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遊びの中で育つもの

 もう、だいぶ前のことになりますが、大型家電店で目にしたことです。 それは3歳くらいの女の子がなにやら熱心に、パソコンの画面を見ながらマウスを操作していました。
 「まあ、小さな子がパソコンで?」と子どもの行動に興味を持った私はその子の後ろに行き「何をしているのかな」とばかり、覗いてみたのです。
 パソコン画面には、女の子の好きそうなキャラクターが白抜きで描かれ、その右側に色が区分された、色見本が帯状に写しだされた「ぬり絵」の画面でした。
 遊び方を見ていると、その子は右側の色の画面にマウスを運び、色を選んでクリックをしてキャラクターの頭のリボンの絵にマウスを移動し、クリックするとリボンに色がつき、次に色を選び今度は洋服にというように、次々とその操作を繰り返し、ぬり絵はきれいに完成です。
同じ遊びでも、紙に描かれたぬり絵とはそのつくり方と出来上がりは大きな違いです。 パソコンのゲームとしてのぬり絵ではマウスでの移動やクリックのやり方などの操作方法、そしてパソコンの便利さを知ることでしょう。
それに対して、昔ながらの紙に描かれたぬり絵は、絵の輪郭を意識して、はみ出さないように、手先や指先のコントロールをしなければなりません。また、塗りむらが無いように塗ることも大変です。
 色を塗る使用素材もクレヨン、クレパス・色鉛筆・マーカー・絵の具などいろいろなものがあり、素材や手触りの違いによっても体験から素材の使い分けを知ることでしょう。
パソコンのぬり絵とは違って、一旦、色を選び色ぬりをしたら、ぬり替えることは簡単ではありません。
「今度は、ああしてみよう、こうしよう」と考えながら、失敗作を何度も繰り返し 小さな挫折も感じるかも・・・。
子どもにとって、同じぬり絵で遊びながらも媒体とするものが異なることにより、体験を通して得るものの違いや、遊びの中で育つ技能について考えさせられたひとこまでした。

福祉保健局 少子社会対策部 保育支援課 大橋紀美子

※ 当コラムは保育園勤務経験者などの方々に、子育てのヒントとなる小話などをいただいて掲載しています。