事を見極め、出来る事にはできる限りの力を注いでほしい。等

全体の評価講評

特によいと思う点

子どもが退所・自立した後に、長い年月が経過する中でも子ども時代を思い出し、ふと立ち寄ることができる実家的な機能を有する施設を目指して取り組んでいる。毎日の食事は献立以外に数品多いものを用意したり、子どもが学校から帰ってくると机の上にお菓子が置かれているなど食べ物を豊富に用意することや、帰宅後の時間の使い方も自由度を持たせ、急な友達の誘いにも応じることができる等、生活範囲に制限がかからないよう配慮している。子ども目線を意識し検討を重ね、施設での生活が安心でき、楽しい時間が子ども時代に多く持てるよう努めている。

毎年の部屋替え、4か月に一回の大掃除などを通し子どもたちの人間関係を固定させないよう務める一方、子ども間の話し合いによりゴミ捨てやカーテンを開ける係など部屋の当番を決めたり、中学生以上の議長団が中心となり食事や共用部の掃除当番を振分けるなど、子どもの主体性や協力する姿勢を育むことに尽力している。金銭管理は基本的に鍵がかかる抽斗で自主管理とし、スマートフォンについても一定のルールを定めたうえで中学生から所持を可能としており、失敗も含め自立への学びになるとの考えの下、大舎の特徴を活かした支援が展開されている。

施設では、入所の際に他の子どもが所有するゲーム機と同じものを購入して渡すことで、当初から一緒に遊べる環境を整えている。また、ルールの設定方法についても、ゲームをすることを認めることを基本に、ゲームをしない期間を設ける等の工夫をしている。さらに、職員がゲーム以外の遊びに興味・関心を抱くようなアプローチを行ったり、子どもを小グループに分け、年間を通して施設内で運動会等を行う等が定着しており、子どもが楽しい時間を共有して暮らし続けることができるようにする等、子どもの遊びを保障する取り組みの充実を図っている。

さらなる改善が望まれる点

施設では、朝の集まりや毎週の職員会議、隔週の職務研究会等の機会にほぼ全職員が集合する中で情報伝達・情報交換しながら、子ども一人ひとりを全職員で養育・支援するために民主的な運営に努めている。職員一人ひとりの意見や提案を改善に役立てる一方で、発言が活性化しない状況を課題と認識している。今後はそれぞれの会議の進め方を工夫したり、必要に応じてテーマを設定し、率直な意見交換が行われるように職員を小グループに分け話し合う等、新たな取り組みを導入していくことが期待される。

家庭的養護から社会的養育への転換等、児童養護施設をめぐる国の推進方策が大きく変更された中で、施設では数年前に小規模化委員会を設立し、子どもの生活単位の小規模化へ向けて検討を進めている。都内の他施設の小規模グループホームやグループホームの運営状況等の情報収集を行うとともに、今年度はグループホームの実施モデルの具体化に着手し、職員体制やグループホームの建設場所等を想定するに至っている。今後も引き続き検討を重ね、数年先を見通した実施スケジュールを策定する等、取り組みを進めていくことが望まれる。

ホームページには、概要やママの教訓、1日の過ごし方、沿革、役員名簿、事業計画、事業報告、第三者評価等の情報を掲載しており、施設の役割や支援に対する姿勢、取り組み等を広く発信することで、施設への理解を求めている。毎年5月に掲載内容の見直しについて検討を行なっているが、今年度は新型コロナウイルス感染症への対応等で、見直し作業が難しい状況となっている。情報発信の意義等、改めて職員間で確認し、更新のタイミングなど検討することが必要と思われる。

事業者が特に力を入れている取り組み

学校や幼稚園に送り出す時と、帰宅時に迎える職員が同じであることを大切にし、断続勤務制の下、子どもたちと信頼関係や愛着関係を築くことに努めている。年度初めの部屋替えの際は、まずは子ども同士の相性や特性を考慮し部屋構成を検討し、次いで子どもと職員の相性を勘案して部屋の担当者を決める。また帰宅後の日課は敢えて定めず、宿題を済ませてから遊びに行く子、夕食前に終わらせる子など、それぞれの子どものペースを尊重している。退所が決まっている子どもにはアフターケアを担える職員を担当にするなど、支援の継続性に配慮している。

施設では、食事は空腹だけでなく、心を満たすものであると考え、常に十分な量の食事を用意している。献立を作成する際は、嗜好調査をはじめ食事場面での栄養士の聞き取り等、多くの機会を設けて、子どもの要望を把握しており、満足が得られる食事作りに努めている。また、日常生活の中で子どもが発した何気ない言葉や会話から得た希望の献立を、次の献立作成へ取り入れたり、副菜として当日の食事に追加して提供する等、柔軟に変更することで、毎日の食事の期待感を高めるとともに、子ども自身が受容されていると感じられる対応に取り組んでいる。

お世話になった人を招くガーデンパーティーや、商店街と協働の地域ハロウィン、施設主催の地域クリスマス子ども会等、普段から地域とかかわる行事を継続することで、信頼関係構築に努めている。また、自然な近所づきあいがより良い関係性を育むと施設では考え、食材や生活用品等を地域の商店で購入する等、普段から子どもや施設への理解を深める契機を作り出している。なお、感染症流行により、多くの行事中止を余儀なくされた今年度は、近隣の写真館がハロウィンの仮装姿の写真撮影を申し出る等、日々のつながりが子どもの生活体験を広げている。

利用者調査結果

調査概要

  • 調査対象:利用者全員
  • 調査方法:アンケート方式,聞き取り方式  
    聞き取り方式とアンケート方式
  • 有効回答者数/利用者総数:36/36(回答率 100.0% )

利用者36名、全員から回答を得ることができた。満足度が高かった項目としては、「病気やけがなど緊急時の職員の対応は信頼できますか」「時間の使い方や衣服などの所有について職員は意見を尊重してくれますか」などがある。また、「食事時間は楽しいひとときになっていますか」「個人の気持ちが受け止められ、尊重した対応がされていますか」などの項目についても、満足している利用者が見受けられる。総合的な満足度では、22名が「よい」、7名が「ややよい」を選択している。総合的なコメントでは、楽しいことをいっぱいしたり知らないことを教えてくれたり愛児の家に来て良かったと思う、ご飯がおいしくて職員がやさしくて一緒に話をしてくれる、職員も皆も大好きだから大丈夫、自分の家も良いけど愛児の家はいろいろ自由になれるので良い所だと思う、などがあがっている。意見や要望としては、自分達の扱いをやさしくしてほしい、机を変えてほしい、などに加え、やりたいことや行きたい場所などについてコメントがあった。

アンケート結果

1.食事の時間が楽しいひとときになっているか

はい 27名 (75%)
どちらともいえない 6名 (17%)
いいえ 3名 (8%)

27名が、食事時間は楽しいひとときになっていると回答している。皆で食べたら楽しい、友達と話をしながら食べられる、毎日とてもおいしい食事を作ってくれるので食事の時間をいつも楽しみにしている、などのコメントがあがった。また、周りの子がうるさすぎる時があり落ち着いて食べられない、嫌いなものは嫌だ、などのコメントもあった。

2.施設での時間の使い方や衣服・物の所有について、職員は意見を尊重してくれているか

はい 28名 (78%)
どちらともいえない 4名 (11%)
いいえ 1名 (3%)
無回答・非該当 3名 (8%)

28名が、時間の使い方や衣服などの所有について職員は意見を尊重してくれると回答している。やりたいことをさせてくれる、買いたい物を言うとお金のことも考えてくれる、洋服は自分で選ぶ、などのコメントがあがった。

3.子どもの年齢や特性、個別事情に応じて生活や規則内容等の説明を受けているか

はい 25名 (69%)
どちらともいえない 1名 (3%)
いいえ 3名 (8%)
無回答・非該当 7名 (19%)

子どもの年齢や特性や状況に応じて、生活や規則内容等の説明がされていると、25名が回答している。廊下を走らない、事務室に入らない、など約束事の内容がいくつか聞かれた他、決まりの事などをわかりやすく伝えてくれた、というコメントがあがった。また、大体は納得するがたまによくわからないことを言う、というコメントもあった。

4.自立に向けた支援について、多様な選択肢から情報提供や相談対応がなされているか

はい 20名 (56%)
どちらともいえない 3名 (8%)
いいえ 1名 (3%)
無回答・非該当 12名 (33%)

自立に向けた支援では、多様な選択肢から情報提供や相談対応がされていると、20名が回答している。将来のことについて一生懸命に考えてくれるのでうれしい、学校や将来のことを話すといろいろ教えてくれる、などのコメントがあがった。

5.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか

はい 20名 (56%)
どちらともいえない 7名 (19%)
いいえ 3名 (8%)
無回答・非該当 6名 (17%)

施設内の清掃や整理整頓は行き届いていると、20名が回答している。部屋や皆でいる場所だけでなく細かい所も掃除してくれているので感謝している、担当がきれいにしてくれる、などのコメントがあがった。また、トイレが汚い時がある、というコメントもあった。

6.職員の接遇・態度は適切か

はい 26名 (72%)
どちらともいえない 4名 (11%)
いいえ 4名 (11%)
無回答・非該当 2名 (6%)

職員の接遇や態度は適切であると、26名が回答している。不適切とまではいかない、というコメントがあがった。また、悪いことをして怒られると怖い時もある、などのコメントもあった。

7.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか

はい 29名 (81%)
どちらともいえない 1名 (3%)
いいえ 2名 (6%)
無回答・非該当 4名 (11%)

29名が、病気やけがなど緊急時の職員の対応は信頼できると回答している。病院へ連れて行ってくれた、すぐに手当てをしてくれるのでケガが悪化しにくくて安心して生活ができる、擦りむいた時は絆創膏を貼ってくれた、などのコメントがあがった。また、病気はしない、というコメントもあった。

8.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか

はい 25名 (69%)
どちらともいえない 3名 (8%)
いいえ 2名 (6%)
無回答・非該当 6名 (17%)

利用者同士のトラブルへの対応は信頼できると、25名が回答している。ケンカを一緒に解決してくれるので助かっている、ケンカをした時は職員を呼んで解決ということが多い、などのコメントがあがった。また、助けてくれる時もあるけど助けてくれない時の方が多い、ケンカもいじめもしない、などのコメントもあった。

9.子どもの気持ちを受け止め、尊重した対応がされているか

はい 27名 (75%)
どちらともいえない 3名 (8%)
いいえ 4名 (11%)
無回答・非該当 2名 (6%)

27名が、個人の気持ちが受け止められ、尊重した対応がされていると回答している。やさしい、自分のやりたいことを聞いていろいろな場所へ連れて行ってくれるので毎日が楽しい、などのコメントがあがった。また、自分達の立場になって考えてほしい時がある、というコメントもあった。

10.子どものプライバシーは守られているか

はい 21名 (58%)
どちらともいえない 1名 (3%)
いいえ 4名 (11%)
無回答・非該当 10名 (28%)

個人のプライバシーは守られていると、21名が回答している。秘密を言ったら守ってくれる、というコメントがあがった。また、職員同士で共有しているだろうから信頼はできない、職員から子どもへ伝わってしまう、というコメントもあった。

11.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか

はい 17名 (47%)
どちらともいえない 3名 (8%)
いいえ 6名 (17%)
無回答・非該当 10名 (28%)

個別の計画作成の際、利用者自身の状況や要望を聞かれていると、17名が回答している。担当と頑張ることを話した、1月に今年の目標を話したりしている、などのコメントがあがった。また、そんな計画を立てられていたことすら知らない、というコメントもあった。

12.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか

はい 18名 (50%)
どちらともいえない 3名 (8%)
いいえ 5名 (14%)
無回答・非該当 10名 (28%)

サービス内容や計画に関する説明はわかりやすいと、18名が回答している。質問内容に対するコメントはあがっていない。

13.自らの権利について、さまざまな機会をとらえて職員はわかりやすく教えてくれるか

はい 23名 (64%)
どちらともいえない 1名 (3%)
いいえ 5名 (14%)
無回答・非該当 7名 (19%)

さまざまな機会を利用して、利用者自身の権利を職員がわかりやすく教えてくれると、23名が回答している。以前はしてくれたが最近は聞かない、というコメントがあがった。

14.子どもの不満や要望は対応されているか

はい 24名 (67%)
どちらともいえない 1名 (3%)
いいえ 2名 (6%)
無回答・非該当 9名 (25%)

利用者の不満や要望への対応がされていると、24名が回答している。思った通りにいくのは難しいが考えてくれるので実現することが多い、というコメントがあがった。また、嫌だなと思ったことは言わない、要望を伝えても改善されたことは少ない気がする、などのコメントもあった。

15.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか

はい 22名 (61%)
どちらともいえない 1名 (3%)
いいえ 3名 (8%)
無回答・非該当 10名 (28%)

外部の苦情相談窓口へ相談できることが周知されていると、22名が回答している。一番最初のときに教えてくれた、というコメントがあがった。また、あったような気がする、というコメントもあったが、確か教えてもらっていない、という声もあった。

組織マネジメント分析結果

◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合はで、実施できていない場合はで表しています。

【講評】
大舎制、単年度担当制、断続勤務体制等、大家族の雰囲気を大切にした運営に努めている

施設では、先代のモットーである「子ども中心」、「家庭的」、「施設臭くしたくない」を継承する形で、大舎制、単年度担当制、断続勤務体制をとり、施設全体が大家族であるという雰囲気を大切にすることで、子どもが発達・成長し、自立していくことを目指している。職員の平均勤続年数が16年を超える中、その日出勤の全職員が集合して行われる朝の集まりや週1回の全職員参加の職員会議、隔週で行われる職務研究会を通して、職員全体ですべての子どもの状況を把握しつつ、一体的な運営を目指して取り組んでいる。

フラットな組織を編成し民主的に話し合う等、子ども中心の組織体制の構築を図っている

施設長は、設立以来大切にしてきた運営の特色を継承する自覚の下、各種会議や日頃の生活場面でリーダーシップの発揮に努めており、組織体制についても、施設長と主任以外をできる限りフラットな組織で編成し、子どもの養育・支援を検討する場面では調理員等も含め全職員から意見を募り、多角的な視点に基づき最善の養育・支援を目指している。年度末までに子どもの部屋替えを最優先し決定後、それぞれの部屋に適した職員を配置するしくみが定着しており、毎年、子ども中心の組織体制の構築を図っている。

重要な案件について、職員や子どもへ直接伝達することで経緯も含め理解を促している

重要な案件は、主に施設長が朝の集まりや各種会議の場で全職員へ直接話をして伝達するとともに、それぞれの会議録を職員一人ひとりの発言がわかる形で残す工夫により、決定の経緯が会議録から読み取りやすくしている。また、子どもにとって重要な案件を伝達する場面として、夕食の時間や日曜日に開催する「我が家の守り」、反省会等、子ども全員が集まる機会が多くあるため、施設長等が直接伝えながら、決定経緯等も含め、子ども一人ひとりの理解が進むように取り組んでいる。

1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
  • 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  • 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  • 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
子ども、職員、関係者との関わりを通して施設運営に関連する情報収集に取り組んでいる

施設運営上の課題抽出方法として、子どもに対しては嗜好調査や意見箱、自立支援計画策定時等の機会よりも、日頃の関わりの中で浮上する意見や行動等を重視し把握に努めている。また、職員については各種会議の場以外に年度末アンケートを行い、個別に意向を把握する機会を持っている。さらに、子どもが通う学校や、施設長、事務員が出席する児童部会等で情報収集を繰り返しながら、施設運営に影響のある事項を把握し、検討を重ねている。

小規模化委員会が中心となり、グループホームの実施モデル等の検討を進めている

中・長期的なビジョンを検討する場として小規模化委員会が組織されており、昨年度は都内の他施設を訪問し小規模グループケアやグループホーム運営の取り組み等を把握している。また、今年度はグループホームの実施モデルの作成を目標に、大まかな枠組み作りに着手している。これまで築いてきた運営方法をグループホーム開設後も継承できるかが大きな懸案事項であり、職員体制や建設場所のイメージはある程度固まったものの、実現に向けたスケジュール表の作成等、具体的な計画立案にまでは至っておらず、引き続き課題となっている。

「事業・養護計画」を年度末に全職員で振り返るしくみで一体感ある運営を目指している

単年度の事業計画書は例年2月頃から、子どもの生活する部屋割りを決めたうえで職員との相性や関わってきた年数等をはじめ、さまざまな角度から検討を重ね、職員体制を決めている。また、子どもの養育・支援に関する内容については、年度当初に具体的に示した内容に基づき、年度末に取り組み方法や実施の有無等を振り返り、全体的な見直しを図っている。最終的に、「事業・養護計画」として1冊にとりまとめ、職員間で共有することで、一体的な運営および子どもへの養育・支援を目指して取り組んでいる。

1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  • 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  • 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  • 事業所の経営状況を把握・検討している
  • 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
  • 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  • 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  • 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  • 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
苦情解決の一連のしくみについて子どもへ説明して理解が進んでおり、機能している

苦情解決のしくみが確立されており、施設内の1階、2階の廊下に意見箱を設置して、子どもへ周知することにより、いつでも意見や要望等を施設へ提出できる状態を維持している。第三者委員の存在を含め、入所時に文書でも説明が行われており、今回の利用者調査結果でも子どもの理解が進んでいる状況がうかがえる。意見箱に寄せられた内容について、苦情受付担当職員が子どもの話を聴いて解決を図るとともに、毎年1回、第三者委員会を開催して現状報告を行っている。事業報告書で年間件数や対応結果等を掲載し、公表している。

倫理綱領の読み上げや、他施設で発生した事例等を紹介して注意喚起を図っている

職員が遵守すべき事項の徹底を図るために、各学期の最初に行われる会議で、倫理綱領を読み上げて再確認する取り組みが定着している。また、児童部会から届けられる他施設で発生した事故事例等の情報を、施設長が会議で周知しながら留意事項等を伝え、直接、注意喚起をしている。さらに、施設内では、職員が大人の見本として行動することの共通理解を深めながら、例えば、職員の言葉の乱れが気になった時に、その都度、注意する等により、職員の意識向上に取り組んでいる。

地域とのつながりが深い状況の中、さまざまな役割を担い地域福祉に寄与している

地域福祉への貢献活動は、この地に施設を構えて以降、日頃の近所づきあいや、商店街のそれぞれのお店との施設運営場面での経済活動上のつながりに加えて、ハロウィンやクリスマス等、施設が企画・実施する子ども対象の地域行事への参加等を通して、自然な形で行われている。また、学校のPTAの役員等を職員が担ったり、施設長が区の民生委員推薦委員や小学校の評議員、要保護児童対策地域協議会の代表となる等、さまざまな場面で協力している。

1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
  • 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  • 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
  • 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  • 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
  • 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  • 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
  • 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  • ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
  • 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  • 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  • 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
BCPの作成や玄関のオートロック化等、安全性向上のための整備を進めている

リスクマネジメントとしては、昨年度末頃から発生した新型コロナウィルス対策が今年度の最優先リスクであり、都や区、学校、児童相談所、他の施設等、さまざまな方面から最新情報の入手に努め、適正かつ迅速な対応を図っている。また、防災対策については、昨年11月にBCP(事業継続計画)を策定し、施設および各職員が被災後にどのような行動をとるか等の具体的な内容を明確にしている。さらに、防犯対策として、玄関先のオートロック化が昨年度完了する等、子どもの安全性向上のための整備を進めている。

ヒヤリハット事例を抽出するしくみをさらに工夫し、傾向分析の充実が期待される

日頃の生活場面の中で、職員が気づいたリスクを洗い出すしくみの一つにヒヤリハット報告の提出がある。毎週の職員会議でヒヤリハット報告を施設長が呼びかけ、事例を抽出し把握する形で進めており、今年度から傾向分析についても着手している。なお、ヒヤリとした場面があれば職員間ですぐ情報共有して解決しているため、必ずしも報告書として挙がらない状況がうかがえるため、傾向分析の充実を図る観点から、抽出方法についてさらなる工夫が期待される。

情報を事務所内で一元管理することにより、外部への情報漏えいがないよう管理している

施設内の情報管理については、子どもの個人情報をはじめとする機密情報は事務所内で一元管理することにより、外部へ情報が持ち出されることがないようにしている。また、データ入力された情報のうち、USBメモリの取り扱いについては、場所と管理方法を決めて管理することで紛失等を防止している。さらに、インターネットに接続できるパソコンを限定して運営することにより、外部へのデータ流出を物理的に防いでいる。紙媒体の文書については、それぞれ情報毎にファイリングを行い、職員間で情報共有しやすく整理している。

1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
  • 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  • 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  • 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
  • リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  • 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  • 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  • 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  • 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  • 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
新規職員の採用にあたり、職員全員の意見に基づき合否を判定するしくみを導入している

新規職員を採用するにあたり、子どもの養育・支援を担当している職員が多く出席する中で面接を行う他、実習などを経て最終的に合否を判定する際には職員全員の意見に基づき決定している。募集活動は、数年前から就職サイトを活用したり、昨年度は区が企画する福祉人材対象の採用フォーラムに出席する等、強化を図っている一方、予定通りの職員確保が難しい状況がうかがえる。今後も採用活動の工夫について引き続き検討を重ね、必要な人材の確保に取り組んでいくことが望まれる。

小グループで検討を進める等、議論を活性化し、意見を引き出す取り組みが期待される

職員の能力向上を図るために、外部研修の案内が届いた際に職員へ周知して、希望者が受講する機会をサポートしている。また、職員一人ひとりの研修実績を記録し、専門性等の把握に取り組んでいる。なお、職員会議等で検討を進める場面で、各職員の考えや意見を募りながら進行している一方、一人ひとりから意見が挙がりづらい状況を施設では課題と認識している。今後、テーマによっては職員を小グループに分けて話し合う機会を用意する等により議論を活性化し、一層多角的な観点で検討・決定するための工夫が期待される。

職員が相互に協力し合うこと等を大切にする観点から、人事考課制度は導入されていない

職員の組織体制は、施設長と主任以外はフラットな形で編成していることもあり、キャリアパスのしくみを導入し、所定のスキルを身につけながらステップアップを図る形は導入されていない。また、人事考課制度についても、現在の運営体制を考慮した場合、職員一人ひとりの勤務業績や貢献度等を評価し、給与・賞与に差をつけることは馴染まないとして導入に至っていない。いずれも、施設が大切にする「家庭的」、「施設臭くしたくない」という考えを基礎とした対応であり、各職員が大家族の一員として相互に協力し合う組織作りを図っている。

1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
  • 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  • 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
  • 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  • 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  • 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  • 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
  • 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  • 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  • 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  • 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
  • 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  • 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  • 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

安全な施設を目指して、正面玄関と児童通用門口のオートロックシステム工事や庭側ブロック塀の補強工事を行うことを目指した。
そこで設計、施工業者との協議を進めながら取り組み、計画通り工事が完了した。
これにより安全性が向上したことに加え、玄関の扉が新しくなったことで明るく見栄えが良くなる等、快適性も高まった。
使用経過についても良好で、今年度もオートロックシステムを活用し安全な環境を維持するとともに、施設・設備面で改修が必要な箇所がないかの把握に努めている。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

子どもの安全を確保するために、ハード面の整備として正面玄関と児童通用門のオートロックシステム工事、庭側ブロック塀の補強工事に着手し、それぞれ計画通りに完了している。オートロックシステムの活用については、子どもの生活場面や職員の業務遂行場面等で支障は生じておらず、使用経過も良好に推移している他、扉が新しくなったことで玄関先の雰囲気が明るくなる等、生活空間の快適性が高まるといった副次的な効果もみられている。今年度も引き続き、施設の設備面で安全性の観点から改修等が必要な箇所がないか確認しつつ、安全に生活できる環境作りを進めている。

2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

年々事務作業が増加傾向にあることや、定年退職の時期が近づいていること等の理由で、事務員を増員して体制を強化することを目標に掲げた。
2年前から直接処遇職員の中で事務員候補を決定し、具体的な業務について理解を深める取り組みを進めてきており、計画通り、昨年度に直接処遇から事務への異動が完了した。直接処遇職員が事務員になったことで、意思疎通がよりスムーズに行えるようになった。
今年度も事務員として業務の習熟度を高めることにより、運営の安定化を目指している。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

事務員の世代交代が迫っていることや、事務量が増加傾向となっていること、さらには、児童養護施設特有の事務内容が多いこと等を理由に、施設では一昨年前から新たな事務員を配置するにあたり、直接処遇職員からの異動により行う計画を立て取り組みを進めてきている。具体的な業務経験を経て、昨年度、正式に直接処遇職員から事務員への異動を完了するとともに、事務員を2名体制として引き継ぎ期間を十分とり、業務の習熟度が高まることを目指している。直接処遇職員が事務員となるしくみにより、意思疎通がスムーズにとれており、今年度も各職員とコミュニケーションを細やかに図りながら、安定した運営を目指している。

サービス分析結果

6. サービス分析のプロセス
【講評】
パンフレットや子ども向けの冊子を作成して、施設や生活の様子等を伝えている

情報提供の媒体の1つとしてパンフレットを作成しており、施設の成り立ち、年中行事、1日の流れ、毎月の行事や活動、創始者の言葉「ママの教訓」等を記載している。また、子ども向けには、「愛児の家にようこそ」を用意して、低学年でも理解できるよう、文章へ総ルビをつけたり、イラストを多用する等、わかりやすい工夫をしている。記述内容には、部屋や食事、言葉、お小遣い、手伝い、クラブ、病気やけがの対応、災害、苦情の伝え方等、13項目を設けて、施設の考えや生活環境、日常の過ごし方について説明をし、生活の様子を伝えている。

ホームページ作成や施設見学会の実施等で、施設に対する理解を促している

入所時には、児童相談所の児童福祉司と連携して支援にあたる等、必要に応じて関係機関と情報共有や提供を図っている。また、ホームページには、施設の概要や沿革、役員名簿、事業計画書・報告書、現状報告、第三者評価結果を掲載することで、現状や取り組み内容、方針等を広く社会へ発信している。さらに、幼稚園や小学校の保護者を対象とした施設見学会を実施しており、施設から積極的に地域社会へ働きかけるとともに、季節毎の行事を開催して地域とのかかわりを深める等、日常的な交流を通して施設に対する理解を促している。

小中学校の教師を懇談会に招いて情報提供や交換を行い、相互理解を図っている

見学の要望や問い合わせがあった場合は、施設長が中心となり、生活している子どもに配慮しながらその都度、対応している。また、必要に応じて担当職員や主任、家庭支援専門相談員等が児童相談所へ訪問して、入所前の子どもとの事前面会を行っており、施設の様子を説明している他、面会で把握した情報等を支援へいかしている。さらに、普段から地域交流に取り組んでいる施設では、年1回、小中学校の教師全員を招いた懇談会を開催し、通学している子どもや施設に関する情報提供や交換する場を設けることで、相互理解を図っている。

1.子どもや保護者等に対してサービスの情報を提供している
  • 子どもや保護者の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  • 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  • 子どもや保護者の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
施設での生活イメージが伝わるよう、冊子を用いて丁寧な説明を心がけている

入所開始時は、「愛児の家にようこそ」を用いて、1日の生活リズムや部屋、食事、行事、お小遣い、クラブ等の13項目について子どもへ伝達しており、施設での生活がイメージできるよう丁寧な説明を心がけている。保護者が同行する場合は、施設の考えや支援方針等を口頭で伝えることで理解を促している。また、児童相談所から得た情報を基に、子どもの状態や心身状況をはじめ家庭の様子を把握するとともに、予防接種の承諾や個人情報の公開に関する書類を取得したり、子どもや保護者の意向等を育成記録2週間の記録へ記載して、支援に反映している。

入所当日は子どもが担う役割を意図的に作り出し、環境変化への不安軽減につなげている

予め子どもの嗜好を把握し、好きなキャラクターや色の生活用品、好きな献立を用意している他、食堂の椅子に設置する手作りのカバーを用意して、歓迎の気持ちを伝えている。また、これまで使用していた持ち物や衣服の持ち込みを推奨する等、愛着のある物を身近に置いて安心感が得られるよう配慮している。さらに、全ての生活必需品をあえて用意せず、入所当日に担当職員と一緒に買い物へ出かけたり、通学予定の学校への挨拶を手配して出向くなど子どもが担う役割を意図的に作り出し、空白の時間を減らすことで、環境変化への不安軽減につなげている。

子どもと施設の関係性を良好に保ち、退所後はいつでも戻れる環境作りを大切にしている

高校生以上は、優先的にIHキッチン設備のある個室で生活する等、自立を考慮した生活環境を整え、希望があれば調理員や栄養士が調理を教えるなど退所を見据えた支援を心がけている。また、単年度担当制を取り入れており、退所後のつながりを考慮しながら当該年度の担当職員を決めるなど、子どもと施設との関係性を良好に保つことで、困ったときはいつでも聞ける、いつでも施設に戻れる環境作りを大切にしている。さらに、行事の際は、開催時に退所者へ手伝いを依頼するといった訪問のきっかけになる働きかけも行っている。

1.サービスの開始にあたり子どもや保護者に説明し、理解を得るようにしている
  • サービスの開始にあたり、施設の基本的ルール、権利擁護の取り組みをはじめとした重要な事項等を子どもや保護者の状況に応じて説明している
  • サービス内容について、子どもや保護者の理解を得るようにしている
  • サービスに関する説明の際に、子どもや保護者の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
  • サービス開始時に、子どもの支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  • 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  • 入所以前の生活習慣等をふまえた支援を行っている
  • サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、退所後の支援の継続性にも配慮している
【講評】
子どもの状態や心身状況は育成記録で把握し、自立支援計画書作成や支援へいかしている

子どもの生活や心身状況等は、児童票等を児童相談所から得ている他、入所直後の様子は、育成記録2週間の記録へ記載している。記録は、学校と学習、健康、生活、家庭と児相の4項目に分かれており、最初の2週間の様子を記録して、職員間で共有するとともに、今後の生活に対する意向や要望を聞き取り、自立支援計画書へ反映している。また、日常生活の記録を集約した育成記録の内容は、4ヵ月毎に各項目のまとめと見直しをする等、定期的なアセスメントを行うことで、子どもの様子を把握しながら現状に沿った支援となるよう取り組んでいる。

計画を見直す際は、子どもと話し合う場を設けて確認を行い、同意を得るよう努めている

自立支援計画書は、年度初めと9月に見直しており、その際は、小学校高学年以上の子ども一人ひとりと話し合う場を設け、計画内容等について確認や説明を行い、目標設定に対する認識が得られるよう努めている。また、施設では、担当職員以外の意見も有益なものと考え、隔週で開催される職務研究会の事例検討で、担当職員以外からも発言を求める等、異なる視点を取り入れることで、より良い支援となるよう心がけている。子どもの記録は、児童票や予防接種承諾書、育成記録、学校関係の書類等を個人ファイルへ綴じ込み、事務室で保管している。

日誌や育成記録の記入および職員会議の開催等で、子ども情報を職員間で共有している

毎日の生活の様子や変化等は、保育士・指導員日誌へ記入した後、個別の育成記録へ転記している。また、朝の集まりで子どもの様子を伝えたり、全職員が参加する職員会議で、子ども全員の状態や推移を確認する等、情報共有に努めている。なお、子どもの記録等はデータ化されており、不足の事態が起きた際は迅速に持ち出せる体制を取っている。一方、職員自己評価では情報通信技術の活用を求める声も挙がっているが、パソコンの画面上の情報確認では、読み取りが十分ではない場合があると施設では感じており、現在の作業方法を維持したいと考えている。

1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している
  • 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
  • 子ども一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  • アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.子どもや保護者の希望と関係者の意見を取り入れた自立支援計画を作成している
  • 計画は、子どもの最善の利益を第一に、子どもや保護者の希望を適切に反映して作成、見直しをしている
  • 計画を子どもにわかりやすく説明し、同意を得るようにしている
  • 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直すとともに、緊急に支援内容を変更する必要が生じた場合の対応や計画変更のしくみを整備している
3.利用者に関する記録を適切に作成する体制を確立している
  • 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  • 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している
  • 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  • 申し送り・引継ぎ等により、子どもに変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.個別の自立支援計画に基づいて、自立した生活が営めるよう支援を行っている
  • 個別の自立支援計画に基づいて支援を行っている
  • 子ども一人ひとりに合った方法で、子どもと職員との愛着関係や信頼関係を構築するために受容的・支持的な関わりをしている
  • 小規模なグループでケアを行うなど、子どもが家庭的な環境の中で生活できるよう支援を行っている
  • 子どもの発達支援等のため、精神科医等が子どもの発育等に応じ個別判断した上で、児童相談所と協議し、適切な職員等が生い立ちを振り返る取り組みをしている
  • 退所後の安定した生活基盤の確保に向け、関係機関や関係職員が連携をとって、リービングケア(退所後の生活を見越した支援)を行っている
  • 退所後は計画に基づいて、一人ひとりに応じた支援を関係機関や関係職員と連携して行っている
【講評】
自立支援計画の目標に沿って家族との交流を図り、子どもの希望を叶えている

児童票、基礎データ、自立支援方針、児童等の意向、児童が抱える課題等を整理したうえで、短期目標、中期目標、長期目標を定めている。例えば、長期目標として親族の協力の下、高校進学を考えると設定したケースでは、短期目標は親族との交流を続けるとし、担当職員が父親と連絡を取りながら子どもとの交流を促し外出支援につなげ、中期目標では祖母・叔母との交流促進を図っている。親族との関係を絶たないことを前提に支援を組み立ており、結果として子どもは親族の協力の下、高校進学を果たすなど、子どもの希望を叶えることにつながった。

全職員が子ども子どもに関わることを大切にし、多角的な視点から支援方針を決定する

単年度担当制により、個々の子どもには担当職員が決められているが、基本的には全職員が一人ひとりの子どもに対応しており、職員会議において行なうケース検討の場で、事務職員や調理職員が見た子どもの様子など、多角的な視点から子どもへの関わり方などが話し合われる。ともすると近視眼的に子どもをみてしまう担当職員にとって、以前の担当者や他職種の職員からの助言は、子どもへの関わり方の幅を拡げることにつながっている。支援の内容は四ヶ月ごとに振り返り「まとめと目標」に記載されており、次期の自立支援計画に反映する仕組みである。

クラブ活動や運動会などグループダイナミックスにより子どもの力を引き出している

大舎制であり、小規模なグループケアは実施していないが、小規模化に向けグループホームのあり方について検討を行なうなど、施設としての方針を定める予定である。一方でグループダイナミックスにより子どもの力を伸ばすことに取り組んでおり、例えば小学生の女子児童はダンスを通して自己表現を身につけ発表会を楽しみにしている。また施設の運動会は子どもたちが運営を担い、グループ対抗戦による表彰でモチベーションを高めている。駅伝、習字、たんび、ピアノ、お歌、ビーズなど多様なクラブ活動があり、子どもたちの興味を拡げている。

2.家族等との関係構築に向けた取り組みを行っている
  • 家庭支援専門相談員を中心に、家族等との関係構築のための支援方針が明確にされ施設全体で共有されている
  • 子どもの最善の利益を第一に子どもや保護者等の意向を確認しながら、関係機関と連携をとって、子どもと家族の関係調整に取り組んでいる
  • 子どもの状況や行事等の情報を個別の連絡により保護者等に知らせている
  • 保護者等との面会、外出、一時帰宅等は、状況を把握したうえで、子どもの安全に注意しながら行っている
  • 養育家庭や養子縁組等の制度が有効に活用されるよう児童相談所と連携をとっている
  • 入所中の子どもの家族等(里親を含む)に対し、退所後の生活を想定したさまざまな支援を行っている
【講評】
子どもの人生を長い目で捉え、保護者等との関係性維持を前提とした支援を行なっている

施設では子どもと親族とのつながりを大切に考えており、必ずしも家庭復帰を前提としなくても、子どもの人生を長い目で捉え、保護者等との関係性維持を前提とした支援を行なっている。子どもと家族の関係性等は入所時に児童票により把握し、担当の児童福祉司からの情報を下に課題を整理しており、自立支援計画に具体的な支援内容を明記し、職員の関わり方等を全職員で共有している。基本的に家族調整は児童相談所の方針に従い対応することになっているため、担当福祉司との連携を重視し、些細なことでも情報提供を行なうこととしている。

家庭支援専門相談員のフォローの下、子どもの担当職員が家族等とやり取りをしている

ベテラン職員である家庭支援専門相談員は必要に応じて家庭訪問等を行い家庭環境等を把握したり、施設長とともに対応が難しい保護者等との信頼関係を維持することに努めており、日常的な家族とのやり取りは家庭支援専門相談員のフォローの下、子どもの担当職員が担っている。担当職員は、学校の運動会や展覧会などのイベントに家族を招待して子どもとの交流を促しており、例えば弁当作りを負担に感じている場合などは施設で弁当を用意するなど、保護者の状況にも配慮することで子どもとの関わりが増えるよう取り組んでいる。

里親支援や養育制度への働きかけ方など施設方針を定めることが期待される

里親支援専門員は配置していないため具体的な里親支援等は行なっていないが、養育家庭等につながる可能性がある子どもの情報等を児童福祉司に伝えるなど、養育制度や養子縁組の制度が機能するよう働きかけは行なっている。しかし養育家庭不調により措置された子どもを受入れることもあり、対応の難しさを感じている。今後は里親支援のあり方を含め、施設としての対応方針等を定めていくことが必要だと思われる。

3.子どもが楽しく安心して食事ができるようにしている
  • 楽しい食事となるような環境を整えている
  • 食事時間は子どもの希望や生活状況に応じて対応している
  • 食事の献立は、子どもの状況(食物アレルギーや疾患等に関する主治医等の指示を含む)や嗜好に応じて工夫している
  • 食習慣の確立や食についての関心向上のため、関係職員と連携して食育の推進に取り組んでいる
【講評】
食事を生活の基本に位置づけ、楽しく食事ができる環境づくりを行なっている

「子ども中心」「家庭的」「施設臭くしたくない」といった創設者の思いを引き継ぎ、食事を生活の基本に位置づけ施設運営を行なっている。子どもたちは1階の食堂で食事をするが、食事を楽しい時間とするために1年に1回、食卓の座席決めを行なっており、その際は子どもたちの希望に沿って、自分が好きな人と一緒の食卓を囲むことができるよう配慮している。朝食と夕食は固定の座席で、昼食は自由に席を選ぶことができ、アルバイトや部活で夕食の時間に間に合わない場合は、子ども自身が後片付けを行なうこと等がルール化されている。

鍋物や行事食など献立の工夫やデザートバイキングなど充実した食事提供がなされている

栄養士が子どもと職員に希望メニュー等の調査を行なったうえ献立作成をしており、10日に1回、職員会議で内容を協議し、決定している。食事環境が十分ではなかった子どもが多いこともあり、献立の工夫を通して食事への興味を育てており、季節に応じて鍋物や行事食を提供し、また洋食の際はナイフとフォークを使うなど食事マナーの習得につなげている。また毎日の夕食時にはバイキング形式で副菜やデザートが用意されるとともに、常に果物類が用意されており、いつでも食べることができる。手作りおやつに加え、主任によるお菓子の提供もある。

「裏のファーム」と名付けられた畑では、トマト、きゅうり、里芋等を栽培している

地域との関係性を大切にしているため、食材等の調達は地域の商店で行なっており、食材の内容によっては調理員が料理をアレンジしたり、別の商店で購入するなど柔軟な対応を取っている。子どもと一緒に買い物に行くこともあり、食材への興味や理解を促している。また、施設内の敷地で野菜を育てており、「裏のファーム」と名付けられた畑では、トマト、きゅうり、里芋など種付けから行ない、希望する子どもが手伝っている。収穫だけ参加する子どももおり、収穫した野菜を職員と一緒にもろきゅうにして食べる等、職員の一環に位置付いている。

4.子どもの健康を維持するための支援を行っている
  • 入所まもない子どもの健康状態(口腔ケア、視力等)に配慮し、健康維持のための支援を行っている
  • 健康に関して、子どもに理解を促す取り組みを行うとともに、子どもからの相談に応じ、必要に応じて子どもや保護者等に説明をしている
  • 子どもの服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などのしくみを整えている
  • 医療機関と連携を行いながら、日頃の健康管理を行い、子どもの体調に変化があったときには、速やかに対応できる体制を整えている
【講評】
近隣の歯科医が理事を務めるなど、健康管理は地域の医療機関に支えられている

創設以来、地域の中にある子どもたちの「大きなおうち」として地域住民に受け止められており、近隣の歯科医師が理事を務めるなど、子どもたちの健康管理も地域に支えられている。嘱託医である内科医は日頃より子どもたちの健康状態をチェックしており、入所時には、児童票等で把握した情報を下に健康診断を行ない、必要があれば治療を行なう。また、小児科、外科、眼科、皮膚科、耳鼻科など協力医療機関があり、歯科診療に関しても理事が担うなど、施設への理解をもった医療関係者が子どもたちの健康管理を担っていることは施設の強みでもある。

服薬チェック表で服薬状況を管理し、子どもに応じて自己管理の方法等指導を行なう

看護師は配置されていないため服薬チェックは各担当が担っており、事務室まで薬を取りに来た子どもに部屋担当の職員が薬を渡し、必要に応じてその場で飲むよう促し、確認後、服薬チェック表にチェックをする。向精神薬を服薬している子どももおり、服薬の自己管理の方法等を含め、子どもに対し服薬指導を行なうときもある。また、便秘症状が強い子どもへの支援方法を嘱託医に相談し、処方薬での対応に加え、野菜やヨーグルトなど食事提供時の配慮や職員のこまめな声かけなどにより、子ども自身が排便への意識を高めていくことに取り組んでいる。

感染症に罹患した場合は、別棟の部屋で過ごすことができる環境となっている

断続勤務制を取っているため、職員は朝、夕の子どもの様子を把握することができ、職員は常に子どもの様子に気を配り、元気のない様子が見られた時は、職員が意識的に声かけをして気持ちの状態を含め、健康状態の確認を行なう。感染症に罹患した場合は、子どもたちの居室から離し、別棟の部屋で過ごすことができる環境となっている。健康が回復するまで職員が別棟に食事を運び、子どもの様子を確認しており、幼児の場合は夜間など職員が付き添うこともある。現在、別棟にシャワーを設置する計画があり、実現が待たれる。

5.子どもの精神面でのケアについてさまざまな取り組みを行っている
  • 子どもが心の悩みや不安を相談できるように工夫している
  • 性についての正しい知識と理解が得られるよう、子どもの年齢や状況に応じた説明を行っている
  • 子どもの課題に応じて、心理的ケアや医療的ケアが必要な場合は、関係職員・機関と連携をとって、支援を行っている
【講評】
性的事故等を防ぐために年2回、同性の職員が子ども全員へ聞き取り調査を実施している

「愛児の家性教育委員会」を「愛児の家こころとからだ委員会」と改め、性教育のあり方等を検討するとともに、性的事故等を防ぐために、6月と9月の年2回、同性の職員による子ども全員への聞き取り調査を実施している。「何でも良いので大人に話しておきたいこと」「周りに嫌なことをされていないか」「他児が嫌なことをされている場面を見たか」等の質問を通して、誰にも言えずに悩んでいることがないか確認を行なった。問題になる事項は挙がって来なかったが、子どもの悩みを聞くことにもつながり、今後も継続していく予定である。

小学生以下を対象にプライベートゾーン等を伝える性教育を実施している

昨年度は他施設の施設長を講師に招き、SNSへの対応や性教育について研修を行なっており、性教育に関する情報収集やコモンセンスペアレンティング等の取り組みについて学んでいる。昨年度に引き続き今年度も小学生を対象に、男児、女児ごとに年長から小学校2年生までには紙芝居で、3年生以上の子どもには絵本を使用し、プライベートゾーンについて説明をした後に振り返りを行なっている。現在は小学生のみを対象としているが、今後は中学生以上を対象とすることやプログラムのステップアップを課題としている。

心理療法担当職員を男女2名体制とするなど心理的ケアへの充実を図っている

今年度から心理療法担当職員を女性と男性の2名体制とし、役割分担を行ないながら子どもの内面的なケアを図っている。従来からいる心理職は生活場面に入り子どもを観察し、必要に応じて職員にコンサルテーションを行ない、もう一名は子どもたちの生活には入らず、月1回程度プレイセラピーやセッション等を通して、子どもへの心理療法等、個別のケアを行なっている。児童精神科に通院していたり、児童相談所の心理面接を受けている子どももおり、主治医や児童相談所の心理職と連携を図り、子どもが抱える問題に対応している。

6.子どもの主体性を尊重し、施設での生活が楽しく快適になるよう支援を行っている
  • 居室等施設全体は、子どもの年齢や状況に応じて一人ひとりの居場所が確保され、安心、安全で快適なものとなるようにしている
  • 日常生活や余暇の過ごし方は、子どもが主体的にかかわって決めている
  • 行事やイベントの企画・準備は子どもとともに考え行っている
  • 施設の生活ルールは子どもの意見を尊重し見直しを行っている
  • 子どもが一人ひとりの希望や季節等に合った清潔な衣服を身に付けられるよう支援している
【講評】
ホールにはゲームや玩具、パソコン、漫画等があり、子どもたちの居間となっている

大舎制のもと、一部屋あたり1~6人の子どもたちが男女別縦割で生活しており、高校生には個室が用意されている。子どもたちの居室には個々の勉強机とロッカー、2段ベッドがあり、テレビも備え付けられ、部屋単位で団らんができる環境となっている。1階の大きなホールには、ピアノ、玩具やパソコン、ゲーム機、漫画を中心とした図書コーナーが設置されており、子どもたちは自由に使用できるため、学校からの帰宅後や休日などはホールで過ごす子どもが多い。2階の廊下には1人用のソファーが複数配置され、1人の時間を過ごすことも可能である。

トラブルになる前に全ての子どもを集めてルールを守ることの意義を伝えている

全職員が日々の子どもの様子を注意深く見守っており、落ち込んでいる様子が見られたら職員が声かけし、一緒に電車を見に行ったり、買い物に誘ったり、時には外食をするなど子どもの心に寄り添った対応をしている。共同生活であるため施設でのルールは定められているが、子どもたちの言葉に寄らない雰囲気からトラブルの気配を感じた際には、早めに諍いの芽を摘むようにしており、対象となる子どもの特徴を踏まえたうえで、全ての子どもを集めてルールを守ることの意義を伝えるなどの注意喚起を行なっている。

議長団の議長、副議長、書記は小学校高学年以上の子どもたちの投票により決定する

小学生以上が参加する「反省会」は、中学生以上の4名が「議長団」となり、議長、副議長、書記は小学校高学年以上の子どもたちの投票により決定する。反省会では、子どもから子どもへ、大人から子どもへ、子どもから大人へ、それぞれ気づいたことや注意点を話し合っており、反省会の前には、各部屋、職員と中高生の「生活係」による話し合いで事前に意見を吸い上げており、人前で意見を言うことが苦手な子どもは、お部屋ノートや意見箱での意思表明が可能である。

7.子ども一人ひとりに応じた学力向上・進路決定のための取り組みを行っている
  • 基本的な生活習慣を確立するとともに、社会常識、社会規範及び生活知識・技術を身につけられるよう支援を行っている
  • 学習環境を整備し、基礎学力の向上・学習習慣獲得のための支援を行っている
  • 子どもの意欲・意思や能力に応じた学習教材・塾等を活用している
  • 進路について、子どもと保護者等、学校、施設による話し合いを行っている
  • 多様な選択肢を提示したうえで、子どもの最善の利益にかなった進路の自己決定ができるよう支援している
  • 個別に必要な時期・状況で、職場実習や職場体験、アルバイト等の社会経験を積めるよう支援している
【講評】
各部屋において指導目標を定め、具体的な留意点を下に子どもへの働きかけを行なう

「反省会」は、ルール等を話し合う機会であると同時に、創設以来施設が大切にしている「ママの教訓」の考えに沿って、言葉遣い、挨拶、省エネ、衛生、清潔、感謝の気持ち等について、子どもたち自身で振り返りを行う。例えば、言葉遣いでは、ゲームをしているとき汚い言葉を言う人がいる、衛生の項目では、男子トイレのスリッパが揃っていないなどの意見が挙がり、子ども自身が生活習慣を見直すきっかけとなっている。年度初めには各部屋において指導目標を定め、具体的な留意点を下に子どもへの働きかけを行い、年度末には総括が行なわれている。

進学先は子どもの希望を第一優先とし、保護者、児童相談所、学校と連携して決定する

中学生、高校生については、希望する子どもには通塾を可能としているが、一カ所の塾に子どもが集中しないようにすることで溜まり場になることを防ぎ、また帰宅時間が遅くならないよう配慮している。日常の学習支援は学校の教員と日頃から連携している職員が担うこととしており、学習ボランティア等は導入していない。学習教材も学校のホームページで公開されているドリルを活用している。進学先は子どもの希望を第一優先とし、保護者、児童相談所、学校と連携して決定しており、サポート校含め多様な高校への進学を可能としている。

自立支援プログラムに基づき、それぞれの項目に沿って職員による指導が行なわれている

卒園が近い子どもには、アルバイトをする、家具・電化製品・日用品・生活必需品を揃える、緊急時・災害時の備え、身近なトラブルへの対処法、お金の使い方を学ぶ、生活費のシミュレーション、アパート探しと契約・連帯保証人、住民票の移動方法・社会保険・国民健康保険、食生活について学ぶ、簡単調理といった自立支援プログラムが用意されており、それぞれの項目に沿って職員による指導が行なわれている。調理クラブでは栄養士が子どもたちに料理を教えており、卒園間近になると個別に調理指導を行なうことで、1人暮らしに備えている。

8.地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている
  • 地域の情報を収集し、子ども一人ひとりの状況に応じて活用している
  • 施設の活動や行事に地域の人の参加を呼びかける等、子どもが職員以外の人と交流できる機会を確保している
  • 子どもに、地域と日常的に関わりながら生活していることの大切さを伝えている
【講評】
地域商店街と共催で行なう「ちいきハロウィン」は一大イベントであるが中止となった

地域の中にある施設として地域との関係性を重視した施設運営を行なっているが、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響があり、軒並み地域イベントが中止になっている。特に毎年10月に地域商店街と共催で行なう「ちいきハロウィン」は、地域の一大イベントとなっており、施設を開放して地域の子どもたちにおやつを提供したり、仮装した子どもたちが地域のお店等を回りお菓子をもらうなど、長年にわたり地域との交流を図る機会となっている。今年度は中止であるが、新型コロナウイルス感染症が治まった際には、再開したいとしている。

屋上でのボール遊びは20時まで可能であるが近隣からの苦情が出ることはない

学校から帰宅後の日課を定めず、それぞれが友だちの家に遊びに行ったり、児童館や図書館など出かけていたが、今年度はコロナ感染予防の為児童館へも友だちの家にいくことも禁止としている。また通常であれば、子どもの友だちが施設に遊びに来ておやつなど一緒に食べたり、ゲームなどしていたが、友だちの来園も禁止である。子どもたちの閉塞感を防ぐために施設では屋上を開放しており、ボール遊びやかけっこなど夜8時までできるようにしている。子どもたちの声に今のところ近隣から苦情が出ることもなく、良好な関係が築かれていることが分かる。

経済的なやり取りを通して子どもたちに地域で生活することの意味を伝えている

食材を地域の商店で購入することはもちろんのこと、子どもたちの役割である「生活係」がトイレットペーパーやテッシュペーパーなどの日用品の買い出しを近隣の商店で行なっており、経済的なやり取りを通して地域活性化に貢献する同時に、子どもたちに地域で生活することの意味を伝えている。職員は子どもたちの学校のPTA活動に参加するとともに、今年度は実施できていないが地域と共同で防災訓練を行なうなど地域活動に積極的に参加することで、地域との交流を図っている。

【講評】
言葉は人となりを表すと捉えて、きれいな言葉を使うことへの大切さを伝えている

画像の使用範囲の意向確認を保護者等へ行い、学校に提出する写真掲載の書類等へ反映する等、プライバシー保護や安全確保に努めている。子どもには、個別の生活の場所として、他の部屋には入らない等の生活ルールを伝え、中学生以上で構成されている議長団の反省会等でも周知徹底を図っている。また、施設では言葉は人となりを表すと捉え、きれいな言葉を使うことをの大切さを伝えている。さらに、職員会議で職員が発する言葉は適切か確認したり、ふさわしい言葉について伝達する等、子どものモデルとなる職員の言葉遣いに対しても常に留意している。

施設独自の冊子や各種ノートの活用等で、意見表明しやすい環境を整えている

権利ノートの説明は児童相談所の児童福祉司から行われている他、施設では「愛児の家にようこそ」を作成しており、呼び捨てにされないことや、苦情を伝える場所があることを明示して、子どもの権利を伝えている。また、子ども人権110番のポスターの玄関への掲示や意見箱の設置、部屋ノートや生活係ノート等を活用した意見の記入等で、意見表明しやすい環境を整えている。さらに、今年度から、ヒヤリハットの傾向や対策の分析を開始する等、支援内容を振り返る機会を設けることにより、子どもの権利擁護への職員の意識向上につなげている。

帰宅後の予定は特に定めず、個別の生活リズムを尊重した柔軟な支援に努めている

施設では個別の生活リズムを尊重しており、帰宅後の予定も特に決まっておらず、日によっては地域の友人と約束して遊びに出かける、部屋に戻り宿題をするなど、担当職員と話し合いながら柔軟に対応している。また、子ども全員がゲーム機を持てる様援助したり、年齢に関係なく同じおやつを用意する等、充足感を満たす公平な支援を心がけ、子どもの気持ちに余裕を生まれさせることでトラブル防止を図っている。なお、職員が気づいた違和感等は先回りして予防策を講じたり、朝の集まりや職員会議で情報を共有しながら対応策を検討して支援へ反映している。

1.子どものプライバシー保護を徹底している
  • 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、子どもや保護者の同意を得るようにしている
  • 個人の所有物や郵便物の扱い、居室への職員の出入り等、日常の支援の中で、子どものプライバシーに配慮した支援を行っている
  • 子どもの羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、個人の意思を尊重している
  • 「子どもの権利ノート」などにより、子どもの基本的人権について、日常生活の中でわかりやすく説明している
  • 子どもが意見を表明しやすい環境をつくるなど、子どもの権利が守られるように取り組んでいる
  • 子ども一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
  • 施設内の子ども間の暴力・いじめ等が行われることのないよう組織的に予防・再発防止を徹底している
【講評】
事業・養育計画へ支援の目的や方法等を記載し、手順書として活用している

施設では、事業・養育計画を作成して、施設の展望や年度計画に加え、起床と就寝、食事やおやつ、礼儀・挨拶と言葉遣い、身だしなみと整理整頓、大掃除、年間行事計画等の項目を設けるとともに、支援の目的や方法、留意点を記載する等、サービスの基本事項や手順等を具体的に明示して、手順書として活用している。なお、今回の職員自己評価からは、マニュアルとしての認識が十分でない意見も挙がっており、手順書としてより明確にするために、現在の名称へ「マニュアル」の文字を追加すべきか等、わかりやすい表記を施設としても検討している。

手順書は年2回見直しを実施して、実態に即した内容となるよう努めている

手順書でもある事業・養育計画は、10月と年度末に見直しがされ、職員会議で各項目に対する振り返りと検討を行っている他、必要に応じて点検をする等、実態に即した内容となるよう努めている。また、事業報告書を作成する場合は、検討内容の結果や取り組み状況、今後の要望等を項目の隣に記載することで、進捗状況や課題等を把握しやすい工夫をしている。さらに、職員会議では、冒頭30分で全ての子どもの状況を伝達しており、子どもの状態や変化に合わせて見直しの必要がある場合は、それらをもとに支援手順の変更へつなげている。

子どもや保護者、職員、それぞれの意見を吸い上げて支援へ反映するよう心がけている

年度末に、支援に関するアンケートを職員へ実施しており、支援方法や手順等に関する確認を行っている。保護者には電話連絡や面会等のタイミングを利用して、施設や支援内容に対する意見を募っており、支援へいかしている。また、多くの意見を吸い上げる目的で各部屋に設置されている部屋ノート、議長団の反省会での話し合い、玄関に設置されている意見箱等、さまざまな機会を設けて、子どもの要望や希望等を聞き取るよう心がけ、職員会議や職務研究会で対応策について検討する等、施設として応じられることは迅速な対応に努めている。

1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
  • 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  • 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
  • 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や子ども・保護者等からの意見や提案を反映するようにしている

事業者のコメント

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評価情報

【評価実施期間】

2020年8月4日~2021年1月15日

【評価者修了者No】

H0201011,H0901005,H0201062

評価結果のダウンロード

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