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福祉用具の利用と地域包括支援センター 福祉用具と地域包括ケアシステム

介護保険制度と地域包括ケアシステムに関する動き

 介護保険制度は、制定から18年に入っています。サービス利用者は、制度制定時の3倍を超えて500万人に達しており、介護サービスの提供事業所数も着実に増加し、介護が必要な高齢者の生活の支えとして定着してきています。
 その一方で、2025(平成37)年には、いわゆる団塊の世代すべてが75歳以上となるほか、2040(平成52)年には、いわゆる団塊ジュニア世代が65歳以上になるなど、人口の高齢化は、今後、さらに進展することが見込まれており、都市部では75歳以上の人口は、急速に増加するなど、より急激な高齢化も現れています。
 こうした中、国は介護保険制度の持続可能性を維持しながら、高齢者が可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことを可能としていくために、2017(平成29)年に「地域ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」を定めました。そこでは、地域包括システムの深化・推進及び介護保険制度の持続可能性の確保を掲げ、2025(平成37)年に向けた計画的な介護保険の運営体制の確保及び地域支援事業の実施を目指すこととしています。
 2005(平成17)年の介護保険法改正で「地域包括ケアシステム」という言葉が初めて使われ、少子高齢化の進行が引き起こすと予想される問題を緩和するために、地域住民の介護や医療に関する相談窓口「地域包括支援センター」の創設が打ち出されました。
 その後2011(平成23)年の同法改正(施行は2012年4月から)では、条文に「自治体が地域包括ケアシステム推進の義務を担う」と明記され、システムの構築が義務化されました。
 そんな中、医療サービスと介護サービス、さらに生活支援などを連携させた体制として改めて「地域包括ケアシステム」の概念が注目を集めるようになります。そして、2014(平成26)年「医療介護総合確保推進法」が施行され、地域包括ケアシステムの構築が全国的に進められるようになりました。
 2015(平成27)年の同法改正では、地域包括ケアシステムの構築に向けた在宅医療と介護の連携推進、地域ケア会議の推進、新しい「介護予防・日常生活支援総合事業」の創設などが取り入れられ、さらに充実することに力を注いでいます。
 こうした流れの中で、地方自治体では、保険者機能の強化等による自立支援・重度化防止に向けた取り組みを推進することや、制度改正の内容に適切に対応しながら、市民や関係者への周知・啓発に務め、制度への理解・協力を図っていくことで、地域包括ケアシステムの推進を図って行くことが重要になってきました。

地域包括ケアシステムの姿
出典:平成28年3月 地域包括ケア研究会報告書より
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