評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
1)ご入居者個々の心身の特性を踏まえ、生活居住空間そのものである「住みやすさ」「暮らしやすさ」を前提とした「家庭」としての役割を果たすこと
2)生活の再編の手助けを行い、生活自立意欲の向上を目指すこと
3)個別性を重視した目標設定を行うと共にご入居者の意思及び人格を尊重した援助を行うことで認知症症状の進行緩和に努めること
4)身体的、精神的に安定したゆとりある生活を目指すこと
5)ご入居者を中心とし、ご家族、職員間、地域社会が相互に理解し支えあうことを目指すこと
職員に求めている人材像や役割
グループホームの職員は介護に関する知識や技術も必要ですが、ご利用者やそのご家族、職員、医師、地域の方々と常に接する仕事なので、コミュニケーション能力が必要と考えている。また、ご利用者の日常生活全般を支えるために必要な生活能力を身に付けている、身に付けようと努力する人。「受容、傾聴、共感」「報告、連絡、相談」ができる、または身に付けようと努力する人を求めている。
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
ご利用者がその人なりのできる限り自立した生活を送れるよう、プランに沿った支援に努めること。
ご利用者の生活の質を高められるよう考え、工夫や提案に努めること。
全体の評価講評
特によいと思う点
法人の理念・方針のもと施設内はバリアフリーで有効な共有スペースを設けています。近隣の環境とは異なり静かな室内、温度・湿度も適正に保たれ、動線上の整理がなされ転倒予防にも配慮されています。認知症ケアだけでなく「身体的ケア」の必要な利用者が増え、共有スペースでも快適に過ごせるように、高さの異なるテーブル・ソファ・リクライニングチェアや個々のクッションを用意しています。どの利用者が何を使用しているかは日課表別表等に記載し、どの職員もすぐでわかるように工夫されています。
グループホームだから出来る本来の認知症ケアが、身体的ケアの必要な方が増えることで難しくなりつつある中、利用者個々のサービスを提供するために、朝・夕のカンファレンスを実施することとしました。そのことにより、職員間のコミュニケーションが高まり、日々の業務を繰り返すことの役割を持つことにより、質も高まりました。また、職員の介護知識と技術向上を目指し、学びたいテーマについて外部の研修を受けられるようにシフト変更も行うようになりました。認知症ケア・接遇・感染症等の研修に参加しています。
開設以来、既に5名の看取りを実施しています。利用者の入居時に、重度化した場合の終末期における対応指針を家族に説明し、通常時の健康管理や体調不良時の急変対応について説明し、事業所でできることを理解していただいています。平常時から終末期をどのように過ごせるか、利用者とご家族、主治医や法人の医療連携看護師、歯科医師、利用管理指導を行う薬剤師を含めた話し合いにより、終末期をどのように過ごしたいか確認しています。
さらなる改善が望まれる点
事業所は、内部研修を行っています。研修内容の理解を高めるために、研修内容についてレポートの提出を求めていますが、外部研修の受講の機会が限られています。ここ数年、多様化する利用者のニーズへ対応するためには、職員の外部研修受講の機会や他施設のグループホームや小規模多機能等の事業所での実習を増やすなどの取り組み計画中とのことですが、昨年度より実施されていません。知識と技術のスキルアップを図り、介護現場で統一された根拠のある介護方法のOJTが望まれます。
事業所は、法人の指導のもと積極的にリスクマネジメントに取り組んでいますが、事業継続計画が職員に周知できていないと認識しているようです。事業継続計画自体が、職員にとって非常事態を実感しにくいという側面もあり、非常時の際に、事業所に入居している利用者の生活を守るためには必要不可欠なものですので、説明方法や振り返り等も検討して周知を進めることが望まれます。行政の小規模防災訓練の際に指導を受けた優先順位の見直しを行うとともに、未整備の侵入発生時の対応マニュアルを作成することが望まれます。
事業所は、家族の面会時に利用者の日頃の生活の様子を口頭で説明し、毎月の運営推進会議・集団往診日・訪問理美容等の予定や日々の活動風景を撮った写真のみを家族宛てに「いつつ星便り」を通して伝えています。家族にとっては、健康面や生活面の状況を写真ばかりでなく、知りたいと思われますので、利用者個々の状況を知って頂くために、一言添える工夫が望まれます。
事業者が特に力を入れている取り組み
事業所は、フロア全体が落ち着いて生活できるよう、生活の一日の流れ、利用者個々の役割、作業に入る環境作りをして、利用者の「いつもの生活」を作り出しています。それを作り出すために、日々のミーティング、カンファレンス等で話し合っていますが、利用者の言語表現だけではなく、仕草や視線から利用者の気持ちを理解し、利用者が次の行動にスムーズに移れるように支援しており、利用者は落ち着いた生活を送ることができています。また、経験の少ない職員のための手順書もわかりやすく作られています。
事業所は一人ひとりの利用者の生活を尊重しています。日々の体操の場でも「回想法」を用いつつ、利用者同士の交流の輪を作り、楽しい時間を過ごす機会を増やし、食事についても必ず職員が同じ献立を一緒に食べることにより、家族団らんのような雰囲気を作っています。職員が明るく楽しい振る舞いの下、雰囲気づくりに努めています。
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:利用者総数18名に対し、18世帯の利用者家族にアンケートを実施し、12名から回答がありました。
- 調査方法:アンケート方式,場面観察方式
場面観察と家族等にアンケートを実施しました。調査の趣旨を記した説明文とアンケート用紙を事務所から家族等に配布してもらい、回収は、利用者家族等が特定できないように配慮した返信用封筒を用いて、当評価機関あてに直接返送してもらいました。 - 有効回答者数/利用者家族総数:12/18(回答率 66.7% )
・利用者18名にアンケートを実施したところ、12名から回答を得ることが出来ました。総合的な満足度として「大変満足」が75%(9名)「満足」が25%(3名)となっており、回答者全員が満足している高い評価となっています。
・総合的な自由意見として「職員の皆さんが誠心誠意ケアして下さり、いつも感謝しています。グループホームは本来入居者たちが共同生活する場という趣旨でしたが、何年も経つと介護度も上がり、結局個別にお世話を受ける施設になってしまい、職員さんの負担は重くなっていると感じます。頭が下がります。」「以前、介護付き老人ホームに入っていた時は、時々不安そうな表情をしていましたが、いつつ星に入所してからは、ずっと落ち着いているように見えます。」「普段の様子など、月ごとでなくても良いので、連絡してもらえると安心である。」「定期的なボランティアによるレクリエーションをお願いしたいと思います。」など好意的な意見が多くありました。
アンケート結果
1.家族への情報提供はあるか
・満足度としては「はい」が91.7%と高い評価になっております。 ・自由意見として「聞いたときは教えてくれる。何か問題があった時には説明してくれる。」「事業所からではなく、勤務しているヘルパーさんたちからは常に様子の連絡があります。」等の意見がありました。
2.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか
・満足度としては「はい」が91.7%と高い評価になっております。 ・自由意見として「浴室を見ることはできないのでわからない。居室、時々掃除をまめにしてほしいと思うことあり。」等の意見がありました。
3.職員の接遇・態度は適切か
・満足度としては「はい」が91.7%と高い評価になっております。 ・自由意見として「入居者に対する言葉遣いが職員さんによって違う。」等の意見がありました。
4.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
・満足度としては「はい」が91.7%と高い評価になっております。 ・自由意見は特にありませんでした。
5.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
・満足度としては「はい」が75%となっております。 ・自由意見として「人による。」等の意見がありました。
6.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
・満足度としては「はい」が83.3%となっております。 ・自由意見として「人による。」等の意見がありました。
7.利用者のプライバシーは守られているか
・満足度としては「はい」が83.3%となっております。 ・自由意見は特にありませんでした。
8.個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか
・満足度としては「はい」が75%となっております。 ・自由意見は特にありませんでした。
9.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
・満足度としては「はい」が83.3%となっております。 ・自由意見は特にありませんでした。
10.利用者の不満や要望は対応されているか
・満足度としては「はい」が75%となっております。 ・自由意見として「信じたいがやはり人による。」等の意見がありました。
11.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
・満足度としては「はい」が53.8%となっております。 ・自由意見として「運営推進会議で共有している。」等の意見がありました。
調査時に観察したさまざまな場面の中で、調査の視点に基づいて評価機関が選定した場面
リビングで利用者は「ふるさと」を合唱していました。職員は歌い終わった後、利用者一人ひとりに「故郷はどこ」と問いかけ、利用者が答えると、職員は更に「何が有名なの」と話が広がっていきました。隣りの利用者同士で考えたのか大きな声で自信満々で「ふぐ」と答えました。職員はニコニコ笑顔で「故郷はいいよね」と皆に優しく話していました。利用者の1人が「昔はウサギおいしって、ウサギが美味しいと思っていた。今はウサギを追っての意味だと分かった。」職員はお茶の準備しながら「そうだね」と頷き、次々と利用者全員に話しかけていました。
選定した場面から評価機関が読み取った利用者の気持ちの変化
「ふるさと」を合唱する事によって、利用者が昔を回想し、どの利用者も共有できるように配慮していました。職員と利用者との会話だけでなく、利用者同士の会話に広がって、皆で楽しめるように支援していると感じました。
サービス分析結果
【講評】
施設パンフレットには法人の理念や事業所の概要がわかりやすく記載されています
事業所の情報は、法人のホームページ、事業所のパンフレットにより入手することができます。施設のパンフレットは、写真で設備が良く判ることはもとより、法人の持つすべての事業所が紹介されており、法人の介護分野における活動が一覧できるほか、法人の理念である「健やかなる老い」の実現を目指して事業所を開設したこと、事業所の運営基本理念、認知症ケアに関する考え方がわかりやすく記載されており、入居希望者、家族は事業所のハード面のみならず、どのようなケアが受けられるかという支援も知ることができます。
事業所の最新情報は、運営推進会議を通して詳しく行政や関係機関に提供しています
事業所は2か月に1回開かれる運営推進会議により、行政、関係機関、地域の自治会、民生委員、利用者家族、事業所代表と広範な関係者が参加しています。運営会議では、入居状況、事故、災害時の連絡方法や防火実務講習、食中毒等、予防等の事業所の運営報告、利用者の近況報告と今後の活動予定等が質疑応答も含めて行われています。このため、行政や関係機関には、単なる事業所の情報提供にとどまらず、家族の意見・要望や地域との連携等多面的な情報が提供されています。
入居希望者には見学を受け入れ、入居後の生活をイメージしやすくしています
事業所は、入居希望者や家族に、入居後の生活をイメージしやすいように積極的に見学を勧めて、実際の生活場面を見学していただいています。そして、見学を希望する家族が一度にまとまって来れないときには、複数回の見学を受入れ、きめ細かく対応しています。また、入居後のトラブルが生ずることがないよう、入居を希望される方や、事業所が介護を行うことが可能かどうか確認させていただきたい方にはお試し入居を勧めています。
1.利用希望者等に対してサービスの情報を提供している
- 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
- 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
- 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
- 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
サービスの開始時には、料金の詳細も含めた広範囲な説明を行っています
事業所は、入居時に、契約書と重要事項説明書をもとに、口頭と文面でわかりやすく個々の帳票も用いて説明しています。説明は、利用者、家族がどのように理解されたかという点についても配慮しながら行っており、必要に応じて繰り返しわかりやすく説明しています。また、同時に、入居後、入院や看取り介護が必要になった場合に、どのような支援が受けられるかやどのくらいの費用が必要になるか、可能性があるかということなども、利用料一覧を用いて説明しています。
利用者のサービス前の私生活を利用者、家族とも詳しく確認しています
事業所は、利用者の入居を迎える際は、環境の変化による不安やストレスをなるべく軽減して利用者を受入れられるように努めています。このために、事前に利用者に入居後の生活に関する意向の聞き取りを行うほかに、家族へ「ご家族記入シート」をお渡しし、これまでの利用者の生活歴や嗜好、趣味、生活習慣を記載いただいて、入居開始直後の様子を把握することに主眼を置いた、初回の短期ケアプランに反映させています。
サービス終了時には利用者に対しスムーズなサービス移行が行われるよう支援しています
事業所は、入居開始時に利用者が新たな環境での不安やストレスを軽減できるように努めているのと同様に、利用者が事情により退居しても新しい施設等へ移動する際は、移動先での不安やストレスを軽減できるようにすることを重視しています。このため、移動先に、ケアプラン一式、これまでのケア内容等の必要な情報を提供、説明して、利用者に対してスムーズなサービス移行が行われるように支援しています。
1.サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている
- サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
- サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
- サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
- サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
- 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
- サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
- サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
アセスメントは、数々の項目にわたって実施された心身・生活状況が記録されます
事業所は、3か月に一度の定期的なアセスメントのほかに、利用者の状態変化時にアセスメントを行って心身状況、生活状況を把握しています。書式への記入は職員間のカンファレンスのもと、身体機能、生活機能、認知機能、社会生活への適応等の要介護認定に関連する事項以外に、掃除、洗濯、整理等の実際の生活場面での機能、屋内、屋外での余暇活動、家族他との交流、起床してから就寝までの生活パターン等についても記載することになっており、きめ細かく利用者の状況が把握されています。
生活や健康などの情報ごとに記載するための仕組みが整備され、有効に活用されています
事業所は、利用者ごとに、時系列に記載された「週間サービス計画表・日課表」、利用者の意向や必要なケアを記載した「日課表別表」を作成しています。職員は、それに基づいて必要なケアを行い、その結果を介護計画内容と照合できる形で、日ごとの「経過記録」、「個人健康チェック表」に記載しています。これらの帳票も時系列に詳細な記載が行われており、利用者の状態の推移や活動内容を把握することが容易にできます。
利用者の状況に関しては、申し送りや記録により職員の間で共有、活用されています
事業所は、一日の中での交代勤務が必須であることを踏まえて、利用者の状況を遅滞なく共有できるようにすることを重視しています。このため、毎日の朝と夕方の交代の時間には、利用者の申し送りを行うほか、カンファレンスで共有、周知を図っています。また、職員が共有、活用しやすいように、経過記録と個人健康チェック表にまとめています
1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している
- 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
- 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
- アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の介護計画を作成している
- 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
- 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
- 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している
- 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
- 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している
- 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
- 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.認知症対応型共同生活介護計画に基づいて自立生活が営めるよう支援を行っている
- 個別の認知症対応型共同生活介護計画に基づいて支援を行っている
- 利用者一人ひとりがその人らしく生活できるよう支援を行っている
- 関係職員が連携をとって、支援を行っている
【講評】
ケアプランに沿った支援をし、経過記録にプランとの関連が分かるようにしています
事業所はケアプランに沿った支援が確実に行われるように、毎日、利用者の行動や状況を観察し、利用者が一日をどのように過ごしたかを、時系列に詳しく経過記録に記載し、職員間で共有し、活用しています。利用者の行動がケアプランのどの項目に合致しているか分かるように、経過記録にプランの番号を記入し、その効果などを経過記録に記載されています。3か月ごとに、ケアプランの各目標の実現度合いが評価され、次の期間におけるサービス内容が必要に応じて見直されています。
日課表等にも個別ケア内容等を記載し、その人らしさを尊重した支援をしています
事業所はケアプランの他に利用者ごとに、日課表、日課表別表、週間サービス計画表に個別ケア内容、支援方法を記載し、きめ細かいケアを行っています。職員の経験やスキルによってケアに大きな差が出ないような配慮があります。日課表別表には、着換え・服装・身だしなみや食事など日課ごとの利用者の意向が記載され、対応した項目ごとに支援方法を記載しており、利用者は、どの職員からも、同じようにその人らしさを尊重した支援を受けることができています。
毎日のミーティング、申し送りを通じて職員が連携を取って支援を行っています
事業所は、一人ひとりの利用者ごとに週間サービス計画表・日課表・日課表別表にきめ細かい支援の手順を定めていますが、利用者の体調や気持には日々変化がある為、弾力性を持たせた支援を心がけています。利用者のいつもとちょっとした違いを見逃さないように努めています。このため、朝と夕方の申し送りやミーティングの際には、共有しなければならない事は欠かさず申し送りをしています。また、必要に応じて、関係者が参加し、カンファレンスで取り上げて議事録に記載し、職員全体に周知徹底しています。
2.利用者の状態に応じて、日常生活に必要なさまざまな作業等を利用者が主体的に行うことができるよう支援を行っている
- 食事に関する一連の作業等利用者の生活場面では、利用者の主体性と能力を活かして支援を行っている
- 利用者一人ひとりに応じた生活への参加ができるよう工夫をしている
- 利用者の心身の状況に応じて、生活するうえで必要な支援(食事や入浴、排泄等)を行っている
- 各種手続きや買い物等日常生活に必要な事柄について、利用者本人による実施が困難な場合に代行している
【講評】
利用者の個々の入居前の生活状況と残存機能を把握したうえで個別の支援を行っています
事業所は、利用者の入居前に、これまでの生活状況と残存能力を把握するために、掃除、洗濯、調理などについては、細分化して状態を把握出来るように努めています。例えば掃除であれば、掃く、拭く、洗面台掃除、洗濯であれば干す、取り込む、たたむ、調理であれば、切る・煮る・焼く・炒める、味付け、盛る、配膳、下膳など項目別に残存能力を把握し、利用者が家事に参加出来るような機会の場を多く作るように配慮しています。また、入居前の生活状況を把握し、利用者が好きなことや得意なことをしていただけるように支援しています。
個別日課表等によって、利用者個別の能力に応じた生活への参加ができています
事業所が、個々の利用者ごとに作成している週間サービス計画表・日課表・日課表別表には、どの様な支援内容をどのように行うかという個別ケアのやり方が、簡潔に記載されています。これにより生活活動の状況がかなり困難になった利用者でも、テーブルの自席の周囲を拭いたリ、ワゴン車に下膳するなど、立位がとれない方は座ったまま洗濯たたみ、洗濯物干し、ぬか漬け作り、煮干しのわたを取り除き、出し汁パック作りなどを出来る時に出来る事をして頂き、好きなこと、得意なことを念頭に置いた支援をしています。
利用者の心身の状況に応じて、買い物同行や手続き代行など必要な支援を行っています
事業所は自立支援の観点から出来ることは自分でやり、出来ないことは気持ち良く支援しています。例えばこれまでの生活習慣から、自分で選んで買い物をしたい女性の利用者にも配慮しています。利用者から買い物に行きたい希望があった時は、積極的に近隣のスーパーマーケットやドラッグストアに同行し、利用者の商品選択などの支援を行っています。また、介護保険関係の申請の際には利用者や家族に代わって手続きの代行をしたり、要介護認定調査の際は同席するなどの支援をしています。
3.利用者の健康を維持するための支援を行っている
- 利用者の心身の状況に応じた健康管理を行っている
- 日常生活の中で、利用者一人ひとりの状態に応じて身体を動かす取り組みを工夫している
- 服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などしくみを整えている
- 利用者の体調変化時(発作等の急変を含む)に、医療機関等と速やかに連絡できる体制を整えている
【講評】
職員の健康チェック観察や看護師、主治医、医療機関等と連携し健康管理しています
事業所は、職員が日々の生活の中で健康管理・服薬管理を行うことを基本としています。職員が個々の利用者ごとに利用者健康管理基本台帳を参考にし、日々の健康チェック、観察を行い、早期発見に努めています。異常を発見した際には、主治医に受診を勧める基準書に則り各利用者の主治医に繋げ、受診の運びとなります。同時に家族の緊急連絡先にも連絡しています。主治医の助言を踏まえ、指示された処置・内服薬・対応など継続して実施出来るように、医療連携看護師の助言を受けながら、利用者の個人健康チェック表を用いて対応しています。
毎朝の体操、各利用者の主治医の助言に基づいて、利用者個別の体操等も行っています
事業所は利用者の健康管理のために、毎朝、フロア全体で体操をする機会を設けています。また、極力全員が参加できるように、利用者の特質や状況を配慮しています。参加、不参加は一人ひとりの利用者のその時の気持ちを大切にし、無理強いは避けています。また、主治医から助言を受けた場合には、その助言に基づいた個別の体操等をケアプランに入れて、毎日の体操とは別に生活の中で身体を動かす工夫をしています。また、家事に多くの利用者が参加出来るように配慮しています。
服薬管理は時間帯別に行うとともに三重チェックする仕組みになっています
事業所は服薬管理手順書に従って、個々の利用者ごとに個別の保管ボックスを設けています。服薬のセットは毎日1日分のセットをし、セットした職員はセット後に確認しサインをしています。他の職員が再度確認し2重チェックをしています。配薬する職員は配薬を間違えないように利用者を確認しながら細心の注意を払って支援しています。配薬後には確認サインと服薬した薬袋数と残薬がないかの確認もしています。二重三重のチェックをすることによって誤薬を防いでいます。
4.共同生活が楽しく快適になるよう工夫している
- 利用者がお互いに関わり合いながら楽しく生活することができるよう支援を行っている
- 事業所での生活は、他の利用者への迷惑や健康面に影響を及ぼさない範囲で、利用者の意思が尊重されている
- 居室や食堂などの共用スペースは、利用者の安全性や快適性に配慮したものとなっている
【講評】
利用者の生活ペースを尊重する中で、利用者同士が交流する機会を提供しています
事業所は、一人ひとりの利用者の生活のスペースを尊重しています。お茶の時間や食事の時間、体操の時間やレクリエーション、家事に参加などの時間は、共有スペースで利用者同士がお話ししたり、楽しく活動できるように配慮しています。また、毎月の誕生会や、季節のお食事パーティー、例えばハロウィンなどの行事の時は、飾り物の作成やおやつ作りの企画に利用者も参画し、利用者ごとに役割を分担しながら、皆で一緒に楽しい時間を過ごせる機会を提供しています。
入所前の生活を考慮して利用者の意思を尊重した生活リズムを作っています
事業所は利用者の入居前の生活習慣を尊重した生活リズムが継続できるように配慮しています。利用者によっては、お酒が好きだったり、特定のお菓子が好きだったり、嗜好に関しては一人ひとりの利用者によって違いがあることを尊重しています。他の利用者に迷惑をかけたり、健康面に影響を及ぼさないよう注意しながら楽しんでいただいています。消灯時間の決まりはなく、深夜のテレビ鑑賞が好きな利用者も多く、それぞれ自室で楽しんでもらうように配慮しています。また、入所前からピアノの演奏をしていた利用者には自室で楽しんでいただいています。
施設では安全面や衛生面に配慮し、利用者にとって快適性な生活の場となっています
館内はバリアフリーで広い共有スペースを設けています。静かで温度・湿度も適正に保たれ、整理整頓され、転倒予防にも配慮して、館内全体が家庭的な雰囲気で、清潔な住まいになっています。認知症ケアだけでなく身体的ケアの必要な利用者が増え、共有スペースでも快適に過ごせるように、高さの異なるテーブル、ソファ、リクライニングチェア、クッションを用意して、状況に応じて利用者が選んで座れるように配慮されています。どの利用者が何を使用しているかは日課表別表等に記載し、どの職員にもすぐにわかるように工夫されています。
5.事業所と家族等との交流・連携を図っている
- 家族や利用者の意向を考慮して、家族等が参加できる事業所の行事を実施している
- 利用者の日常の様子を定期的に家族に知らせている
- 家族等が事業所等に対し、意見や要望を表せる機会を設け、それらを活かした支援を行っている
- 重度化した場合や終末期に備え、あらかじめ本人や家族等と話し合い、事業所でできることを説明しながら、方針を共有している
【講評】
町会や法人の企画等も利用者家族に紹介し、一緒に参加できる機会を提供しています
事業所は地域の町会と非常に良い関係を構築しています。町会の熱心なサポートを得ている。2年に1回の町会祭りには利用者、家族は積極的に参加しています。また、法人内では毎年1回、法人全体で1泊のバス旅行を企画しており、家族は利用者と一緒に旅行を楽しみ、絆を深めています。事業所では家族の参加は自由で四季折々の行事を計画し、楽しんでいます。また、毎月の誕生会には、該当利用者の家族も参加され、家族は様々な機会を利用者と共に過ごすことが出来ています。
毎月事業所のお便りを発行し、各利用者の1年間のアルバムも作成しています
家族の面会時に利用者の日頃の生活の様子を口頭や面会簿を通して伝えています。また、介護計画立案時に時間をかけて丁寧に健康面や生活面に対する要望、心配事など聞いています。今月の予定(運営推進会議、往診日、訪問理美容等)と、日々の利用者の活動風景を撮った写真を毎月家族宛てに「いつつ星便り」にして送付しています。日々の風景写真は廊下や居間、居室に貼り出して、面会時に家族の目に留まるようにしています。各利用者の1年間の生活状況を知って頂くために、利用者ごとに個別のアルバムを作成しています。
定期的に面接し、終末期の過ごしかたを確認し記録しています
事業所も年々重度化している状況です。入所時に『重度化した場合・終末期に関する指針』を説明し、事業所で出来る対応を理解していただいたうえで、平常時より終末期をどの様に過ごしたいかを本人や家族間で話し合って頂き、定期的にターミナル時の意向を確認し、その都度記録しています。主治医が『医学的見地に基づき回復の見込みがない』と判断し、利用者とその家族など関係者が『延命目的での積極的な治療を望まない』方、『看取りを希望される』方を対象とし、看取りの承諾書、意向確認等を作成し、終末期の対応方法を詳細に定めています。
6.利用者が地域で暮らし続けるため、地域と連携して支援を行っている
- 地域の情報等を収集し、利用者の状況に応じて提供している
- 利用者が地域のさまざまな資源を利用するための支援を行っている
- 利用者が地域とつながりながら暮らし続けられるよう、事業所が利用者と共に地域の一員として日常的に交流している
- 運営推進会議で話し合われた意見を活かして支援を行っている
- 区市町村や地域包括支援センターと日頃から連絡を取り、協力関係を築きながら支援を行っている
【講評】
運営推進会議などで地域の情報をタイムリーに収集し利用者の状況に応じて役立てている
運営推進会議に行政も参加しており事業所の状況や運営を理解して頂く良い機会になっています。また、地域の中の身近な情報をタイムリーに収集できるので、利用者の生活に役立っています。例えば利用者が無料で参加できる認知症カフェの参加、紙オムツ支給制度の紹介、特別養護老人ホームへの申し込みや傾聴ボランティアを紹介していただいている等、タイムリーに情報収集が出来、役立っています。行政からは、蚊の発生を防ぐ薬の提供を受けたり、小規模避難訓練の助成を受けたり、利用者の生活を支援する為のサービスを受けることが出来ています。
近隣の町会に加入し、町会の協力も得られ、徐々に地域と交流の場を深めています
事業所は地域の町会と緊密な連携を図っており、毎年、3、4月には地域の桜まつりの準備や片付け、町会主催の近隣公園での防火講習会に参加するなど、地域の人々と交流が出来、利用者の生活を豊かにしています。また、2年に1度、神社の祭礼を担当する町会のお神酒所と子ども神輿の休憩所として事業所の敷地を貸し出し、お祭りにも参加しています。町会との交流は年々深まっており、運営推進会議にも参加していただいています。運営推進会議で話し合われた要望や意見などを活かして支援をしています。
運営推進会議には行政、関係機関も参加しており、密な協力関係が構築されています
事業所の運営推進会議には区の介護保険課、高齢者あんしん相談センター長、民生委員、入所されている家族、事業所管理者、法人から1名のメンバーで2か月ごとに開催され、緊密に連携を図っています。区には骨折などの事故に対して事故報告書を提出しています。空床や一部の職員については職員配置変更の情報を提出しています。区から事業所に対しては、メールで研修、災害対策、介護保険の案内などがあります。その中から利用者に必要とする情報を収集し、役立てています。
【講評】
個人情報の取り扱いについては、繰り返し、利用者、家族の確認を得ています
個人情報の取り扱いについては、入居時に口頭と文書で、事業所内部での利用目的、他の事業者等への情報提供を伴う利用目的など、利用目的別の説明を行って同意を得て、個人情報使用同意書に署名捺印していただいています。ただ、これだけでは、どうしても具体的なイメージにつながらないというのが一般的であることを踏まえ、実際に個人情報を外部に提供する必要が生じた場合には、その都度、利用者、家族に説明して確認を得ています。
利用者個人用の金庫等により、書類や所有物の管理に万全を期しています
事業所は、利用者個人の所有物や大切な書類は、個人用の金庫を用意して保管しています。また、各居室には、鍵付きの引き出しがあり、利用者はいつでもそれを利用することができています。また、利用者個人ごとの医療連携記録、家族への連絡事項等も記載されている利用者個人別の面会簿は、プライバシーの保護を徹底しています。
生活のあらゆる場面において、利用者が自分の意志で選択できるようにしています
生活の中で、食事は利用者のこれまでの生活習慣が顕著に現れるところですが、事業所は、利用者ごとの食事の習慣、好みに合わせ、朝のパン食、魚嫌いの利用者には肉や豆腐のおかずに替えるなどの対応を行っています。また、集団での体操、レクリエーションへの参加、不参加は、利用者のその時の気持ちで自由に選択できます。入浴についても同様で、利用者の気の進まないときは入浴日を替えたりする等の対応をしています。
1.利用者のプライバシー保護を徹底している
- 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
- 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い、利用者のプライベートな空間への出入り等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
- 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している
- 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
- 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
【講評】
サービスの基本事項に関する手順書やマニュアルは、各ユニットに配置しています
事業所の各種マニュアルは、他に3か所のグループホームを保有する法人の、職業倫理、高齢者の疾病、感染症、認知症ケア、看取り、リスクマネジメント、記録の取り方等のマニュアルを基本として、事業所の状況に合わせて修正したものと、緊急時のフロー等、事業所独自の業務について事業所で作成したものを使用しています。マニュアルは、1階と4階のユニットにそれぞれ配置されており、職員はいつでも閲覧することができます。
サービスの実施状況については法人本部の内部監査も受審しています
事業所は、サービスの実施状況についてこまめに自己点検しており、実情に応じて、サービスの実施方法の変更や、一般的なマニュアルについては、少しずつ一部の見直しを行ったりもしています。また、法人本部の不定期の内部監査も受審しており、この場で法令順守が徹底しているかの点検も行われますが、法令遵守に関する職員の意識の向上にもつながっています。
カンファレンスやミーティングの中でサービスの基本事項や手順等を見直しています
事業所は、開設以来4年半が経過しましたが、その間に5名の看取りを行い、認知症ケアのみならず、身体的ケアが必要な利用者が増えてきています。このため、新たなケアの必要性にも対応しながら、本来、グループホームに求められ残存機能を活かした生活の場での役割をもってもらい、利用者の意欲の向上と認知症状の進行緩和を図っていくべく、カンファレンスやミーティングでの職員からの意見を反映した基本事項や手順等の見直しを行っています。
1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
- 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
- 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
- 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
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事業者のコメント
毎日午前の日課として、ご入居者の皆様と職員とで一緒に「文の京 介護予防体操」をしています。身体をひとしきり動かした後、口腔体操の一環として懐かしい歌を唄っており、その一場面です。
認知症の方は新たに記憶することは苦手でいらっしゃいますが、若い頃など昔の記憶を保持している方は少なくありません。ちょっとしたきっかけでそれが呼び覚まされ、流れ出るように話して下さることも珍しくありません。また、ご入居者同士ではなかなか話が通じなくても、職員が間に入って少し仲介するだけで、その後会話が続くことも多くあります。そしてその時のご入居者の活き活きとしたお顔を拝見することが、我々職員の日々の活力に繋がっています。
これからも、ご入居者の暮らしの潤滑油になり、また、「活き活き」とした暮らしを共にしていけるように努めていきたいと思います。